凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法   作:けっぺん

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冥界編は本話までとなります。
後書きには冥界編で登場した新規外装や魔族のデータ。本文より文字数多いです。


冥界色のエンゲージリング(24)

 

 

「みんな、本当にお騒がせしました」

 

 戦いが終わり、静かになった冥界。

 まだ木々の陰からアルラウネたちが覗き込んでいる気配こそあるが――そんな中で、カルラは僕たちに頭を下げた。

 決して今回の一件は、カルラのせいではない。謝る必要なんてないと、この場の誰もが思っている。

 

「……騒ぎにも限度がある。今更こんなくだらないことで死ぬなんて、笑い話にもならない」

「カルラの呼び込むトラブルには慣れてるつもりだったけど……うん、リッカの言う通りかも」

「は? だからこうして謝ってるんじゃないですか。なんですかユーリまで便乗して。気にしてないって言って丸く収めるところでしょうが」

 

 ――まあ、そうだと分かっていても、僕たちのやり取りはこうなる訳だが。

 三人揃えば、あっという間に“いつも通り”になる。

 それは僕たちにとって、何よりも心地いい“当たり前”だった。

 

「……ユーリくんたち、三人だといつもこうなんですかね?」

「さあね。まあ、ようやく片付いたんだ。少しくらい気を抜いても良いだろうさ……ところでクイール、キミ、あの力を使った後の反動、そろそろどうにかならないかい?」

「あんなの慣れる訳ないじゃないですか……」

 

 負い目があるからといって責められれば反撃せずにはいられないのがカルラの性格である。

 昔はリッカもそうだった。というか、カルラのそれは口が達者だったリッカに影響されたものだが。

 今回については――今回についても――僕は“巻き込まれた”側であるわけで、カルラの味方をするつもりもなく。

 その気になればいつまでも続けていられるような、毒にも薬にもならない言い合いは、呆れ顔のラフィーナが止めに来るまで続くことになった。

 

「その辺にしときなさいよ、見苦しい。これでやること終わったんでしょ? なら、こんな場所にいる必要もないわ」

「まあ……ラフィーナの言う通りかな。今回はカルラの負けってことで」

「やっぱりここでぶっ飛ばしときましょうか。ユーリ、今のわたし舐めてますよね。冥界パワー見せつけてやりましょう、ね、リッカ」

「いや、どう考えても私がカルラの方につく流れじゃないから」

「ああもう、うっさい! いい加減にしろ三馬鹿!」

 

 ラフィーナの剣幕に、仕方なしとばかりに僕たちは言い合いを終える。

 確かに、このままずっと続けている訳にもいくまい。僕たちの旅はまだ終わってはいないのだ。

 いつまでも冥界にいるというのも、縁起が良くないだろう。生きている者は基本的に冥界にいるべきではない――それは、当然のことなのだ。

 

「それで……わたくしたちは出られるのですか?」

「ええ、出られますよ。わざわざ入った場所から……なんて手間も取らせません。みんな揃って、聖都に送り返しましょう」

 

 入った場所――あの洞穴で、早々に虫たちが襲い掛かってくる可能性がなくなったことに、ひとまず安堵して。

 カルラの言葉の違和感に気付いたのは、その後だった。

 

「……カルラは?」

「わたしは、ここに残ります」

「――――――――え?」

 

 絞り出すような声は、リッカから。僕はどうにか、声を零さずに済んだ。

 先程まで、どうでもいい言い合いをしていたカルラの、心からの信頼が伝わってきていたから。

 だからと言って何も返すことが出来ず、やれやれと肩を竦めるカルラを、僕たちはただ呆けて見ていた。

 

「ちょっとの間、この領域は混乱が続くはずです。それが収まるまでは、ここにいないと」

「そん、な――だ、だからって、カルラが残る必要なんて……」

「あるんですよ、リッカ。お母様を倒すためとはいえ、玉座を奪っちゃいましたからね。お母様が周知しても、“この領域”にわたしが馴染むまで、時間が掛かります。それが完了するまでは、多分、ここを離れることは出来ません」

