凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法   作:けっぺん

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生と死のカーテンコール/4

 

 

 ――辺りを満たす甘たるい香りが、異変の始まりだった。

 

 その時、わたくしは自室で眠っていた。

 わたくしにとっての嫌な日常が始まった頃は、夜まともに眠ることさえ難しかったけれど、何年も経てばそれも当たり前になる。

 夜に眠って、朝起きる。そのくらいはできるようになっていたわたくしにとって、夜中に目が覚めるのは珍しかった。

 香木などでは絶対に出せない香り。脳に沁み込んで、そのまま全身に回って、存在のすべてを蕩かしてしまうのではというほどのねっとりとした香り。

 

 わたくしはすぐさま、枕元に置いていた魔道具を起動した。

 ディアネシュアに伝わる浄化の魔法は、わたくしが得意としていた魔法の一つ。

 不意の異変に遭遇した時、いつでも使用できるように、わたくしは魔道具にその術式を刻んでおいていた。

 幸い、その香りに浄化は有効だったようで、快楽とも不快感ともいえるなにかは体から消えていった。

 安心したのは一瞬だけ。浄化が効くということは、その香りは人体に悪影響を与える危険性が高いということ。

 少なくとも、睡眠をとっていた自室は、しっかりと防衛魔法の掛かった王宮の内部。そんなところまで、何かの危険が入り込んできている。

 その異変を前にして――わたくしは、他の誰かを守ろうという気にはなれず、ただ怖くて震えていた。

 たとえば魔族の襲撃があったのだとすれば、それと戦える手段などわたくしにはない。自衛のための、最低限の魔法を持つばかり。

 

 だけれど、なんの希望もないのかといえばそんなこともなくて。

 部屋の隅で震えていれば、すぐに兄様が助けに来てくれると、そういう確信があった。

 心配だし、不安だけれど、それでもわたくしには兄様がいると、そういう信頼があった。

 

 だからこそ、信じられなかった。

 王宮各所に連絡をするための魔道具に入ってきた、“兄様がネシュアを裏切り、魔族の力を解き放った”という報せを。

 混乱するわたくしの耳に、遠く市井から悲鳴が聞こえてきた気がした。

 

 受け入れられない。受け入れられる筈もない。

 お父様の死、お母様の死。次々と報せがやってきて、やがてそれもなくなって、わたくしは何故という疑問を消化できず。

 浄化の魔法も間もなく効果がなくなるという頃、部屋の扉が開かれた。

 入ってきたのは、兄様だった。ほんの僅かに不安を滲ませた、しかし不自然なまでに落ち着いた表情の兄様は、震えるわたくしに、ゆっくりと手を伸ばしてきた。

 

 それが、最後の光景。兄様のことを受け入れられないまま。そして、事態の詳細さえ理解できないままに、わたくしは永い眠りについた。

 

 ……あの時、兄様は既に魔族になっていたのだろう。

 ネシュアは既にアリスアドラの手に堕ちていて、わたくしは浄化の魔法があったから、少しの間だけ延命できていた。

 あの魔法が得意だということを、兄様は知っていた。枕元に魔道具を置いていたことも、兄様は知っていた筈だ。

 

 今なら、分かる。

 兄様が魔族となったのは、ネシュアに見切りをつけたから。

 そして、同時に――あの人はわたくしを。

 

 わたくしだけをアリスアドラから、守ろうとしていたのだ。

 

「ッ、はは……これが、死ぬという感覚か。一度目はずいぶんと特殊だったからな……妙に新鮮に感じるよ」

「おや。死を司る者が死を知らないとは。新しい発見です。この状況は想定外でしたが、それを知ることが出来たので幸運と受け取りましょう」

 

 灰のような粒子が、きらきらと舞う。

 その輝きは部屋の明かりに照らされたもの。間違っても、それそのものが光っている訳ではない。

 だが、今だけはその死の結晶の一粒一粒が、眩しく見えた。

 

