それと会見で海外について触れますがこの小説では深掘りしない予定です。
『では時間になりましたのでただ今より未確認生物についての会見を行います。』
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
司会役の男性がそう発言した途端、すざましい数のメディアのカメラのフラッシュが倉田総理大臣に向けられる。
「小森君。何もないとは思うけど万が一の時は頼むよ。」
「心配しすぎですよ、宮本隊長。あんなに打ち合わせをしたじゃないですか。」
「それでも念には念を入れるべきだ。」
おそらく全日本中、もしかしたら世界も注目しているであろうこの会見を調査隊になった僕は舞台裏で見ていた。
そもそも何故僕がこんな場所にいるのかと言うと、この会見は未確認生物ことポケモンの一種である『コダック』を記者達に見せるのだが、
宮本隊長曰く「世間にポケモンを見せるのはこれが初めてなのだ。この会見で一つでもトラブルがあれば世間にはポケモンと言う物は危ない物だと思われてしまうだろう。」との事なので、
会見前日に倉田総理大臣と『コダック』の生態から技を当日出しても大丈夫なのか、そしてポケモンの事を知っている僕の事をどれ程世間に公開していいか等の打ち合わせをして、会見当日は今みたいにすぐ近くで会見の様子を見れる様にしている訳なのだが、どうやら倉田総理大臣が記者達に向けてポケモンの説明を始めた様である。
「まず先日突如とこの日本中に現れた植物、果実、そして未確認生物の正体ですが現在召集する事が出来た専門家全員から話を受けた結果、現れた生き物や植物は『全て』国内でも海外でも1件の目撃例がない新種である事が判明いたしました。」
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
「またハンター協会の調査や一般市民が撮影した動画などから我々が未確認生物と呼んでいる存在は我々の知っている動物よりも遥かに高い身体能力、猟銃でも仕留めきれない程の耐久力を持ち、そして炎や雷や氷等を操る特殊能力を持っていると思われる事も判明いたしました。」
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
『嘘でしょ...森どころか町にだっているのに...。』
『特殊能力って...まさか全員じゃないだろうな?1部だけだよな?』
『ハンターでも対処出来てないって噂があるんだろ?』
『猟銃で倒せない...そんな...』
『これから一体どうなるんだよ......』
ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ
「皆さん!静粛に!静粛にお願いいたします!」
静かに倉田総理大臣の話を聞いていた記者達だがポケモンの技についての情報を聞いた途端に騒ぎ出した。おそらくポケモンの危険性を知ったからだろう。この事態を見かねた司会役の人がすぐに収めてくれたが、まだ完全に騒ぎは収まり切っていない様だ。
「今この日本は未知の植物や鉱物の出現、そして未確認生物によりかつて前例のない危機に襲われています。しかしそれを少しでも早く解決しようと様々な分野の専門家が私達に力を貸して下さいました。そして多くの人が知識を貸してくれた結果、遂に我々は未確認生物への対抗手段の開発に成功したのです!」
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
『未確認生物の対抗手段だって!?』
『それは一体何なんだ!』
『未確認生物が現れて一週間近くしか経ってないのに...早すぎないか?』
『対抗手段ってあんなのに通じる兵器があるのか?』
『銃でもなかなか倒せないんだろ?』
ここで倉田総理大臣が僕の正体は隠しつつ、未確認生物の対抗手段であるモンスターボールの話題を出すと再び会場が驚きの声で騒ぎ出したと同時に僕達も次に向けて準備を始めた。
「小森君。そろそろ倉田総理大臣がモンスターボールからポケモンを出す頃だ。頼むよ。」
「分かりました、任せて下さい。」
「皆さん、こちらのボールをご覧ください。これこそが我々が開発に成功した、未確認生物への対抗手段である『モンスターボール』です!」
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
『赤と白のボール?』
『子供のおもちゃみたいだな。』
『凄い小さいけどどう使うんだ?』
『こんなので未確認生物に対抗できるのか?』
「このモンスターボールは未確認生物へと投げて捕獲する事が出来る道具です。専門家によるとこの道具で捕獲に成功した未確認生物は私たちの仲間にする事が出来、そして今日この会場に仲間にする事が出来た未確認生物を連れて来ました!」
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
『こんな物で未確認生物を捕獲出来るとは思えないぞ。』
『というかそもそもこんな事知ってる専門家って誰だよ?』
『捕まえた未確認生物を仲間に出来るって?』
『仲間にした未確認生物を連れてきたって大臣は言ってたけど...』
『こんなの開発するなら自衛隊に金回せよ......』
ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ
倉田総理大臣からモンスターボールの実物を見て、そして使い方の説明を聞いた記者達は本当にこんなので未確認生物を捕獲できるのか怪しんでいたり、未確認生物を仲間に出来ると言う言葉を疑っていたり、何なら新しい兵器を開発した方がいいのではないかと言う声まであった。しかしそんな声は倉田総理大臣が次に取った行動で変わる事となる。
「では皆様改めてこちらのモンスターボールをご覧下さい。そしてこちらが未確認生物の一種である『コダック』であります!」ポン!
