その日、ジャスタウェイはとある撮影現場に居合わせていた。
それと言うのも、学園側から来る学園祭に向けて各クラスや委員会などでそれぞれ何かしらイベントを催すこととなっており、今年ジャスタウェイのクラスはヒーローショーをする事となったのだ。
「オウオウお嬢ちゃん、アッシらにぶつかっといて謝罪もナシかぁん?」
「コレはちょっとばかしキョーイクが必要みたいっスねぇ…」
学ランにサングラス、それからマスク、時々ヒゲ眼鏡と、なかなか気合いの入った出立ちでちびっ子役(芦毛ウマ娘)を囲むクラスメイト達。
やがて恐怖と不安からか、芦毛ウマ娘は助けを求める。
「助けて!!アシゲスキー!!」
その次の瞬間、突如としてゴウ、と一陣の風が吹き、その場にいた誰のものでも無い声が響き渡る。
「ふっふっふ…芦毛の泣き声が聞こえますねぇ…」
「テメッ!!ナニモンだ!!」
「姿を表せゴルァ!!」
そこに颯爽と現れたのは緑と黒の市松模様というなかなか奇抜なヒーロースーツを着て嬉々として叫ぶは誰ぞ知るジャスタウェイその人。
「愛と勇気の芦毛の味方!!その名も…アシゲスキー!!」
ジャジャーーン!!(バックで爆発ドォォォォン!!)
「そこの貴女方」
「ンダコラ?」
「ヤンノカコラー」
古のヤンキーのような喧嘩腰でジャスタウェイを取り囲むチンピラ役の生徒たち。
そんな彼女らにジャスタウェイは優しく諭す。
「芦毛は世界の宝です。なので丁寧に扱ってあげて下さい」
「さあ行きましょう。芦毛の向こう側へ…」そう言って手を差し伸べるジャスタウェイだが……。
「ハァ?」
「寝ぼけたこと言ってんじゃねーぞ!!」
「って言うか芦毛以外はどうなってもいいのかゴルァ!!」
悪役から発せられるとはおよそ思えぬ正論からジャスタウェイがポカポカと叩かれるシーンが挟まる。
「くっ…このままではわたしの愛する芦毛ちゃんが…いや!!まだ諦めるには早すぎますよわたし!!」
ボロボロになった格好のジャスタウェイはふらふらと立ち上がると、パッと手を上げ叫ぶ。
周囲の不良ウマ娘役の生徒達はその瞬間何かを発見したような顔をして、ジャスタウェイから徐々に距離を取り始めている。
「芦毛のみんな!!わたしに力を分けて下さい!!」 グヘヘ…コレデ合法的ニ芦毛チャン達トフレアエル…。
特撮あるあるの感動大逆転シーンに入ろうと言うまさにその瞬間だった。
「ほ〜ん?そんなに欲しいのかよ?」
ジャスタウェイの聞き慣れた声がそう問いかけて来ていた。
「えぇもうもちろん!!早くしないとみんな大好きアシゲスキーちゃんがやられてしまいますよ〜♪」
役になりきっていたのか、それとも他の何かを考えていたのか…。
素直にそう答えるジャスタウェイ。
「そうかぁ…そんじゃあ、アタシの飛び蹴りを喰らわせてやるよオラァン!!」
「ふぐぅぅっっ!!」
派手に吹っ飛んだものの、骨に異常を与えない程度の絶妙なパワーのドロップキックがジャスタウェイを襲う。
「んも〜ちょっとちょっと〜、流石にやり過ぎですよみんなぁ〜」
手袋を外し、素手でゴシゴシと目を擦るジャスタウェイ。
「せっかくシップに内緒で芦毛ちゃん達にモテモテ計画…を…」
ジャスタウェイはこの場にいないはずの盟友に一瞬フリーズして、パチクリと瞬きする。
「……………」
「……………」
方や青ざめるジャスタウェイ。
方や意味深に微笑むゴルシ。
「ゲェッ!?シップ、どうしてこんなところに!?」
「うっせぇ、今はそんなこたぁどーだって良いだろオォン!?」
「え〜っと…あっ!!ナカヤマさんが賭けダーツやってますよ!?」
「あん?」
ジャスタウェイは咄嗟にゴルシの後ろを指差し、取り敢えずその場から逃げようとするも努力空しくガッシ!!と襟首を掴まれる。
「それいいなぁ〜、とりあえず賭けるのは…オメェの秘蔵コレクションでいいなぁ!?」
「ひぃぃん!!ご勘弁を〜〜!!」
ジャスタウェイの芦毛ちゃんモフモフ計画は当然の如くおじゃんとなったのだった。