問題児たちとチートが異世界で会うそうですよ? 作:しろい凛キチ
更新が遅れ読者様には申し訳ないと思いつつ、やれ学校の課題だ、やれ仕事だなど忙しい日々を送りつつ書いてるので更新が物凄く不定期になってしまっています…
まぁ、これ自体もただの言い訳なんですが………
これからはなるべく早く更新していきたいと思いますので、今後ともどうかよろしくお願いします
ゼウスの爺さんの作った扉をくぐった直後。
『うわああああぁぁぁぁ!!!!』
俺はまた空中に投げ出され、パラシュートなしのスカイダイビングをしていた。
やがて、ズドォンと重い音を立て建物へ落下した。
『いてて、後で爺さんに文句言っとこ』
『お、お前誰だ……』
声の方に振り向くとそこには黒髪の見るからに不幸顔の少年と赤とオレンジの混じった色のツインテの少女がこっちを見ていた。
『俺は神凪紅覇。君たちは?』
『俺は里見蓮太郎。こっちが相棒の藍原延珠だ。そんで紅覇、なんで上から、しかも俺の部屋に降ってくんだよ』
蓮太郎は半眼でこっちを睨み唸った。
『あははは………ほんとに申し訳ない。こっちにもいろいろ事情があってね』
『うう、妾たちのご飯が……』
『ほんとに申し訳ない。お詫びと言っちゃ何だけど、俺が料理をご馳走するよ』
俺が台所へ向かい冷蔵庫を開けると、中にはほとんど何も入ってない状態だった。
『ねぇ蓮太郎、この辺のスーパーってどこ?』
『なんだ?そんなことも知らねぇのか?』
『実はここ最近の記憶がなくて……』
これは嘘だ。俺の素性が蓮太郎達にバレると色々とまずいので、これで乗り切ろうとゼウスの爺さんに言われたことだ。それにしてもこんなのに引っかかる奴いが……
『そうか、それは災難だな』
ここにいた。
『まぁなんだ、それなら俺もついてってやるよ』
『妾も行くぞ』
蓮太郎、君はなんて優しいんだ。
こうして俺たちは近場のスーパーへ向かった。
* * *
『そんなに買って大丈夫なのか?言っとくが俺は金ねぇぞ?』
『大丈夫だよ蓮太郎、お金は全部俺が出す。あと買い忘れたものは…………そうだ、食後のデザートとか買ってくか』
今の時期は夏。夜とはいっても、まだ蒸し暑いのでアイスを買って帰ることにした。
『さて、今から作るから少し待っててね』
『悪いな、食材全部買ってもらった上に作ってもらって』
『いいんだよ、俺が蓮太郎達の食事を台無しにしちゃったのがいけないんだし』
それから数分後、俺は簡単な料理を作り食卓に並べた。ちなみに以前使ってたちゃぶ台は俺が壊してしまったので、これも弁償した。
『『『いただきます』』』
『おお、うめぇ。紅覇の料理結構うまいな』
『ほんとにうまいな。蓮太郎の次くらいにうまい!』
『あははは…どうも』
三人揃って食卓を囲むのは久しぶりだなと思ってると、あることを思い出した。
『そう言えば、蓮太郎と延珠ちゃんって"天童民間警備会社"ってとこで働いてるんだよね』
『ん?そうだけどそれがどうかしたか?』
『俺、明日からそこに配属になったんだ』
『マジでか?!ってことはIP序列何番なんだ?ちなみに俺は十二万ちょいくらいだ』
俺はゼウスの爺さんに渡された資料の自分のとこを見て答える。
『えーと、俺のIP序列は………二五位だね』
それを聞くと蓮太郎達は盛大にむせていた。
『ゲホッゲホッ……二五位って、お前化物クラスじゃねぇかよ』
そんなことを話しつつ夜を明かした俺達。
そして翌日、俺達は天童民間警備会社に来ていた。
『里見君、今日から新しい人材が増えるわ』
『あぁ、知ってるよ。IP序列二五位のとんでもねぇ奴だろ』
『そうそう。って良く知ってたわね。ならもういいわ、出てきて頂戴』
蓮太郎と木更さんのやり取りを聞きつつ俺はまた蓮太郎と対面した。
『改めて、神凪紅覇だよ。よろしくね』
『里見蓮太郎だ。これからよろしくな』
『さて、今日は特に仕事もないしこれだけね。あぁそれと、明日は私と里見君と神凪君で防衛省に行くわよ』
そんなことを話して今日はおひらきとなった。
『ところで明日はなんで防衛省に行くことになってるの?』
帰る途中、俺は気になったことを聞いてみた。
『なんでも、各社からプロモーターを集めた合同会議があるんだとよ』
『なるほどね。話は変わるけど、今日の晩飯どうする?また俺が作ろうか?』
『いや、昨日紅覇だったんだし、今回は俺が作ってやるよ』
そんなことを話しながらスーパーで買い物をして蓮太郎の家へ帰った。
* * *
『お風呂上がったよ〜』