「しかし、不可解。オドマオズマ様……今のあなたには、恐れがないように思えます。死にゆく恐怖は、道を誤り、そして積み重ねた時間が長いほど大きくなる。私はそう認識しているのですが。アンデッドの価値観は異なるのですか?」

「間違ってはいないさ。千年……思えばずいぶんと長い“死”だった。今わの際に回想するには、いささか私の物語は分厚くなり過ぎたようだ」

 

 私の目の前で、まるで糸に吊られているかのように不自然に立つ兄様の後ろ姿。

 その背中からは、真っ白な刃の切っ先が突き出ていた。

 

「では、もっと恐怖を露骨にした方がよろしい。絶句、饒舌、錯乱、逃避……あなたの態度は、そのいずれでもありません。あなたは間もなく、この世から消えるのですよ。永遠に、次の目覚めはないのです」

「……いやはや、私もいつか、そういう“悪役らしい”終わりを迎えられれば本望だと思っていたのだがね。結果はこれだ。想定していたものではなかったが、思いのほか、悪くはない」

「……悪くはない、ですか」

 

 刃は、間違いなく私に向けられたものだった。

 あの切っ先が、死に対して非常に優位に立つものであることは、わたくしの肌が感じている寒気からも歴然だ。

 どれだけ生を謳っていようとも、あれを受ければ一たまりもない、天敵に位置する剣。

 そして、それは兄様も変わらない。アンデッドの頂点に立つ存在であろうとも、死を否定するものに対しての万全な耐性を有している訳ではない。

 兄様がわたくしの敵であるのならば――こんなことをする理由なんて、ないのに。

 

「道化を演じるならば死の淵まで期待された絶望を声高らかに歌い続ける。それが、あなたの流儀だと思っていたのですが。『天骸』のオドマオズマ様、どうやらあなたは最後の最後で、在り方を損なったようだ」

 

 そう……敵。わたくしと兄様はもう、元の関係には戻れない。

 兄様は絶対的に、ネシュアを裏切り、この世界そのものを変えるきっかけを齎してしまった、元凶の一人なのだ。

 因果応報――こういう結末を迎えることが相応しいと、わたくしは理解している。それを受け入れるべきである筈なのに。

 

「……確かに、私らしくない。だが、同時にどこまでも、私らしいと思うのだよ」

「……なんですって?」

 

 どうして、どうして――こんなにも悲しいのか。こんなにも、涙が零れてくるのか。

 どうして、わたくしが見ているその背中が、どうしようもないほどに“兄様”なのか。

 目覚めた時の、あの悪辣さを覚えている。わたくしをユーリの試練に利用したことを覚えている。あれがきっかけで、多くの尊い思い出を得られたけれど、それでも兄様は、わたくしを利用した。

 兄様は、世界の敵だ。兄様は、わたくしの敵だ。

 だけど――

 

「――最期くらい、私も、『天骸』ではなく、ナディアの兄に戻ったっていいだろう?」

「兄、様……っ!」

 

 やっぱり、わたくしの本心は――――今の“兄様”を、否定したくない。

 

「……そうですね。人を捨てて魔族となった者が、魔族を捨てて人に還る。そういう在り方も、あるのでしょう。あなたらしからぬ平凡な結末ですが――それはそれで、見るべきものもあるかもしれません」

 

 そのひと時は、不思議なほどゆっくりと、長く感じられた。

 白塗りの刃が引き抜かれ、アンデッドが存在を維持するために必要なものが、修復不可能なほどに破壊される。

 飛び散っていく、さまざまなものを気に留めている余裕はなくて。

 わたくしは、こちらに倒れてくる兄様の、あまりにも軽い体を抱き留めるので精一杯だった。

 

「兄様……っ、ああ、兄様!」

「……ふっ……よくない、よくないな、ナディア。私の死を、そんなに悲しむものじゃない」

「いいえ! 今の兄様は、わたくしの兄様なのでしょう! ならば悲しみます! っ、誰にも悲しまれずに逝くなんて、そんなの許しませんっ!」

 

