凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法   作:けっぺん

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※本作は「凌辱エロゲ世界でハッピーエンドと復讐を同時に遂げる方法」で間違いありません。


『極熱★戦士』/戦え! 七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)

 

 

 どうあれ、一度態勢を立て直す必要がある。

 こうなれば、オドマオズマもこれ以上、ナディアとの友好的な接触は許すまい。

 次にナディアと会う時は、試練として彼女と向き合わないといけない時だ。

 

 背の高い建物が付近にないため、物陰に降りる。

 幸い、周囲にうろつくゾンビの姿は殆ど見られない。

 とはいえ魔法を解除するのは良くない。

 クイールと違って、素の状態で即座にゾンビたちに対応するのは、難しいだろう。

 

「――まずは、クイールと合流しようか」

「……、ん」

 

 何をするにしても、それを優先としたい。

 僕の提案に対し、リッカの回答はやや時間を置いてからだった。

 

 ……リッカは、まだ心の底からクイールを信用していない。

 カルラの杖を取り戻すことを協力してもらったという点で、感謝はしているだろう。

 だが、リッカの心境は、至極複雑だ。

 

 ――けど、ユーリより前に、そんな勇者がいたなら――全部終わらせてくれれば、ユーリが勇者になることもなかった。

 ――何もかもが、おかしくなることなんて、なかった……っ!

 

 あの時の絞り出すような言葉は、リッカの偽らざる本音なのだろう。

 憎しみでもない。怒りでもない。

 クイールのせいには出来ない、やり場のない感情が、リッカの心を開かせないでいる。

 本当は……リッカも、クイールを信じてくれる方が良い。それは当然だ。

 だが、強要することはない。リッカの言った、役割分担があるから。

 

「リッカ。僕は、クイールを信じてる。警戒は任せるよ」

「……わかった」

 

 僕は、クイールを心から信じる。必要ならば、リッカは彼女を警戒する。

 いつか取り決めたその役割で、リッカが納得してくれるならば、それでもいい。今は、まだ。

 

「よし、そしたら――」

 

 移動しよう。そう言いかけて、音を聞いた。

 接近しなければ分からないほどの気配の小ささはやはり、ゾンビたちが持つ共通の脅威だ。

 物陰から飛び出して、そこにいた、“かつて人間だったもの”に向けて拳を振るう。

 その動きに合わせて、拳の先から伸びた、虫たちで構成された装甲は、槍のように鋭く伸びて“それ”を穿つ。

 ゾンビは避けることもなければ、その一撃に耐えることもない。

 内側から崩れていくゾンビの体。生きていた頃の面影も分からないほどに損壊していたそれを倒しても、決していい気分になることはない。

 

「……」

「……ユーリ、ゾンビに元の人間の意識は残ってない。だから……」

「分かってる。倒せるよ……ありがとうリッカ」

 

 気遣ってくれるリッカに感謝しつつ、倒せるという自分の言葉を証明する。

 数は少なくとも、迫ってくるゾンビはゼロではない。

 近くのものは自分の手で、離れたものは虫たちを飛ばし、ひとまず周囲の脅威を払った。

 ただし、ここでいくらゾンビと戦っていても事態が好転しないのも事実。

 早くクイールと合流しなければ、と虫たちに再び翅を広げてもらおうとした、その時だった。

 

「……?」

「――ユーリ、後ろ」

 

 背後から何かが凄まじい勢いで接近していることに気付く。

 クイールの気配ではない。ナディアでもない。そもそも、こちらに向けられているのは敵意だった。

 ゾンビたちはこれほど軽快に走ることは出来ない。

 では一体なんなのか。振り返ってそれに対処しようとすれば、その“何か”は地面を強く蹴って跳び上がる。

 燃え盛る火球の如く……というには些か寂しい炎を灯し、片足を突き出して突っ込んでくる小柄な何か――

 

「は……!?」

 