俺がお風呂から上がると蓮太郎と延珠ちゃんはテレビを見ていた。
『そうか。ってお前ほんと浴衣?多いよな』
『まぁ、運等したりするとき以外は大抵この格好だね』
『暑かったりしないのか?』
『結構涼しいよ。蓮太郎も着てみる?』
そう言うと蓮太郎の他に、延珠ちゃんも話に混ざってきた。
『妾も着てみたいのだ』
『うーん。そうだなぁ…子供用はないし、いっそ作っちゃうか』
『お前そんなことも出来るのか?!』
蓮太郎が驚いている間に俺はミシンを借り、子供用を作った。
『こんなもんかな?延珠ちゃん、ちょっと着てみて』
『おお!ぴったりだぞ。紅覇はすごいな♪』
『気に入ってもらえて何よりだよ。それじゃ、皆浴衣なことだし、夏の風物詩とも言えるアレやりますか』
そう言って俺がスーパーの袋から取り出したのは花火だ。
『いろんな種類あるからね、いっぱい楽しもう』
『うむ♪』
『そうだな。たまにはこういうのも悪かねぇか』
こうして俺達は一時間ほど花火で遊んだ。
防衛省に着き通された一間は、小さな扉からは想像できないほど広く、中央には楕円形の卓、奥には巨大なELパネルが埋め込まれていた。
そして部屋の中には、仕立ての良いスーツに袖を通した、おそらく民警の社長各の人間たちはすでに指定の席に座っており、その後ろに、見るからに荒事専門という厳つい連中が控えていた。
俺たちが部屋に入った瞬間、中に詰めていた人間たちの雑談がぴたりと止まり、殺気の篭もった視線が突き刺さる。
『おいおい、最近の民警の質はどうなってんだよ。ガキまで民警ごっこかよ。部屋ぁ間違ってるんじゃないのか?社会科見学なら黙って回れ右しろや』
プロモーターのうちの一人が聞こえよがしになりながら、こっちに近づいてくる。
威圧感のある鉄板のような胸板がタンクスーツの上からでもよくわかる。燃え上がるように逆立った短髪に、口元はドクロパターンのフェイススカーフで覆っている。こちらを品定めするつり上がった目は三白眼だ。
『ねぇキミ、用があるなら先に名乗ったらどうだい?』
俺は至って冷静に思ったことを告げる。
『ハッ、見た目通り弱そうなやつに名乗る名なんてねぇよ』
かくいう俺の見た目は、自分で運動に特化するように作った和服に"白刀・琥珀"と"黒刀・刹那"を差し、そして首から華琳の封印されたリングネックレスとリリからもらった御守りを下げた様な姿だ。ちなみに、刀には両方ともバラニウム鉱石を馴染ませているのでガストレアにも効く。
『そっか、それじゃこっちから名乗らせてもらうよ。俺は神凪紅覇、IP序列は二五位だよ』
それを聞くと、その場にいた全員が凍りついたようにピクリともしなくなった。
『そ、そんなのハッタリに決まってる。どうせ俺達を脅すために言っただけだろ!』
『信じるか信じないかは君達次第だよ。ただし、そのせいで痛い目にあっても俺は知らないけどね』
そう言い残し木更さんは卓に、俺と蓮太郎は他のプロモーター同様後列に立った。
それから少しして、制服を着た禿頭の人間が部屋に入ってきた。
『本日集まってもらったのは他でもない、諸君等民警に依頼がある。依頼は政府からのものと思ってもらって構わない』
禿頭がなにか含ませるように一拍置いて辺りを睨め付けた。
『ふむ、空席一、か』
見渡すと、確かに"大瀬フューチャーコーポレーション様"という三角プレートの席だけが空だ。
『本件の依頼内容を説明する前に、依頼を辞退する者はすみやかに席を立ち退席してもらいたい。依頼を聞いた場合、もう断ることができないことを先に言っておく』
俺は周りを目だけで見たが、案の定、誰一人立ち上がるものはいなかった。
円卓ならぬ楕円卓には木更さんを含めて三十人以上の人間が座っていた。
そして社長各の後ろに控えているプロモーター。
『よろしい、では辞退はなしということでよろしいか?』
くだんの禿頭の男が念を押すように全員を順番に見渡すと、『説明はこの方に行ってもらう』と言って身を引いた。
突然背後の奥のパネルに一人の少女が大写しになる。
『ごきげんよう、みなさん』
すると、今まで座っていた社長各の人間が一斉に泡を食ったように立ち上がった。
『あの
『そんなことも忘れちまったのか、聖天子様だよ』
『あれが……』
───聖天子。
敗戦後の日本、その東京エリアの統治者。
資料で見たことはあったが、実際に見るのは初めてだ。
『楽にしてくださいみなさん、私から説明します』
聖天子はこう言ったが、誰一人着席する者はいなかった。
