凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法   作:けっぺん

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運命の果て

 

 

「ぐっ……つ、ぁ……!」

 

 全身がはち切れるのではと思うほどの激痛を超えて、気付けば硬い床に叩きつけられていた。

 その床はナイトラクサの、粗く舗装された道の感触ではなく、すべすべとした、悪い気を抱かせないもの。

 ただ、そう感じて、直後に爆発する不快感。

 この数ヶ月、幾度思ったかも分からない――何故私が、ナイトラクサの道の触り心地など、熟知しなければならないのかという理不尽に対する怒り。

 またそんなものを思い出させるなど、なんの嫌がらせかと叫ぼうとして……目を開き、状況がまるで分からず、怒りを暫し忘れた。

 

 銀色の領域。半透明な箱がいくつも積み上がって構成されているような世界。

 空気に感じる冷たさから、そこが冥界であることなどすぐに分かった。

 もちろん、足を踏み入れたことなどない。生者の身で冥界に踏み込むなど、少しでも知恵があれば考えつくこともないだろう。

 しかし、そこに私がいる。意識ははっきりとしていて、不快感も怒りも健在で、肌に感じる冷たさには実感がある。

 つまるところ――死んだのだろう。

 闇夜にいる限り、首を断たれようが再生を果たす、不死に近き魔族。

 誇り高き夜の支配者、ヴァンパイア。それが、このざまか。

 ――なんて、無様。悔しさが吐き気のように込み上がってくる。

 

「くそ……なんで……なんで、こんなことに……ッ! 図に乗った人間、下劣な淫魔、ヤツらさえいなければ、こんな……!」

 

 怨嗟はいくらでも出てくる。こんな理不尽、許容できる筈もない。

 元より――理不尽には慣れた身だった。あの女王気取りの放埓によって、家を潰されたあの日から。

 ヴァンパイアという種は一枚岩ではない。ただでさえ数が少ないというのに、他の家を蹴落とし頂点に立つことを目論む野心が、どの家の当主にも根付いている。

 私の家もそうだった。祖父の代では一時的でも、我が家は栄華を誇っていたと、呪いのように聞かされていた。

 

 しかし、それも今は昔。

 父の代から兄たちに当主の座が受け継がれるよりも前に、女王気取りの侵攻により、すべてを奪われた。

 当主争いから早々に外されていた私は、生きることが叶った。陽光の差す暗闇の外へと、逃げ延びることだけはできた。

 そこから、屈辱を仕方のないものだと受け入れるまで、どれだけ時間が掛かったか。

 

 深い森の洞窟に潜み、汚らわしい獣を糧に生きる毎日。

 舌が受け付けないほど臭みの強い肉を、何度も吐き戻しながらどうにか飲み込み、種さえ分からない魔族の血を啜ってその日を生き延びる。

 幸い、ヴァンパイアの肉体は、きわめて生命力に長けている。窮地を凌ぐ能力としては、淫魔(サキュバス)長耳(エルフ)など及びもつかないほど。

 苦しくとも、悔しくとも、生きるのは難しくなかった。

 糧が減ればその地を離れ、時にはコウモリに化け、船倉に潜んで海さえ渡り、各地を転々として。

 そして出会ったのが、ルメリーシャだった。

 

 最初は刺客かと疑った。向こうも同じだったようで、明け方まで殺し合ったのを覚えている。

 このままではお互い灰になると、睨み合いながら近くの洞窟に逃げ込んで。

 ――それから境遇を愚痴り合って、和解したのだったか。

 

 ルメリーシャは毒血の末席も末席。女王気取りが台頭する際のお家騒動に巻き込まれて、私と同じように逃げ出したという。

 まだ刺客として使えるほど、その血に宿る毒も強くない。なんの役目も求められず、見逃されたのだと。

 互いに、自分の方が酷い境遇だったと主張した。その決着は、最後まで付かなかった。

 最終的に、「……これ、どっちも酷くない?」とルメリーシャが苦笑いし、私もそれを認めたのだと記憶している。

 それから、私は孤独ではなくなった。私の隣には、ルメリーシャがいるようになった。

 糧は半分に――正確には、半分以下になったけれど、それまでよりも気は楽だった。ルメリーシャは、いつも楽しそうに笑っていたから。

 

