強制転生者キラーの日常   作:兵山マークII

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スターライトブレイカー

 

 高町なのはは困惑していた。

 

 あの白い異形の存在に仮面で視えないのに視線がこちらに向けられてから言いようの無いさむけを感じるのだ。

 

 敵意もかんじる。殺気も感じる。しかし、それだけじゃない何かを感じてからだが震えるのだ。

 

 肩に乗る友達、フェレットのユーノもそれを感じているのかあせを流して耐えながら白い異形を観ていた。

 

 「なのは、警察に囲まれてるヤツが次元振を起こした元凶だよ!気をつけて!」

 

 「う、うん!こんな世界が壊れる手前まで強い次元振を起こしたんだもん、早くやっつけないと!」

 

 二人はハクメンが放つ気に当てられ、かなりテンパっていた。

 

 

 

 (あれ?警告も無しに杖向けてきたんだけど、話しかけないの?)

 

 ソウタはハクメンが放つ気にまるで気付いてない。

 

 それもそのはずで、ハクメン自信である為、影響が無いのだ。

 

 しかし、他者は違う。

 

 ハクメンが放つ気はその気は無くとも圧を与える。

 

 弱者が存在を認識すればハクメンの力量が本能に訴えかけるのだ。

 

 殺される!逃げろっ!…と。

 

 なのは達はこの気圧より強いモノを闇の書事件の時に感じる筈だが、まだその事件の起こる前、ジュエルシード事件の真っ只中にハクメンと邂逅してしまった為、その恐怖がわからないまま対峙した事、バリアジャケットによる保護機能の信頼から寒気でとどまっているのだ。

 

 無ければ錯乱か気絶するレベルである。

 

 なので、若干の錯乱状態になってしまってもおかしく無く、何もかも吹っ飛ばしてスタートライトブレイカーを放とうとするのも無理もないのだ。

 

 「ちょっ⁈な、なのは⁈それはマズイよ!」

 

 (ちょっ!あれはマジモンのスターライトブレイカーかよ⁈)

 

 なのはの杖に魔力素が集まり、巨大な球体が出来上がる。

 

 スターライトブレイカーとは、なのはの最大攻撃技の砲撃魔法である。

 

 原作でこれがトラウマになる登場キャラも少なく無く、絶大な威力を誇っている。

 

 (なんとか防がないと!ハクメンサーン!なんとかしてくれー!)

 

 ソウタは操れない身体に必死に願った。

 

 ハクメンはそれに応える様に背中の大太刀を抜き、剣道の脇構えの体勢をとる。

 

 「スターライト!ブレイカー!」

 

 十分に貯まった魔力素をなのはは全力で解き放った。

 

 「ズェア!」

 

 迫り来る桃色の魔素の奔流をハクメンは大太刀を上段に振りかぶり掛け声と共に思いっきり振り下ろした。

 

 その斬撃はスターライトブレイカーに触れ、そこからハクメンの持つ技が発動した。

 

 魔法陣がハクメンの前面に展開され、魔法陣の中心、黒い円がスターライトブレイカーを弾いていく。

 

 封魔陣と呼ばれるハクメンの対飛び道具用の技である。

 

 銃弾、弓、魔法、飛び道具であるなら全てに適応し、大太刀が触れた先から発動され、その魔法陣に触れたモノは全て弾いてしまう。

 

 その強度はすさましまじく、3秒だけならどんな攻撃も耐えてしまう。

 

 そう、3秒だけ。

 

 (砲撃にこれは悪手だよ!ハクメンサン!)

 

砲撃はなのはが溜めた魔力素がある限り続く放出型。

 

 軽く3秒は続くだろう。

 

 だが、ハクメンは封魔陣が切れる寸前で大太刀を振り上げ斬撃を放った。

 

 3秒経過する毎に何度も斬撃を繰り出し、封魔陣を連続発動させたのだ。

 

 ゲームだった頃ならありえないスピードにソウタは度肝を抜かれた。

 

 (これが強化されたハクメンなのか⁈ゲームの頃は封魔陣は振りが遅いから飛び道具にも当て辛いし、発動したらしたでコンボに繋ぐのも当たりどころが悪かったりスピードが無さすぎて何度タイミングを逃したことか!)

 

 ゲーマーだったソウタはその光景に過去の記憶を思い出して後悔した。

 

 何故この記憶は削れ無かったのか。

 

 そう思いながらもハクメンは封魔陣を展開していく。

 

 砲撃の凄まじ威力からか封魔陣を展開する毎に足元の地面を削りながら少し後退していた。

 

 (このハクメンをして後退させるとかスターライトブレイカーヤバすぎなんだが…)

 

 ソウタはその威力に少し引いた。

 

 (なに、これ)

 

 なのはがスターライトブレイカーを放とうとしたので避難したユーノは今の現状を観て白目をむいた。

 

 大樹の件の時やフェイトとの一戦の時に見せた大魔法。

 

 その威力を知ってるからか、ハクメンの防御力に言葉が出なかった。

 

 この魔法で決めきれないなんて思ってもいなかったのだ。

 

 周りの魔力素で放つ魔法なのでコストは安いが連発が出来ない。

 

 超威力な為当てるのも難しい。

 

 しかし、当たって仕舞えば確実に仕留められる魔法であり、それを使える素養があった為、なのはのフィニッシュブローだったのだ。

 

 それが、防がれている。

 

 今頃ハクメンの強さが自分の理解を超えた存在であると自覚し、急ぎなのはを連れて逃げようとした。

 

 

 なのはは恐怖した。

 

 自分の魔法が効いていない事に。

 

 今までジュエルシードやフェイトとの戦いで魔法が効かない事はあった。

 

 しかし、この砲撃魔法。スターライトブレイカーでは負けない自信があった。

 

 フェイトに勝ち、シロウに勝ち、暴走したジュエルシードも倒せた。

 

 この魔法は誰にも負けない。

 

 そんな自信があったのである。

 

 超威力の魔法を打ち続けて3分。

 

 なのはの魔力も足して放っていた砲撃は底が尽きた。

 

 耐え切ったハクメンを観てしまったなのはの自信は砕け、死の恐怖が湧き上がってきた。

 

 今までは非殺傷設定をあいても使っていたから自分も相手も誰も死なずにすんだ。

 

 しかし、ハクメンが使う武器に非殺傷設定などあるのか?

 

 あの化け物は何処かこの世界とは違う所から来た者ではないかと直感が告げていた。

 

 (このままじゃ…殺されちゃうっ)

 

 魔力切れの目眩と自尊心の崩壊、死の恐怖と合わさってユーノがたどり着く前に、なのはは泣いた。

 

 

 (…なんか、砲撃耐え切ったらなのはが泣いちゃったんだが…これは俺のせいなのか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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