凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法 作:けっぺん
リッカが変わってしまったのは、一年くらい前。
理由が何なのかは分からない。リッカに聞いても教えてくれない。
あの頃は、魔王によって僕が勇者に任命される前だったし、きっかけらしいきっかけもなかった。
リッカはずっと昔から変わり者だった。
僕と二歳しか違わないのに、村の大人たちと難しい話をしていたし、普通はもっと大きくなってから学ぶ魔法を勉強し始めたのも五歳くらいだったと思う。
あまり体が強くないのに森に出て、おじさんとおばさんにこっぴどく叱られたこともあった。
魔族は人が住む村や町の中には、特別なことがない限り入ってはいけない。
それが魔王の命令である以上、村の中にいれば安全。
成人して狩りを教わるまで、絶対に外に出るなと言われていたのに、魔法を学んで少し特別な気分になったらしいリッカは度胸試しに村を出た。
――リッカがカルラを連れてきたのも、その時だ。
リッカに負けず劣らず変わり者だったカルラは魔王や他の魔族の在り方に懐疑的だった。
別に種族が違っても、友達になれればそれでいいのにという考え方は、他の魔族もそうであったらと思わずにはいられないものだ。
魔族にも優しい子がいるんだと知ることが出来たのはカルラのおかげ。
最初は村に受け入れられなかったカルラだけど、リッカと一緒に何度も頭を下げて、とうとう村長も村のはずれに住むことを許した。
すぐにリッカはカルラを紹介してくれて、僕もカルラと友達になった。
それから、僕とリッカとカルラ、遊ぶときはいつも三人一緒だった。
「リッカ、どこ行ってたの?」
「カルラのとこ」
勇者として選ばれ、村を出る前夜。
村のみんなが用意してくれた祭りもお開きになって、あとはもう寝るだけ。
この一年ほど家にこもりがちだったリッカは、その日は珍しく遅くまで外に出ていた。
ようやく帰ってきたと思ったら出てきたのはカルラの名前。最近は二人が会うことも少なくなっていたので、少し驚いた。
「喧嘩別れしてきた」
「……なんでまた?」
「そうでもしないと、あの子は無理にでも付いてくるから」
虚ろとした、濁った目を細めて、リッカは言った。
暇な時間、ひどい時は夜中ずっと、自分の部屋で何かをしていたリッカ。
当たり前のようにその目元には隈がある。一年前までの当たり前であった明るい表情なんて面影すらない。
けれどリッカの優しさは変わっていない。
カルラはきっと、僕たちに付いてきたいと言うし、僕はそれを断り切れない。
そうして一緒に旅に出れば、カルラは魔族の裏切り者だ。
どうせ僕たちの旅は道半ばで終わる。そうなったとき、僕たちに味方したカルラがどうなるかなんて分かり切っている。
それをリッカは未然に防いだのだ。わざとカルラを引き離すことで。
リッカはいつもそうだ。一番損な役割を誰より早く持っていく。
最後まで、僕はそれに甘えっきりらしい。
本当に、情けないったらない。
「……リッカも。村に残った方がいい。駄目だよ、一緒に来たら殺される」
怖い。死にたくない。一人で旅に出るなんてありえない。
でもリッカまで死ぬことはない――だったら僕一人で死んだ方がマシだ。
そんな僕なりの勇気を、リッカは首を横に振って拒否した。
「ユーリ。私はユーリと一緒にいる。死なないし、ユーリのことも死なせない」
その濁った目には、僕よりも勇者らしい決意があった。
ずっと一緒だったからと、村長たちに頭を下げて同行を認めさせたリッカ。
彼女は諦めていない。
必ず魔王を倒す。何があろうと止まらない。“二人で”生き残る。
そんな意思が伝わってこないほど、僕はリッカを知らないわけじゃない。
「……また弱音吐いちゃった。ごめん、リッカ」
「慣れてる。けど、私が支えてやればユーリは絶対諦めない。でしょ?」
「うん、そのつもり」
別にそんな風に体を張ったことなんてないけれど。
狩りを覚えるまで必要ない筈だった勇気だけが僕の取り柄で、それをリッカは知っていたから、ずっと僕にそう言ってきた。
結局のところ、自分のためよりリッカのため。それが僕にとって、一番自分を奮い立たせる気の持ちようなのだ。
「……でも、カルラと離れるのは少し寂しいかな」
「――離れないよ。カルラは、ずっと一緒にいる。一緒に、戦ってくれる」
とんとん、とリッカは自分の額を指で叩く。
カルラの存在は、カルラとの思い出は、これから先の苦しい旅を支えてくれる。
つまりはそういうことなのだろう。
「そういうのって、胸を叩くものなんじゃない?」
指摘してやれば、少しずれた幼馴染は曖昧に笑った。
338:転生領域の名無しさん
そこでアイス食べただけでバッドエンド直行とか見抜けるわけねえよ。
339:転生領域の名無しさん
束の間の甘味すら許されないのか……。
340:転生領域の名無しさん
敵幹部の御膝元で呑気にアイス食ってるのもたいがいだけどな。
341:転生領域の名無しさん
それはそう
342:転生領域の名無しさん
いや、でも本当にアイスがフラグになってるのか?