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、
(クワッ?コダァ?)キョロキョロ
『えええ!嘘でしょう!?』
『あんな小さいボールから未確認生物が出てきたぁ!?』
『CG...じゃない...嘘だろ!?』
『目の前で見ても信じられないぞ!』
ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、
(クワワッ?)ビクッ
「.........」
「皆さん!落ち着いて下さい!静粛にお願いします!静粛にお願いします!」
モンスターボールからコダックが出ると今日一番と言っていい程の騒ぎとカメラのフラッシュが起こり、もはや進行役の制止だけでは止まらない程になっていた。
「今日お越しの皆様。」
その様子を見ていた倉田総理大臣はなだめる様な声で一言報道の記者達に言い聞かせ、落ち着かせた後にこう言葉を発した。
「目の前で見てもまだ信じられないという人は確かにいるかもしれません。しかしこの『モンスターボール』という存在はこの日本中に現れた未確認生物を捕まえ、そして今後未確認生物と戦うために必要な我々の切り札なのです!」
『.........』
『.........』
『.........』
総理大臣の感情がこもった訴えに記者達は一言も言葉を発する事が出来なかった。何なら心の中では本当に今の状況をどうにか出来るのでは?と思ってる記者もいたぐらいである。
「そして皆様、今から話すことが最も重要な情報です。」
感情を込めてモンスターボールの必要性を訴えた総理大臣は一旦一息おいた後、真剣な顔でそう言った。またその言葉に先程の訴えに気圧されてた記者達も慌ててカメラやメモを取り始めた。
周りの記者達が落ち着いたのを確認した後、総理大臣は話し始めた。
「連日メディアで報道されている様に突如としてこの国には未知の植物や鉱物、そして未確認生物が現れました。また未確認生物は我々の知っていた動物や昆虫よりも遥かに大きく、また我々の知っていた生き物よりも遥かに高い身体能力を持ち、ましてや特殊能力を使う事が出来るなど、我々が幾年とかけて培った常識はこの数日であっという間に打ち砕かれたのです。」
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
『.........』
『.........』
『.........』
総理大臣が話したそれはこの会場にいる全員がこの数日で嫌でも思い知らされたことだった。それを噛み締めながら記者達は話の続きを聞く。
「ですが。そんな我々にも『モンスターボール』と言う我々の今までの常識では考えられなかった代物の開発に成功したのです。この事態に対抗できる手段はこの手にあるのです。」
倉田総理大臣は一度話を区切り改めて記者の方を向き深呼吸をした後、
「そして最後に我々は、全国各地のハンター協会との協力の元、未確認の植物や鉱物の調査、全国各地に現れた未確認生物の生態の調査、そして捕獲や戦闘を専門に行う『対未確認生物調査本部』を設立する事を決定いたしました!!!」
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
対ポケモンの専門組織であり後に調査隊と呼ばれる『対未確認生物調査本部』の設立を発表したのであった。
『以上で本日の会見は終了となります。準備が整った方から後方の出口よりご退場ください。』
『とんでもない内容だったな。』
『今でもまだ信じられないよ。』
『なに言ってるのよ二人とも。目の前で見た事でしょ!』
『そうですよ。早く帰ってニュースにまとめましょ。』
会見は終わったが、やはり記者達の大半の感想は信じられないと言ったものだった。そんな様子で驚きながらも急いで帰宅準備をしている記者達を余所目に僕達はある人に会いに行く。
コンコン、ガチャ
「失礼します、倉田総理大臣。小森君を連れて来ました。」
「失礼します。小森です。」
「二人ともお疲れ様。そこのテーブルに座りたまえ。」
会いに行く人物とは会見を終え会議室で休んでいる総理大臣であり、しかもどうやら総理大臣は僕たちに何か用件があるとの事らしいが...
