ここは、府中に存在する由緒あるウマ娘たちの集う名門校、『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』略してトレセン学園。
今日も今日とて生徒たちは切磋琢磨し合い、ある者は三冠ウマ娘を、またある者はトリプルティアラを、そしてある者は海外をと、各々が夢に向かい文字通りひた走る姿は美しく、力強く、そして…。
「素晴らしい…」
そうこぼすのは、グラウンドの端に腰掛ける鹿毛のウマ娘。
格好は制服で、何やら双眼鏡を手にニヤニヤしている。
「ああ〜…あの子もいいですねぇ〜…あの子も、あの子も、それにあの子もぉ〜〜、ドゥフフ…」
その言動はどこからどう見ても不審者の極み。
そして、彼女の視線の先にいるウマ娘たちにはみな共通してとある特徴があった。
「あぁ〜…あの風に揺られる髪ッ…しっぽッ…素晴らしい…美しい…みんな違ってみんないいッッッ…」
そう、それは皆芦毛であると言うこと。
ある時は食堂での大食いで知られるウマ娘を見て飛び上がり
またある時はその隣でツッコミ役をしている、関西弁のウマ娘を見て感動し
名門メジロのスイーツ大好きっ娘を見てなぜだかヨダレを垂らし
大人気ウマスタグラマーを食い入るように見つめ
策士で知られる逃げウマ娘を陰ながら応援し
気がつけばトレーニングも終わる時間。
「ふぅ〜…今日も満喫しましたねぇ〜…」
夕焼けに染まるグラウンドの隅で、そのウマ娘はホクホク顔で寮に向かおうと荷物をまとめる。
なお、彼女は今日…というよりいつものライフワークで観察していたウマ娘たちのの写真は撮らない主義だ。
写真が苦手な子もいるし、証拠が残…ではなく、そういったものは心のメモリーに仕舞うべきと言う確固たる信念故だ。
「ジャぁ〜〜スぅぅぅ〜…」
「おや?」
背後の茂みから気配と共に恨めしそうな声が聞こえてくる。
ガッシ!!
振り返る間もなく、後ろからアームロックをかけられるジャスと呼ばれたウマ娘。
「おやシップ。今日は遠征だったのでは?」
声の主に落ち着いた声でそう返すジャス(仮名)。
「うるせぇぇぇ!!ゴルシちゃんをほっといてなぁぁぁによその芦毛に…」
「嫌ですねぇ。シップ以上の芦毛なんてこの世にいやしませんよー」
そう、穏やかな顔で言うのはジャスことジャスタウェイ。
「あ…シップ、あとで髪としっぽモフらせてください」
「あぁん!?しょうがねぇなぁ!?優しいゴルシちゃんに感謝しろよなぁ〜?」
「フフ…いつもしてますよ」
「オメェ〜の敬語は昔っからなぁんか信用ならねぇわ〜」
破天荒で知られるゴールドシップの生涯の盟友である。
多分続かない。