343:転生領域の名無しさん
俺的にはストロベリーを選んだのが駄目だったと思う。
344:転生領域の名無しさん
なら今度はレモンで試してみるってのはどうだ?
多分アイスデートからの生存ルートはあるだろ。
345:TS幼馴染系魔法使い
また一年先延ばしになること分かって言ってる?
二人揃って即死な分マシではあるけど死ぬんだよ?
346:転生領域の名無しさん
正直すまんかった。
347:転生領域の名無しさん
即死がマシという風潮。
348:転生領域の名無しさん
拷問の現場とか見た身からするとわからんでもない。
349:転生領域の名無しさん
デートイベントも満足にできないとかクソゲーすぎんか?
350:転生領域の名無しさん
マルチバッドエンド作品にそんな息抜きが存在するとでも?
351:転生領域の名無しさん
そういや魔王までも辿り着いていないから終盤の展開イッチも知らないんだよな。
352:転生領域の名無しさん
魔王を倒したら裏ボス登場か。
353:転生領域の名無しさん
救いはないのですか……?
354:TS幼馴染系魔法使い
そうなったら裏ボスも苗床だよ。
355:転生領域の名無しさん
やだこのイッチかっこいい……。
356:転生領域の名無しさん
言ってること最悪だけどな。
357:転生領域の名無しさん
どっちが魔王だよ。
358:転生領域の名無しさん
デートは否定しないのん?
359:転生領域の名無しさん
旅が常時デートみたいなものじゃん
360:転生領域の名無しさん
どこからバッドエンドが飛び出してくるかも分からんものをデートと言えるかどうか。
361:転生領域の名無しさん
吊り橋効果にも限度があるぞ。
362:転生領域の名無しさん
ともかく否定しないということはイッチが満更でもないことの証左でもあるわけで
363:転生領域の名無しさん
TSした奴が元・同性への恋を自覚する甘酸っぱい展開からしか得られない栄養素がある。
364:転生領域の名無しさん
分かるマン
365:転生領域の名無しさん
その感情からようやく自分が本当に『女』になったことを知るんですよね
366:転生領域の名無しさん
どうしてこう転生者ってのはTSに造詣が深いんだ。
367:転生領域の名無しさん
転生繰り返す過程で何回かやってるんだろ、察してやれ。
368:TS幼馴染系魔法使い
恋愛云々の前に女であることは何百回と自覚させられてるわ死ね。
369:転生領域の名無しさん
すみませんでした。
370:転生領域の名無しさん
ごめんなさい。
371:転生領域の名無しさん
草
372:転生領域の名無しさん
イッチ、キレた!