「早速だけど君達に来てもらった用件なんだけど...その前に小森くん。今日の会見は君のおかげで成功したんだ、私達に力を貸してくれて本当にありがとう。そしてこのモンスターボールは君に返すよ。そう約束していたからね。」
「力になれたのなら良かったです。そして確かにこのコダックが入ったモンスターボールは受け取りました。今後もポケモンの事で困った事があったら呼んで下さい。また出来る限りで力になります。」
どうやら会見が終わるまでの条件で貸していたコダックを返しに来てくれた様だ。会見が終わってまだ少しの時間しか経っていないのにとても真面目な人だなと考えていると、
「それなら小森くん。早速で悪いのだが君にまたポケモンの事で頼みたい事がある。今時間は大丈夫かな?」
「はい、今は大丈夫ですが何のご用件でしょうか?」
「そうか、では今から話す事をしっかりと聞いていてくれ。」
僕の時間があるとわかった瞬間、会見の時と同じもしくはそれ以上の真剣な顔に変わったのでただ事ではないと思い真剣に話を聞くことにした。
「まず私達は未確認生物が出現したにあたって各都道府県にあったハンター協会の施設と人材を使って緊急でこの調査本部を立ち上げた訳なのだが、当然私達は未確認生物の事を知らない、いや知らなすぎる。そして会見で紹介したモンスターボールの事だって私は全て知っている訳ではない。だが小森くん、君は違う。君は私達よりも多くの未確認生物についての事を知っていた、そしてこのモンスターボールの事も知っていた。」
「そんな君だからこそ改めて頼みたい。この国に住む私達は未確認生物の事をまるで知らない。だから君がそんな私達にポケモンの知識を教える博士になってくれないか?小森くん。」
「博士......ですか?ですがもしそれを受けるとして一体何をすればよろしいのでしょうか?後、調査隊に入るという話はどうなるのですか?」
博士になって欲しいという総理大臣直々の頼みだが、いや具体的に何をすればいいのか分からないのと、これは二つ返事で受けていい内容じゃないと感じたのでこう質問すると、
「まず調査隊についてだが、君は東京に設立する予定の調査隊に入って宮本君やその部下と一緒にポケモンについて調べてもらう。これは博士になる事を断ったとしても変わりません。」
「では博士になった場合はどうなるのですか?」
話を聞いて浮かんだ疑問を聞いて見ると、
「まず調査隊は東京だけじゃなく他の都道府県にも作る予定なのだが、この国でポケモンの事に関わる物を知っているのは君だけと言っても過言でもない。そこで君が元々持っている情報、そして調査隊員達が調査で新しく手に入れた情報を集めて、全国の調査隊という施設の質を上げる、調査隊員の調査を楽にするのが博士の主な仕事です。」
「なるほど、博士になったらする仕事については大体分かりました。」
僕の返事をよそに大臣は話を続ける。
「本音をいうと、こういう仕事は生物学や植物学等の専門家がやるべき事だと思っているんだ。だが改めて言わせてもらうが、ポケモンの事を詳しく知っているのは現状では君しかいない。それを踏まえた上で聞くよ、小森くん。」
倉田総理大臣は一息置いた後に僕の方を向き、
「私達に君の力を貸してくれないか?」
そう僕に告げたが、その質問への答えはもう決まっていた。
「分かりました。僕で良ければ今持っている知識全てを使ってポケモンの博士と言う仕事を全うします。ですが、1つお願いがあります。博士の仕事と同時に調査隊の仕事も出来る様にしてくれませんか?」
「話の途中で割り込むようですまない。小森くんもしかして調査隊の仕事もする気なのかい?それは確かにありがたいが、君の体の負担にならないのかね?」
博士になると同時に、調査隊の1人になるという答えに待ったをかけたのは、宮本隊長だった。真っ当かつ正しい意見なのだが、無理をしなければ僕の目的は達成できないのは嫌でも分かっているので、申し訳ないと心の中で思いつつも、質問に答えた。
