凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法   作:けっぺん

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祝祭の閉幕、それでも勇者たちの旅は続く

 

 

 熱中している間に、何もかもが済んだ。そんな感覚だった。

 通り過ぎてしまえばあっという間。

 一時間にも満たない見せかけの戦いは歓声の中、“正義の勝利”で幕を閉じた。

 

 人形たちだけならばともかく、やはりあの巨大ゴーレムはやりすぎだと思ったが。

 普通のそれと比べて何十倍もあるかぼちゃを被った、がらくたで構成された巨人。

 出るとは分かっていたものの初めて目にした時は呆気に取られた。

 腕の一薙ぎで家屋を吹き飛ばしてしまわんほどの巨人は、三人の戦士によって派手に爆散した。

 遠慮なく破壊して良いと伝えられてはいたが……本当に良かったのだろうか。一朝一夕で完成するようなものには見えなかったが……。

 

「俺たちはいつかまたきっと、この町に戻ってくる!」

「また会いましょう、みんな!」

「さようなら! ありがとう、ブレイブバスター!」

 

 巨大ゴーレムに捕まっていた司会進行ことナディアをはじめとした声に見送られ、僕たちは屋根を跳んで退場する。

 あとはフレアの出番のみ。これで僕たちは、役目を終えたと言える。ちなみに戻ってくる予定は今のところない。

 そのままやってきたのは、妖精たちの拠点である酒場。

 人目のない路地に立つそこに入れば、既にベルとコッペリア、そして撤退するかたちで舞台を下りたティバリーが戻ってきていた。

 二人ももう殆ど仕事はないようで、僕たちが舞台に上がる前よりもリラックスしている。

 

「よう、お疲れ。パーフェクトだったぞ、お三方」

 

 人々の歓声から、ある程度かれらに満足のいく結果は出せた実感がある。

 とはいえ、自分のそれがどうだったかを振り返ることはできない。

 共に同じ物語を完成させたベルの本心からの言葉を聞いて、ようやく安心感が生まれた。ああ……演技の時間は終わったのだと。

 

「うん――ところで、コッペリアはどうしたの?」

「お前らの演技で限界を感じたんだとさ。人形たちの操作に支障はないから気にしないのをすすめるぜ」

 

 何やら安らかな笑みを浮かべて倒れているコッペリア。

 ……限界を感じるとやはり異常を来たすのか。どこかで覚えのある現象が“彼女”に限った話ではないことが意外だった。

 そんな状況でも指がぴくぴく動いているのがなんだか不気味だった。

 コッペリアから距離を置きつつ、クイールと同時に魔法を解く。

 

「……」

「……」

「……? な、なに? 二人とも」

 

 そして、リッカとクイールから同時に向けられる視線に気圧された。

 

「いえ……僕って本当にあんなんだったかなって」

「……ユーリの教育に悪そうだから離れて」

「リッカちゃん!?」

「教育って」

 

 やはり無理のある演技だったかもしれない。

 クイールを参考に自信を持って、勇者らしさを前に出したのだが……うん、僕らしくないことは間違いない。

 演技の経験なんてこれっきりだろうし、二度とこういう反応を向けられることがないのが救いだろうか。

 “やらかした”ことを自覚した気恥ずかしさが後から膨らんでくる。

 もう少し大人しくすればよかったという後悔と、やれるだけのことはやりきったという不思議な満足感。

 どちらに感情を傾ければいいのか、どうにも分からなかった。

 

「まあ、あのキャラ付けは割と驚いたが役には合ってたぜ」

「ん。正義の戦士とはかくあるべし、なのです」

「……」

 

 その善意からの評価が妙に痛い。

 耳まで熱くなっていることを自覚しつつも、空いている席に腰掛ける。

 隣に座ったリッカが回復の魔法をかけてくるのがとても複雑だった。

 

「リッカ、僕なんともないから……」

「……風邪?」

「なんともないから!」

 

 二度とそういう演技はすまい、と心に決めた。

 冗談ならばまだしも、リッカが本気で心配しているのがただただ恥ずかしさを煽る。

 あと、クイールの微妙に納得のいかなさそうな視線も同じくらい深く心を抉ってきている。

 

「とにかく。これで死者たちも満足して町を去れるのです。良きかな、良きかな」

「……そういえば、祭りの最終日なんだっけ」

「はい。この町にとっては当たり前のこと。だから悲しむ暇があれば来年を楽しみにするのです」

 

