宿の店主には「おい!あんた大丈夫か?」などと言われたので改めて自分の姿を確認したら、めちゃくちゃ体調悪そうな顔をした男がそこに立っていた。
あー、街を歩いてた時妙に視線があると思ったらこういうことか。
今の見た目は人間と言うより幽霊とか妖怪とか言われた方が納得いく程度にはゲッソリしてる。
店主には「疲れてるだけですよ」というと店主は昨日ヨグ・ファミリアの連中が宿に来て俺の事を嗅ぎ回っていたことも伝えてきた。
あいつら俺をつけるだけでなく、宿とかも調べていたらしい。
いつから付けられていたかは分からないが、これはちょっと対策をしておいた方が良さそうだな。
豊穣の女主人はまぁ大丈夫だろう。俺より強い人ばっかだし、最悪Lv6の
ということは…まぁミアハとヘスティアファミリアは明日確認すればいいだろう。
今はとにかく休みたい。
色々疲れた。
「あー、その件は大丈夫なんで」
軽く店主にそう告げ、部屋の扉を閉じベッドへと倒れ込む。
作戦開始まではまだ数日ある。それまでにあいつとた……
考え事も終わらず、そのまま眠りにつく。
ーーーー
「はぁ〜バグのやつマジで死にやがっちまったな〜」
ここはダイダロス通りの奥。ほとんど人の寄り付かない通路。そんな通路を一人の神が通っていた。バグの主神ヨグである。
「今から良い奴を探そうにももう10年以上育てるのはだりぃしな〜。どうしようかねぇー?」
バグとヨグは10年以上の付き合いがあった。紛争地帯で拾いヨグ自身が育てたと言っても過言ではない。いくら神が永劫の時を生きると言っても10年も過ごせば多少の愛着は抱く。
(今から新しい子供を育てるか…無理だな…)
「やぁヨグ」
そんなヨグに声が掛けられた。後ろを振り向くと2人の男?がたっていた。1人は自分を呼び止めた神、タナトス。
実質的な闇派閥全体の主神と言って差し支えない親玉である。
「オーオー、忙しそうなタナトス様が俺の元まで来るなんて珍しいこともあるもんだな〜」
ニヤニヤと口を歪めながら、しかし心の奥底には思慮を潜ませ、タナトスの意図を調べる。
「ちょっと用事でね。じゃあやっちゃって」
「あ?」
その声と同時にヨグは床に組み伏せられていた。
「はぁ?」
「ごめんねヨグ〜?」
「なんのつもりだ?タナトス?」
睨みながらタナトスに問うヨグだがタナトスはそれをひらりといなし道化のように振る舞う。
「僕のお気に入りが君は不安因子だから消しといた方がいいって言うからさ〜まぁ運が悪かったと思っといて?」
「フッざけんなよ?」
「まぁ殺しはしないからさー、じゃあね!!」
その言葉と共にヨグは意識を失う。
「えっとこれでいいの?」
その言葉にヨグを組み伏せていた者は頷く。
「そっかァ、まぁ君のおかげで計画が上手く言ってるからこのくらいのわがままは聞いてあげるけどさー、これからも活躍期待してるからね?」
お前のわがままを聞くのは、計画が上手くいっている間だけだと言外に告げる。
男いや怪物は返事もせず、そのまま神を抱えながら歩き出す。
「あ!置いてかないでよぉー、僕の護衛今は君しかいないんだよぉ!?」
そのまま雑談をしながら2人の神と怪物が姿を消す。
ーーーーー
はっ!
勢いよく、眠りから目を覚ます。
今何時だ?うげ、昼過ぎじゃねぇか…はぁーやっちまった。貴重な鍛練時間が減った…うーんでも睡眠も必要だし。
そうだ!こういうのなら…
(大賢者、こういうのってできるか?)