 二人で旅をして、何年か経って、私たちは遂に、自分たちの居場所を見つけた。

 大して人の住まない集落。そこをいつも通りに襲い――偶然、最初の家の人間が命乞いに寄越してきた魔道具。

 それは、夜を広げるもの。陽光の差さない暗闇の結界を敷くもの。私たちの世界を作るもの。

 私たちはそこを、自分たちの住処とすることにした。

 人間たちには集落を広げ、発展させるための労働を。代わりに、近付く獣や魔族の類の脅威からはすべて守ってやると。

 唯一……魔道具を寄越した人間には、その魔道具の範囲の改良を任せた。あの人間はやるべきことを万全にこなし、普通に寿命で死んだのだったか。

 

 それがナイトラクサの始まりだ。

 外からも視認できる結界が広がっていれば、当然物珍しさに寄ってくる者も現れる。

 人間の生活圏を渡り歩いて商いをする酔狂な行商たち。あの連中が辺りの村々に伝え、なんらかの理由でそこから出ざるを得なくなった人間が、幸運にもここに辿り着くまで生き延びる。

 支配した集落から始まって、落ち延びた敗者たちが集う場所になり、やがて私たちはそこの創始者と認識されるようになった。

 別に私たちも、寄ってきた人間を取って食おうなどというつもりはない。

 というか、そこまで考えついてすらいなかった。もうその頃には、そこらの魔族を狩って血を啜るなど当たり前だったから。

 自分たちの根城として用意させた場所に、妙に人間が集まってくることを不思議に思い、ルメリーシャと顔を見合わせて首を傾げたことが、何度あっただろう。

 

 やがて、大きな町になる頃には、人間が私たちに決定を求めるようになった。それどころか、進んで血を捧げんとする者まで現れた。

 その“町の在り方”が定まった頃に、ようやく私たちは自分たちの誇りを思い出し、傅く人間たちを面白いと思うようになった。

 ああ――かれらもまた、同じだ。私たちのように、当たり前だと思っていた生活を奪われ、それでも運命に抗って、ここに辿り着くことで新たな生を勝ち取ったのだ。

 人間たちは自分たちの生きやすいように町を広げた。

 その中でも、私たちの存在は忘れなかった。夜は明けず、しかし人間たちは光を求めて、明るい夜を作り上げた。

 無駄に眩しく、下品な光。それがどうしようもなく嬉しかった。

 私たちの生活も改善された。人間のおかげだと、あの時は認めるほかなかった。

 

 ――――ナイトラクサが街となり、他の都市でもこうはなるまいというほどに発展して。

 住まう人間たちの世代も何度か変わり、迷い込んでくる者に魔族も混じり始めた頃。

 欲を深くした人間たちの訴えを聞いた。

 

 もっと恵みを。まだまだ足りない。あいつらの方が。

 なるほど、それは道理だ。かれらは運命に抗った者たち。その末で勝ち取るならば、どうにか生きていられるくらいの糧では不足だろう。

 上へ上へと求める気持ちは私たちも良く知っていた。ああ、そうだ――私たちの誇りは、上に立つためにあったはずだと。

 思い出させてくれたかれらに感謝して、私たちは街を作り替えた。運命がすべてを左右する、眠らない夜の街へと。

 強き運命を持つ者ならば、すべてを手にする権利がある。運命を使い果たした者ならば、すべてを奪われても仕方ない。

 勝者たちのために、外から多くを集めた。それほどの強さを、既にこの街は持っていた。

 ナイトラクサは、私たちの理想そのものだった。

 

 何百年もかけて、作り上げた街。私たちという存在の象徴。

 それは、たった一夜で崩壊した。まるで、私たちの始まりと同じように。

 