 この数日間、ずっと目にしていたかぼちゃ頭の者たちは、明日になればいなくなる。

 そうした祭りの在り方、この町の形に僕が何を思っても、それはこの町の価値観とは異なるものなのだろう。

 もう会えない者と当たり前のように会えるこの町の人々を羨ましいと思う一方で、やはり不気味に思う自分もいる。

 死んだ人とはもう会えないというのは、この町の外にとって……僕にとっても当たり前なのだ。

 

「……ところで、結局キミは一体……」

「私はハローネ憑きの妖精。この祭りの象徴として生まれたジャックランタン。祭りのはじめに死者にかぼちゃを配り、祭りのおわりに生者にお菓子を配るのです」

 

 ……答えになったような、なっていないような。

 結局、彼女がどうして七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)に力を貸しているのかははっきりとしない。

 そもそも、深い理由なんてないのかもしれない。

 彼女たちは変わり者ではあるが、自由な妖精なのだから。

 

「というわけで私はそろそろ行きます。あなたたちにも……進呈」

「……ありがとう。ナディアの分も、もらっていい?」

「特別なのです。あの子は普通の死者と、ちょっと違うみたいなので」

 

 祭りにおけるティバリーという妖精の最後の役目。

 小さな袋に包まれたお菓子を、ナディアの分も受け取る。あとで彼女に渡しておこう。

 

 

 

 翌朝、やはり見違えてすっきりとした町を出るまで、フレアたちとは一緒だった。

 かぼちゃは付けていないけれど、その分、人に見つからないようなルートで町から離れる。

 妖精たちと共にいれば、共演していた僕たちの正体も何となく察しが付くだろうという、彼女たちなりの気遣いらしい。

 ……この町に来たとき、ナディアの関係で目立っていたから、さほど意味は成していないかもしれないが。

 

「改めて、ありがとな四人とも! おかげで最っ高のショーができた!」

「こちらこそ。貴重な経験でした。……まあ、二度目はちょっとなって思いますけど」

「んん……それは残念だ。気が変わったらいつでも歓迎するぞ!」

 

 ある意味では、その経験は貴重に過ぎたものだった。

 妖精と共演する舞台なんて、これまでどんな勇者でもやったことはなかっただろうから。

 

「それじゃあ、約束のやつな!」

「うん――ありがとう」

 

 ベルからフレアへ、そしてフレアから僕に手渡される形で、鳥の魔道具が譲られる。

 やはり、見た目だけではいまいち用途が分からない。

 現状、これを何となくでも分かるのは、僕たちの中ではリッカだけだ。

 

「使い方は……自分から説明しなくてもいいか? そっちの嬢ちゃんから聞いた方が信用できるだろ」

「……」

 

 リッカがある程度の解析を済ませていることを、ベルもまた察していたらしい。

 ベルの言葉に対し、リッカは頷かない。しかし否定することもなかった。

 

「――ユーリ。そっちの方に向かってそれを起動して。テントの時と、同じ感じ」

「テント……? わかった――」

 

 その魔道具の規模に合った一定の位置を意識して、魔力を注ぐ。

 テントよりも、要求される規模は少し大きい。

 理解して、問題のない位置を指定し魔道具を起動すれば、瞳を輝かせた鳥は羽ばたくこともなく飛び立ち、指定した場所に移動していく。

 そして注いだ魔力で内部の炉心が起こされ、増幅された魔力が全体を巡ってその存在を拡張させていく。

 確かに、テントと同じだ。

 本来の姿が持ち運びに適さないため、縮小されていた状態が、今までの姿。

 

「……っ」

「おぉー……」

「ヒヒ、ビンゴ。勇者なら問題なく起動できるか」

 

 起動した本来の姿を見れば、ただの置物でないことくらいは分かる。

 いくらか姿を変えた大型の鳥は、その背に椅子、尾の部分にテントの如く内部への扉を有していた。

 仰々しい見た目だが、これは必要な機能を一通り備えた――

 

「キャンプ用の魔道具……?」

「キャンプ用品に『光翼ゼクセリオン』なんて名付ける輩がいるとは思いたくありませんね……」

 

 ナディアの指摘はもっともだった。

 これまで見てきたどんな魔道具よりも奇抜な姿かたちをしたこれが、それで終わりとは考えにくい。

 何せリッカが、魔族への協力を受け入れるくらいなのだ。

 旅に役立つというその翼に、僕の見立てを上回る機能があることは想像に難くない。

 

「リッカ、これって……」

「キャンプとしての機能もある。けど、それ以上に……これは、勇者を乗せて空を飛ぶ翼」

「空を、飛ぶ……?」

 

 僕たちの魔法の力で、翼を展開して飛行することは可能だ。

 だが、それはあくまで戦闘の補助としての飛行。

 リッカが言っているのは、移動用途としての飛行。

 つまり、離れた場所へ辿り着くために、空という道を選べるようになるというもの――?

