凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法   作:けっぺん

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『初戦試験官』/そこに変身ヒーロータグがあるじゃろ?

 

 

791:転生領域の名無しさん

先程のカルラちゃんのCGを使って恋愛シミュレーションを作ろうと思うんだけどボイスがない

 

792:転生領域の名無しさん

なんなんだコイツの行動力は。

 

793:転生領域の名無しさん

やっぱここの連中頭おかしいよ

 

794:転生領域の名無しさん

イッチによるカルラちゃんへの暴虐に対抗するには想像で挑むしかないんや。

 

795:転生領域の名無しさん

なんの対抗意識なんですかねえ。

 

796:転生領域の名無しさん

フリー素材になりつつあるカルラちゃん。

 

797:転生領域の名無しさん

結局ここの連中は転生者ってことよ

 

798:転生領域の名無しさん

むしろ俺たちは架空だろうと幸せを願う光の側やで。

 

799:転生領域の名無しさん

イッチという闇に対抗できる力は一つしかない。

いや、一つでいい。

 

800:転生領域の名無しさん

夢 希望 想像 祈り

その全てに通じる……

 

801:転生領域の名無しさん

イマジネーショォォォォンッ!

 

802:転生領域の名無しさん

もっともらしい免罪符をでっちあげるな

 

803:転生領域の名無しさん

シンプルに最低なんだよな

 

804:転生領域の名無しさん

でもそれで割とどうにかなる世界が多いことも俺たちは知っている。

 

805:転生領域の名無しさん

これが転生の価値観に洗脳された愚か者たちの末路か。

 

806:転生領域の名無しさん

DL数ガンガン増えてるしな。

 

807:転生領域の名無しさん

現在のイッチ関連DL数ランキング

一位:イッチとカルラちゃんのツーショ

二位:苗床動画

三位:ごはん動画

四位:朝チュン(理想)

五位:朝チュン(現実)

六位:光るイッチ

 

808:転生領域の名無しさん

光るイッチも伸びているといえば伸びているんだがな

 

809:転生領域の名無しさん

朝チュンに負けてるのはともかく他が伸びるのは分からんでもない

 

810:転生領域の名無しさん

転生前の世界でそういうのに需要があったのも納得。

 

811:転生領域の名無しさん

三位を抜くのは難しそうだな。

 

812:転生領域の名無しさん

三位で抜いてる奴はいそうだけどな

 

813:転生領域の名無しさん

いてほしくないなそんな奴。

 

814:転生領域の名無しさん

いるさっここに一人な!

 

815:転生領域の名無しさん

こういうのがいるから転生領域の風紀が乱れてるって上の連中が嘆いてるんだよ。

 

816:転生領域の名無しさん

最たる例になるだろうこのスレにいる俺らが言える話じゃないけどな。

 

817:転生領域の名無しさん

まだイッチが途中で改心すれば……

 

818:転生領域の名無しさん

それはそれで見たくない俺がいる

とことんまでやれ

 

819:転生領域の名無しさん

風紀を乱して管理人がまた呼び出し喰らうなら俺もやるぞ。

 

820:転生領域の名無しさん

あいつはヘイトを集め過ぎたんだ。

イッチの世界の魔族みたいにな。

 

821:転生領域の名無しさん

管理人もイッチの苗床部屋にぶち込もうぜ

 

822:転生領域の名無しさん

とてもいい提案だ、ヤツに打診しよう。

 

823:転生領域の名無しさん

「おい管理人! 苗床にならねえか!」

 

824:転生領域の名無しさん

それで頷く奴が一体どこにいるってんだよ

 

825:転生領域の名無しさん

管理人頭おかしいし頷くこともあり得るかもしれん。

 

826:転生領域の名無しさん

どちらかというと大女神の方が頷く可能性がある

 

827:転生領域の名無しさん

側近がそれを許さないんだよなあ。

 

828:転生領域の名無しさん

「苗床? よく分からないこと言ってないで調停に集中してください」

 

829:転生領域の名無しさん

「慰安が必要なら私が後で務めますので」

 

830:転生領域の名無しさん

実際そういう関係だって噂だからな

 

831:転生領域の名無しさん

催眠王の悲劇を忘れてはいかんぞ

 

832:転生領域の名無しさん

嫌な事件だったね……領域がまだ見つかってないんだろ?