「し――しらない。そんなの、知らないっ」

 

 声を荒げて詰め寄るリッカに、カルラは苦笑するばかり。

 その必死さに躊躇いが生まれつつも、それでも決心が揺らぐことはない。

 

「わ、私が、あんなことしたから……? それなら――」

「リッカ」

「も……もう、あんなこと、しないっ。憎いと思うなら……っ、わ……私にも、お、同じ、こと……!」

「リッカっ」

 

 ――カルラは、リッカにとって、心の支えだった。

 僕が何も知らなかった、旅の始まりの頃から、ずっと“一緒”にいて。

 カルラの存在が、リッカの崩れそうになる心を幾度となく繋ぎ止めてきた。

 カルラもそれは自覚している。自分が、リッカにとってなくてはならない存在だと、分かっている。

 それを知っていて、なおもカルラは選んだのだ。何よりも確実に、僕たちがここを出られる選択肢を。

 

「リッカ。リッカはもう、わたしがいなくても大丈夫。どんな時だって、ユーリがついています。ね、ユーリ」

「――――うん」

 

 リッカの手を取る。押し潰されそうな不安と罪悪感が、少しだけ収まった。

 

「ユー、リ」

「リッカ。カルラは僕たちと同じだよ。一度こうと決めたら、頑なに曲げようとしない。こうなるって分かっていて、なおもカルラはやったんだ」

「け、けど、ユーリ――」

「二度と会えないって訳じゃない。でしょ、カルラ?」

「ええ。すぐに片付けますよ。だって、全部が終わった後、わたし一人だけ離れ離れとか普通に嫌ですもん」

 

 おどけて見せるカルラには、出来るだけリッカを悲しませまいという意思が見られた。

 これでお別れではない。もしもそうだったら、僕だって認めない。

 カルラはいつも通りの気楽な様子で、僕たち二人を抱き寄せて、僕たち以外には聞こえない程度の声で言う。

 

「わたしは、リッカを恨んでなんかいません。リッカが受けた理不尽への復讐を、共有できたんですから」

 

 きっとそれは、他の誰も共感できない価値観かもしれない。

 けれど、それがカルラの答えだった。

 はじめからカルラは、リッカの選んだ道――自身を巻き込んだ手段について、一切の憎悪を抱いていない。

 リッカの力になれるのならばと、支えて、背中を押す。カルラはずっとそうして、リッカの理解者として在り続けた。

 

「きっともうすぐ、ユーリたちの旅も終わります。それまでに、わたしもこっちの仕事を片付けますから――そうしたら、また村で、三人で暮らしましょう」

「……ん」

「よしっ。約束です。だから……負けちゃ駄目ですよ、ユーリ、リッカ。二人が辿り着く、ハッピーエンドの向こう……わたしもきっと、連れていってください」

 

 もちろん――と言おうとして、言葉は出なかった。

 

「――――――――」

 

 それよりも先に、カルラがリッカへと顔を近付けて。

 リッカが何をする前に、唇をそっと合わせた。

 

「――――――――ぇ」

 

 数秒、そのままで、呆然とするリッカから離れたカルラは、そのまま僕にも顔を近付ける。

 カルラの奇行など今に始まったことではないけれど。

 それはあまりにも唐突なもので。

 

「ん……っ、ぁ」

 

 カルラの体温が、唇を通して伝わってくる。

 ほんの僅か、舌と舌が触れ合って、何が起きたか整理がつかない間に、カルラは離れていく。

 

「……――――な、っ、か、カルラ、なにを……!」

 

 先に再起動したのはリッカだった。

 悪ふざけにしても現実感がなくて、感触が残っているかのように錯覚している唇に、思わず指を添えていると、耐えられないとばかりにカルラが吹き出した。

 