 ――兄様はあの時、わたくしを守ろうとした。自分の齎す破滅に、巻き込みたくなかった。

 いいだろう、憶測の答え合わせなんて求めない。口にしてもらわずとも、今の兄様の目が、それを確信にしてくれている。

 だから、この確信を胸に、わたくしは向き合いたいのだ。

 生前に唯一、わたくしのことを想ってくれた、たった一人の家族の最期を。

 

「……キミは我儘だね、ナディア。その我儘に、私はいつも頭を悩ませていた。キミが満足する物語を、いつもいつも、考えていた。キミが苦しみを忘れて、空想に夢を馳せられるように」

 

 かつてのわたくしの、唯一の楽しみ。現実から目を背けるための、空想への逃避。

 それはいつだって、兄様が齎してくれた。あの冒険譚の躍動を、恋愛譚の眩しさを、わたくしは覚えている。

 

「けれど、今はもう必要ないだろう。だって、もうキミには、空想なんて必要がない」

「……はい。もっと輝くものを、たくさん見つけました。そして、これからも……紡いでいくんです。わたくしは、大好きな友達と、たくさんの物語を」

 

 それを思い出すことは、もうできないかもしれない。その、ほのかな幸福は、わたくしにとって過去になりすぎた。

 ならば、それを糧にして進んでいく。皆とともに歩んで、新たな物語にしていく。

 今のわたくしは――そういう希望で満ちている。

 

「――は、はははっ! そうか! ――ならば、祝福するほかないか、キミの門出を。語り手として、そして……兄として」

 

 恨みなんて、山ほどある。けど、それ以上にわたくしは、この人を愛していた。

 最後の最後にこの人は、わたくしを助ける兄様に戻ってくれた。それならば、これ以上の恨み言はなしだ。

 すべてを赦すのには、きっと時間がかかるのだろうが――今だけは、気にしない。

 だって、ここにいるのは、わたくしの……わたくしだけの兄様なのだから。

 

「……生きろ。輝かしい物語を、今度こそ……キミ自身で歩いていくんだ。ナディア――私の愛しいナディア」

「はい――ありがとう……ゼニス・オッドマギア・ディアネシュア。わたくしの……愛しい兄様」

 

 ぱらぱらと、灰となって消えていくその体。そして、その灰さえもが魔力へと変わり、散っていく。

 兄様が後に遺してくれるものは、何一つない――いや、違う。

 触れているこの体も、冷たくもあたたかい感覚も消えてしまうけれど。

 

 ――兄様が目覚めさせたわたくしは、ここにいる。

 

 一つだけ……心残りはあった。

 ホープに、兄様の物語を聞かせることができなかったこと。

 もしかすると、ホープは怒るかもしれないけれど……その時は、でも仲直りはすることができたと、言い訳をして謝ろう。

 

「……輝かしい物語、ですか。私としても、それは肯定したいのですが……」

「ああ……まだいたのですね、あなた。てっきり、空気を読んで去ったものとばかり」

 

 そんな未来に思いを馳せていれば、目の前に立つサキュバスから乾いた言葉が降ってくる。

 ああ……余裕なのだろう。わたくしはもう満身創痍。外装を紡ぐことも、もはや出来ない。

 このまま座り込んでいるだけが限界で、碌に抗うことさえない。魔族からすれば、これほど容易い獲物もいまい。

 

「見守らずに去るなど、できる筈もありませんよ、妹様。実に見応えがありました」

「であれば、対価に銅貨でも置いてどこかへ行きなさい。わたくし、もう少しだけ浸っていたいので」

「そうしたいのですが……興味が湧いてしまったのですよ。妹様の約束された旅路……それを断ってしまえば、どれほど甘露なのだろう、と」

「趣味が悪いですわね」

「自覚はしています。予測できないもの、まだ見えないものでしか……私はもう、満たされないのですよ」

 