 

833:転生領域の名無しさん

>>831

kwsk

 

834:転生領域の名無しさん

残当

 

835:転生領域の名無しさん

残念でもなんでもなく当然なんだよなぁ

 

836:ふみなぺでぃあ

>>833

・催眠能力で国王に成り上がった転生者が大女神の存在を知る

・何をトチ狂ったのか大女神に催眠が通じると思い込む

・何をトチ狂ったのか自分の世界を捨てて転生領域まで実体でやってくる

・側近の存在も知り二人の間に挟まろうとする

・マジギレした側近にワンパンで消し飛ばされる

・余波で第十六~第十九までの転生領域が消滅する

 

837:転生領域の名無しさん

なんだ、馬鹿の当然の結末じゃん

 

838:転生領域の名無しさん

百合の間に挟まろうとする奴はいつだってこうなる。

 

839:転生領域の名無しさん

力の差どころの話じゃない、次元の差も分からないやつに似合いの末路だ。

 

840:転生領域の名無しさん

巻き込まれた数多の転生者が不憫で仕方ない

 

841:転生領域の名無しさん

悲劇たる所以やぞ

 

842:転生領域の名無しさん

つーか辞書お前そんなところも網羅してんのかよ

 

843:転生領域の名無しさん

もしかして結構古参か?

 

844:TS幼馴染系魔法使い

[配信]

 

845:転生領域の名無しさん

お?

 

846:転生領域の名無しさん

なんだ?

 

847:転生領域の名無しさん

配信とはまた珍しい

 

848:転生領域の名無しさん

結構集中する必要があるからな、あれ

配信しながら普段通りに行動するの普通に難しいぞ

 

849:転生領域の名無しさん

なんでイッチはそれを出来てるんですかねぇ

 

850:転生領域の名無しさん

苗床の管理もやってるとかコイツの並列思考どうなってんだ……?

 

851:転生領域の名無しさん

当たり前のように第三者視点なの草

 

852:転生領域の名無しさん

イッチの隣にいるのが勇者くんか。

 

853:転生領域の名無しさん

かわいい

 

854:転生領域の名無しさん

十五歳……十五歳?

 

855:転生領域の名無しさん

とても勇者には見えないな。

 

856:転生領域の名無しさん

やばいもう駄目自分を抑えきれない

 

857:転生領域の名無しさん

サキュバスネキはもう駄目みたいですね……。

 

858:転生領域の名無しさん

注目すべきサキュバスは多分そっちじゃないぞ。

 

859:転生領域の名無しさん

チュートリアル戦を配信か、思い切ったな。

 

860:転生領域の名無しさん

初陣撮ってて集中不足で死んだ配信者を何人見てきたか。

 

861:転生領域の名無しさん

よっぽど自信があるのかね

 

862:転生領域の名無しさん

いや、イッチの執心っぷりからして自信だけでそういうことしなさそうだが

 

863:転生領域の名無しさん

集中が乱れている様子はないな。

 

864:転生領域の名無しさん

俺配信見るの初めてなんだけど何これ、どうすりゃいい?

