サラサラヘアーのユグノア復興計画   作:まむかい

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サラサラの6:一日千秋の再会

 ドゥルダ郷での修行開始から一年と半年以上が経ち、お尻叩き棒で文字通り叩き直された一般人メンタルは、勇者として恥ずかしいレベルから「むらゆうしゃ」くらいには改善されていた。

 

「子孫を残さねばならない」と、性を超越した大師とはいえ女性の前でのたまったこともあったが、そういったデリカシーのなさもやや改善されたと思われる。

 

 上記の発言には語弊があり、入れ替わった勇者の魂をしっかり正道に戻してあげたいという思いが主なのでどうにか訂正したいのだが、かなりややこしいその辺の事情を打ち明けるわけにもいかないので誤解はぜんぜん解けていない。

 

 まぁ、スケベなのはユグノアの血筋のせいなのである意味誤解ではないのかもしれんね。(偏見)(責任転嫁)

 

 閑話休題。

 

 今日はニマ大師からお呼びがかかり、なにやら今日は会わせたい人物がいるらしい。

 

 大修練場の一角でドゥルダ式の修行をしながら待っていると、俺よりも10つほど年上であろう動きやすそうな格好の少女と、恰幅の良い旅装の老人の二人組がニマ大師に連れられて俺を尋ねてきた。

 

「こんにちは、イレブン。……キミからしたら初めましてかな。会ったのはあなたが赤ん坊の頃だったから」

 

 長い髪をホーステールにまとめた彼女は、マルティナと名乗る。

 その瞳には、薄っすらと涙がにじんでいた。

 

「おお……大きくなったのう。……すまんな、イレブン。お前には何がなんだかわからんだろうが……少しだけ、抱きしめさせてくれ」

 

 赤い帽子の似合う、少し頭髪の淋しい老人はロウと名乗る。

 ロウは慈しむように目を細めて、しわのある顔をくしゃくしゃにしていた。

 

 俺は彼らのことを知っている。

 行方不明になった俺を探して世界を旅していたことを知っている。

 

 だが、俺は彼らが俺を探したであろう長い年月のことは知らない。

 勇者が16歳となった時から始まるゲーム内において、この時期の彼らのことが詳細に描かれることは無かったからだ。

 

 だけど、そんな負い目を感じるより先に、俺はロウの抱擁を受け入れた。

 

 そのお腹はふくよかで柔らかく、加齢臭がツンと鼻を突く。だが、それでも嫌な感じはしない。

 その汗も涙も俺を探すために費やしてくれていたからあるものなのだと思うと、俺は頭の下がる思いだった。

 

 そして、ロウの抱擁が終わると、身長の違いから片膝をついていたマルティナが俺を抱擁した。

 

 ……マルティナも同じく、俺を探す旅の終着点にいた俺のことを、穏やかにその身で包んでいた。

 

 ロウのそれとは違うけど、確かな……確かな……。

 

「む、むぐ、ぅ……」

 

「────っ、い、いかんマルティナ! 手を離しなさい!」

 

「え、ど、どうしてそんなことを言うのよ、ロウ様? せっかくイレブンと会えたのに!」

 

 確かな……愛……まんじゅうみたいな……。

 

「おぬしのぱふぱふでイレブンが窒息しておるんじゃよっ!」

 

「えっ!? あ、ほ、本当だわ! こんな形でお別れなんてイヤよ、息をしてイレブン!」

 

 むぎゅぎゅううぅぅう。

 

 もちろんこれは服の上から形が変わる大きな胸の圧力の擬音だ。

 格闘少女マルティナの抱擁力は強く、意識は既に朦朧としていた。

 

「むぐぅっ!? っ……! ……!」

 

「ぎゃーっ!? だからその手を離さんか、マルティナぁっ!」

 

「あ、そそ、そうだったわ!」

 

 慌てて俺から手を離すマルティナ。

 俺は久方ぶりに呼吸が確保され、ぜーはーと息切れしたように酸素を取り込む。

 

「……大丈夫だったかしら?」

 

「いえ、ごほうびなので」

 

 ────スパァン!

 

「いだーっ!?」

 

「まぁだ修行をし足りないようだねえ、イレブン?」

 

 先程まで水入らずの再会を邪魔しないよう静かに佇んでいたニマ大師のお尻叩き棒が俺に炸裂する。

 

 マルティナは突然の体罰におろおろと所在なさげにし、ロウは過去に受けたお尻叩き棒の威力を思い出したのか苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

 そんなこんなで、俺は原作よりも八年ほど早く、ロウ・マルティナとの再会を果たしたのだった。




●マルティナとの年齢差について

 主人公(以下、サラサラ)の年齢はドラクエ勇者の系譜の慣例に従って+エマの「生まれた日が同じ」発言(本当に一緒かどうかの信憑性は低いが出生は概ね一年も外れていないと思われる)から16歳となっていますが、マルティナの年齢は公式設定や初期構想を描いた設定画でも明かされていません。
 ですが判断材料はままありますので、今作品ではこういう推理のもと決定している、というのを明示していきます。

・サラサラ誕生(ユグノア滅亡)時点で小学生程度の見た目をしている。
・グレイグが王にペンダントを貰ったタイミングにマルティナ誕生。
・ペンダント贈与時のグレイグの見た目は小学生高学年~中学生程度なので、10~14歳程度と見積もる。

これらを踏まえて、

グレイグ10歳でマルティナ誕生

マルティナ10歳でサラサラ誕生

ゲーム開始時点でサラサラ16歳、マルティナ26歳、グレイグ36歳

が最も綺麗に対比が並ぶなぁと思ったので、今作品では三人共が10歳差といった前提で進めていきます。(ちなみに現時点でサラサラは8歳、したがってマルティナは18歳となります。)
どうぞご理解とご了承をお願い致します。
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