 そういって、そのサキュバスは剣をゆっくりと振り上げる。

 ほんの一秒あれば、わたくしを真っ二つにできるだろうに、そうしないのはもっと恐怖を煽りたいからか。

 けれど……そんな恐怖は湧いてこない。

 むしろ、強気に笑ってみせた。そうするべきだと、思ったから。

 

「残念ながら、わたくしを殺すことは叶いませんよ」

「それは、どうして?」

「だって――わたくしは約束したんですもの。皆で、生きて、ハッピーエンドに辿り着くと」

「ッ」

 

 剣を振り下ろすことを躊躇って生まれた数秒。

 別に根拠なんてなかったものの、やってきていると分かっていた“炎”が、辿り着く。

 奥の扉を吹き飛ばし、ずいぶんと荒っぽい登場で巻き起こった火炎に、サキュバスはその場を飛び退くことを余儀なくされて。

 そして、代わりに勇気を灯した赤い衣に身を包む、わたくしの友たる勇者がそこに立っていた。

 

「――ナディア、無事?」

「遅いですわよ。どうせなら、わたくしが泣いてしまう前に助けにくれば良かったものを」

「これでも全力で飛ばしてきたんだけど……なんで泣いてるの、ナディア」

「国家機密です」

「何それ……」

 

 軽口を飛ばし合う。ここから先、わたくしが手に入れたい尊い時間の、ちょっとした前借り。

 さて……仕方ないが、ここは守ってもらわねばなるまい。

 少しだけ疲れた。彼は、傷心中のわたくしくらい、守れる勇者である筈だ。




『オドマオズマ』
【属性】土/死
【攻撃力】■■■■
【防御力】■■■■■■
【素早さ】■■■■■
【魔 力】■■■■■■■■■■■■
【精神力】■■■■■■■■■■

【種族】マスターリッチ種
死者の王と呼ばれるリッチは、決まった形で死体の腐敗が進行したり、死体に特殊な加工を施したりといった方法では成立しない。
リッチへと昇華されるにおいて重要なのは、貴き血であるとされている。
王族の血統に、死体となっても高貴であることを損なわないための契約がなされているという言い伝えもあり、過去にはネシュア王家の庶子数人が一夜にしてリッチとなる事件があったとされる。

リッチはアンデッドとして極めて強力な魔族であり、特に生前得意としていた技術に磨きがかかることが多い。
魔法に秀でたリッチもいれば、剣術に秀でたリッチもいる。後者であれば、死者は動きが鈍いという固定観念を覆す存在ともなる。
一方で、リッチの印象として抱きやすい、死者を操る性質を持つ個体は実のところ少ない。
そして、ただの死体を動かすだけならばともかく、ゴーストや人間以外の死体、魔族として数えられない芥のような魂さえも自在に操れるような所業はリッチにさえあり得ない。

それを可能とする存在がいたとすれば、死者の王さえ超えた存在。
すべてのアンデッドを統べる王の中の王(キング・オブ・キングス)、究極のリッチといえるだろう。

【『天骸』オドマオズマ】
その青年のはじまりは、絶望だった。
最愛の妹が、国の未来のために努める妹が、国の政策に貪られていた絶望。
父である王に愚行を止めさせるよう進言しても、それが国のためになると一蹴された絶望。
妹の最大の理解者であると自負していながら、手遅れになるまでそれに気付けなかった絶望。
ネシュアを誇りに思い、ネシュアの未来のために生きようとしていた一人の青年の希望は、積み重なった絶望に塗り潰され、崩壊した。

どうして彼女がこのような目に遭わなければならないのか。
あの子は純粋で、夢見がちで、誇りを忘れず、そして愛を忘れないただの女の子だというのに。

絶望は、彼を狂気に駆り立てた。自暴自棄に辿り着くのに、そう時間はかからなかった。
もう、こんな国、どこまでも堕ちてしまえばいい。だが、この国は滅びるには強くなりすぎた。
バルハラに抗するために研鑽を続ける決戦派をはじめとした多くの派閥が築いた技術は、並の魔族を寄せ付けないほどに堅牢であった。
であれば、何も力で滅ぼす必要はない。
人を滅ぼすだけであれば力などなくとも、欲を唆してやるだけでいい。
浅ましい獣欲でお前が絶望したのであれば、浅ましい獣欲こそがネシュアを滅ぼすのだと――そう、空より言葉が下りてきた。
その言葉に従い、彼は己が国に一人のサキュバスを招き、国枯らしは実行される。