 

865:ふみなぺでぃあ

>>864

第三者視点の場合、基本位置から動かすのは自分でやる。

配信者が一定範囲の空間の情報をこっちに投げて再現しているだけだから、俺らがどう動いても配信先に影響はない。

自分の見たいように見ろ。見る側も結構精神力使うから適度な休憩を忘れるな。

 

866:転生領域の名無しさん

>>865

優しくて草

 

867:転生領域の名無しさん

実際のところ無理に映像に躍動感つけようとすると疲れて死ぬからな

 

868:転生領域の名無しさん

よほど入れ込んでなきゃ定位置で見物するのが利口。

 

869:転生領域の名無しさん

ありがとう、かなり自由に動けるなこれ。

イッチの下着は白だった。

 

870:転生領域の名無しさん

何をしてんだよお前は

 

871:転生領域の名無しさん

そういう配信者はちゃんと別にいるからそっちでやれ。

 

872:転生領域の名無しさん

欲望に忠実な奴だ

 

873:転生領域の名無しさん

まあ配信の楽しみ方は自由だけども

 

874:転生領域の名無しさん

ちゃんと黒塗りで対策してないイッチが悪い

 

875:転生領域の名無しさん

それもそう

 

876:転生領域の名無しさん

お、何か来た

 

877:転生領域の名無しさん

あれがチュートリアルサキュバスか。

 

878:転生領域の名無しさん

なんかイメージと違うな、けっこうピッチリしてる。

 

879:転生領域の名無しさん

軽い鎧も着けてるし剣も持ってる

サキュバスっていっても剣士タイプか

 

880:転生領域の名無しさん

耳が尖ってなくて角がなくて羽と尻尾もなければ駆け出しの女剣士だな。

 

881:転生領域の名無しさん

魔族っぽい特徴を全部取っ払うな

 

882:転生領域の名無しさん

あまり強そうにも見えんが。

 

883:転生領域の名無しさん

実際どうなん? サキュバスネキ。

 

884:転生領域の名無しさん

知らんよ

あの世界のサキュバスとこっちのサキュバスは同じじゃないし

それより勇者くんクッソかわいい

初めて見る外界の魔族への恐怖を抑えて振る舞ってるのがほんと堪らない

徹底的に甘やかして骨抜きにしたい

 

885:転生領域の名無しさん

本当にこいつ苗床行きでいいんじゃねーか?

 

886:転生領域の名無しさん

結構強気なタイプだな、仕事慣れてなさそう

 

887:転生領域の名無しさん

初任務らしいしそらそやろ。

 

888:転生領域の名無しさん

なんかイッチ見て怯えてて草

 

889:転生領域の名無しさん

ラフィーナちゃんか。

読み上げてる感バリバリで初々しい。

 

890:転生領域の名無しさん

この任務がラフィーナちゃんの出世街道の第一歩なんだろうなぁ

 

891:転生領域の名無しさん

勇者くんに説明しつつイッチの方チラチラ見てんの笑う

 

892:転生領域の名無しさん

旅に出たばかりの筈なのに雰囲気が明らかにおかしいもんな

 

893:転生領域の名無しさん

ところが勇者くんはともかく隣にいるイッチは周回プレイ。

 

894:転生領域の名無しさん

ステータスは継承していないが普通は習得できない謎の魔法を持っているのです。

 

895:転生領域の名無しさん

頑張れラフィーナちゃん!

カルラちゃんみたいな思い入れはないけど同情だけはするぞ!

 

896:転生領域の名無しさん

変身したぞ

 

897:転生領域の名無しさん

そういやこれヒーローものだったわ

 

898:転生領域の名無しさん

イッチが謎電波受信しただけで別にヒーローものじゃねえんだよなぁ。

 

899:転生領域の名無しさん

ご丁寧に変身音まで実装しやがって……

 

900:転生領域の名無しさん

歌は気にするな!

 

901:転生領域の名無しさん

CV:イッチ

 

902:転生領域の名無しさん

イッチとは思えないほど高らかな変身ボイスで草

 

903:転生領域の名無しさん

クッソテンション高くて笑う

 

904:転生領域の名無しさん

声優って凄いな。

 

905:転生領域の名無しさん

こんな邪悪な声優がいてたまるか。

 

906:転生領域の名無しさん

ラフィーナちゃんドン引きしてて草

 

907:転生領域の名無しさん

勇者くんも困惑してそう。

 

908:転生領域の名無しさん

あんな元気な女の子ボイスで変身するヒーローのデザインじゃねえ

 

909:転生領域の名無しさん

ダークヒーローに見えるだろ?