373:転生領域の名無しさん
甘酸っぱさもなにもあったもんじゃねえ。
374:転生領域の名無しさん
俺やさしい世界に転生して良かった
ここで魂使い尽くすことにするわ
375:転生領域の名無しさん
こういう世界があることを知ると次が怖くなるよな
376:転生領域の名無しさん
次があるってことは有能な転生者の証だぞ。
377:転生領域の名無しさん
つらいわー、優秀なのつらいわー
今生も余裕持って世界救っちまってつらいわー
378:転生領域の名無しさん
本当つらいわ。
379:転生領域の名無しさん
それでも付き合い続けるお前らのこと、管理人は好きだと思うよ。
380:転生領域の名無しさん
一ミリも嬉しくねえ。
381:転生領域の名無しさん
やつのせいでイッチも苦しんでるんやで
382:転生領域の名無しさん
アイスは置いといて真面目に考えると旅の山場は四天王とやらだと思うんだよな
383:転生領域の名無しさん
魔王って幹部に四天王据えがちだよね
384:転生領域の名無しさん
そういうポジション作りたくなる気持ちはわかる。
385:転生領域の名無しさん
イッチは四天王との交戦経験あるみたいだけど、どんなもんなん?
386:TS幼馴染系魔法使い
会ったことあるのは二体だけど、戦ったことがあるのは片方だけ。
もう片方には手下使った物量戦仕掛けられて負けた。
387:転生領域の名無しさん
指揮官タイプの幹部か、定番だな。
388:転生領域の名無しさん
じゃあ本人の戦闘能力は不明、残り二体は正体も不明か。
そりゃあ強化魔法もやりすぎなくらい用意するよな。
389:TS幼馴染系魔法使い
唯一戦ったのはエルフ騎士なんだけど単純にレベルが違った。
390:転生領域の名無しさん
ほう、エルフ騎士とな。
391:転生領域の名無しさん
苗床のために用意されたようなキャラ性じゃん
392:転生領域の名無しさん
くっ、殺せ!
393:転生領域の名無しさん
服脱いだ
394:TS幼馴染系魔法使い
男な。
395:転生領域の名無しさん
服着た
396:転生領域の名無しさん
解散
397:転生領域の名無しさん
判断が早い。
398:転生領域の名無しさん
だが今の我々には連中をTSさせる手段がある。
399:転生領域の名無しさん
なんで俺らがイッチの勢力になってるんだよ。
400:転生領域の名無しさん
イッチの勢力みたいなもんだろ。
401:転生領域の名無しさん
騎士のふりして四天王最屑だったりするんだなあ、それが。
402:TS幼馴染系魔法使い
まともな方ではあるよ。強さはともかく性質だけは魔族でも数少ない清涼剤に感じた。
戦いが終わっても「力を付け、また挑むがいい」って逃がしてくれたし。
まあその後そいつの目の届かないところでそいつの取り巻きの性処理ついでに殺されたんだけど。
403:転生領域の名無しさん
二行目で感心したらこれだよ。
404:転生領域の名無しさん
部下はまともじゃなかったんやなって。
405:転生領域の名無しさん
そういう世界なんだからエルフ騎士の方が異常なんだぞ
406:転生領域の名無しさん
でもそのタイプの敵って上手くやれば自軍入りもありえるよな。
407:転生領域の名無しさん
四天王ポジションのパーティ入りは熱い。
408:転生領域の名無しさん
なお弱体化。
409:TS幼馴染系魔法使い
いや、パーティ入りとかさせないよ?
410:転生領域の名無しさん
即答で草
411:転生領域の名無しさん
取り付く島もない憎悪、清々しい
412:転生領域の名無しさん
けど強さのレベルが違うんでしょ?
ゲーム的な弱体化も多分無いし、仲間にした方が得じゃない?
413:転生領域の名無しさん
戦力は多いに越したことはないよな。
414:TS幼馴染系魔法使い
最初の頃、何度か魔族入りのパーティになったことがある。
それで俺と勇者がどういう末路を迎えたか教えようか。
415:転生領域の名無しさん
あっ……
416:転生領域の名無しさん
根拠がちゃんとあるときた。
417:転生領域の名無しさん
美味しい話には裏があるもんやな。
418:転生領域の名無しさん
そこは掘り下げなくていいぞイッチよ
419:TS幼馴染系魔法使い
そうか。アルラウネが上位種に絶対に逆らえない話とかを懇切丁寧に説明しようと思ったんだが。
420:転生領域の名無しさん
もうその概要だけで何が起きたか分かるわ。
421:転生領域の名無しさん
じゃあもしもエルフ騎士が仲間にしてほしいと言ってきたら?