「ふっ、あはははは……! なんですか二人とも! そんな反応することないじゃないですかっ! あはは、ユーリのリアクション、馬鹿っぽい……!」

「い、いや、カルラがいきなり変なことするから……!」

「変なこと――変なことって! 子供じゃないんですから……! ――あぁ、おかしい……!」

「ま、待って、カルラ、説明して……!」

「――簡単なことですよ。お見送りする時は、こうやって送り出すものなんです。それから――きっと、お守りにもなるはずです。負けないぞって気持ち、湧いてきたでしょう?」

 

 リッカと顔を見合わせて、()()()()()()にキスをされたということが何を意味するのかを意識して、何とも言い難い微妙な気持ちになる。

 リッカも同じことを思ったのか、ばつが悪そうに顔を逸らす。

 そんな気まずささえ面白がるカルラに恨み節の一つでもぶつけたくなったが……それは、次の機会にしておこう。

 そう、これが最後ではない。きっとすぐに、再会できるだろうから。

 

「それじゃあ、ラフィーナ、ナディア、クイール、イリスティーラ。二人を、よろしくお願いします」

 

 一部始終を見て、それぞれ別の表情を浮かべた四人に、カルラは微笑む。

 その頃には、すっかりリッカの不安も消えて――カルラとの再会は、新しい希望になっていた。

 

「ユーリを頼みますね、リッカ」

「うん、任せて、カルラ。ユーリは何があっても、死なせない。ここには来させないから」

「別に死ぬ気はないけど……まあ、いいや。じゃあ、カルラ……」

「ええ――いってらっしゃい、二人とも」

 

 カルラの微笑みに、僕たちは合わせて返す。

 旅立つ時は、言えない言葉だったから、この終わりに近くなった状況で、僕たちは初めて言うことができた。

 

 ――――いってきます、と。

 

 


 

 

 乾いた冷たい世界で、ひたりひたりと足下から聞こえる音が心地よかった。

 自らの狭く、広い世界を歩いて眺め、こんなにも寂しいものだったのかと、今更ながらに感慨を覚える。

 何もない。ただ、あるのは死者に対する安寧だけだ。

 迎え入れた、生を全うした者たち。

 それらに対して、幾ばくか、妨げられない眠りを――休息を与える。満足いくまで休んだ魂は、やがて世界へと還り、新たなる生命となる。

 無論、冥界とはそれだけを意義とする訳ではない。

 この領域のそれは、余の原点たる本来のネルガルが定義した在り方を受け継いだだけのもの。

 安寧の前に裁定を下す領域もあれば、効率的な魂の還元のために奉仕が義務付けられている領域もある。

 そんな働き者な同胞たちの領域に比べればここは有情な方だと思ってはいるが……やはり何もないというのは寂しいもの。

 

 なるほど、退屈するわけだ。

 昔から怠惰だった。退屈を嫌うくせに、自らそれを改善しようと考えなかった。やろうと思えば、色々なことが出来ただろうに。

 今回も、機会があったからと便乗しただけ。それでは退屈など、いつまで経っても晴れよう筈がない。

 まったく……千年以上気付きもしなかったことを、玉座を娘に奪われてから一時間と経たずに悟るとは。

 

「だが……それもここまでか」

 

 この領域は変わるだろう。

 あの変わり者の娘が、このような寂しい森を是とする筈がない。

 あれは余と同じように退屈を嫌い、それでいていつまでも続く退屈を愛する。何を仕出かすか分からぬ娘だ。

 であれば――この領域もきっと、面白おかしく、やってきた魂も退屈せぬものに作り替えてくれるだろう。

 暫くはこの領域に振り回されることになろうが、少しくらいは面倒を見てやっても良い。

 それが娘にして、“ネルガル”の後継への親心というものだ。

 

「……む?」

 

 その時、ふわりと流れ彷徨う、一つの魂が目に映る。

 たった今ここにやってきたばかりの、瑞々しい魂だ。生を終え、ようやく安寧を手に入れた魂だ。

 そして同時に、ただの魂にはあまりにも重い荷を背負った、哀れな魂でもある。

 ……生を受けた時、偶然にそれは魂に入り込み、混ざり合ったのだろう。

 

