誤解を覚悟の上で言うなら、ジャスタウェイというウマ娘にとって、トゥインクルシリーズというウマ娘のレースの祭典はさほど重要では無かった。
もちろん、ウマ娘の本能として走るのが大好きというのもあるが…彼女が走るのは、もっと他に大きな理由があった。
それは幼い頃より共に育ち、切磋琢磨しあってきた盟友ゴルシと共に走りたい。というシンプルなもの。
彼女と一緒にトレセン学園を受験し、共に受かったから通うようになった。ただそれだけのことだった。
しかし…いざ本格的にトレーニングをするに当たって、大きな壁にぶち当たることとなる。
彼女は生まれつき、片方の足に爆弾を抱えていたのだ。
そのためにスカウトを受けることこそ叶ったものの、ジュニア級のころからずっとまともにトレーニングを受けられず、同期であり、盟友でもあるゴールドシップの活躍をずっとずっと…歯痒い思いで見続けてきた。
幼い頃から付き合いのある大好きな盟友の活躍は嬉しかったし、誇らしかった。
自分とは違い頑強で、トレーニング嫌いだけれど、いざ走ればG1で6勝するというひときわ輝く才能を持っていた。
隣にいたはずの盟友が、いつからか遠い存在のように思えたことも一度や二度では無い。
結果、芦毛観察という趣味が出来たのは彼女にとって良かったのか悪かったのか…。
だが、そんな盟友が二冠ウマ娘を達成したその時に同じターフに立ちながらも、手も足も出なかった己の無力を…悔いない日は無かった。
『ジャスタウェイッッ!!この破壊力ッ!!見事に!!見事に夢のG1に届きましたぁぁぁ!!』
だからこそ…あの秋の天皇賞で、初のG1タイトルを取った時に…初めて競走ウマ娘として、偉大なる盟友に…ゴールドシップに並び立てた気がした。
あの時は…本当に心臓の音がうるさく、ともすればこのまま死んでしまうのではないかと思った。
いや…もしや自分はもうとうに死んでいて、これは三女神様が末期に見せてくれた夢なのかもしれないと…そんな、それこそ夢物語を思い描くほどの…夢見心地な浮遊感。その後に…とても大きな達成感があった。
それに、仮にその妄想が事実だったとしたら、シップが悲しむだろうからと…首を横に振り、なんとかそれを押さえつけて立っていた。
そして、そんなジャスタウェイは今…。
「シップぅぅぅ!!お許しを〜〜!!」
「ほ〜ら、ジャスぅぅ…ゴルシちゃんの焼きそばぁ…たらふく食えよぉぉぉ〜!!」
「もがぁぁ〜〜!!」
再びよその芦毛を追跡していたのが盟友にバレ、ご馳走という名の罰を受けているのだった。
シリアスにはならないのでご安心を。