 勇者……下らぬ使命の犠牲者。そして、淫魔の長、アリスアドラ。

 連中が、すべてを台無しにした。この街のルールを侵し、積み上げたものを粉砕した。

 私たちが一体どれだけの時間をかけて、この街を完成させたのかも知らない、成人してすらいないだろう人間。

 そんな人間が、アリスアドラに狂わされ、その暴走の果てにルメリーシャを殺した。

 私は、ルメリーシャに出会う前の、始まりの夜のように、見捨てて逃げることしかできなかった。

 

 あの後に起きたことは――再び誇りを忘れ、臆病風に吹かれた私への罰なのだろう。

 私はこの街で生きるにおいて何よりも必要な運命を枯らした。そのような存在、ナイトラクサにおいて、最低限の権利さえ持っていないも同然だ。

 ナイトラクサは、支配する者さえ奴隷に堕ち得る街。

 そう作り上げたのは、他ならぬ私たち。

 

 期待していたことではないけれど。分かり切っていた話だけれど。

 もう、この街の人間に、私たちへの敬意や感謝などなかった。

 

 すべてを奪われた。アリスアドラにこの街の安寧を、勇者に付き従う女に力を、下賤な人間どもに尊厳と純潔を。

 土に汚れ、獣を喰らうあの日々を超える屈辱。

 ろくに抗うことの出来ない弱い体。

 それを、恩さえ忘れて私の体を貪る人間ども。

 あれから私は、満足に眠ることさえ許されなくなった。

 

 異臭のする路地裏で、逃がしはしないと首輪で繋がれ、人間どもの“共有財産”として扱われる。

 人間どもの話によれば、私を“使う”ことに限り、この街のルールであった階級は一切関係がないという。

 ほんの数日の後には、上澄みだった者には顧みられなくなり、その日を暮らすにも困る連中が私を使うようになった。

 いつまでもその日々が続くのか。或いは、いずれ治癒能力が衰え、何もわからなくなって死を迎えるのか。

 

 しかし、それから暫くして、私は奴隷でさえない立場から解放された。

 多くの淫魔を伴ってこの街にやってきた、ネリネの手によって。

 彼女は私にルメリーシャの血痕から採取したという毒を注射し、私の力をかつてより強大なものとした。

 代償として要求してきたのは、彼女の小間使いとなること。それを――反逆に備えた魔道具まで用意して、求めてきた。

 この街を誰よりも知っているのは私だから、この街で必要なことをしてほしいと。

 屈辱はそのままに、生活は少しだけマシになった。

 けれど、淫魔どもが作り替えていく街にもう愛着はなくて――覚えている限りの、私を犯した人間の頭を潰しても大して気は晴れなかった。

 

 私が求めることは、勇者を殺すこと。ルメリーシャを殺したこと、私をここまで堕としたことを、命をもって償わせること。

 勇者はまたいずれこの街を訪れるとネリネは言っていた。ゆえに、どんな屈辱さえ呑み込むことにして。

 そうして、ようやくその機会を得たというのに。

 一度バラバラにしたと思った勇者は、当たり前のように生き返った。

 私の力はまるで及ばず、殺そうとした勇者は、逆に私を殺してみせた。

 ルメリーシャの仇討ち一つ達成できず。結局――屈辱から始まった私という存在は、屈辱の中で息絶えることになった。

 その果てが――この景色か。

 

「……品のない風景だこと。これが冥界だなんて。ルメリーシャも退屈しているのでは」

 

 これが冥界。死した魂に安寧を与える領域。

 所詮おとぎ話の類だったようだ。

 ……何が安寧か。普通に目を覚まして、怒りも恨みも思い出すことが出来るなどと、安寧も何もないではないか。

 見る限り、横にも上下にもあまりに広い。どこに誰がいるか、分かったものではない。

 早くルメリーシャを見つけてあげなければ、と、あてもなく歩き始めようとして。

 

