男でも、自由に生きて何が悪い! 作:フルーツポンチ侍
19歳、170cm、61kg
黒髪短髪の青年。
よく夜更かしをするため眠そうな目の下に隈が出来ている。
━━ピンポーン
「……zzz」
━━ピンポーン
「………ん?」
━━ピンポーン
「……」
誰か来たのか?いやしかし、俺は眠い。てなわけで居留守を使おう。ゴメンな客人。今日は気が乗らないや。
━━ピンポーン
「……」
━━ピンポーン
「……」
━━ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
「っ!?」
思わず飛び起きた。
鳴り響くチャイムの音。俺は急いで玄関に向かった。
こんな朝っぱらから一体どこの常識知らずだと、そんな風にキレながら扉を開ける。
そこに居たのは、
「やっと起きたかい、バカタレめ」
「お、おはようございま〜す…」
クソババアと天使が立っていた。
▼
「来るなら来るで連絡しろよ」
このちゃんが来るなら来るで1から手作りケーキでもこしらえてたのに、クソが。
「連絡したじゃないか。既読はつかなかったが」
「は?」
ババアの言葉にスマホを開く。
……うーん、確かに来てる。けど今日の夜中の2時に送られてもわからんわい。
「いきなりお邪魔してごめんなさい、りく兄…」
「何を言う。このちゃんならいつでも歓迎だ」
「……相変わらずのシスコンだねぇ」
ババアの言葉は無視だ。
言っとくが別にこのちゃんとは血の繋がった兄弟とかでは無い。ただの妹分、兄貴分と言うだけだ。
「んで?何用?」
「アンタ、うちで働くんだろ?まだ先とはいえ荷物くらいは運んでおいてやろうって優しさだよ」
「うわ、ババアの優しさとかキモイわ……なんか裏あんじゃねーの?」
「人がたまに優しくしたらそれだ。我が孫ながら大したひねくれ屋だよ」
うるせえやい。
まだ道場で色々やってた時、毎回優しくされた後は良くないことが起きていたもんだ。そんな過去を経験してたら信用出来なくなるのも当たり前というもんだろう。
「それにアタシの優しさというより木乃実の優しさだね。アンタが
なんという、なんという優しい子なの。
前言撤回だ。このちゃんのご好意なのであるなら土下座感謝ものだ。
顔赤くして照れ照れしてるこのちゃんカワユス。
「このちゃん」
「は、はい」
「このちゃんみたいなやつのことを良い奥さんになる娘と言うんだろうね」
「……ふぇ!?」
この娘はいい嫁さんになる。お兄さん自信を持って言えますよ。
となれば早速荷物をまとめようか。
「よしババア手伝え。このちゃんはここでゆっくりしてなさい」
「はぁ…、年寄りは労らんかいバカもんが……」
「え?……わ、私も手伝いますよ!」
そうして我が家の大掃除が始まった。
「全く、漫画なんて何に使うんだい…」
「仕事のモチベをあげるための重要なものですが?なにか?あ、年取ったら脳みそすかすかになるから分からないんだね」
「……やるかいクソガキ?」
「老いぼれがはしゃごうとするなよ」
「お二人共!止まってください!」
「フィギュアは持っていく必要ないだろう…」
「何をゆう、早見優。魔都でも俺はオタ活するぞ。それがオタクというものだ」
「うわぁーこれ細かい所まで凄いですね…」
「はわわ…!こ、これは…!」
「……アンタ、こんなのが趣味かい?スケベだね」
「俺も男ですし?おすし?そりゃ多少は持ってるに決まってるだろ」
そんなこんなで荷物もまとまり、断捨離もしてスッキリした部屋に掃除機をかける。
窓を見てみればそろそろ日が沈み始めるような、そんな時間。
「ふん、案外綺麗にしてたじゃないか」
「りく兄って昔から綺麗好きですよね?」
「そりゃ汚いよりだったら綺麗な方が"今日も一日頑張りがんばるぞ!"的な感じにならん?」
「あ、分かります!こう、気合いが入りますよね!」
笑顔で頷く妹分。可愛いヤツめ。後で小遣いをやろう。
「ま、とにかく終わったんならさっさと運ぶよ。アンタはまだ来なくていいから。後で……そうだなぁ、3日後くらいに木乃実に迎えにこさせるよ」
「おけまる水産」
「それじゃありく兄!また後で!」
「あいあい」
そうして部屋を出る2人。後を追い玄関をくぐる2人に手を振りながら見送った。
「……このちゃんが可愛くなりすぎてた件について」
俺が中学入学を機に家を出て以来だから……7、8年振りくらいか。
成長しちゃってまあホント。お兄さん感涙です。
「とりあえず魔都に行くまでの間は体でも動かしてるか」
訛った体を起こす。
そう決めた俺は早速部屋へと向かった。
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