最初はむかつくやつだった。
あの男がLv3と聞いた時、ワタシは驚いた。
当たり前だろう、Lv3だぞ?
Lv3のアイツに対して姉者はLv5、その上にLv5になってからの7年間分の経験値を溜め込んでいる。
ワタシはLv5になった。だが姉者に勝てるかと言ったら話は別だ。
ワタシと姉者では経験値以外には技と駆け引きも一歩も劣っている。
今の私ですら勝てない姉者にLv3の状態で戦えるか?まず間違いなく負ける。
もちろんアイツも負けた。
だが負け方としては見事と言わざる負えない。
あまりある差をアイツは魔法と気迫で突き詰めた。
あの一撃は間違いなく姉者に対して怪我を負わすことのできる一撃だった。その証拠に姉者は冷静にそれを避けた。
なんだアイツは?本当にムカつく。
なんだあの勝ったあとの姉者の清々しい顔は?私と訓練する時の姉者はもっと厳しい顔をしていた。
1度もあの男と戦った後のような顔をしていなかった。
それがムカつく、ムカつく、ムカつく!!!
はぁーーーー強くなってやる。あの男のように姉者を楽しませるような強さを手に入れてやる。絶対に!
そう考えていた…
トンネルを通っていた時、奴に問い詰めた。
なぜ、貴様はそれほどに強い?どうすれば、早く強くなれるか?と
最初、奴ははぐらかしてきた。
それに腹を立てもっと問いつめてしまった。
ガネーシャがステイタスは他人に明かすものでは無いと止めてきたが、そんな事よりも私は奴がはぐらかしたことが気に食わず、頭に血が昇っていた。
今思うと少し申し訳なくも思っているが、次の瞬間やつは豹変した…
丁寧な言葉遣いは段々となくなり、
最初の私の信念をバカにするような発言に私はさらに頭に血が昇り、手がでそうになった。
そんな私に一切も怯まず、奴は…いや彼は私に本音を吐いた。
「ふざけているのはどっちだ?」
「お前らはそうやって口だけでどれだけの時間を無駄にしてきた?Lv5が11人?すげぇファミリアですね?今のオラリオにしてみれば」
「ゼウス、ヘラファミリアがいた時Lv5なんてゴロゴロ居たんじゃないのか?Lv6やLv7、そしてLv8.9の化け物共がいたんじゃないのか?」
「お前らは何をしてきたんだ?7年前のあの時からお前らはなぜ成長してねぇんだよ?」
「時間ならあったよな?あんたがいつLv5になったかは知らねぇ、知りたくもない。時間の無駄だ。」
「どうしてそこまで弱さに甘えられる?何が第1級冒険者だ?」
「あいつらゼウスとヘラの生き残りの犠牲で得た力がそれか!?ふざけるな!もっと強くなってろよ!」
彼の言った言葉は一言一句私の心に刻まれた。
そして感じた。私は奢っていたのではないか?
どこかで停滞していたのではないか?
どこかで諦めがあったのではないか?姉者よりは上に行けないと
姉者と並べればいいと
そんな奢りをぶった切られるような発言でそれはある種の真実だった。
それを気づかせてくれた彼に感謝を
そして絶対に彼の期待に応えよう。
オラリオの第1級冒険者として、ガネーシャ・ファミリアの副団長として
そして姉者の妹分としてではなく、対等になれるような冒険者に!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第一印象は不思議なやつと言った感じだった。
ダイダロス通り付近の市民の通報で私達、ガネーシャ・ファミリアは来た。
私は先行し守衛を倒しながら、ホールまで突入し、そして圧倒された。
中では二人の男がたっていた。
1人は突入前の調査で顔が割れていた。ヨグ・ファミリアの団長、バグ・ソドース
そしてもう1人は顔も知らぬ白髪の青年だった。
そしてバグは白髪の青年に腹を貫かれていた。
一目で見て助からないことを悟るが、今は白髪の方だと意識を変えた。
正面から見た青年は光がないようなあるような瞳をして、髪色が白から黒へと変えながら、バグの死体を抱え私の元へと歩いていた。
私は得物に手をかけながら青年に対して警戒していたが、青年はそれを気にしていないようにぶっきらぼうに聞いてきた。
「あんた、誰だ?」
初対面、そしておそらく年下の青年からのいい気のしない問いかけに私は不満を覚えたが、それを気にせず一旦名乗っておく。
「私はシャクティ・ヴァルマ。ガネーシャ・ファミリアの団長だ。」
これが青年、レイとの出会いだ。
ホームに戻った際、私はレイに戦闘を申し込んだ。
断られると思ったが、奴は少し考え私に質問したあと、了承してくれた。
本気のレイの実力はLv3とは思えないほどの強さだった。
身体能力はLv4の中位
魔法の瞬間火力だけならLv5に届くとも感じた。
ただ一方で技や駆け引きは素人に毛が生えた程度。
ステイタスによるゴリ押しだった。
だがそれは仕方がないことだとも理解した。
恐らく彼は凄まじい速度で成長している。
急激に上がるステイタスに技術が追いついてないのだろう。
ステイタスに技術が追いつき、レイがLv5にでもなれば、
まぁ敵対することはないだろう。
そして1番に驚いたのは彼の性格だ。
彼は
冒険者なら誰もが避けるであろう、あの
私が彼の立場なら言えるだろうか?
彼がどのように知ったのかは分からない。
だが私は彼のように仲良くなりたいとは言えるとは思えない。
そんな彼に…レイに私は神と似たような視点を感じた。
私達とは違う
その雰囲気を感じた時私は彼を尊敬した。
冒険者ではなく、一人の人間として