(周りが騒がしい?…なんかヘリまで飛んでるし)
漸く気がつきだしたソウタだが、何故こんな事になっているか分からないでいた。
自分がハクメンになっている事は理解しているがそれが周囲にどのように見られているか分からなかった。
ヘリからサーチライトで照らされて自分が危険人物だと思われていたと気づいた時にはもう遅く、周囲には武装した部隊が包囲を縮めて来ている。
(確かにこの見た目で一般人には見えないよなぁ)
《無駄な抵抗はするな!武器を置いて手を上に挙げなさい!キサマは既に包囲されている!》
拡声器で威圧的な降伏勧告を告げられ、さて、どうしたものかと何故か冷静になって考える。
(自分は一般人だった筈で、普通なら恐怖に駆られパニックになってもおかしくないと思うのだが)
ハクメンという強力な存在の中にいる為か、普通の人間程度の威圧は感じなくなっていた。
しかし、だからといってこの場をどう乗り切るかはさっぱり思いうかばなかった。
この場を武力で突破しようものなら恐らく自分の意思に関わらずハクメンの身体が動いて過剰な攻撃をしてしまう様な気がする。
大人しく投降しても暴れそうな気がする。
話は聞いてもらえないだろう。
今の自分ではこの身体の制御が出来るとは思えなかった。
(もう、戦うしか無いのか…)
そう思い武器に手を伸ばした時、上空から得体の知れない感覚が降ってきた。
(なんだ?今まで感じた事が無い感覚?)
その正体を知るべくソウタは発信源を見た。
そこには白いバリアジャケットを身に纏い、肩にフェレットを乗せた少女が浮いていた。
「ま、間に合った!大惨事にはまだなってないよ!なのは」
「うん!って、け、警察の人がいっぱいいるよ⁈」
「大丈夫!今は結界を張ってるから気付いてないはずだよ」
一人と一匹のやりとりに、ソウタは感動していた。
リリカルなのはの世界は魔導師と呼ばれる魔法を使う者達の物語だ。
一般人だった主人公なのはがフェレットの姿をした魔導師ユーノと出会い、散らばってしまった願望機ジュエルシードを集める為、魔導師となり
魔法の世界を歩んでいくストーリー。
そんな大体の記憶しかないが、なのはの姿は覚えていた。
(ま、まさか原作主人公達に会えるとは!見るだけのつもりだったが話かけても良いのかな⁈しかも結界と言っていたが俺が感じたのは魔力か?俺にも魔力があるのかな⁈)
魂だけソワソワしていたが、武器に手をかけた状態で佇むハクメンは原作主人公なのはと相棒のユーノ達から視線を一切逸らさず見ていた。
(…体がまだいうことを効かないって事はなのは達を警戒してるんだよな…どうしよう。結界のおかげで警察を相手にしなくて良くなったのはありがたいが、攻撃してくる様だと応戦するだろうし…主人公だとしても転生者と殺りあえるスペックのハクメンが相手だと最悪死んでしまうのでは…)
せっかく会えたのだから話したい思いがあるものの、ハクメンは転生者に縁がある者に対して容赦はしない。
(たしか、なのははまず対話しようとする筈だ。なんとか戦闘は避ける様にしなければ!)