 ――バルハラの欠片。千年前の事件によりバルハラが失い、世界に散逸した名前の一片、か。

 起源も知らないまま、内なる冥界の色に疑問を抱き続けたか。その中で見つけた同胞の存在を、さぞ喜んだことだろう。

 しかしながら、まさか冥界の入り口に巣を張っているとは。この舞台のために扉を開いたことで、ノゥムに喰われることとなった彼女――魂はこうして流れ着いたのだから、不幸中の幸いというべきか。

 ……多少、罪悪感が湧かないでもない。仇討ちのためにやってきて、焼かれて死んだ子ら共々、良き安寧をくれてやろう。

 

「……自覚すれば、ただのアラクネではおれぬ。ゆえに怯え、暗がりに住まい、子を育て、母であることを徹底した、か。利口なことよ。ただの生命に、バルハラの名は重すぎる」

 

 かつて――過酷な運命を定め付けられると同時に、その欠片を自覚しないまま理解した者がいた。

 結局のところ、それを理解すれば、まともに生きられる道から外れることになる。

 あの者は、運命の重さと自己の矛盾に板挟みとなり、狂い果てたのだったか。

 今は一体どこにいるものやら。どれだけ経ったかも覚えていないが、人としての寿命はとうに尽きている筈。

 それなのにこの領域に来ていないということは、碌な目に遭っていまい。

 あの者と比べれば――自覚も理解もしないままというのは、なんと幸運なことか。

 

「良き眠りを、死の谷の乙女(ネクロマリナ)。子らと共に、ゆるりと休むが良い」

 

 やがてこの魂が眠りの中で消え果てた時、バルハラにその名が戻るだろう。

 まったく、あやつの名をこの領域が預かることになるとは、傍迷惑もあったもの。

 憎み、狂い、そして消えた幼獣の星(ネガポラリス)。生きることを選び、死しても消えず、縁を現代まで繋いでいる灰かぶり(アシェンプテル)

 そして――我が娘が愛する少女。偉大で下らぬ事業(プロジェクト)の礎となることを強要されたあの子に根付く■■■■■……まあ、彼女に関しては()()()()ではないようだが。

 

 今頃本体がどこにいるとも知らぬ、バルハラの置き土産。

 それがその存在に対して良い方向に作用した事例など、この千年、寡聞にして聞かない。

 もしも、バルハラの力にも等しいそれを使う術を理解したならば。そして、己が本来有する才覚をもって、それを広げることが出来たのならば。

 

「ふふ……悪くない。二つの銀色に魅入られし勇者か。なおさら、囲い込んでしまいたくなるではないか」

 

 もう、余にそれをする資格はない。

 玉座は娘のものだ。そして、勇者たちは旅に戻る。もはや邪魔をすることもない。

 この領域に打ち込まれた、魔王を魔王たらしめる記録の楔は、あの者たちによって破壊された。

 ならば、余の舞台、余の理想は、かれらの行く道の輝きに勝るものではなかったということだ。

 

「辿り着いて見せるがよい、愛しき子らよ。そなたたちのハッピーエンドとやら……そして、その先へと」

 

 ()()へとのぼっていく光を見上げ、その眩さに目を細める。

 そうだ――征け。自分たちの道を、どこまでも悠然と進んでいけ。

 まだまだ、苦難の多い道だろう。絶望にも直面するだろう。

 

 だが、それさえ乗り越え、行き詰まったこの世界に創造するが良い。

 そなたたちが生きていく、輝かしい未来を。




『D-RIKKA Xグロウリー』
【属性】水/聖
【攻撃力】■■■■■
【防御力】■■■■■
【素早さ】■■■■■■
【魔 力】■■■■■■
【精神力】■■■■■■

