年配の女性「あら?小鈴ちゃん。何か御用?」
霊夢に頼まれて、小鈴は小咲の家へとやって来たのだった
小鈴「こんにちは。実は小咲ちゃんに貸した本で間違いがありまして。交換に来たんです。」
小鈴はそういうと1冊の本を風呂敷から取り出すと年配の女性に見せた
年配の女性「あら、そうなのね?わざわざすみませんねぇ。」
小鈴「いえいえ、これも仕事ですから。」
小鈴は笑顔で答えて
年配の女性「それで、そちらはどちら様?」
年配の女性は小鈴の後ろにいる帽子を深く被った人物に目を向けて
小鈴「あ、この人は新しく雇うことになりまして。私の仕事を見たいというので見学を兼ねて連れて来たんです。」
???「…。」
ぺこりと頭を下げる
年配の女性「あぁ、そうなんですね。」
年配の女性は納得して
小鈴「小咲ちゃんは?」
年配の女性「小咲は今出かけてまして。帰って来るまで中で待ちますか?」
小鈴「あ、いえ。本を入れ替えたら帰ります。他にも行く所があるので。」
年配の女性「分かりました。どうぞ、上がって下さい。」
2人は年配の女性に言われて中へと入った
小鈴「上手くいきましたね。」
年配の女性が去ったのを確認してから小鈴は振り返った
小鈴「霊夢さん。」
霊夢「ヒヤヒヤしたけどね。」
霊夢は溜息をついて
〜数分前〜
小鈴「変装…ですか?」
霊夢「えぇ。小鈴ちゃんは簡単に入れてもらえるだろうけど、巫女である私が普通に行ったらおかしいでしょ?何かあったのかと思われるわ。」
小鈴「た、確かに…。」
小鈴は頷いて
霊夢「だから私は小鈴ちゃんの店で新しく雇われた人って事にするわ。」
小鈴「分かりました。ではエプロンを貸しますね。」
霊夢「あとは…服と帽子がいるわね。」
そうして変装した霊夢は小鈴と一緒に小咲の家へと入ったのだった…
小鈴「それにしても…。」
小鈴は霊夢を眺めて
霊夢「何よ?」
小鈴「いえ、何というか…。何か…格好いいですね。」
霊夢の格好はボーイッシュに帽子を被り、パッと見は男性だった。そして小鈴の店のエプロンが逆に目立っていた
霊夢「そう?私には似合わないけどね。さ、ちゃっちゃと済ませないと。」
霊夢は歩き始めて
小鈴「そんな事は…あ!待ってください!」
小鈴は慌ててついて行く
霊夢「この長い廊下の先なのね?」
小鈴「はい。1番奥の部屋が小咲ちゃんの部屋です。」
霊夢「…。」
2人は長い廊下を歩いていく
小鈴「あ…!」
小鈴が歩みを止めた
霊夢「何かあった?」
霊夢が振り向くと小鈴が1つの部屋の前で止まっていて
小鈴「この部屋…。後で入らせてもらえる約束だったんですが、小咲ちゃんの発作の事があって有耶無耶になっちゃったんですよ…。」
霊夢「何の部屋なの?」
小鈴「小咲ちゃんのお父さんが集めた沢山の本が置いてある部屋なんですよ!きっと貴重な本もある筈です!!」
小鈴は興奮していて
霊夢「小鈴ちゃんは本当に本が好きね。」
霊夢は苦笑して
霊夢「さ、小咲ちゃんの部屋に行くわよ。」
小鈴「あ、はい…。あ、そう言えば…。」
小鈴がハッとなって
霊夢「どうしたの?」
小鈴「どうして霊夢さんは小咲ちゃんをちゃん呼びしてるんですか?そんなに話してないですよね?」
霊夢「あ…。ごめん。小鈴ちゃんの友達って聞いてたからついちゃん付けしちゃってたわ。」
霊夢は頭をかいて
小鈴「ちゃんと小咲ちゃんに許可得て下さいね。」
霊夢「はいはい。」
霊夢は頷いて
小鈴「あ、着きました。」
廊下の1番奥。様々な花が描かれた襖の場所へと辿り着いた
霊夢「ここが小咲ちゃんの部屋…。」
小鈴「お邪魔します。」
小鈴は一言口にすると襖を開けて中に入る
霊夢「お、お邪魔します。」
霊夢も中に入った。中は沢山の本が床に積まれていて、恐らく小咲ちゃんが寝ているであろう布団の周りにも置いてあった
小鈴「で?何を探すんですか?」
霊夢「今回の異変の手がかりよ。」
霊夢は周りを見回して
小鈴「手がかり…ですか。」
霊夢「えぇ。小咲ちゃんは鬼と出会ってる。その事を日記とかに書いてたりしないかと思ってね。」
小鈴はなるほどと頷いて
霊夢「手分けして探しましょ。小鈴ちゃんはそっちをお願い。」
小鈴「はい。」
2人は部屋の中を調べていく
霊夢「ん?これは…?」
霊夢が何かを見つけて
小鈴「あぁ、それは小咲ちゃんが書いてる【幻想人物辞典】ですね。」
小鈴が後ろから覗いて
霊夢「幻想人物辞典?」
小鈴「はい。幻想郷にいる人間だけでなく妖怪の事も色々調べて辞典を作ってるんですよ。完成が楽しみなんです。」
首を傾げた霊夢に小鈴は説明して
霊夢「ふ〜ん…。」
霊夢は何枚か見ていって
霊夢「え…?」
1枚に目を止めた
小鈴「どうしました?」
小鈴が首を傾げて
霊夢「これって…魔理沙?」
そこには魔理沙だと思われるイラストと説明が書かれていて
小鈴「へぇ〜。小咲ちゃん、魔理沙さんのことも調べてたんですね。」
霊夢「…どういうこと…?」
霊夢は書かれてる内容に驚いて
霊夢「ねぇ、これはどんな風に書いてるって言ってた?」
小鈴「えっと…。自分で周りに聞いたり、噂を調べたり…。後は分からないところは予想で書いてるって小咲ちゃんは言ってましたけど。」
霊夢「予想?そんな訳ないわ。魔理沙の趣味はともかく。ここに書かれてる過去の事は私が昔聞いた通りだわ。本人じゃないと分からない内容まで…。まるで記憶を抜き取ったかの…ように…」
霊夢の表情が変わっていく
小鈴「霊夢さん?」
霊夢「…確定ね…。」
霊夢は小鈴に聞こえない小さな声で呟くと冷静な顔になり、立ち上がった
霊夢「小鈴ちゃん。ここにはもう用はないわ。」
小鈴「何か分かったんですか?」
霊夢「えぇ。」
小鈴「分かりました。」
2人は小咲の母親に挨拶すると家を後にした
小鈴「次は何処に行くんですか?」
霊夢「…。」
霊夢は無言で歩いて行く
小鈴「霊夢さん…?」
霊夢「…。」
霊夢は立ち止まると小鈴に振り返った
霊夢「小鈴ちゃん…。しっかりと聞いてね。」
小鈴「え?」
2人を小さな風が通り過ぎて行った