新作日刊にものりましたわぁ!
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オタク、紹介される
こぽこぽという音とともに、コーヒーの芳しい香りが部屋に満ちていく。そんな穏やかな昼下がり、ライブラ本部では、次なる作戦のブリーフィングが始まろうとしていた。
「今回のターゲットは、これだ!」
スティーブンがホワイトボードに一枚の写真を貼った。そこには、手のひらに収まるほどの小瓶が写っている。
瓶の中にはピンク色の粉のようなものが入っており、ラベルには妖精の絵が描かれていた。
「これは『妖精の鱗粉』と呼ばれる薬物だ。こいつを吸い込むと、一時的な記憶障害と強い幸福感に襲われる」
「質問です」
「なんだ、チェイン」
「その程度の薬物なら、このヘルサレムズ・ロットにはいくらでもあると思うんですが……」
「そうだ。この程度の薬物なら、そこらの売人からでも似たようなものが買えるだろう。だが、今回、我々がこの『妖精の鱗粉』を追うのには理由がある」
そう言って、スティーブンはもう一枚の紙をホワイトボードに貼り出した。
「なんですか、それは」
紙に描かれていたのは、町の地図に大きな赤い円が重ねられた図だった。その円はかなり広く、ヘルサレムズ・ロットの半分以上を覆い隠すほどの大きさである。
「これは、この小瓶の蓋が外された際に想定される、『妖精の鱗粉』の影響範囲だ」
「ほぼ町全体じゃないっすか」
「そうだ、ザップ。こいつは非常にたちの悪い薬物だ。小瓶の蓋を開けた瞬間、鱗粉が半径数キロにわたって散布され、吸い込んだ者は数時間分の記憶を失う。しかも、効果を防ぐためには特製のマスクを装着しなければならない。通常の防塵・防毒マスクでは、瞬く間にこの薬の餌食になるだろう」
スティーブンは力強く言い切ると、ザップたちのほうへ視線を向けた。
「この薬品が保管されている場所は、すでに突き止めてある。チェインには先行して潜入してもらい、内部の情報を集めてもらう。その後、二か所ある倉庫を、私とクラウス、ザップとジョンの二組に分かれて急襲する」
「俺と死体野郎が!? 嫌ですよ!」
スティーブンが作戦を説明すると、露骨に嫌そうな顔をしたザップが、死体野郎ことジョンを指さして声を上げた。
「大丈夫だ、ザップ。ジョンの戦闘能力は、私たちが確認済みだ」
「ダンナたちが!? 嘘だぁ。こんな野郎に何ができるんですか!」
「ん? お前たち、ジョンから聞いていないのか?」
「名前を失った死体野郎ってことですか?」
ザップとチェインは、スティーブンの言葉にそろって首を傾げた。
ジョンは、荒事とは無関係に見える風貌をしていた。体格こそがっしりとしているものの、どちらかといえば、のほほんとした雰囲気をまとっている。
二人からすれば、ジョンは戦闘要員ではなく、事務処理を担当する人員だと思われていたのだろう。
「ジョン、サングラスをかけてくれ」
「はい」
ジョンは胸ポケットに掛けていたヴァッシュのサングラスを手に取り、装着した。
次の瞬間、彼の姿はヴァッシュへと変わっていた。
「のわっ!」
「うわっ!」
ザップとチェインが驚くのも無理はない。つい先ほどまでシャツとジーンズ姿だった男が、一瞬にして赤いコートをまとった男へと変身したのだから。
「もう一つの姿も見せてやってくれ」
スティーブンに促され、ジョンはもう一つのサングラスを取り出し、ウルフウッドのものへとかけ替えた。
「マジかよ……」
ウルフウッドの姿へと変わったジョンを前に、ザップたちは言葉を失っていた。
ヴァッシュの姿は、鮮やかな赤いコートこそ強烈な印象を与えるものの、その顔つきにはどこか穏やかさがある。
一方、ウルフウッドは、一目見ただけで裏社会に生きる人間だと分かるような風貌をしていた。
「彼はサングラスをかけ替えることで、ヴァッシュ・ザ・スタンピードとニコラス・D・ウルフウッド、二人の姿へ変身できる。しかも、彼らから受け継いだ戦闘技術は折り紙付きだ。まあ、いくつか問題もあるようだがな」
「はっ、ちょっと驚いちまったぜ。でも、その変身した姿ってのは、本当に強いのか?」
「かなりの腕だ。ヴァッシュの姿では超一流のガンマンとして、ウルフウッドの姿ではリジェネーターの能力を生かしながら、重火器を用いて戦うことができる。昨日、訓練を行ったが、一人で部隊を相手にできるだけの能力があることは保証しよう」
「ほーう、こいつがねぇ」
「先ほど言っていた、いくつかの問題というのは何ですか?」
ザップの不満を解消するようにスティーブンが説明を重ねる一方、チェインは彼が口にした「いくつかの問題」という言葉が気になったようだった。
「それについては、私から話そう」
チェインの問いに答えるように、クラウスが口を開いた。
