トレセン学園、その校舎裏の花壇付近にて、キャップにマスク、サングラスと言った見るからに怪しんでくれと言わんばかりの二人のウマ娘がひっそりと会っていた。
少なくとも、生徒会副会長エアグルーヴがこの場にやって来ていれば、間違いなく御用になっていたところだろう。
「例のブツは?」
そう言うウマ娘に、もう一人がスッと差し出す。
「ほらよ。にしても…」
「なんですか?」
「プレゼントくらい自分で用意したらどうだよ?」
「それではドッキリの意味がないじゃないですか」
寮でも同室なうえ、賢い友人…いや、盟友のことだ。
少しでも妙な行動をすれば何かあるのを察されてしまうのは火を見るより明らか。
だからこそ、ガラにもなくこうやって共通の知人に頼んで、色々と都合してもらっているわけだ。
「ったく…」
「ありがとうございます、ナカヤマさん」
「なに、刺激的な経験ができたさ、何せ…」
ヤキモチを焼くゴルシなんて滅多に見られるものじゃない。
バレるかバレないかの瀬戸際。
まして、
ゾワリと全身が気持ちよく震えるこの感覚。
勝負のスリルを愛するナカヤマフェスタがこれに乗らない手は無かった。
「シップ、喜んでくれますかねぇ〜♪」
「知らねぇよ。私に聞くな」
元々思考の読みにくい彼女のことを(自覚無く)手玉に取るのが目の前のウマ娘。
ニマニマしつつ、手渡されたものを大事そうに持つ様は普段の変態ぶりからはかなり乖離している。
「なぁ、ひとついいか?」
「はい?なんですか?」
機嫌良さげにそう答えるジャスタウェイ。
「アイツも言ってたが…結局芦毛なら誰でもいいのか?」
「……ああ、そのことですか」
しばし考える素振りを見せるや、なんだとばかりに言葉を伝う。
「シップ以上の芦毛を見たことがないのは本当です。と言うか…」
「というか、何だよ?」
「シップの影響で私は芦毛スキーになったと言っても過言ではありませんね!!」
いい笑顔でそう言うジャスタウェイにナカヤマフェスタは苦笑を浮かべ
「…結局、誰でもいいんじゃねぇか」
と、軽く毒づくがしかし…。
「ナカヤマさん…昔の人はこう言いました」
「なんだよ?」
溜めるように、もったいつけるように、間を開け
「それはそれ!!これはこれ!!」
「はぁ?」
まさかの返答に間の抜けた声を発するも、興奮冷めやらぬ様子のジャスタウェイは気にせず続ける。
「ええ!!ええ!!確かにシップの毛並みは100点満点!!触れれば意識を持っていかれそうなほどに気持ちがよく、三女神の生まれ変わりの如く美しい!!ですが!!ですが!!だからと言って他の芦毛ちゃん達を蔑ろにしても良いのか!!否!!否ですよ!!むしろ!!むしろむしろ!!パーフェクトを知るからこその渇望なのです!!執着なんです!!愛情なんです!!」
「お、おう…」
あまりの熱量に、さしものナカヤマも引き気味にそう返すしか出来なかったのだった。
なお、その後どこからか話を聞いていたのか、ジャスタウェイは猛ダッシュでやってきたゴルシに拉致られたのは言うまでもない。
結構読んでいただけてて驚いてます!!
ありがとうございます!!