【X-ハローワールダー】
ナディアの右腕に取り付けられた魔法構築(スクロール)用アタッチメント。
0から9のボタンはそれぞれ独自の規格で超小型化された術式であり、これらを適切な順序で押すことできわめて効率的に魔法を構築できる。
魔法の実行には、構築後に『デコード』ボタンを押し、円盤状の出力装置を回転させるというシーケンスを辿る必要がある。
『7』、『4』、『1』の順序による魔法構築により、D-RIKKAの外装が出現し、装着される。
外装の装着後には本デバイスを介さずとも、コマンドの実行は可能……だが、両手が塞がっている場合等やむを得ない状況を除き、デバイスから操作してほしいとマニュアルに記載してあるらしい。
デバイスを介した場合と介さない場合で武装などの性能は変化しないため、後者の方が当然隙も生まれない。それでも効率とロマンを両立させたい、ヨハンナの微妙な人間らしさの発露だとか。

【ヨハンナディアコーティング】
D-RIKKAの各部に装着されている、澄み切った青を中心とした装甲。
しなやかな動きを阻害しない軽い装甲は、ヨハンナ自らがかつてバルハラとの戦闘を想定して開発した結晶体が使われている。
祝福を模倣した効果を発揮することで、特に死の属性に対する高い防御力を発揮する。

【エックスデークローズ】
D-RIKKAの全身を覆う白を基調としたボディスーツ。
伸縮性に長け、激しく動くことに慣れていない装備者の負担を軽減するための、各種運動補佐機能が付与されている。
先端まできめ細かく組み込まれた防御魔法が、受ける攻撃を高効率で緩衝・吸収することで、ステータス以上に防御力を発揮する。

【HPエクスギフティクル】
『X-ハローワールダー』の駆動によって生成され、D-RIKKAの全体を循環する聖性粒子。
周囲の魔力に触れて内部に取り込むことで長時間の戦闘継続が可能なほか、装備者の肉体に徐々に浸透することで、あらゆる環境変化に対する身体の負荷を軽減する。
つまるところ、戦えば戦うほどに過酷な環境に強くなる強化剤。もちろん、アンデッドにとっての弱点である祝福にも適用される。
これもまた、ヨハンナがバルハラとの戦闘のために開発したもの。
活火山だろうが深海だろうが、或いはもっと過酷な極限環境だろうが、全力でいられなければバルハラの相手は務まらない――とのこと。

【ヨハナライザSX】
D-RIKKA頭部に装着された、細い角状の戦闘サポート装置。
標的の解析や周辺情報の把握、最適行動の提案、時間感覚の調整などを自動的に行うことで、一から培うべき戦闘経験値の代替となる。
本来ヨハンナが自らに組み込んだ戦闘用演算機能を、ナディア用に改良したもの。

【ネシュアマキナ】
『X-ハローワールダー』の魔法構築によって出力されるD-RIKKAの武装群。
魔力の変換による物質錬成であり、極限まで効率化された術式のパーツ化と圧縮により、多種多様な武装を展開可能。
この武装の大元はほぼすべて『決戦機関』としてヨハンナに実装されたもので、対バルハラではなく汎用的な戦闘用兵器に調整されている。
ヨハンナの心遣いにより、取り回しの良いナイフなども存在するが、全体的に火力に大きく偏った奇妙な性質を持つ傾向にある。
地を征し、天をも穿てというのは、決戦派が共通して持つ心意気であったらしい。


『U-リッカ カルラフューリー』
【属性】土/木/冥界
【攻撃力】■■■■■■■■■
【防御力】■■■
【素早さ】■■■■■■■■■■■
【魔 力】■■■■■■
【精神力】■■■■■■■■

【ナーサリアルコーティング】
全身を包む黒いスーツ。『U-リアルコーティング』の機能をやや抑え、新規機能を追加したもの。
単体での防御性能は殆どなく、供給される魔力を原料として『カルラスタルプリズム』を生成し、鎧として纏わせることで防御力を獲得する。