勇者なんだぜこれ

 

910:転生領域の名無しさん

これは勝ち確BGM流れてますわ。

 

 

 


 

 

 ――ラフィーナちゃん。此度の勇者に対する初戦試験官、あなたに命ずるわ。

 

 ――フフ……硬くならなくていいの。リラックスして臨みなさい。

 

 ――決して、熱くならないこと。そうしないと、私たち夢魔は衝動に抗えないんだから。

 

 

 百代目勇者。私が裁定するべき存在は、すぐに見つかった。

 世界に点在する町や村はいわば、人間たちの生存圏。

 それらへの襲撃は魔族たちにとって厳しく制限される事項であるがゆえ、利口な人間は外へ出ようともしない。

 生存圏と生存圏とを繋ぐ整備された道を行く人間を襲うのもまたナンセンス。魔王様が人間たちに与えた自由を阻害するのは、魔族として褒められた行為ではない。

 人間たちもそれを理解している。自由の上にあるルールさえ守っていれば、無暗に魔族に殺されることもないのだ。

 

 だが、こんな平原をうろつく人間は襲ってくれという看板を掲げて歩いているようなものである。

 田舎から出てきた者がまず、町へ続く道に向かう。そこまでのやむを得ない行動であるならば、せめてもっと大人数であるべきだ。

 そうすれば、この辺りの魔族であれば撃退することが叶うかもしれない。

 勇者が如何に――如何に生きていられる見込みがないとしても、たった二人で生存圏の外に出すなど馬鹿げている。

 この試験官としての役割を任ぜられたことは光栄の極みだが、あれほどまでに期待されていない雰囲気が感じられると複雑な気分になる。

 

 ……しっかりしろ、ラフィーナ。

 勇者が他人にどう思われているかは関係ない。

 私が見るべきは、勇者自身がどれだけ勇者たり得る資質を持っているかだ。

 アリスアドラ様は私に期待してくださっているのだ。私は試験官としての任を成し遂げなければ。

 

「――止まりなさいっ、そこの二人! ……よろしい」

 

 二人の前に降り立ち、制止を促す。

 勇者の方は従ったというより驚いて立ち止まったという方が正しいが、そこは良い。

 問答無用で切りかかってくるより遥かに理性的だ。

 

「魔王の祝福を受けし百代目勇者ユーリ。間違いないわね?」

「そ……そうだけど」

 

 恐怖はある。だが、魔族を前にした平均的な感情の動きよりは小さなもの。

 なるほど、度胸はあるらしい。動揺に屈さず答えを返してくる点は好ましい。

 

 十五歳だと聞いていたが、私の知る人間の平均データよりは背丈が小さく華奢だ。

 背中に背負っている剣も木製ならば多少は振るえようが、石製にもなれば満足に持ち上げられるかすら不安になる。

 ただ、黒い瞳の奥にある決意は良い感情だ。末路の定まった旅に出たという諦観を覆い隠す程度に、自分を誤魔化すことが出来ている。

 魔王様から与えられた勇者の証もしっかりと内に輝いているのが見える。

 勇気なき者に注がれれば即座にその輝きを失うと聞く。少なくとも、まるっきり勇者として素質がないということはなさそうだ。

 そして、隣にいるのが勇者と共に送り出された――

 

「……」

「ひっ――――」

 

 悲鳴が零れかけたのを、必死に堪える。

 なんだ今のは。人が一生で抱えるものには到底思えない感情は。

 

 …………落ち着け、落ち着け、ラフィーナ。勇者に同行する者であれば、それも含めて勇者の力だ。

 どこぞで倒れるだろう仲間は重要度として低くはある。勇気を持っている必要もないが、この時点での勇者の力である以上、私は裁定する役割がある。

 過剰に心を感じ過ぎないよう蓋をし、改めて“それ”を見る。

 

 ――――この女、魔族に何かされたのか?