「喰らえぇい! 極熱バーニングフレアストラァァァァァァァ――――イクッ!」

 

 甲高い声で長い技名を叫びながら突っ込んでくるそれに、脅威と思える威力を感じられなかった。

 受けるか、避けるかの僅かな判断の後、とりあえず躱そうとして、それより前に『バラーズフューリー』の自動防御が発動する。

 飛び出した虫たちが作り上げた障壁。

 高い威力に対しては、僕たちが回避を終えるまでの時間稼ぎとして機能するそれは――ぶつかってきた小さな火球を容易く弾き返した。

 

「ふべっ」

 

 申し訳程度の威力を途端に霧散させて、転がっていく襲撃者。

 ……なんだろう、あれは。魔族であることは確かだが、なんかこう、致命的にこのネシュアの空気と違うというか。

 

「ぐ、ぬぬ……やるな怪人蟲野郎!」

「怪人蟲野郎……!?」

 

 すぐさま立ち上がり、とんでもない名前で呼んできたその魔族は、僕たちの半分程度の背丈しかなかった。

 襤褸布を首に巻き、体と大差ない大きさの丸くて赤い、罅の入った兜で顔を覆った小人。

 多分……間違いなく、兜のサイズが合っておらず、黒いバイザーはこちらに真っ直ぐ向いていない。

 

「だが負けないぞ! ネシュアの平和はあたしたちが守るっ!」

「……えっと、キミは?」

「ユーリ、付き合わない方がいい」

 

 いや……うん、僕もそう思うのだが。

 割と珍しい気もした。リッカが魔族に対して、恐怖ではなく“面倒臭さ”を前に出している。

 もうこの時点で、途轍もなく厄介な手合いであることは分かり切っているのだが、吐いた言葉はもう呑み込めない。

 兜の先――見えないが、その瞳が輝いている気がした。

 

「ハッハッハッハ! よく聞いた! よっくっぞ! 聞いてくれた! 怪人相手にこれが出来るのは初めてだ!」

「怪人じゃないんだけど」

「いくぞ! 全員集合!」

 

 ――気配が一気に増える。

 先程まで隠れていた物陰の上に一人、別の物陰から一人。

 そして、いつの間にか赤い魔族の傍に立っている、見覚えのある大きな黒い獣。

 総勢四体の、アンデッドならざる魔族が集結した。

 

 ……違和感を覚えるのは、魔族として強い力を持っているのが、あの獣だけということか。

 そう思いながらも、何を始めるのかと警戒し、僅かに距離を取れば――赤い魔族があまりにも大袈裟な身振り手振りを経て謎の構えを取った。

 

「悪を焼き尽くす正義の炎! 赤の戦士(レッドキャップ)! キャプテン・フレアッ!」

 

 ――カチリ。ドン。

 仰々しく名乗っている間に、一人だけ高い場所で座っていた魔族がなんらかの魔道具を操作すると、かなり離れたところで爆発が起こった。

 どうしよう。

 誰何したのはこちらだが、付き合わなければならないのだろうか。

 

「 ―――― 」

「悪を喰らう正義の牙! 黒の戦士(ブラックドッグ)! アッシュ!」

「……キミが紹介するんだ」

「こいつ喋れないからな!」

 

 名乗りもしなければ構えることもしない大きな獣を指して、赤い魔族……キャプテン・フレアはその名を呼んだ。

 あれは、僕がナディアから魔法を教わっている間に襲い掛かってきた魔族だ。

 クイールが撃退したと言っていたが、彼女たちの仲間だったということらしい。

 

「……はぁ」

「悪を凌駕す正義の頭脳! 緑の戦士(グレムリン)! ベル!」

「……喋れないとか?」

「付き合いが悪いだけだ!」

 