【ブレイジングブレイブリィブラッド】
スーツの内部に流れる超強化エネルギー。
全身を循環することによる強化効果は装着者から滾る勇気とリンクし、魔法の効果を打ち消す類の特殊攻撃の影響を受けない。
被ダメージに対応する回復効果は本エネルギーに付与された魔法ではなく装着者の勇気が変換されるようになっており、諦めない限り戦闘状態を維持することが可能となっている。
エネルギーの基本色は緑。

【V-N-コンバーター】
冥界属性の性質の違いを補正し調整を行う変換機能。
バルハラを由来とする冥界属性とネルガルを由来とする冥界属性の相互変換を可能とする。
『カルラフューリー』の各機能は後者の冥界属性を持つ魔力を必要とするが、本機能の使用により、前者の魔力を自動的に変換し、十全な戦闘を可能とする。

【カルラスタルプリズム】
『カルラフューリー』の各部を覆う超高濃度の魔力結晶。
受けた衝撃を吸収し、更なる魔力を生成するが、これは防御能力の向上には殆ど利用されない。
一定以上の衝撃を与えることで結晶は炸裂し、高威力の魔力爆発を巻き起こす。
魔力は任意の相手に浸透して機能不全を発生させる効果を持つ。
本外装での戦闘は、迅速に再生する魔力結晶を用いて武器を作り、次々と使い潰すことを基本とする。

【カルライトベイン】
背部から伸びる蔦状のマニピュレーター。
自在に伸縮し、戦闘の補助を行うほか、『URK-エンゲージブラスター』に接続し、出力を制御する。

【URK-エンゲージブラスター】
『カルラフューリー』の装着時に付属して召喚される、つぼみを模した二基のフライトユニット。
『カルライトベイン』によって制御され、『カルラスタルプリズム』によって生成された魔力を高効率で放出し、飛行や空中での姿勢制御を可能とする。
これまでの外装でも飛行を可能とするものはあったが、搭載された機能の副次効果として獲得していたそれらとは違い、完全に飛行を目的としたもの。
魔族の中でも類を見ない超高速飛行と、『カルラスタルプリズム』による高威力の不意打ちを得意とする。
如何なる行き止まり(デッドエンド)にも囚われず、ハッピーエンドに向かって駆け抜ける――三人の意思と、かれらが描く自由な未来の象徴。


『ノゥム』
【属性】火/冥界
【攻撃力】■■■■■■■■■■
【防御力】■■■■■■■■
【素早さ】■■■■■■■■■■
【魔 力】■■■■■■■■
【精神力】■■■■■■■

【種族】ケルベロス種
冥界の番犬、とも呼ばれる恐ろしき魔族。かつては冥界に仕える魔族として、スフィンクスと共に高い知名度を有していた。
三つの首にそれぞれ脳を持ち、順番に眠ることで常に活動できるという。
この世界の大半の冥界においてはこのケルベロスが複数使役されており、それぞれが冥界の物理的な入り口を見張っている。
冥界に由来する魔族ということもあり、その能力は強大。冥界の主から特異な性質を預かっている個体もあり、真正面から突破することは困難を極めるだろう。
ただし、体そのものを休めるため、ケルベロスには特定の“全ての頭が休むための指示”が設けられているという。
おとぎ話の類ではあるが、昔とある青年が音楽でもってケルベロスを眠らせ、愛する者を冥界から取り戻したことがあるとか。

【『焔銀(ほむらがね)』ノゥム】
冥界の一つ、ネルガルの領域に仕えるケルベロス。
やや怠け癖が強く、通常一つの頭が眠ることが多いケルベロスにおいて、二つの頭が眠る個体である。
しかしその分、体にはより多くの力を蓄え、特に俊敏性は同種の中でも最上位のもの。
ネルガルの領域は結晶の茎が複雑に絡み合う地であるが、それを跳躍しながらの戦闘も優に可能。茎が折れないための重量操作のすべも修得しており、彼を出し抜くのは難しい。
さらにノゥムは体毛に染み込んだ冥界の魔力を周囲に発し、銀の炎による幻惑を得意とする。
これにより、自身の速度による攻撃をより見極めにくくする知恵もある。まさにこの領域の守護の要と言えよう。
――かつて彼に追われながらも逃げ果せた、人間の兄妹がいた。
かれらは奇跡に百度助けられ、なおも迫る命の危機から、自らの意地でもって生を掴み取った。