422:TS幼馴染系魔法使い
魔力と使い魔を増やしてくれる役を仲間と定義できるなら望みは叶えたことになるんじゃない?
魔族の価値観は知らんけど。
423:転生領域の名無しさん
コイツいけしゃあしゃあと。
424:転生領域の名無しさん
そう定義するならイッチの思惑通りいけば仲間がたくさん集まることになるな!
425:転生領域の名無しさん
モンスター収集ゲームだったのか。
426:転生領域の名無しさん
トレーナーが戦わせる気一切ないけどな。
427:転生領域の名無しさん
ところでイッチよ。
イッチの作った魔法について、気になったことがあるんだがいいか?
428:TS幼馴染系魔法使い
答えられることなら答えるよ。
429:転生領域の名無しさん
これだけカミングアウトしといてまだ答えられないことがあるのか……。
430:転生領域の名無しさん
サンクス。
その魔法を使用するための魔力って捕えた魔族から補充するんだろ?
最初はどうするの? まだ一体も倒していないとき。
431:転生領域の名無しさん
そういやまだ苗床自体は誰もいないのか。
432:転生領域の名無しさん
手持ちゼロで草むらに入るなとあれほど
433:転生領域の名無しさん
魔力を貯蔵しておくマジックアイテムなりなんなりあるんじゃね?
こんなもん作って初動を考えてないわけないと思うが。
434:TS幼馴染系魔法使い
初動の用意はしているから安心してほしい。
とりあえず軌道に乗るまではどうにかなるはず。
435:転生領域の名無しさん
そこがふんわりしてるのは初運用だし仕方ない……のか?
436:転生領域の名無しさん
用意とやらが何なのか気になる。
437:ふみなぺでぃあ
魔力を溜め込む魔石の類がそっちにあるなら解決しそうだが。
438:TS幼馴染系魔法使い
魔石は使ってない。この辺じゃ手に入らないんだよな。
これも別に隠すようなことじゃないから教えるわ。
わたしがこの村の一員になれたのは、すごく変わり者な女の子がいたからだ。
近くに村があることは知っていた。だけど、そこに入るつもりはなかった。
何故ならば魔王さまが原則として禁じたから。
特別な魔法が掛けられているわけではないけど、どんなに考えなしの魔族でも無暗に侵入したりはしない。禁令は魔族にとって、心の底にある常識のようなものだった。
そこに――もっと言えば、人間と魔族の関係そのものに疑問を持つことは、魔族として異常なのだと思う。
他の仲間はそんなこと考えてすらいなかったから。
わたしは突然変異。生まれた時からおかしかった暗がりの花。
そんなわたしを見つけた人間は、わたしと同じくらいおかしかった。
魔族を恐れない人間なんていない。魔族への恐怖心は人間にとって常識ですらなく本能だ。
なのに、その子はわたしをまるで恐れなかった。
どころか「本当にいたんだ!」などと嬉しそうに近寄ってくる始末。
困惑するわたしの周りをくるくると歩き回り、好奇心に満ちた目で見てきたある意味衝撃的なファーストコンタクトは、今でも覚えている。
まるで男の子みたいな女の子――リッカとは、すぐに仲良くなった。
人間と友達になれる日なんて、こないと思っていた。
わたしの当たり前をあっという間に壊してしまったリッカは、住んでいる村の当たり前もあっという間に壊してしまった。
村の隅っこに根を張ってもいいと許されて、わたしはこの村の一員になった。
リッカはすぐにユーリを紹介してくれた。
ユーリは怖がりだったけれど、それでも魔族であるわたしにすぐに近付けた辺り、やっぱり変わり者。
リッカとユーリは生まれた年が二年も違って、女の子と男の子だけど、まるで同い年の男の子みたいだった。
それから遊ぶときはいつも一緒。
リッカも、ユーリも、わたしにとって何よりも大切なものになった。
リッカが大好きだから。ユーリが大好きだから。この村のみんなも大好きだから。