 

「リッカちゃん。それって僕たち全員がこれに乗って、遠くに行ける乗り物ってことですか?」

「……そう。勇者が御者(ライダー)になって、仲間を連れて移動するための魔道具」

「……こんなもの、何処で手に入れたんですの?」

「言っただろ。ちょっとした冒険で拾ったって」

 

 その魔道具は、明らかに“ちょっとした冒険”で手に入るような代物ではなかった。

 空を飛ぶ――それだけで、本来人間には遠い技術なのだ。

 仲間を含めてそれを叶える手段。使用者が勇者に限定された魔道具であれば、用途は違えど聖剣にも匹敵する勇者の支えとなり得る。

 

「――本当にいいの?」

「いいんだよ! あたしたちじゃ使えないんだし、勇者が持ってて役に立つならそうした方がいいに決まってるからさ」

 

 たった一夜のショー。

 僕たちからすれば“それだけ”のものではあるが、彼女たちにとっては大切な公演。

 その成功が、これほどの魔道具の譲渡と――僕たちへの信頼に繋がったのであれば何よりだ。

 リッカにとっては、何を感じるものでもない。

 しかし、少なくとも僕は彼女たちの信頼を、そしてその応援を、嬉しく思った。

 

「早速飛んでみましょうよ! 僕! 僕やってみたいです!」

「い、いいけど……リッカ、どうやるの?」

「……まず座って。そこにある調整機器に意識を――」

「えっと……こうですか?」

 

 目を輝かせるクイールに最初の稼働を譲る。

 珍しく、リッカの教え方も丁寧だった。恐らく、空を飛ぶうえで自分たちの命を任せることになるからだろうが。

 クイールとリッカだけが先にゼクセリオンの上に乗り、リッカから教授を受ける。

 ここからでは具体的に何をしているかが分からない――と思っていれば、何食わぬ顔でリッカが飛び降りてきた次の瞬間、『勇者の翼』は唸りを上げてあらぬ方向へとかっ飛んだ。

 

「きゃああぁぁああぁぁあぁぁぁ――――ッ!?」

「加減を間違えるとこうなる。セーフティを設定した方がいいかも」

「そろそろリッカがどんな人物か分かってきました」

「……リッカ、もうちょっと安全に教えてもらえる? クイールにも」

「……ん。ユーリがそう言うなら」

 

 悲鳴を上げながら飛んでいったクイールを追いかける形で、ハローネの町から離れていく。

 そんな慌ただしい僕たちの出立を、妖精たちは手を振りつつ見送ってくれた。




『ベル』
【属性】土
【攻撃力】■
【防御力】■
【素早さ】■
【魔 力】■■■■■
【精神力】■■■■■

【種族】グレムリン種
機械弄りの妖精グレムリンは、とにかく魔道具の扱いに長けている。
魔法を紡ぐ、魔法を解析する、どちらにおいても高い技量を持つが、かれらが前者に興味を持つことはほとんどない。
グレムリンが好むのは魔道具、さらにはそれが発展した魔法機械だ。
かつてネシュア近隣に多く生息していたが、今では妖精の中でも発見しにくい種といえる。
かれらが興味を持つほどの技術が少なくなったためだ。

【『鉄屑城主』ベル】
七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)の技術屋であるベルは、計画性に乏しいメンバーたちの生命線のようなものだった。
ただし金銭にがめついところがあり、フレアたちの知らないところで稼ぎに出ていることもしばしば。
町全域を使ったショーにおいて、ベルの技術は無くてはならないものである。
その繊細な仕込みと操作の手腕あってこそ、人々を本当に楽しませられるとフレアは語る。
本領はゴーレムであるらしい。ショーの終盤はベルの操る巨大ゴーレムとフレアバスターの戦いであることが多い。
ゴーレムの多彩な武装は毎度観客の楽しみになっているようだ。