【リヒトの評価】
「二度と会いたくねえと思ったが……会うもんだな。いや、人生って色々あるわ」

【ナルラトの評価】
「またも人間に敗北するとは……我ら冥界の民が衰えたのか、命あるものの輝きが増したのか。どちらでしょうね」



『ナルラト』
【属性】水/冥界
【攻撃力】■■■■■■■■
【防御力】■■■■■■■■■
【素早さ】■■■■■■■■■■
【魔 力】■■■■■■■■■■
【精神力】■■■■■■■■■■

【種族】スフィンクス種
スフィンクスはかつて人間と密接な関係にあった種で、王墓の守護者として崇められていた。
彼女たちの目的は、王家の魂を冥界に連れていくことだったという。
現代において、生きている内にスフィンクスという種を見ることは殆ど不可能だと言って良い。
スフィンクスのいる冥界では、大抵魂を管理する役割を担っており外に出ることが皆無であるためだ。
いずれも、それぞれの冥界の性質が存在に浸透しており、死者に対して絶対的に有利な力を持つ。
魔法の扱いに長け、知恵が回り、問答による魂の裁定を趣味とする個体が多い。

【『棺鏡導(かがみみち)』ナルラト】
ナルラトはネルガルに仕えるスフィンクスの一人である。
広大な領域において魂を管理し、そして守護する、この領域のスフィンクスの中でも最強の個体。
基本的にスフィンクスは魔法に優れ、杖以外の武器を手に取ることはほとんどない。
寧ろ、武器を使うことは知的ではなく、物理に頼る時点でスフィンクスとしてはナンセンスであるという価値観が強いようだ。
そんな中で彼女は、杖に加え、片刃の剣という非常に珍しい武器を持つ。
それは、遥か東方の冥界を統べるヨミとネルガルの友好の証として送られ、ネルガルより下賜されたもの。
世界の理に抗う魂を断つその一振りは、ヨミが直々に祝福を込めたものであり、およそ一人のスフィンクスが武器として有して良いような代物ではない、宝剣の類。
当然、ナルラトはそれを賜った時、大層困惑し――特に考えなく、忠義の証として渡されたものだと悟るまで、十四日を要した。
剣を武器とし、杖による魔法も扱う奇妙な戦闘スタイルを極めるようになったのは、その生涯最大の大問を忘れないため。
此度の一件で、ナルラトが仕える主は変わった。
それがネルガルも認めたのであれば、ナルラトは否定することはない。
かつての忠義を忘れず、それゆえに未熟な主にもまた、冷たく、静かに、愚直に仕え続けるだろう。

【アンニャの評価】
「ま、あの領域は姉貴がいれば大丈夫にゃ。あたしはあたしのやるべきことをやるにゃあ」

【ネルガルの評価】
「もう少しばかり、アドリブに長けていれば文句はないのだがのう。堅物なところがあやつの唯一の短所よ」



『ネルガル』
【属性】土/木/冥界
【攻撃力】■■■■■■■■
【防御力】■■■■■■■■■■■■■
【素早さ】■■■
【魔 力】■■■■■■■■■■■■■
【精神力】■■■■■■■■■■■■

【種族】クイーンアルラウネ種
魔力を帯びた植物の種が発芽した時、アルラウネは稀に誕生する。
そのため、アルラウネに親子という関係性は基本的に存在せず、同種で関わることも殆どない。
しかし、アルラウネ島と呼ばれる、大陸を隔てる海域にある、結晶樹の群生する無人島の個体は別である。
そこではクイーンと呼ばれる個体の魔力によって多くのミントがアルラウネとなり、クイーンを母と慕う。
これはこの島独自の風習ではあるが、魔王に仕える魔族たちの中にもこれを知る者は存在している。
その上で、クイーンという呼称が許容されているのは、アルラウネたちにとって古くからの文化であるためだ。

