凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法   作:けっぺん

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永遠にビー・ウィズ・U/今、終点の先で(11)

 

 

 笑みを浮かべているものの、ラフィーナはこれまでにないほど怒っていると分かった。

 我慢ならないとばかりに圧をかけられ、後退ろうとして足が動かず、リッカは身じろぎすることしかできない。

 これまでラフィーナは、奇妙な関係ながら僕たちの協力者として在ってくれた。

 リッカの精神的な支えとなってくれたことも少なくない。

 それは、ラフィーナなりに僕たちの目指す先を信じてくれたがためだろう。

 けれど、リッカはそんな複雑な心境のラフィーナに何を言うこともなく、諦めることを選んでしまった。

 どうあれ僕たちの旅についてきてくれたラフィーナからすれば、リッカの選択は裏切りに他ならない。

 

「……ラフィーナ。これを開けられるかもしれないって、本当?」

「ええ。そいつがその気なら私だってもうヤケよ。手段を択ばなければやれることくらいあるわ」

 

 確証がある訳ではないものの、可能性はあるというラフィーナの提案。

 それがリッカにとって都合の悪いものであることは間違いないが――。

 

「待っ、て……ラフィーナ、なに、を……」

「あんた、私たちに言ったじゃないの。ここに送り出す前に、何をしてもいいって」

「ち、ちがう……それは、ユーリを、諦めさせるために、って……」

「あら、そう。ま、いいでしょ。私が何してもユーリは折れなかったでしょうし」

 

 リッカの言葉を飄々と流しながら、ラフィーナは最後の障壁たる箱を一瞥する。

 未だにそれは揺らぐことなく立ちはだかっている。

 たとえリッカがそれを開いても良いと認めたとしても、簡単に開くようなものでもないのだろう。

 であれば、ラフィーナが考え付いた策とは。

 

「正直、今のあんた気に入らないから。あんたの言いなりになるくらいだったら、ユーリの味方した方がよっぽどマシよ」

「ら、ラフィー、ナ……?」

「来なさい、ユーリ。リッカを離して。そいつ今、邪魔にしかならないわ」

 

 ……ラフィーナが何をしようとしているのかは分からない。

 だが、僕一人ではどうしようもない今の状況を変えられるのならば、ラフィーナ曰く、僕が望まないことであったとしても。

 

「……リッカ。少し、ここで待っていて」

「――え……?」

「リッカが何をしても。どれだけ強く諦めようとしても、僕は諦めたくない。リッカのすべてを暴く、その先に僅かでも希望があるのなら……」

 

 支えていたリッカをその場に座らせる。

 僕を掴んでいた手は、簡単に引き剥がすことが出来た。

 躊躇いを振り払い、不安から手を伸ばしてくるリッカに背を向けて、痛む胸を押さえながら、ラフィーナの方へと歩いていく。

 

「ぁ……ゆ――ユーリ……行かないでよ……!」

 

 振り返らない。

 自分のため――そして何より、リッカのために、立ち止まらない。

 

「わ、たし……覚えてないけど……わかる。その先に、なんて、碌なものはない……! 状況は、なにも変わらないっ」

「今のリッカが信じていないなら、僕が信じる。リッカの、とびっきりの可能性を」

 

 ラフィーナの前に立つ。その、まだ躊躇いのある複雑そうな表情を、真っ向から見据える。

 ここまで来るのにも、得体の知れなかったオズマの力を宿す選択をしてきたのだ。

 これ以上の選択だって、怖じる必要はない。すべては、リッカと辿り着くハッピーエンドのために。

 

「……少しは躊躇ったりしたら? 何をするかも分からないのに、そんな覚悟決まった顔、普通する?」

「普通じゃない自覚はあるし、ラフィーナだって、知ってるでしょ? 僕は諦めが悪いって」

「……ええ。よーく、知ってるわ。……やりづらいったらない。なんで私の方がもやもやしないとならないのよ」

 

 ……いたずらが空回りして逆切れした時のカルラを、ふと思い出した。

 自分が発端となっておきながら、失敗して文句を言うカルラを、リッカ共々冷めた目で見るのはあの頃の“当たり前”の一つであった。

 あれと似たような不満を口にするラフィーナは一体何をする気なのかと、改めて聞こうとして。

 

「ああもう――先に謝っとくわ。ごめん、ユーリ」

「っ、え」

 

 背中にラフィーナの両手が回され、その理由を問う前に抱き寄せられる。

 ラフィーナ、と名前を呼ぼうとして、口を開いた時――その隙を逃してなるものかと、妖しく輝く紫の瞳が近付いてきた。

 

「んむ……!?」

「――――ぇ」

 

