ちなみに時代的には大崩落から2年半ぐらい、レオナルドが来る半年前ぐらいの時代設定で書いてます(適当)
関西弁は大阪弁変換を使って書いてます(適当)。違和感あったら誤字報告で訂正して下せえ
「という事は、君は全く自分の名前も、儀式についての記憶もないのか」
「ええ、まあ、その……そうなんです。ごめんなさい」
「なんということだ」
ライブラの構成員であるクラウスとスティーブンに確保された名無しの男は、彼らにアジトへと連れていかれ、応接室のようなところで取り調べを受けていた。
ライブラとしては神降ろしの儀式の全貌が知りたかったため、あれやこれやと確認をしていくが、まったくそのような記憶がない名無しの男は何も答えられなかった。
「サングラスをかけると彼の知っている漫画の登場人物に変化する能力があり、神格存在の検知器には彼の存在に神が関わったことを表している。しかもジョン・ドゥか、名前も忘れているとなると……お手上げだ。どうするクラウス?」
「ふむ……」
ジョン・ドゥこと名無しの男の目の前に座るスティーブンは、両手を上げて降参のポーズをとっていた。問われたクラウスはというと、顎に手をやり深く考えているようであった。
「そのヴァッシュ・ザ・スタンピードというものに変身する時に、何か変化はあったかね」
「えーと……。彼の人生を駆け足で経験しているような感覚を味わいました」
「人生を……」
「そうです。彼の人生、人ならざるもの(プラント)として生まれ、人間を愛し、人間を信じ、人間を守るために戦った男の半生を」
「ふむ」
クラウスは考えていた。目の前の男が、飛び切り危険なものなのか否か。ただ危険なものはこの世界にあふれている。重火器にせよ、核兵器にせよ人の手で制御できるものならば、まだ安心できる。
しかし、人知を超えたものの中には、そんなものよりも危険なものなどたくさんある。ブラッドブリード(吸血鬼)しかり、世界崩壊につながりかねない術具しかり。あちらの世界とこちらの世界が交わったことでできた、本来存在してはいけないものたちも含まれる。
目の前の男がどちら側なのか、クラウスはじっくりと考えていた。
「それにしても、儀式の会場で使われた弾薬は、リボルバーでは発射できないものだった。よっぽどの重火器でないと、あれは何だったんだ」
「ああ、それは……もしかしたら」
クラウスが悩んでいる間、スティーブンも頭によぎった疑問を口にしていた。そして、その答えであろうことを名無しの男は気が付いた。
彼はポケットからもう一つのサングラス入れを取り出した。そして、その中から黒のサングラスを取り出したのだった。
「それは?」
「もう一つのサングラスですよ。ニコラス・D・ウルフウッドのね」
「そいつはどんなキャラなんだい」
「んー、人情家で、元暗殺者集団の中の腕利き、ヴァッシュの相棒ですね」
「ほーん。じゃあ、それもかけてみてくれ」
「分かりました」
名無しの男は、言われる通りにこの世界に来てからかけることのなかった黒いサングラスをかけるのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「すごいな」
スティーブンの前に座っていた男は、いつの間にやら黒いスーツを身にまとって、傍らには布でまかれた巨大な十字架が立てかけてあった。
体の大きさはスティーブンとほぼ同等、鍛え上げられた肉体はスーツの下に隠されていたとしても、はっきりと分かった。
「僕らの認識の外での変化か……」
スティーブン達はいつ彼が変化したのか分からなかった。彼らの認識の外での変化。それは神の御業とでもいえるものであった。
「その体で異常はないのかい?」
「特に違和感はあらへんなぁ」
スーツの男は自分の身体をぺたぺたと触ったり、大きく腕を回したりしながらクラウスの質問に対し答えた。喋りがエセ関西弁なのは、ウルフウッドになったために起こったことだ。
「その十字架は何だ?」
「ああ、これは……」
そう言って、男は十字架についていたバンドを外し、布をとって中身を見せてくれた。
「これは……」
「超人暗殺集団『ミカエルの眼』における最高の栄誉の証、パニッシャーや」
クラウスとスティーブンの二人が目を見開いて、その手にある武器を見るのもしょうがないことだった。
その武器はあまりに不合理的に巨大で、あまりに大げさな武器であったからだ。
パニッシャー、ニコラス・D・ウルフウッドのメインウエポンであり、彼の代名詞ともいえる武器だ。
その砲身から放たれる弾丸は容易く人を破壊し、いかに超人であっても死を免れない威力だ。それに、反対側の砲身から放たれるロケットランチャーはそこらへんの戦車から放たれる弾丸よりも高威力のものだ。
明らかに過剰ともいえる対人戦闘用の武器だが、TRIGUNの世界ではこのような武器が当たり前のように出てきていた。そもそもTRIGUNは明らかに、舞台設定が血界戦線よりも未来の物語だ。ある意味現代のオーパーツのような物なのだ。
「薬莢を貸してもらうことはできるか?」
スティーブンの言葉を聞いてウルフウッドに変身している男は、パニッシャーの中か弾薬を取り出した。そして、その弾丸を持ったスティーブンは納得のいった表情になった。