絶望から国を滅ぼす男は、彼を唆した言葉の主によって、死者の王さえ超える存在へと昇華された。
一夜の悲劇における始まりの死者となった彼が、魔族として最初に行ったことは、妹を手にかけることだった。
妹を枯らすことなどできない。妹はそれに足るほど、愚かな存在ではない。
だからこそ、彼は妹を死に至らしめた。歪みながらも純粋な、愛ゆえに。

他の魔族を凌駕する力を持った彼は四天王として、人間を弄ぶ存在になった。
勇者というしきたりが始まった時点で、それに対する罪悪感は既になかった。
彼は既に、人間に絶望していたのだ。もはや、人間が使命を果たせるほどの力を持つとさえ思っていなかった。
彼が勇者たちに求めるものは、道化としての才。
己が紡ぐ脚本の通りに動き、そしてほんの僅かな想定外だけ齎してくれれば、それでいい。
絶望の果てで彼は人間性を失い、人間を嘲笑う魔族となっていた。
狂気に侵されれば、愛も失う。千年の月日が経つ頃には、彼は妹でさえ試練に扱うほどに摩耗していた。

――『天骸』たるオドマオズマ。世界の結論、完成の果てに、何を望むか。

――混沌たる世界を。すべてが希望というまやかしに踊り、絶望への道をひた走る世界を。

人間に絶望し、人間を嘲笑う、人間を捨てた者。
そこにあった名残は、物語への執着。そのはじまり、そのきっかけである一つの絆は既に失われた筈だった。
しかし、彼女が新しい生で手に入れた輝かしい友情は、彼女が浮かべる眩しい笑顔は――僅かな時間なれど、かつての在り方を取り戻させた。
あの子はきっとこれから先、幸福に満ちた、輝かしい人生を歩むことができる。
ありきたりではあるが、だからこそ尊い……それはなんと素晴らしい物語であろうか。
ゼニス・オッドマギア・ディアネシュア。
彼の最期は、彼らしからぬ美しい希望に満ちていた。

――混沌など望まない。

――あの子の幸せを。あの子の平穏を。あの子が描く、良き物語を。

【ナディアの評価】
「最後のあなたは、わたくしの大好きな兄様だった。それなら、良いのです。わたくしは、兄様の望む通りに、何よりもわたくしの望む通りに、未来へ歩いていきましょう」

【エコーの評価】
「……」

【コッペリアの評価】
「コッペはどちらかというと、フレアちゃんの脚本の方が好きなのよね。夢を見せるなら、本物の希望の方が良いじゃない?」

【キャプテン・フレアの評価】
「あいつ、最初は話が合うと思ったんだけどなぁ。あたしとは決定的に脚本の方向性が違うんだよ。希望ってのは、絶望に嘲笑われるものじゃないのにさ」

【リーテリヴィアの評価】
「物語を好み、そして試練を物語と捉える。彼はこの千年、魔族らしい試練を徹底していたと言えよう。だが、俺は好みではないな……勇者たちの努力を嗤うようなやり方は」

【バラルバラーズの評価】
「儂の山は娯楽が少なくてなあ。心が躍り、そしてあの小僧の弱さの滲む脚本は実に良きものだった。人を嘲ることに執着する、幼稚な未練が、見ていてなんとも滑稽なのじゃよ」

【アリスアドラの評価】
「人間の敵になった動機を極めることが、何よりも魔族らしい行い。……ふふ。そう思い込んで、徹底することが、すごく人間らしいと思わない?」
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