 眼前の紫の光は揺れることなく真っ直ぐ僕に合わせられ、唇を通して“良くない”と断言できる熱さが伝わってくる。

 ほんの数秒、状況がまるで理解できず。

 真っ白になった思考が熱で色付いてきたことを悟り、混乱が後から付いてきた。

 

「ラフィッ、んぅっ――!」

 

 一体何を、と問うことも出来ず、どうにか離した唇が再度塞がれる。

 舌が入り込んできたラフィーナのそれに絡め取られ、喋ることも出来なくなって。

 このままではどうにもならないと、抵抗のためにラフィーナを押しのけようとするも、その体はびくともしない。

 そして、そうしている間にも、感じたことのない類の熱さは口内を通して体の中へと入り込んでくる。

 

「え……ぁ……なに、してるの、ラフィーナ」

 

 ふわふわと浮き上がるような熱は、喉を通って体に染み込んでいく。

 それまでの自分を否定するように――違う。それまでの自分を肯定されながらも、それをより“適した”形へとするために、都合の良い文言を書き加えていくように。

 このままではいけない、と脳が否定を発する。

 それは勘違いだ、と茹るような熱さが脳を浮かし、宥めていく。

 ぴちゃり、びちゃりとやけにはっきりと響く水音を意識しないように努めても、ラフィーナは問答無用で舌を絡めてくる。

 

「ぷぁっ……、ッ、――ま、待って、ラフィーナ……! なんでこんな――っあ!?」

 

 流されることへの拒否感から、力いっぱいに抵抗し、ようやく離れることができて。

 しかし、面倒そうに払われた尾に足を掬われ、倒れ込んだところにラフィーナは乗り掛かってくる。

 

「大人しくしてなさいよ。初めてでもなければ、誰かさんとの初夜でもあるまいし。必要なことなんだから、黙って天井の染みでも数えていれば?」

「ここ天井無……ん、むぅ!?」

 

 少しでも抵抗せんと零れた軽口は言い終わる前に封殺された。

 なおも逃れようとすることを鬱陶しく思ったように、ラフィーナは僕の頭を後ろから掴み、再度唇を重ねてくる。

 

「なに……ら、ラフィーナ……やめ、てよ……なん、で、ユーリを……」

 

 その行動はこれまでのラフィーナを省みてもあまりに唐突すぎて。

 そして内にあるつながりさえ曖昧な今、必要なことだという言葉を信頼することも出来ず――豹変したラフィーナに対する困惑と、上がっていく体温への恐怖しか感じられない。

 疑問は熱に溶けていく。ここに来るまでにもあった、思考を奪われる感覚を、必死で拒絶する。

 協力的だったラフィーナが、もしかして――こんなところで裏切ったのか。

 他の魔族たちと同じように、僕を諦めさせるために。

 

「ん、ちゅ……っぁ」

「ぁ……」

 

 それが、何分続いただろう。ようやくラフィーナの顔が離れる。

 一度ごくりと喉を動かした後、僕を見下ろしたまま、唇を舌でなぞるその表情は、やはりどこか不機嫌そうで。

 感情に任せて何をされるか分からない。怖くて、仕方がなかった。

 

「……少しは喜ぶとかしたらいいのに。当然だけど、それはそれでなんかムカつくわ」

「はぁ……はぁ……、っ……?」

 

 それでも、ようやく終わったのかと。

 考えのまとまらない頭で、ほんのわずかの安心を抱いて――何かが直に腹に触れていることに気付く。

 服が捲り上げられている。ズボンが少し下げられている。

 ラフィーナの手が、胸から臍を通り、下腹部までを撫でていた。

 

「や、め……ひぁ……っ!?」

 

 これ以上、何もしないでほしいと訴えようとして。

 ラフィーナの舌が今度は下腹部を這い、茹るような熱がそこを中心にパチリと弾けた。

 一瞬のわけのわからない感覚が、腹から、そして頭の中からパチパチと連続的に起きる。

 目を開け続けている筈なのに、視界が点滅しているような気がして――その感覚はあまりにも未知のものだった。

 

 ああ――それは、知らない。

 知識としてしか知らなかった、一つの快楽としてのかたちなのだと、自覚する。

 リッカの嫌悪の対象で、少なくとも、リッカのための勇者としての僕が、今は決して感じていてはならないもの。

 “それ”を、人間を屈服させる手段と判断する魔族は一定数存在する。

 最たる例がサキュバスだ。彼女たちにとって、それは生きるための行動。

 その被食者となること――今感じるべきでないものを強要されることが、どれだけ恐ろしいことなのか。

 僕は、この時ようやく、知ることになった。

 