【ユーリの評価】
「町にあんなゴーレム持ち込むのはやり過ぎだと思う」

【クイールの評価】
「町にあんなゴーレム持ち込むのはやり過ぎだと思います」



『シェリー』
【属性】水
【攻撃力】■
【防御力】■
【素早さ】■
【魔 力】■
【精神力】■■

【種族】リャナンシー種
リャナンシーは人間とよく関わる種族ではあるが、同時に人間に殆ど知られていない。
彼女たちを認識することが出来る人間は、彼女たちに魅入られた者のみ。
それ以外の人間は見ることも、言葉を聞くことも出来ない。彼女たちの魔力を感じることも出来ない。
そして、気に入った相手一人に執着し、幸福を与える代わりにその命を吸っていくという。
これは真摯な契約によるもの。たとえばリャナンシーの側が空回りし、相手に喜んでもらえなかった場合はリャナンシーの側も得るものはない。
人間に与える幸福は、恋愛感情に関わるものが多い。
その方向性による幸福がリャナンシーにとって最も誇りあるものであるようで、彼女たちは自分たちを恋の妖精と称する。

【『恋招き』シェリー】
シェリーは七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)の一員として数えられる妖精である。
良くも悪くも妖精らしい感性を有するようで、自由気まま。その興味次第で善にも悪にもなる。
リャナンシーの例に漏れず、人間の恋模様が大好きだが、契約を介さず単なる興味でその恋を唆すことも多い。
シェリーはかつて、とある出来事で悟ったらしい。
成就させた恋が短く終わるよりも、先に先にと、長く続いた方が美しくなるのだと。

【キャプテン・フレアの評価】
「あれ? シェリーどこ行ったんだ? あいつ……本当自由だな」

【ベルの評価】
「今に始まったことじゃない。妖精らしい妖精っつうことだろ」



『ティバリー』
【属性】火
【攻撃力】■■■■
【防御力】■■
【素早さ】■■■■■■
【魔 力】■■■■■
【精神力】■■■

【種族】ジャックランタン種
ハローネの町において一年に一度開かれる祭り。
その七日間のみ姿を現すという、かぼちゃの妖精がジャックランタンである。
他に同種のいない固有種と見られ、祭りを象徴する存在。
妖精が自然現象の化身であるならば、ジャックランタンの発生はこの祭り――死者が蘇り生者とひと時を共にするという催しが自然の一端として認識されていることを意味する。

【『祭り金風』ティバリー】
妖精らしく自由気ままでいたずら好きというような性質は、ティバリーには見られない。
祭りの象徴として彼女は祭りが正常に運営され、正常に幕を閉じることを望む。
その性質から祭りを締めくくる七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)のショーにも積極的に出演し、彼女たちからはこの町限定のメンバーと見なされている。
祭りのはじまりに死者たちに面を隠すかぼちゃを配り、祭りの終わりに生者たちにお菓子を配る。
前者はともかく、後者は純然たるティバリーの趣味であるらしい。そのお菓子は前夜にティバリーが徹夜で用意する手作りなんだとか。

【ユーリの評価】
「美味しかったな……あのお菓子」

【ナディアの評価】
「というか、何故わたくしにまで……?」



『キャプテン・フレア』
【属性】火
【攻撃力】■■
【防御力】■■■
【素早さ】■■
【魔 力】■■
【精神力】■

【種族】レッドキャップ種
レッドキャップは妖精の一種であり、その成り立ちはゴブリンに関係があるとされる。
食糧さえあればどこでも棲み処に出来る適応力の高さがある点はゴブリンと似ているものの、個体数は少なく人間が出会うことは滅多にない。
知能が高く、言葉も解する。道具を使う文化もあり、他の種族と交流も積極的にするため、万一出会ってしまった場合の危険性はゴブリンより遥かに高い。
とはいえ、個々の能力は高い訳ではない。
種族の最大の特徴ともいえる赤い被り物は、成人の儀で自身が用意する自分だけのもの。
獲物の血で染まった……とまことしやかに囁かれるが、はじめからこの色である。
被り物とは必ずしも帽子である必要はない。重視されるのは個性らしい。

【『極熱★戦士』キャプテン・フレア】
ある時、そのレッドキャップの少女はありもしない世界を空想した。
その物語を誰かと共に楽しみたいと思ったのが、彼女の旅のはじまりである。
七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)は誰もが、大なり小なり彼女の物語を共に演じても良いと思っている。彼女の純粋さという魅力なのだろう。
偶然の結果であるのだが、彼女の必殺技『極熱バーニングフレアストライク』は百代目勇者ユーリに影響を与えることになった。
彼女自身もまた、勇者たちに影響を受け、かれらが世界を変えることを応援しながら旅を続ける。
いつか生きてかれらと再会し、またショーで共演することを夢見て。

【ユーリの評価】
「町の人たち、みんな楽しんでたな……」

【リッカの評価】
「……結局、こいつら何だったの……」

    の評価】
「あやつらの演劇は好い。常に余の手繰れぬ物語を紡いでくれる貴い妖精どもよ」
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