――だからわたしは、ユーリが勇者に選ばれたのなら、一緒に魔王さまと戦う意思があった。
「……どうしても、駄目なんですか?」
「駄目。一緒にいれば、カルラは魔族の裏切り者――優しいカルラは、その罪悪感に耐えられない」
けれど、リッカはわたしの同行を拒否した。
わたしがいれば、他の村や町に入れないからとかではなく、あくまでもわたしが耐えられないから。
魔族としてあるべき感情との折り合いを付けられないからと。
「……」
否定は、できなかった。
どれだけおかしくても、結局わたしは魔族なのだ。
二人と旅に出れば、その事実にどうあっても向き合うことになる。
その時わたしはどうなるのか。二人の味方をすることは決まっているけれど、迷いと罪悪感は二人に迷惑をかける。
その迷惑は、ユーリを絶対に死なせたくないリッカにとっては、許せないものなのだろう。
「もう……ずるです。ずるいです、リッカ。もっと冷たく“役に立たないから”とでも言ってくれればいいのに」
「私たちより強いんだから、そんなこと言えないよ」
「……もう――もうっ!」
感極まって、リッカの細い体を抱き締める。
折れてしまいそうな細さと脆さでこれから、たった一人でユーリを支えることになるリッカ。
二人の力になれないことが悔しかった。
どんな形でもいいから二人の力になりたいのに、それが叶わない自分が嫌で仕方なかった。
「絶対……絶対戻ってきてくださいね! わたし、二人とこれでお別れなんて絶対嫌です!」
「……そうだね。私も、これでカルラとお別れなんて嫌だ」
「忘れないでくださいねっ、わたしを――わたしを忘れちゃ駄目ですよっ! 離れていても、ずっと一緒なんですからねっ!」
夜だってことも忘れて、想いをぶつける。
ずっと三人一緒だったのだ。これからも気持ちだけは、ずっと一緒なのだ。
「――うん。忘れない。絶対に忘れない。ずっと一緒だよ、カルラ」
そう言って、リッカはそっと、抱き締め返してくれた。
『カルラ』
【属性】土/木/冥界
【攻撃力】■
【防御力】■■
【素早さ】■
【魔 力】■■■■
【精神力】■■■
【種族】アルラウネ種
魔力を浴びた植物の種が発芽した時、アルラウネは稀に誕生する。
意思持つ植物として有名なアルラウネはマンドレイクと違い、草を纏った人間のような容姿を持つ。
ただしその人懐こい外見に騙されてはいけない。
人間の胎内とは、アルラウネにとってとても好ましい環境なのだ。
またアルラウネは自由な種族である。基本的に種族内での上下関係がなく、他の個体に命令するという文化もない。
アルラウネ島と呼ばれる孤島におけるクイーン・アルラウネの権能も、島の外出身の個体には一切通用しない。
例外はない。そうとしか思えない出来事があったとしたら、それは紛れもなくその個体の意思だろう。
【『冥界鍵』カルラ】
ミント草のアルラウネは地上においては決して生まれ得ないとされている。
冥界に由来する植物であるミント草に適した性質を持つ魔力がきわめて希少なためだ。
冥界の属性とは死者が死者として蘇るだけでは地上で成立しない。
ゆえに机上論ではあるが、冥界属性を有するアルラウネ種が誕生したとすれば、その個体は通常のアルラウネとは隔絶した潜在能力を持つだろう。
冥界に由来する魔族の例に漏れず、アンデッドに対し絶対的な有利を持つことも確実だ。
他とは異なる価値観に理解を示す者が現れ、またアルラウネ自身が己の本当の力を自覚すれば、或いは世界の歴史をも変えるだろう。
【ユーリの評価】
「リッカが連れてきた変わり者のアルラウネ。僕とリッカの大切な友達。絶対リッカと一緒に帰ってきて、仲直りさせてあげなきゃね」
【リッカの評価】
「――うん。忘れない。絶対に忘れない。ずっと一緒だよ、カルラ」
「……『なんで』『どうして』、だって。凄いねカルラ、あの時と同じだ。私たちって、本当に似た者同士だよ」