「ラフィ、ナ……! や、だ……っ!」

「……“いつか”の私が逸るわけだわ。あんた、それをサキュバスにするの、本当に自殺行為だからやめた方がいいわよ。ここにいるのが私であること、感謝するのね」

 

 おもむろに顔を上げたラフィーナ。絞り出した訴えを聞いてくれたのかと思ったが、ラフィーナはしかめっ面で僕を見下ろし、わけの分からない警告をするのみ。

 そうしている間も、腹をゆっくりと撫でる手は止まらず、その手を掴んで止めようとしても、やはり力ではまるで敵わない。

 

「やめろってのに……ああ、もう。落ち着け私、流されたらダメだから……よし、これで――」

 

 感じていたくない快楽への抵抗を続けられているのかも、既に曖昧で。

 それでも、呑まれたくないと思っていれば、ようやくラフィーナが手を止めて――

 

「駄目――私、から……ユーリを、奪わないでっ!」

「うぐ……か、は……ッ!」

 

 僕に跨っていたラフィーナが、リッカの絶叫の直後、弾き飛ばされた。

 リッカの使役する、黒い触手の群れだ。

 痺れと熱に浮かされた体をどうにか動かして、上半身を起こす。

 感情のままに放たれたそれに締め上げられるラフィーナに、様々な感情の混じった表情で、リッカが詰め寄る。

 

「また、なの、ラフィーナ――私の、前で、ユーリを……!」

「くっ……何よ、その言い分。あんたにバレなきゃいいみたいな……ふん、冗談よ」

 

 触手を引き寄せて近付かせるリッカの怒りにまともに対応することもなく、再びラフィーナはこちらに目を向けた。

 

「……にしても、呆れたわね、リッカ」

「なに、が……?」

「あんた、気付いてないわけ? ま、それでもいいけど。……ユーリ、立てるわね? 立てなくても、立ちなさい」

「え……」

 

 また、ラフィーナの態度が、大きく変わっていた。

 彼女による影響は、体中に起きたままで、けれどそんなもの気にしていないかのように、ラフィーナは促してくる。

 

「私のことは恨んでもいいわ。けど、それは今のユーリに、必要な措置よ」

「必要……? これ、が……?」

 

 足に力を込めて、立ち上がる。

 体の熱さは引かない。この熱を放置していれば、あらぬ間違いを犯してしまうのではという危うさがある。

 けれど、それが必要だというのは……。

 

「ッ、ラフィーナ、あなた――!」

「遅いわよ。あんたが間抜けに見ている間に、しっかり全部終わらせたわ。あんたの歪んだ過保護も、これでお終い」

 

 リッカが、何かに気付いたように、ラフィーナを睨む。

 しかしラフィーナは、やはりその怒りを飄々と流した。もう既に、やるべきことは完了したと。

 

「この空間において、ユーリを保護するためのルールを成立させていた所有者権限は私の正当な権限で解除させてもらったわ。今のユーリは不正侵入者。これであんたは、ユーリを“止めるため”に傷つけることは出来なくなった」

「……ッ!」

 

 この、リッカが管理する領域において、僕自身が、リッカの管理下にある存在ではなくなった。

 それはつまり、リッカの意思で僕に“死なない”処置を行うなど――僕の状態を改変することが出来なくなった。

 管理者としてリッカが状態を操作できる、リッカの使い魔に近い状態ではなく、この領域に不正で入り込んだ侵入者。

 リッカの庇護なく、活動できるようになった――活動しなければならなくなった状態。

 

「もう、ユーリにここでの安全の保障はない。腹でも裂かれれば当たり前に消えて失くなる。本来ね、他者の内に入り込むって、そのくらいデリケートなことなのよ」

「どう、して、そんなこと……まさか……!」

 

 ラフィーナは好戦的な笑みを浮かべ、リッカから視線を外す。

 その先にあるのは、最後の砦となっていた銀色の箱。

 

「今なら、あんたに断りなく、正々堂々とアレに挑めるってこと」

 

 ――それには大きな亀裂が入り、内から箱と同じ、銀色の炎が零れ出ていた。




【ラフィーナ】
忘れられているかもしれないけど種族はサキュバス。
ユーリに適用されていたリッカの所有者権限を解除し、ファイアウォールの物理障壁を無効化した。
「はい、精通完了っと」くらいのノリでユーリぶち犯し二歩手前くらいまでいったが、これは精神障壁への対策。
必要な措置であって決して私情は含まれていない。

【ユーリ】
全く関係ない話だけど、一般的に精通って11歳から18歳くらいで個人差が大きいんだって。

【リッカ】
脳破壊りっかりか。
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