「――にゃあ。気が付いたようにゃ。次から次へと、退屈しない仕事場だにゃあ」

「……スフィンクスですか」

 

 足場と同じような、しかし遥かに小さな箱を椅子のようにして、こちらに飛んできた魔族。

 獅子の混じったようなその姿は、私も見たことがないが、身体的特徴と、ここが冥界であると考えれば見当もつく。

 

「物見遊山もいいけど、こっちに来るにゃ。ここの主はお前に温情を与えるらしいにゃ」

「温情、ですって?」

「あたしからすれば悪趣味でしかないけどにゃあ……まあ、どの道お前に拒否権はないにゃ。さっさと乗るにゃ」

 

 この領域にやってきたことで、私は再び力を奪われたらしい。

 人にさえ及ばない状態で、スフィンクスに抵抗できる筈もない。

 仕方なく、彼女の座っている箱に乗れば、その箱は領域の下層に向かって飛び始めた。

 

「……ふん。冥界がここまで何もないものだとは思いませんでした。こんな場所で下働きなど、さぞ暇の多いことでしょう」

 

 現実感のない風景に不気味さを感じ、気分を変えようとして悪態をつけば、スフィンクスは溜息を返してくる。

 愚かなことを、とでも言いたげな様子は、どうにも私を苛立たせた。

 

「これから忙しくなるのは自明の理にゃ。なにせ、勤めの初日……だのに三人も迎え入れるとか、先が思いやられるにゃあ」

「……?」

 

 初日……? スフィンクスが、冥界の管理をする以外にやることがあるとでもいうのだろうか。

 魔族として相当高い力を持っているように見えるが――ここまで育たないと、役割を与えられないとか……いや、どうでもいいか。

 スフィンクスの仕事になど興味はないのだ。

 それだけで、話すこともなくなり、退屈を感じて目を閉じる。

 

 ――――どれくらい経ったか。聞こえてきたのは、耳障りな音。

 ぐじゅり、ぐちゃりと、水に濡れたもの同士が擦れる音。数えきれないほどの、重なった羽音。

 静謐な冥界の印象とは真逆の、鬱陶しいにも程がある雑音に苛立ちを募らせ、思わず目を開けて。

 

「……は……?」

 

 ――大きな箱の内側で蠢く汚物の群れと、その中心で腹を膨らませる、忌々しき魔族の姿を見た。

 ナイトラクサを狂わせた淫魔の長。火の四天王たるアリスアドラ。

 それが四肢を触手に絡め取られ、無数の虫が肌を這い回り、滴る粘液が体の内外も問わず蠢く、どんな凌辱さえ生温いと感じさせる空間。

 まさか……アリスアドラの後方で、幼い下半身だけ覗かせているのは――ネリネではないだろうか。

 これは……一体、なんなのか。

 込み上げてくる吐き気を、どうにか堪えようとして、その瞬間、アリスアドラと目が合った。

 

「っ……! う、げほッ……!」

 

 咄嗟に目を逸らして、耐えきれなくなり、何も混じっていない胃液をその場に吐き溢した。

 なんだ……今の表情は。

 こんな意味の分からない場所にいながら、その目は、まるで――――代え難い悦楽の中にいるかのような。

 こんなふざけたものを見せて、なんのつもりなのかとスフィンクスに問おうと振り向いて。

 

「なっ――――」

 

 とん、と体を押され、突き落とされた。

 アリスアドラが閉じ込められている箱があっという間に遠くなり、コウモリに化けることさえ封じられた私には何もできず、ただ落ちていくばかり。

 脳がこの領域をまるで理解していない内に、体はさらに下方へと向かっていって。

 

「ぐっ……!?」

 

 やがて落ちたその場所は――触手に囲まれた箱の内側だった。

 

「ひ、ッ――!? や、やだ! 来ないでっ!?」

 