 高みの見物――見てすらいないが、座って魔道具を操作している丸眼鏡の魔族。

 赤茶色の髪から伸びる二本の小さな角と、緑色のくすんだ肌。襤褸けた白衣。

 性別は判断できないが、如何にもやる気のなさそうだということは伝わってくる小人がそれらしい。

 ……先程から名前の後にあらぬ方向が爆発しているのはあの魔族の仕業だろうか。

 

「悪をも支配する正義の劇団! 青の戦士(ポルターガイスト)! コッペリア!」

「……誰もいないけど」

「本日急用につき欠席だ!」

 

 じゃあなんで紹介したんだろう、とは口にしなかった。

 欠席の理由も特に気にならないし、数が減ったのは良いことだと思う。

 いない者を掘り下げても意味はない。ちなみにやっぱり爆発は起きた。

 

「ね――」

「悪を惑わす正義の愛! 桃色の戦士(リャナンシー)! シェリー!」

「……なんか喋ろうとしていたけど」

「自己中すぎて喋らせておくと厄介なんだ!」

 

 そんな魔族を引き入れて良いのだろうか。というかなんで欠席者の後に紹介されたんだろう。

 手のひらに乗る程度の小さな少女は、この場の誰よりも“妖精”らしかった。

 薄いピンクの布を纏った、水色の短髪の少女。いつかのフェアリーのように羽は生えていないものの、独自の力を持っているようでふわふわと宙に浮いている。

 ……性質はともかくとして、力が弱いのはフェアリーたちと同じらしい。今回だけ何故か近場で起きた爆発に吹き飛ばされている。

 

「……? ユーリ? そこ、何かいるの?」

「え……?」

 

 体勢を立て直し、何事もなかったかのように微笑んでこちらに手を振ってくるシェリーというらしい少女は、リッカには見えていない……?

 リャナンシーという種族は聞き覚えがない。

 種族そのものの特性なのか、それともあの少女の特異性なのか、判断が付かないが……。

 リッカに見えていないというのは気になる。それを認識して、彼女たちへの警戒度を引き上げた。

 

「小さな魔族がいる。多分、妖精。あの子は僕が警戒するよ」

「わかった――とりあえず攻撃しよう。あの赤色が優先」

「……まだ話の途中っぽいけど」

「終わるまで向こうは攻撃してこない。付き合ってられないから」

「……まあ、うん」

 

 全員の紹介が終わったようで、赤色の魔族、キャプテン・フレアは自身の傍に緑の戦士(グレムリン)桃色の戦士(リャナンシー)を招集する。

 どちらも動きは緩慢だった。何をする気かは知らないが、そうしている間にリッカが攻撃を急かす。

 ……付き合っていられないとバッサリ切り捨てたリッカだが、今回は僕も同じ気持ちだった。

 はっきり言って、このノリが分からない。

 このまま好き勝手喋らせていれば、試練とはまったく関係ないところでひどく精神的に疲弊する、そんな確信があった。

 

「邪悪! 絶望! 何するものぞ! 我ら、無敵の――」

『バラーズ・エクスタシーッ!』

「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――ッ!」

 

 締め括ろうとしたらしいタイミングで、準備が整った必殺技が発動する。

 解き放たれた虫の群れによる、生命の嵐。

 先のナディアが巻き起こしたものほどではないが、虫たちは駆け抜けた場所を削り、崩して砂に変えていく。

 虫たちが彼女たちを呑み込んだ実感はなかった。悲鳴が最後まで聞こえていた辺り、多分どうにかして避けたのだろう。何故だか少しだけ悔しかった。




【キャプテン・フレア】
赤帽の妖精レッドキャップ。最強無敵の『七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)』のリーダー。
一体何をトチ狂ったのか学習したのかベルトで変身するヒーローと長年お隣さんをやっていそうな思想に染まった魔族。
どんなに外道で冷酷無比な敵であっても、自分たちの誇りと美学のために全力で名乗る。
戦え! 僕らの『七色妖精戦隊(アイリスバスターズ)』! 元気莫大!

【怪人蟲野郎】
そういうのがダサいっつってんだよ。
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