「大丈夫ですよ、宮本隊長。それに僕もポケモンの事を完璧に知ってる訳じゃないんですから現地に行ってポケモンについて調べる必要がありますし、それに何よりも他の皆さんが命をかけるのに僕だけが安全な場所にいるのは嫌なんです。」
「......分かった。君がそこまでいうなら私からはもう何も言わないよ。だけど君の代わりはいないんだから体調にはくれぐれも気を付けて、分かったね?」
どうやら渋々ながらも僕の答えに納得してくれたようだ。
「二人とも、話は終わりましたか?」
様子を見ていた倉田総理大臣が話の頃合いを見てそう2人に質問を問いかけた後。
「はい。しっかりと話終えました。」
「こちらの用件は終わらせました。倉田総理大臣。ですがまだ何かお話が?」
「そうだね。最後に一言だけ話そうかと。」
そう言うと総理大臣は話を始めた。
「改めて、この世界に未確認生物が現れてから一週間がたった訳だが、正直に言って私達は情けない事に全く未確認生物に対処が出来なかった。そして小森君。君のおかげでモンスターボールを作る事が出来、調査隊を結成する事が出来たが、君がもし居なかったらと思うとぞっとするよ。本当に助けてくれてありがとう。」
そう言って倉田さんは机に座りながらも深々とお礼をする。
「い、いえ、顔を上げて下さい!人を助けるのは当たり前の事ですから!」
突然頭を下げられた事に驚き、僕は慌てて返答をする。
「そうだね、君には本当に助けられた。そしてすまないが私達はこれからも君に助けて貰う事になる。先程会見で未確認生物の調査隊を結成したと発表したが、全国の調査隊の中で専門的な知識を持っている者は実質君一人だと言っていい。」
何度も聞いた事だが、ポケモンの事を知っているのが僕だけだと思うと失敗出来ないと言う気持ちになる。
「そして小森くん。君はそんな中で博士としてやっていくと決めた以上、間違いなくポケモンについての知識を必要とされ、途方もない苦労をするでしょう。ですが不安になる必要はありません。あなたの近くには頼りになる仲間がいます。きっとあなたが必要だと感じた事には力を貸してくれます。」
「いいですか、小森くん。君は決して一人ではないのです。」
一息置いた後に倉田さんはぼくに向かってそう言った。
「ふぅ。今日は何だかどっと疲れた気がする......。」
「今日はお疲れ、小森君。調査隊として活動するのはもう少し後だから今日はしっかり休みたまえ。」
「そうですね。間違いなくこれから忙しくなりますし遠慮なく休ませてもらいます。」
「それと小森君。自宅に帰っている途中で申し訳ないのだが、実は君に任せたい仕事が来てるんだ。」
「いくら何でも早すぎませんか?宮本さん。」
日本中が注目していたであろう会見(といっても僕は何もしてないのだが。)、日本の総理大臣との話し合いを終えた僕は凄く精神的に疲れたので、一直線に家への道を歩いていると付き添いの宮本さんがいきなり仕事の事を話し始めた。
「実は新しく調査隊を結成する事は事前に関係者には伝えていたんだ。」
「まぁ、そうですね。1日で新しい組織を設立出来るとは思えませんし。」
「それで調査隊を問題なく動かすには何が必要なのかを相談した結果、いろいろ問題はあれどやはりモンスターボールの使い方を最優先に覚える事が重要との結果に至った訳だ。」
「そしてこれは調査隊が始まり次第君に頼みたい仕事なのだが。」
「モンスターボールについてのマニュアルを大至急作成して欲しい。」
その言葉を聞いた後、僕は自宅に帰って行った。
今回の補足
①返してもらったコダックは4話で捕まえた時と変化は一切ない。
②調査隊はハンター協会の人材や施設を使って結成される。
③調査隊はポケモンだけでなく未知の鉱物や植物についても調べる。
④主人公の小森は博士と調査隊の両方をやることを決めたがその比率は調査隊の方が多い。
次回はそのまま調査隊の初仕事に入るか、会見までの一般人の反応集のどちらかをやる予定です。
のんびり待ってくれるとありがたいです。