トレセン学園生徒会室。
そこで『女帝』エアグルーヴは頭を悩ませていた。
「まったく、こいつの行動原理はどうなっているのだ……」
こいつ…と呼ばれたウマ娘はジャスタウェイ。
普段の生活態度は至って真面目で品行方正。学業でもこれまで赤点は取ったことが無く、レースでもG1に勝利した経験ありと、正に優等生といって差し支えない。
…芦毛への偏愛と、学園きっての問題児、ゴールドシップの盟友であると言う点を除けば。
「いや、個人の趣味嗜好や、交友関係にどうこう言うつもりも無いが…」
何かと話題に挙がることも少なくないこの二名は良くか悪くか学園の名物のような扱いを受けている。つい先日などは…
「さああああ!!始まったぜ〜〜!!第564回!!芦毛でGO!!グランプリいいいいい!!」
「まぁ、参加者は私だけなんですけどね」
ステージ上にいるのはジャスタウェイとゴールドシップ。
両者とも楽しそうで何よりである。
そして、その前に集められたのは当学園所属の芦毛ウマ娘達の毛髪類(もちろん本人らの了承は得ている)。
そしてその周囲にはなんだなんだとわらわら集まる人だかり…いや、ウマ娘だかり。
なんやかんや、お祭りやイベントごとが好きなトレセン生達である。
突然のこのイベントにも割とすんなりと順応し受け入れていた。
「ルールは簡単!!ゴルシちゃんが持って行く芦毛が誰のものか言い当てるだけだぜ〜!!」
瞬間、周囲にざわめきが起こる。
「え、いや、無理じゃない?」
「いやぁ〜でもジャスタウェイさんだし…」
「面白そーだもん!!」
などなどステージ周りにはさまざまな言葉が飛び交っている。
「じゃあ、さっそくコレは誰の…」
「オグリキャップさんの前髪ですね」
即答。
「マジかよ…正解」
おぉ〜…!!
ゴルシの声に素で驚きが混じると言う珍事が。
「すげーなぁ〜!!じゃあコレは…」
「タマモクロスさんのもみあげですね」
「食い気味っ!?それに何で部位までわかるんだよ!!」
「えっ?見て分かりません?ハリや色の濃淡、ツヤなどなど…視覚情報だけでも判断材料は山とありますよ?」
ざわつく周囲をよそにこのままではつまらないと感じたのか、ゴルシはジャスタウェイに目隠しをし始めた。
要するにいつもの二人のじゃれあいがはじまったわけだ。
「よ〜し、それじゃあ、目で見ねぇで…コレはどうだ?」
ぱっと前に差し出す。
「スンスン…メジロマックイーンさんのしっぽの毛と見ました」
「なんでわかるんだよぉ〜!!」
「ふっ…愛故に…ですかね…」
何故かキザっぽく言うジャスタウェイ。
目隠しをされながらポーズを決めてそう言う様はシュールである。
「ムカチィィ〜〜〜ン!!」
そして、そのセリフに露骨に不機嫌になるゴルシ。
その様子に自分達は巻き込まれまいと、いそいそと帰り出すウマ娘達。
「じゃあぁぁ…!!コレはどうだァァァ!!」
「スンスン…おっ、これはシップの…」
どんがらがっしゃ〜〜ん!!
…………
と、言うことがあったばかりで…。
「まったく…あの後すぐに本人が報告に来なければどうなっていたか…」
ジャスタウェイというウマ娘のこう言う時の対応の速さと言うか、抜け目のなさもなかなかに侮れない。
トレセン学園生徒会は、今日も今日とて多忙であった。