【『冥界樹』ネルガル】
結晶樹――伝説では世界樹の一端ともされる、世界一美しい植物。
それらは個体同士が根から発する魔力による魔法契約によって独自のネットワークを構築しており、世界中のすべての個体が結び合っているという研究結果が、かつてネシュアで出されていた。
この神秘的な樹がいつから存在していたかは定かではないが、ごく一部の地域に確認されること、僅かに冥界の魔力を帯びていることから、ネシュアではいずれかの冥界に由来する植物であるという見方が一般的であった。

亡国の研究結果、および認識は正しい。
結晶樹は冥界の一つ――森の領域(ネルガル)から零れ出た魔力を受けた植物が結晶化し、異常生長したものである。
その冥界では結晶樹が当たり前のように見られ、枝や幹が絡み合い迷宮の如く入り組んでいるという。

――そのアルラウネは元は冥界で生まれた“ミント”であった。
生まれた頃から素養のあった彼女は、領域の主から目をかけられ、愛を注がれて育ち、やがて主から冥界の新たなる主となることを命じられた。
永遠にも等しい存在である、冥界の主――分かたれた八つの一つが、後継を選び、生を捨てた理由は定かではない。
それを知るのは、もはやこの一人のアルラウネのみである。

彼女は他の七つにも劣らぬ力と権能を与えられたが、冥界の管理については消極的であった。
はじめこそ誠実に務めていたものの、飽き性で刺激を求める性質から、たびたび地上へ出ていたという。
アルラウネ島と呼ばれる無人島は、いわば彼女の別荘。
危険な野生動物も魔族もいないそこは、彼女が遊び場として満喫するうちに結晶樹の群生地へと変わり、ミントが増え、アルラウネの島となった。
ここの個体は冥界同様、すべてが彼女を親とする個体であり、母から株分けされた個体ゆえ、その命はすべて絶対となる。
やがてこの島は冥界と直通となる通路が設けられ、彼女の子らが海を――そして青空を満喫するリゾート地となったという。

当然、彼女は魔王によって世界に変革が起きたことを知っているが、大きく動くことはなかった。
強いて言えば、その存在の楔となる柱の配置を許容したくらいである。
勇者と試練という風習も、最初こそ興味津々だったが、今や哀れみを向ける対象でしかない。
多くの興味は薄れゆくもの――そんな中で千余年が経ち、冥界を出た一人のアルラウネが、“バルハラの欠片”、そして“後の勇者”と出会った。
娘の存在を手繰り、その活躍を見て、彼女は幾度もの感動を覚え、そして欲が生まれた。
これほどまでに健気で愛らしい、娘の友――或いは、それ以上の存在を、魔王などにくれてやるものか、と。

――魔王の計画を狂わせるほどの大舞台は、これでも心底からの義母(はは)の愛である。
とある、この世界においてただ一人しか経験していない“いつか”では、娘を唆してやったこともあった。
それは“巡る少女”にとってトラウマの一つとなったのだが――それもまた、ネルガルにとっては愛のかたち。
その記憶さえ、彼女は読み取り、識っている。
それを口に出すことはない。少女にとっても、娘にとっても、好ましい結末ではなかったからだ。

ならば、どんな結末を望むのか――勇者と、少女と、娘の物語の行く末を、ネルガルは期待している。
そこに辿り着くことが出来たのならば、きっと輝かしいものである筈だから。

【カルラの評価】
「お母様のやったことは、全部善意なんです。けど、まあ……わたしたちはそれを求めません。ユーリも、リッカも、信じた道は自分で切り開くんですから」

【バルハラの評価】
「ぼくたちの中でも屈指の人間好きでね。ああ、彼女に代わる前のネルガルからそうだった。彼女とはよく人間の演劇を観ていたよ。今はもう廃れたけど、昔は危険を省みない旅の劇団なんてのもいたからねえ」
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