問題児たちとチートが異世界で会うそうですよ? 作:しろい凛キチ
火龍誕生祭へ
"ペルセウス"とのギフトゲームから数日後、このところ特に大きなことは何もなく平和な毎日が続いてる。子供達も、俺が戻した農園でせっせと仕事をこなしている。
『あれ………俺いつの間にか寝ちゃってたんだ』
昨日俺は子供達を手伝って農園の手入れや種まきを手伝ったが、これが意外にも重労働で部屋に戻ってすぐ寝てしまったのだろう。
『今は何時だろ………7:00か』
我ながら転生前の規則正しい生活が身についてるなぁ、などとそんなことを思っていると、耀が一人の少女を連れて中庭へ来ていた。そしてその少女を見た瞬間、俺に衝撃が走った。
なんと小さい背丈に合わせた、割烹着と狐耳が特徴的な少女だったのだ。
『年長組の子と朝食を持ってきたんだけど、入っても大丈夫かな?』
『うん、どうぞ』
どうやら、朝食を持って来てくれたらしい。なんとも嬉しいね。
『失礼します』
『し、失礼します』
『はじめましてお嬢ちゃん。君の名前は?』
『は、はじめまして、リリと申しましゅ……〜〜』
リリと名乗った少女は後半噛んでしまったせいか、すごく赤面していた。
『リリちゃんか、よろしくね』
『は、はい…』
『リリちゃん、こっちおいで。春日部さんも』
俺はまだ赤面しているリリとそれに微笑んでる耀に向かっておいでおいでと仕草をする。
『朝食を運んできてくれてありがとう』
俺はそう言い、リリと耀の頭を撫でてやる。リリは気持ちよさそうに目を細め、耀は少し頬が赤みを帯びていた。
『紅覇、もういいよ。それと、私のことは耀って呼んで』
『わ、私もリリで結構です。神凪さん』
『ん、分かったよ。リリと耀、だね』
『うん。それで、朝食はどこに置けばいいかな?』
『そこでいいけど、二人はもう済ませたの?』
そこ、と俺が指さしたのは小さなちゃぶ台の上だ。
『私はまだこれからだよ』
『私もです』
『そっか、なら一緒にここで食べない?』
俺がそう提案すると、二人は笑顔で快諾してくれた。
* * *
朝食から数時間後、俺と十六夜は飛鳥と耀に誘われ、"火龍誕生祭"へ行くことになった。もちろん、ジン君を案内役に付けて。
『でも、どうやっていくつもりなの?』
『そうね、とりあえず白夜叉のところへ行きましょう。白夜叉が招待状を送ってきたんだもの、何とかしてくれるわ。』
『そうだね。でもあんな書き手紙置いてって大丈夫だったの?』
書き手紙とはこういったものだ。
「黒ウサギへ。
北側の四○○○○○○外門と東側三九九九九九九九外門で開催される祭典に参加してきます。
貴女も後から必ず来ること。あ、あとレティシアもね。
私達に祭りの事を意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合四人ともコミュニティを脱退します。死ぬ気で探してね。応援しているわ。
P/S ジン君は道案内に連れて行きます」
『そうだな。はやく白夜叉のところへ行って目的地まで行こうぜ』
そう言い、俺たちはまず"サウザンドアイズ"へ向かった。
数分後、"サウザンドアイズ"についた俺達は白ちゃんの部屋に通されていた。
『よく来てくれたの、皆。実は私からみんなに頼みたいことがあるのじゃ』
『頼みたいこと?』
『うむ。だがその前に一つ、"フォレス・ガロ"の一件以来、おんしらが魔王に関するトラブルを引き受けるとの噂があるそうだが………真か?』
白夜叉は真剣にこちらを見定め、聞いてくる。
『ああ、その話?それなら本当よ』
『ジンよ、それはコミュニティのトップとしての方針か?』
『はい。名と旗印を奪われたコミュニティの存在を手早く広める為には、これが一番いい選択だと思いました。』
"名"と"旗印"、それはコミュニティの象徴である重要なファクター。それを補うために、俺達は"打倒魔王"という特色を持つコミュニティを造ろうというのだ。
『リスクは承知の上なのだな?そのような噂は、同時に魔王を引きつけることにもなるぞ』
『覚悟の上です。それに仇の魔王からシンボルを取り戻そうにも、今の組織力では上層には行けません。決闘に出向く事が出来ないなら、誘き出して迎え撃つしかありません』
『………ふむ、そうか。ならばその"打倒魔王"を掲げたコミュニティに、東の"
『は、はい!謹んで承ります!』
その後、白ちゃんから様々な話を聞いた。"
『なぁ、その話まだ長くなるか?』
『ん?んん、そうだな。短くともあと一時間程度はかかるかの?』
『それはまずいな。白夜叉、今すぐ北側へ向かってくれ!』
『む、むぅ?別に構わんが、何か急用か?というか、内容を聞かず受諾してよいのか?』
『構わねぇから早く!事情は追々話すし何より───その方が面白い!俺が保証する!』
十六夜の言葉に、白ちゃんは瞳を丸くし、呵々と哄笑を上げて頷いた。
『そうか。面白いか。いやいや、それは大事だ!娯楽こそ我々神仏の生きる糧なのだからな』
そう言うと白ちゃんは両手を前に出し、パンパンと柏手を打つ。
『───ふむ、これでよし。これで御望み通り、北側に着いたぞ』
それを聞き、俺達は期待を胸に店外へ走り出した。
それから街の様子を眺めていると、
『見ィつけた───のですよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
ズドォン!!とドップラー効果の効いた絶叫と共に、爆撃の様な着地。
『ふ、ふふ、フフフフ………!ようぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方………!』
飛鳥を抱え飛び出す十六夜をよそに、俺と耀は数手遅れ黒ウサギに捕まってしまう。
『耀さん、神凪さん、捕まえたのです!!もう逃がしません!!!後デタップリ御説教タイムナノデスヨ。フフフ、御覚悟シテクダサイネ♪』
どこかぶっ壊れ気味に笑う黒ウサギ。そして耀と俺を白ちゃんに向かって投げつける。
『うわ!』
『きゃ!』
『グボハァ!お、おいコラ黒ウサギ!最近おんしは些か礼儀を欠いてはおらんか!?これでも私は東のフロアマスター───!』
『耀さんと神凪さんをお願い致します!黒ウサギは他の問題児様を捕まえに参りますので!』
聞くウサ耳を持たず、そう叫ぶ黒ウサギ。白ちゃんは勢いに負けただ頷いた。
『ぬっ………そ、そうか。よく分からんが頑張れ黒ウサギ』
『はい』
そう返事を残し、黒ウサギは飛鳥と十六夜を捕まえに俺たちの元を飛び去って行った。