「これだ、あの儀式の祭壇付近に落ちていたものは」
スティーブン達が、神降ろしを行っている祭場に訪れたとき、其処にいた者たちは一命をとりとめていたものの、ほぼ全員が瀕死の重体であった。そして、其処にあった弾薬がパニッシャーから出された弾丸と同じであったのだ。
あの祭場には、普通の弾丸では傷すらつかないような異形のものがいたのだ。それにも関わらず重症を負っていたため、その弾丸が一体何なのか解析が行われていた。
そして、その解析の結果がすべて不明。使われている金属の種類も、火薬も何もかも不明という事でお手上げ状態だった。
その、疑問が晴れてスティーブンは荷物を一つおろしたような気分になっていた。
「でも、ワイは其処にいってへんぞ」
「恐らく、君の意識が戻る前の行動だったのだろう」
「そう言うことだな。で、クラウス。彼をどうする?」
「うーむ」
「ワイはどうなってまうんや?」
「君の身体からは、それなりの神の奇跡の痕跡が検出されるんだ。それだけで、各種研究機関が喉から手が出るほど君の身体を欲しがるだろうし。それに、今君は600億の男だぞ。まあ、平穏に暮らすことはできないだろうね」
スティーブンは今の彼の状況を簡潔に述べた。スティーブンの言った通り、名無しの男の周りは非常に危うい状態になっている。神による改変を受けたであろう体、600億の賞金首、未来の武装、どれをとっても厄介ごとしかなかった。
そして、ライブラとしても彼の今後は重要なものとなっていた。万が一敵対組織に彼を奪われでもしたら、間違いなく厄介なことになる。それに加えて賞金首の影響もあって街の治安が、それはそれはひどい者になるであろうことが予測された。
「君はどうしたいんだ」
「せやったら、ワイは自分のほんまの名前を取り戻したい。そのためやったら何でもするつもりや」
「そうか、名前か。君には二つの選択肢がある」
「なんや」
クラウスは、名無しの男に向けて言葉をかけた。
「一つ、君は私たちの監視下で生活することになるが、ヘルサレムズ・ロットから去るという選択肢だ」
「それは……」
「そう、この選択を君が選べば君は自分の本当の名前を取り戻すことは非常に難しくなるだろう」
クラウスの言っていることは事実だ。ひとまずこの危険な町から逃げ、隠れるようにして一生を過ごす。しかし、ヘルサレムズ・ロットから去るという事は、儀式の真相から遠ざかるという事だ。彼が一体何者で、どうして、この世界に来たのかという問題を解明しないまま、ただ監視されながら日々を無為に過ごす。これが一つ目の選択肢。
「二つ目の選択肢だが……、ライブラに入るという選択肢だ」
「ライブラ……」
「さっき話した通り、ライブラはこの街の異常現象や異界犯罪等を相手に秘密裏に解決する組織だ。この街のどこかに君の本当の名前を知る手掛かりがあるかもしれない」
名無しの男はこの場所に連れていかれる前、スティーブン達のことを簡単にだが聞いていた。ライブラと秘密結社のことも聞いていたが、まさか誘われるとは思いもしていなかった。
「もしも、入ってくれるなら。安全な住みかを提供することもできるし、600億の賞金首についても色々とすることが出来るかもしれない。どうするジョン・ドゥ(名無しの男)?」
名無しの男は、必死に考えていた。彼のモットーは安全第一。しかし、さっきクラウスに話したことも確かだ。少しでも、自分の名前に関係する手がかりを得れるなら何でもするつもりであった。この数日、本当に奇妙な経験をしたのだ。一体自分は何者で、なんのためにここにいるのかと。
名前とは個人を定義するものだ。他者とは違う己を定義する者。ただ名前を忘れたわけではない、神に名前を奪われたのだ。心の中にある焦りは、この世界に来てから日に日に強いものになっていた。
「クラウスの旦那。ワイは、英雄たちの経験を追体験しただけや。このパニッシャーも恐らくやけど、十分に使いこなせへんやろうし、トンガリになったとしても、あんな超絶テクニックはあらへん。それでもええんか?」
「大丈夫だ。諦めぬ限り、進み続ける限り、人間がくじけることは無い。ようこそ、ライブラへ」
「よろしく頼むわ、クラウスの旦那」
こうして、名無しの男ことジョン・ドゥは自分の本当の名前を探すために歩き続けることを決めたのだった。
お気に入りや、評価くれたら、飽きずに続けられるかも(/ω・\)チラッ
注意:万が一感想を書いていただける場合、今後の展開を予想するのはやめていただけるとありがたいです。続きを書く気が無くなるので……。
トライガンを……
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漫画なら読んだことがある
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アニメなら見たことがある
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漫画、アニメどちらも見たことがある
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見たことがない