整備された道で、彷徨うとは思わなかった。
木々を見る眼、芝生を見る眼、空を見る眼、道を見る眼。前を見る眼、後ろを見る眼、右を見る眼、左を見る眼、その他見たい眼以外が一箇所を見ようとしない。
今、歩いて居る場所が公園内の道であるのはわかるが、この眼が邪魔をする。
意識を一つの眼に集中しようとしてもまるでいうことを聞かない。
(この眼を使いこなせていた原作のハクメンの中の人はやっぱり化け物級の英雄だったんだな)
ハクメンはブレイブルー内では六英雄の一人として登場する。
黒き獣という災害にも似た化け物と闘い、勝利した大英雄だ。
その中に入っていた人物はハクメンと融合したにも関わらず、完熟訓練をしていない状態で既に黒き獣と闘えていた。
今の自分と比べるのも可笑しな話だと溜息を吐く。
暫く道なりに歩き漸く看板を見つけた。
(よかった。海鳴公園であってた。後は転生者が何処に居るかだな)
転生者は殺さなければと無意識に考えてしまう。
黒いシルエットの男が刻んだ思考は今の自分では解除出来ないと半分諦めていたが、ソウタは転生した自分がこれから転生者を殺す為だけに生きたいとは考えていなかった。
どうして白い空間に居たかも解らず、どう死んだかも削られ、勝手に転生させられた身で、これからどうしたいかも分からない。
(幸い俺が観たことがあるアニメやゲームの知識は断片だけだが残って居るし、この世界の情報もある。取り敢えず転生者を殺すまで原作の登場人物でも見てまわるか)
ソウタは取り敢えず転生者以外のモノを目的にしたかった。
黒いシルエットの男の言いなりになるつもりも無い。
今は場当たり的に行動することにした。
(さて、今は特に出来ることもないしこの眼に慣れるようにまた公園を彷徨くか)
ソウタは公園の出口も分からなかったので再び公園を彷徨うのだった。
(しかし、人が誰も居ないな)
彷徨うこと1時間。
時計も見つけ今の時間も知れた頃、公園に人が一人も居ないことに違和感を感じた。
時刻は夕方の16時。
子供が遊んでいても良い頃だと思ったが、周辺には誰も居ない。
それもその筈で、白い大柄の鎧を着た化け物が武器を持って急に現れたのだ。
見てしまった人は周囲を巻き込んでパニックを起こして大人子供も全員逃げ出した後だった。
ソウタはその時自分の事で周りが見えていなかった為知らなかったのだ。
公園は既に避難が終わっており、通報を受けた警察が公園の周りを包囲しており、上空部隊のヘリもそろそろ来る頃合いで何時でも制圧出来る状態になろうとしていた。
(原作でも人が居た場面に記憶がないし、そこまで人気な場所では無かったのか?)
そんな事態になっている事にも気づいていないソウタは未だ頭に?マークを浮かべて歩いていた。