俺は自分のやりたいイメージを大賢者へと伝える。
……可能
よし、なら今日の夜からそれを実行してくれ。
俺はベッドから飛び起き、身支度を済ませ、外へと出る。
そして道の途中でじゃが丸くんを食べながら、ヘスティア・ファミリアへと向かった。
コンコンコン
「ベルー?いるか?」
扉を叩きながら、
「あ!レイさん、どうかされたんですか?」
「いやー、おととい急に居なくなっちまって悪い事をしたと思ってな、すまなかったな」
「あ、その事ですか、全然大丈夫ですよ。」
ベルははにかんだ笑顔を見せながら俺のフォローをしてくれる。
弟がいたらこんな感じがいいな。
そんなことを思いながら、話を続ける。
「そういえばあの後変わったこととかなかったか?」
「変わったことですか?」
「ああ、誰かに付けられたとか?そんな感じの」
これでヨグ・ファミリアのことを言われたらあいつらに関連する組織相手に対処する必要があるが…どうなるかねー
「いえ、そういうのは…変わったことと言ったら神様が宴に行ったきり帰ってこないことくらいですかね?」
問題はなし。そして今はヘスティア土下座タイムってことか、まだ余裕はあるな。恐らく2週間くらいかな?
「あー、多分それは俺の件とは関係ないかな?あと数日で帰ってくると思うぞ」
ヘスティアナイフのことを教える訳にはいかないので適当に誤魔化す。
「そうだといいんですけど、神様から数日空けると言われてはいるんですが、少し不安で」
「まぁそうだよな…もし心配ならほかの神様にでも聞いたらいいんじゃないか?確か…ヘスティア様とヘファイストス様は仲がいいって聞いたことがあるしな。」
これくらいは伝えても問題ないだろう。もしベルがヘファイストス・ファミリアに行ったとしてもヘスティアナイフが渡されるのが早くなるだけだし、アイズとのフラグは…まぁもう既に立ってるし遅かれ早かれ直接喋る機会はできるだろう。
「そうなんですか…わかりました。もし帰る様子がなさそうなら聞きに行ってみます。」
「そういえば、お前今日はダンジョンには行ってないのか?」
ベルは毎日早朝にダンジョンへ行き、夕方に帰る生活をしていたはずだ。怪我は俺のポーションで直したし問題は無いはずなんだが…
「あ、はい。レイさんに助けてもらった時に神様から数日ダンジョン探索は行かないようにって言われてまして…一応明日には探索を再開しようかなと」
まぁヘスティア様らしいっちゃらしいよな。
こいつは波乱万丈な冒険をするし、そのくらい過保護なくらいがいいだろう。
「あの…」
ベルが俺の目を見て話しかけてくる。どうやら真剣な話のようだ。俺も真剣な顔をして、ベルの言葉を待つ。
「レイさんさえ良ければでいいんですが、僕に戦い方を教えてくれませんか?」
「俺に?」
なんで俺なんだ?フラグがズレてアイズと俺の師匠ポジがズレた?いやそもそもベルが戦い方を学ぶのはまだ先のはず…
「リューさんから聞きました。レイさんは僕よりLvが上だって」
あ〜、リューさんが…恐らくミノタウロスやキメラを倒したことをリュー
さんは魔石やドロップアイテムで知ったのだろう。だが…うーんこれは…
「僕は強くならなきゃいけないんです。どうしても追いつきたい人がいるんです!」
少し悩んでいるとベルがさらに言葉をかけてくる。
真剣な目で俺を見続けている。
「分かった。でも条件がある。」
その目に観念して俺は稽古をつけてやることを承諾する。しかし条件は必要だ。時系列はなるべくずらさないように…このくらいか
「教えるのは2週間、それ以上は無理だ。」
俺が
「それに先に言っておくが俺にはお前に伝えられることはない。俺はLv3だが、Lv3になったのは最近だし、このオラリオにも最近来たばかりだ。俺にお前に教えられるほどの技と駆け引きはない。」
「だからとにかく実戦を行う。そこでお前自身で何かしら掴んでもらうしかない。」
ベルには実戦経験が足りない。原作がいくら進もうとそれは変わらない。
だからそれを補強出来ればいいだろう。
「それでもいいなら引き受けよう」
「はい!よろしくお願いします!」
「よし、じゃあ今からやってみるか」
「え!今からですか!?」
「おう。怪我は治ってるだろ?なら早い方がいい。」
「わ、分かりました。すぐ準備します!それでどこで訓練を?」
準備しているベルを待ちながら、場所を考える。まぁあそこしかないよな。
「ダンジョン」
「え?」
「ほらほら、早く行くぞー!」
「ええ!は、はい!」