 勇者よりほんの少し背は高いが、勇者以上に華奢な体。

 健康的には見えない、やや白すぎる肌の色と、目の下に薄らと刻まれた隈。

 ややくすんだ白色の髪はあまり丁寧に手入れしているようには見えず、伸びた前髪が顔に掛かっているのもあって実体を持った幽霊(ゴースト)心霊(スペクター)かといった風貌。

 そしてどんよりと濁った灰色の瞳の奥にある、瞳と同じ色の感情。

 

 少し落ち着いて見てみれば、やっぱり分かるのはその異常性。

 人間が、何故ここまで恐怖できる? 魔族を恐れるのは当然だが、一体何をされればここまで巨大で色濃い恐怖が成立する?

 徹底的に甚振られ、弄ばれ、その果てに殺される瞬間であろうとこんなことにはなるまい。

 さらに奥に見える復讐心やら何やら。その程度で、この恐怖心を支えられるわけがない。

 

 なんなんだ。なんなんだこいつは。

 っ……見ていたら駄目だ。これは私の理解の埒外だ。アリスアドラ様に報告すべき異常事態だ。

 迅速に試験を済ませる。どの道感じられる力は人間のものだ。教わった通りにやればいい。

 

「っ、私は『初戦試験官』ラフィーナ。勇者ユーリ、あなたが勇者として相応しいか、見定めよとの命を受けてここまで来たわっ」

 

 冷静を意識しつつ、剣を引き抜く。

 勇者が一歩下がる。一方で女は動かない。

 ……見る限り魔法使いのようだが。だとすれば馬鹿だ。剣士の前に立つ魔法使いなど壁にしかならない。

 

「構えなさい、先手は譲る。言っておくけど、試験官以外の前でそんな風に突っ立ってるのは殺してくださいって言ってるようなものよ。長生きしたければこの戦いで勇者の自覚を固めることね」

 

 苛々するほど隙だらけな棒立ち。まるで、こちらから攻撃しないということを見透かしているかのような。

 このまま叩き切ってやろうかという気持ちを抑えつつ、勇者たちの動きを待つ。

 これは私にとっては戦いではない。あくまで私は試験官なのだ。

 

「……リッカ」

「心配ない。ユーリ、自信を持って、勇気を出して。私が伝えたことを、ユーリに出来るようにやればいい」

 

 ……いいだろう。待ってやろうじゃないか。

 これ以降の戦いで全ての魔族がそれを待っていてくれると思うなよ。

 そんないちいち勇者の手を握って励まして、なんて“演劇”を黙って鑑賞しているほど魔族ってのは気が長くない。

 というかなんだよあの女。勇者に向いた感情があるならもっと分かりやすくしてほしい。今の様子、傍から見ていたら不気味この上ないぞ。

 

「うん……わかった。リッカを信じる――いくよ」

「ん――」

 

 ようやくか、と気を引き締める。

 この二人には戦いとは甘っちょろいものではないことを教えてやらないといけない。

 一発受けたらとりあえず両方叩きのめそう。そう誓って彼らの一挙一動に注目し――次の瞬間展開された魔法に己が目を疑うことになる。

 

「と――トランスコード、(ユー)-リッカ!」

『トランスコード! アクセプションッ!』

 

 勇者の詠唱によって変化が生じたのは女の方。

 その体に持っていたとは思えない膨大な魔力が生じたと思えば、それを使って体中に刻まれた術式が起動し、やけにテンションの高い魔法音声が流れる。

 

 ――体中に刻まれた術式?