 びちゃり、びちゃりと水音を立てて近付いてくる触手。四方八方からにじり寄ってくるそれは、私に理解できない恐怖を湧き上がらせる。

 逃げ場はない。ほんの少し先の未来を、否応にも想像してしまう。

 黒い触手には、星のような光が無数にまたたいている。

 その、夜空のようなきらめき――つい先ほど、見たような――――

 

「――あっ、ヴァージニアだぁ」

「っ――――」

 

 ――そんな、今まで考えていたことを忘れるほどの、懐かしい声。

 もう二度と聞けることはないと思っていた、大切な妹分の声。

 私は、その瞬間、恐怖を忘れていた。彼女にもう一度巡り合えた喜びの方が勝った。

 聞こえてきた声は背後から。笑みを隠せないまま振り向いて――

 

「――――――――ぇ」

「あはっ……変な顔。なんなのさ、久しぶりの再会なのにぃ」

 

 現在進行形で、触手に体を貪られながらも、恍惚の表情でこちらに手を伸ばしてくるルメリーシャの姿を目にした。

 

「ぃ……あ、いやっ!?」

「あれ……?」

 

 受け入れがたいその光景を見て、私は衝動的にその手を振り払ってしまった。

 しまった、と思うも、ルメリーシャは首を傾げてから……また笑う。

 まるで私がやってしまったことを気にも留めていないように。

 ……駄目だ。ルメリーシャを助けないと。こんなこと、あってはいけない。勇気を出せ、私……っ!

 

「ッ……ルメリーシャ! 今助けます!」

 

 一度振り払ってしまった手をもう一度掴む。

 ルメリーシャも私と同じように、力をなくしてしまっているだろう。

 この下賤な触手から逃れることも出来ない筈だ。きっと、私の助けを求めていたのだ。

 だから、私が助けないと、と力を込めてルメリーシャを引っ張る。

 

「――あはは。ヴァージニア、助けてくれるんだぁ」

「もちろん、です……! 私は、私はあなたを――――」

「あの時は、助けてくれなかった、のに?」

「きゃっ……!?」

 

 ――その言葉に、頭が真っ白になったと同時、逆に腕を引っ張られた。

 力を奪われて、いない。かつてのヴァンパイアの膂力のまま。

 それを認識した時には、私は既に、ルメリーシャに抱き寄せられていた。

 当然――触手も私に這い寄って、たちまち下半身を覆い尽くして――

 

「な、にを……ルメリ――ィぎっ!? ぁ……!?」

 

 感じたことのない激痛――毎日のように受け入れてきた人間どものそれよりも遥かに大きなそれを受け入れたことなど、ある筈もない。

 

「が、ぁ、っあ!? 痛い、い、だい――っ! いや、なんで……!」

「やっと来て……んっ、くれたんだよね、ヴァージニアぁ。あたしが、寂しくないようにって」

 

 意味が、分からない。どうして死んでまで、こんな。

 冥界の安寧は? ルメリーシャは何を言っているの? なんで、これを受け入れたかのような……。

 

「だいじょーぶ。すぐに慣れるし、気持ちよくなるよ。ぐちゃぐちゃにされるのも、この子たちを産むのも」

「は……う、む……? なに……ッ、いや、そんなの嫌ッ! やだ、離して! 抜いてッ!」

 

 助けて――そんな声を聞き入れてくれる者など、どこにもいない。

 一体何が起きているのだろう。

 これが、私への罰か? ここまでのことをしてしまったのか?

 あっという間に思考は恐怖で満ちる。私はここまで弱かったのかと、自嘲する気さえ起きなくて。

 

「ほら、怖がらないで、ヴァージニア。あたしがついてるから……ね?」

「っ……るめ、り、しゃ――」

 

 激痛と嫌悪感の中で、ルメリーシャが私を抱き締めてくれた気がした。

 そのよく知るあたたかさだけが、私にほんのささやかな安らぎをくれた。




近く、評価10の上限が緩和されるようなのでこれを機に高評価いただけると、私のモチベーションに繋がるので是非ともよろしくお願いします。
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