『リーニュ・ドロワット』
通称ドロワ。
それはトレセン学園名物の、新学期前に生徒主導で行う行事であり…。
「ほらほらジャスぅ〜、ちゃんと着いてこいよ〜♪ワンツーさんしーほいほいっほほ〜い♪」
「シップぅ、早いですってぇ〜…」
参加者たちはそれぞれがそれぞれ、デートと呼ばれる特別なパートナーを組む。
ダンススタジオにて、珍しくやる気を出しているのはゴールドシップ。
そして、やはりと言うべきか…そのデートはジャスタウェイである。
「ほぉ〜れほれほれぇ〜♪普段振り回してくれてるお返しだぜ〜♪」
アクロバットで奇妙奇天烈、破天荒なダンスと言えるかも分からないリズムを刻むゴルシ。
「まったくシップは…まぁ、そんなところも大好きですけどッ…ね!!」
そして、なんやかんやいいつつも、それをしっかりカバーし支えるジャスタウェイ。
まさに、学園の問題児と優等生といった対比のある良いコンビ…もとい、デートに仕上がっている。
ちなみにゴルシが度々絡みに行く、芦毛のお嬢様ことメジロマックイーンは今年はトウカイテイオーとデートを組んでの参加とのこと。
どちらも育ちの良さや運動センスの高さから、ハイレベルに纏まっているだろうことは想像に難くない。
しかし、この二人とて阿吽の呼吸。
伊達に幼少の頃から互いを盟友だと思ってはいない。
「ところで…シップ?」
「あん?なんだよ?」
床に座り、休憩中の相棒にジャスタウェイは問いかける。
「ベストデート賞って狙うんですか?」
『ベストデート賞』
それはドロワに於いて、最も記憶に残るダンスを見せたデートに贈られる称号である。
ちなみに先ほどのトウカイテイオーとメジロマックイーンは今年のベストデート賞候補の筆頭だとか…。
普通なら、それを狙って邁進するのだろうが…。
「ま、ゴルシちゃんは楽しけりゃいいや〜♪」
「同感ですね〜」
デートの二人は、そう笑いながら言う。
結果としてベストデート賞がもらえるんなら、ラッキーくらいの心持ちなのだろう。
とは言え…別に二人してドロワをなめている訳ではない。
まぁ、実際そのくらいの方が気楽と言えば気楽だし、気負いすぎてパフォーマンスが落ちてはそれこそ本末転倒だ。
無論、練習はきっちりやる。
やる気になった時のゴルシの集中力は凄まじいものがあるし、それに必ず付き合うのがジャスタウェイというウマ娘だ。
そして、ドロワ本番が近づいてきたある日のこと…。
「あ、そう言えばシップ?衣装ってどうするんですか?わたし、何も聞いてませんけど…」
「ふっふっふ…ついに聞いてきたなぁ?ジャスぅ〜…」
その時、ジャスタウェイは直感…というより確信した。
あ、ネタに走る気満々だな…と。
次回に…続く。