 

 いや、おかしい。魔法にはあまり詳しくないが、あの密度の術式を体に刻んでいるのはおかしい。

 頭がおかしいことは分かっていた女が間違いなく正気でないことを確信し、独断ではあるがこの場で切り伏せておこうと踏み出しかけるも、剣を動かす前に女の体は分解された。

 

「な……何? 何これ!?」

 

 疑問への回答は、事象の発現によって。

 分解された女の構成要素が勇者を覆うように集束していく。

 そして、悟った。この魔法の正体は、魔力の物質化による勇者の外付け強化――!

 

『U-リッカ――オズマッ!』

 

 全身を覆う黒く薄いスーツの上から纏わりついていく、黒い蛇の如き触手。

 あまりに気色の悪い下等な魔族の象徴が腕に、足に、胸に絡み付き、固定化されて防具に変わる。

 手元で止まった五本の触手の先端は獣の爪の如し。

 そして顔を覆い後ろに流れた触手の群れは、例えるならばたてがみか。

 どこまでも冒涜的な素材で獣の王(しし)を形作った前代未聞の勇者の誕生を祝福するように、魔法音声は風吹く平原に響き渡った。




『U-リッカ』
【概要】
リッカが自身の構成要素を分解し、ユーリの纏う戦闘用スーツへと変質する魔法。
ユーリとリッカ、どちらかがリクエストした変身コードによって起動し、トランスコードのシーケンスが開始される。

【トランスコード】
リクエストされた変身コードを自動承認し、リッカの分解、ユーリへの装着を実行する機構。
装着の完了までは放散された魔力が外敵の接近を妨害し、シーケンスを滞りなく進行させる。

【ブレッシングウィザード】
各種シーケンスの進行をサポートする機構。
音声術式によりリクエストの受け入れや進行状況を周囲に知らせる機能を持つ。

【リンカーネーションコンバーター】
装着中、攻撃のダメージに応じて相手の構成要素を改変する機構。
どのような相手であろうともリッカの定義する苗床に適した肉体へと変化させる可能性を持つ。

【ファイナライズコード】
U-リッカの装着中、同一の変身コードを再度リクエストすることで起動する特殊コード。
変身時に匹敵する魔力の供給を受けることで特殊攻撃の制限を解除する。



『U-リッカ オズマフューリー』
【属性】土
【攻撃力】■■■■■
【防御力】■■■■■
【素早さ】■■■■
【魔 力】■■■■
【精神力】■■■■■

【イマジナリマテリアルコーティング】
全身を包む黒いスーツ。薄く柔軟で動きを阻害しない。
想像結晶技術によって構築された架空物質により並の装備と比較にならない防御力を持つ。
各種状態異常への耐性も持つ。

【ブレイブリィブラッド】
スーツの内部に流れる強化エネルギー。
全身を循環することで装着した者に連続的な強化を行使し、万全以上の戦闘を可能とさせる。
また、状態異常回復や自動修復も行われるため、長期戦にも対応できる。
主となる魔力の属性によって色が変化する性質を持ち、血管のようにスーツに色が浮き上がる。
オズマフューリーの場合、色は黄色となる。

【オズマクラウン】
顔の周囲を覆うように展開され、たてがみのように後部に流れる触手の群れ。
獅子を冒涜的に模した意匠は視認した相手の恐怖心を煽り、付け入る隙を増やす。

【テンタクルスフレーム】
スーツの上を触手が覆い、固定化することで成立する強化装甲。
物理攻撃を強化するほか、伸縮自在で相手を拘束することによる精神的ダメージの付与にも優れる。
触手から感じ取れる“澱み”は相手を威圧する効果を持ち、精神耐性のない相手に有効。

【オズマサモンマネージャー】
疑似記憶空間内の使い魔を使用した戦闘支援システム。
U-リッカを中心とした一定範囲内に発生させた接続地点からオズマの触手が出現し、敵を攻撃する。



2022/06/18 追記
ぴょー様よりリッカのイラストをいただきました。
真っ先にイッチの下着に向かう猛者もいるようですよ!

【挿絵表示】

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