「どうも、こんにちは。会うのは二度目だね?」
病室の入口から金髪の少年ーいや
その後ろにはベート…そしてレフィーヤもいる。どうやらあの件の関係者を連れてきた感じだろうか?それだとアイズやアスフィがいないことが気がかりだが…まあとにかく話を聞いた後で判断すればいい。
「怪我の具合は…どうやら治ったようだね?」
フィンは俺ではなく、アミッドの方を向いて質問する。
まぁ俺の魔法を知らないフィンがアミッドに聞くのは通りだ。
だが、その質問はNG。
「はい。アミッドさんのおかげでどうにか治りました。それでそちらの要件は?」
答えようとするアミッドを遮るように俺はフィンに話しかけた。
当然だ。ここで《リライフ》の性質を明かすのはなんのメリットもない。
俺はまだ大口を叩く謎のヒューマンでなければいけない。
少なくとも今はこのスタンスは維持する。
「そうか、それは良かった。怪我が治ってすぐで悪いんだが、こちらから君に聞きたいことがあるんだ。」
フィンは俺がアミッドを遮ったことを気づきながら、俺と話しを合わせる。
「聞きたいこと?それはなんですか?」
話せる内容はある程度考えてある。
情報を渡しすぎても渡さなすぎてもこちらの立場が危うくなるのだ。
なるべく慎重に選ばなければ…
「君はあの男たちの正体を知っているのかい?」
あの男たち…恐らくレヴィスやオリヴァスのことだろう。
もちろん知っているが…ここは…
「あの白髪の男と赤髪の女についてですか?」
「そうだ。」
「…正体と言ってもただとてつもなく強い人間。しかも冒険者出ないってことしか知らないですね。」
「…」
「個人的な感想なら…あの人たちの力は魔石によるものだとも思いましたけど」
「ほう?それはどうして?」
まず冒険者では無い点。
これは簡単、ベートやアイズと張り合える人間は間違いなく第一級冒険者として名前と顔を知られているから。
それを知らないのはここに来たばかりの人間だけだろう。
名前と顔が分からないのなら奴らは冒険者では無い別勢力の人間。そう考えるのが妥当。
魔石による力だと思った理由も簡単。
赤髪の女レヴィスが魔石を食らって強くなったから。
ならば奴らの強さの要因は魔石によるものだろうと考えた。もちろん魔石を食べて強くなる方法は分からないが…
そのような説明をフィンにした。
フィンはこのくらい想像しているだろう。
ここで大事なのは俺が全てを知っていることを悟らせないこと。
俺が無知なただの巻き込まれだと知らしめることだ。
「ちなみに聞くが…君はなぜあの場に?」
「ある人物からの依頼です。極秘裏にあの場所を調べて欲しいと…依頼人は言えません。」
これも簡単。|愚者の存在を隠しながら依頼を受けたと言えばいい。
Lv3というのは相手にバレているかもしれない。
だが、あの深さならギリギリとはいえLv3でも通用する。
潜入目的なら1人でも危険はあるが納得できないレベルではないだろう。
その後も数度俺は質問を受け、なるべく情報を喋らないよう返答した。
「そうか…ありがとう。レフィーヤ彼にあれを」
「は、はい。」
フィンは満足したのか後ろに控えていた、レフィーヤに声をかける。
レフィーヤの腕の中には俺が持っていたであろう剣…《インペリアル》があった。
(良かった。無くしてなかった。)
そう、素直に思った。
さすがの俺も1000万のものを無くすのは
「あ、僕の剣…ありがとうございます。」
「これはあの場でアイズが拾ったものだ。礼ならアイズに言ってあげてくれ」
「わかりました。」
「では、僕達はこれで…」
「あの!」
「ん?なんだい?」
俺はフィンに質問する。
この質問は今回の事件で一番大事だ。
「あの事件で死傷者は?」
「重症が数人…そして死傷者は2名」
…やはりか、あの男が現れてから俺以外にも対応を押し付けてしまった…だからこぼれ落ちる可能性もあるだろう…
「君は全力を尽くした。君が気に病む必要は無いよ」
そう言い残しフィンが病室から出ていく。
それに着いていくようにレフィーヤがそしてずっと黙ってこちらを見ていたベートも俺を睨むように見ながら、病室を去っていく。
扉が閉まり、フィンたちが去った後、アミッドが零す。
「私の力不足です。すいません…」
「あなたのせいじゃない」
俺のせいだ、俺がもっと強ければ…
守れなかった…くそ!!!
あれだけ知っておきながら最後の最後で失った!