折しも時刻は午後三時。そろそろ、おやつが欲しくなる頃合いであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あぁん? ってことは、あの金髪野郎の姿だと、人を殺せねぇってことか、死体野郎!」
「まあ、そういうことになりますね。あはははは……」
クラウスからジョンの問題点を聞かされたザップは、ジョンを指さして声を荒らげた。
一方、当のジョンはというと、頭をかきながら困ったような笑みを浮かべている。
ジョンには、いくつかの問題があった。
一つ目は、ヴァッシュの姿では不殺を貫く――というよりも、人を殺すことができず、仲間が誰かを殺そうとした場合にも、それを止めようとすること。
二つ目は、ウルフウッドの姿であれば必要に応じて敵を殺すことができるものの、可能な限り不殺で済ませようとすること。
三つ目は、ヴァッシュとウルフウッドの能力をまだ完全には使いこなせていないことだった。
ザップがジョンに対して怒るのも、当然といえば当然である。
一瞬の判断が生死を分けるヘルサレムズ・ロットの戦闘において、不殺という楔にがんじがらめにされたまま戦うなど、命知らずもいいところだ。そればかりか、タッグを組む相方まで危険にさらしかねない。
「まあまあ、ザップ。言いたいことは分かるが、ここはひとつ協力してくれないか?」
「何か理由があるんですか?」
「ウルフウッドの姿で戦わせれば、ひとまず問題は解決する。だが、ヴァッシュの能力も、使いこなせるようになれば非常に魅力的な戦力になるはずだ。そのためにも、本人の持つヴァッシュの記憶と、実際の戦闘経験をすり合わせたほうがよいと考えてな」
「やーですよ。なんで俺が、こいつの子守をしなくちゃいけないんですか」
「万が一の場合は、全力で戦っても構わない。それに、いつも自分を天才だと言っているザップになら任せられると思ってな。まさか、その程度のこともできずに天才を名乗っているわけではないだろう?」
「俺は絶対、子守なんかしないからな!」
ザップは大変ご立腹な様子で、肩をいからせていた。
「帰る!」
「おい、まだ説明が……」
ザップは話は終わったと言わんばかりに、肩を怒らせたまま部屋を出ていってしまった。
スティーブンは引き留めようとしたものの、その表情には、どこか諦めの色が浮かんでいた。
「はて、ザップさんはどちらへ?」
入れ替わるように部屋へ入ってきたのは、午後のおやつを運んできたギルベルトだった。
「彼なら、怒って出ていってしまったよ」
「それはそれは」
スティーブンの言葉を聞いても、ギルベルトはまったく心配そうな様子を見せなかった。
「まあ、あいつもやるときはやる男だ」
「そうだな。むっ、また腕を上げたな、ギルベルト」
「美味しい」
「今回は、ことのほか美味しくできました。ジョンさんも、おひとつどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
ギルベルトから渡されたクッキーは、ジョンの記憶にあるどの菓子よりも美味しかった。
「大丈夫ですよ」
「そうですかね」
「ええ。殺せないという性質は、捕縛任務などでは大きな強みになります。それに、今回お二人を組ませたことにも、きっと何か意味があるのでしょう」
「はぁ……」
ギルベルトの言うことにも一理あった。
ライブラは、何も人殺しを目的とした集団ではない。どちらかといえば、相手を生かしたまま確保することが望ましい場合のほうが多い。
しかし、この街には、殺す覚悟で戦わなければ、こちらが殺されてしまうような相手が数多く存在するのも、また事実だった。
「まあ、なんとかなりますよ。何せ、彼は天才と言われる人の1人ですから」
ギルベルトはジョンにウインクをすると、そう言い残して立ち去っていった。
その場に取り残されたジョンは、しばらく呆気に取られていたものの、不思議と心が軽くなっていることに気づくのであった。
お気に入りや、評価くれたら、飽きずに続けられるかも(/ω・\)チラッ
注意:万が一感想を書いていただける場合、今後の展開を予想するのだけはやめていただけるとありがたいです。続きを書く気が無くなるので……。
トライガンを……
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漫画なら読んだことがある
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アニメなら見たことがある
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漫画、アニメどちらも見たことがある
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見たことがない