「申し訳ありません。1つ質問を…なぜ、その魔法を隠すのです?少なくともフィン様には話しても問題ないかと」
は?何を言っているんだ?こいつ…いまそれどころじゃ…いや冷静になれこの怒りは意味が無い。
魔法やスキルを隠すのは当たり前のことだ。
手の内を晒すことそれにメリットはほとんどない。
アミッド視点ではフィンは味方だからこの発言ができるのだろう。
しかし俺にとっては話は別だ。
「これから敵になるか、味方になるか分からない人に手の内は晒したくないでしょ?」
「敵とは…大袈裟では?」
俺にとってはそうでも無いんだよなぁ〜フィンは
「そうでも無いですよ…少なくとも今は…」
裏のある発言だと考えたのがアミッドは別の話をしだす。
「そうですか。では1つ質問を。あなたの魔法、その発動条件は?」
俺は怪訝な顔をしてしまう。
先程スキルや魔法は隠すべきと話した後で魔法の発動条件を聞くなど普通は考えないだろう。
「これからあなたを治療する時…あなたを治す手間を削減できるのでお伺いしたいのですが?」
アミッドはアミッドなりの考えがあって質問したわけか…別に問題は無いだろう。アミッドは9割9分9厘味方。
てかこいつが敵だったらオラリオが崩壊する。
まず間違いなく。
「俺の魔法の発動条件は俺が死んだ時です。」
「は?」
「俺が死んだ時、
「答えはしました。お願いですから他言は避けて下さい。それと…ありがとうございました。」
俺はサラリとそう言いながら荷物をまとめ、病室を後にする
レイの去った病室…その中でアミッドが悶々と考える。
死んだ時?…死亡?そんな…ことが…有り得るの?
魔法とは詠唱…魔力の貯めがいるもののはずでは?
自分の死なんて人が最も受け入れられない行為じゃないの?
様々な思考が巡る中ひとつの結論へ至る。
『アメミヤ・レイは壊れている。』
第1級冒険者はどこか壊れている。
それは昔…治療院の先輩に聞いた言葉だったはずだ。
実際に第1級冒険者であるヒュリュテ姉妹、アイズと話してその片鱗を知ったつもりでいた。
しかし彼は別の意味で壊れている。
あの一瞬、私が目を瞑ってすぐ…彼は自分を殺した?
自殺すら回復の手段として使っている?
そんな人間が存在できるの?
生きる活力…それは少なくない影響をその人に与える。
復讐に燃える想い。
弱い自分への怒り。
野望をやり遂げる想い。
その全ては生きる意思として活力となる、それが人間だ。
しかし…もし死すらも手段として使える人間がいるのなら…果たしてそれは…本当に人間なのだろうか?
ある種の狂人…人ならざるものになってしまうのだろうか?
そんな考えをしていたアミッドだがやがて思考は打ち切られる。
「急患です!治療をお願いします!」
「…!!わかりました。すぐ行きます。」
ーーーストリートを歩くフィン、ベート、レフィーヤーーー
(情報は整理できた。彼は知っている。僕達より奴らのことを)
フィンはレイの態度…その機微や発言からそう結論づける。
まぁ彼が敵に回る可能性はかなり低い…少なくとも奴らの仲間ではないだろう。だから今は放っておいてもいい…しかし…
「で?どうだい彼は?」
フィンはベートにそんな言葉を投げかける
「折れちゃいない。あいつはまだな」
ベートが零す。
「そうだね」
フィンもその言葉に賛同する。
レフィーヤは1人。
2人の言葉に困惑する
「あの…折れるとは?」
「あーそうだね。簡単に言えば…彼は立ち直ったのさ。あの絶望から」
「絶望…?」
「俺やアイズの一撃を余裕で受け止めやがったあの男だ」
「…!!」
「ベートや
普通のものならその絶望で落ちる。
最悪死に至るものをいるだろう…しかし
「彼は折れていなかった。体が治ったといえ、全てを折られてなお、目から闘志が見えた。」
ベートが今日着いてきたのはレイが折れているのかを確かめるためだった。
男に敗れた瞬間…レイは喚き散らし泣き叫んでいた。
あの時確実にレイは完膚無きまでに叩き潰され絶望していた。
仮にも自分を煽った男がそんなになりベートは腹が立った。だから病室でのレイが絶望していたら
しかし…病室でのレイは絶望なんてしていなかった。
目の奥に絶対に借りを返すという意思があった。
「ベートの言葉借りるなら…彼は弱者のまま終わる気は無いということかな?」
「雑魚が雑魚のまま終わんなきゃいいがな」
ベートのその言葉にフィンはかすかに笑っていた。
ーーーバベルの前ーーー
足りない…圧倒的なまでに
レイは己の不甲斐なさに怒りを覚えていた。
あの時あの瞬間俺は最高の準備をしていたはずだ…
なのに負けた。
不甲斐ないあれだけ未来を知っておきながら、ボロ負けしたんだ俺は…
被害は減った。それがなんだ?あの時あの瞬間人を死なせた。
全てを知りながら、それを隠し…人を死なせたんだ俺は
ふざけるな…何様だ俺は…
怒りが溢れる。自身への怒りが途方もなく…そして……
次は勝つ。
そう心に決め、剣を持ちダンジョンへと走り出す。
今更ながら主人公の性格がムズい
更新日とか決めた方がいい?
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毎日書くに決まってんだろ、ボケ
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週一くらいでいいよ?
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好きにかけ!