『といっても以来自体はとてもシンプルです。民警のみなさんに依頼するのは、昨日東京エリアに侵入して感染者を一人出した感染源ガストレアの排除です。もう一つは、このガストレアに取り込まれていると思われるケースを無傷で回収してください』
聖天子の話が終わると、ELパネルに別ウィンドウが開かれると、ジュラルミンシルバーのスーツケースのフォトがポップアップ。横に現れた数字は成功報酬だ。その値段を見て今度こそ周囲の空気に困惑が混じる。
『幾つか質問いいかい?ケースはガストレアが飲み込んでいる、又は巻き込まれていると考えていいのかな?』
『その通りです』
これは蓮太郎から聞いたことなのだが、巻き込まれる、とは被害者がガストレア化した際、破れた衣服や表皮、身につけている装飾品が変化したガストレアの皮膚部などに取り込まれ癒着してしまう現象のことのようだ。
こうなってしまうと、ガストレアを倒してから取り出すより他になくなるとか。
『それじゃ、感染源ガストレアの形状と種類、それから現在の潜伏先について、政府は何か情報を掴んでいるのかい?』
『残念ながらそれについては不明です』
ここで木更が挙手し、質問を口にした。
『回収するケースの中にはなにが入っているか聞いてもよろしいですか?』
ざわりと周囲の社長が色めき立つのが分かった。どうやら木更さんが全員の意見を代弁した形になったらしい。
『おや、あなたは?』
『ここにいる里見君と神凪君の勤める天童民間警備会社の社長、天童木更です』
聖天子は少し驚いたような表情をしたが、すぐに戻し、
『………お噂は聞いております。それにしても、妙な質問をなさいますね天童社長。それは依頼人のプライバシーに当たるので当然お答えできません』
そんな聖天子の答えに対し、木更さんはまだ食いかかる。
『納得できません。感染源ガストレアが感染者と同じ遺伝型を持っているという常識に照らすなら感染源ガストレアもモデル・スパイダーでしょう。その程度の敵ならウチのプロモーター一人でも倒せます』
木更さんはさらにまくし立てるように言葉を発する。
『問題はなぜそんな簡単な依頼を破格の依頼料で───しかも民警のトップクラスの人間たちに依頼するのか腑に落ちません。ならば値段に見合った危険がそのケースの中にあると邪推してしまうのは当然ではないでしょうか?』
『それは知る必要のないことでは?』
『かもしれません。しかし、あくまでそちらが手札を伏せたままならば、ウチはこの件から手を引かせていただきます』
『………ここで席を立つと、ペナルティがありますよ』
『覚悟の上です。そんな不確かな説明でウチの社員を危険にさらすわけにはまいりませんので』
肌がピリピリするような静寂の中俺が考え事をしていると、突如部屋中に響き渡るほどのけたたましい笑い声が響いた。
『誰です』
『私だ』
俺を含めた全員の視線が声の主に集まる。
先程まで空席だった大瀬社長の席に仮面、シルクハット、燕尾服の怪人が、卓に両足を投げ出して座っていた。
『いよっと』と掛け声をあげて男は体を反らせて跳ね起きると、卓の上に土足で踏み上がる。
『名乗りなさい』
『これは失礼』
おとこはシルクハットを取って体を二つに折り畳んで礼をする。
『私は蛭子、
その声に反応したのは意外にも蓮太郎だった。
『お、お前ッ………どっから入ってきやがった!』
『フフフ、その答えに対しては、正面から、堂々と───と答えるのが正しいだろうね。もっとも小うるさいハエみたいなのが突っかかってきたので何匹か殺させたけどね。おおそうだ、丁度いいタイミングなので私のイニシエーターを紹介しよう。
『はい、パパ』
俺が振り返るより先に蓮太郎と木更さんの脇を少女が歩きさっていた。
ウェーブ状の短髪、フリル付きの黒いワンピース。腰の後ろに交差してさしているのは、長さからしておそらく小太刀だろう。
『うんしょっと』と言って手をつき足を上げ、難儀しながら卓上にのぼると、少女は影胤の横に来てスカートをつまんで辞儀をする。
『蛭子小比奈、十歳』
『私のイニシエーターにして娘だ』
小比奈が眠たげな顔でゆっくりと首を左右に振り、辺りを見渡すと、やがて控えめに影胤の服の裾を引っ張った。
『パパ、みんな見てる。恥ずかしいから、斬っていい?それとあいつ、テッポウこっち向けてるよ、斬っていい?』
『よしよし、だがまだ駄目だ。我慢なさい』
『うぅ………パパァ』
『それで、俺達の敵っていう
俺が警戒しながら影胤に聞くと、影胤は飄々とした口調で返してきた。
『今日は挨拶だよ。私もこのレースにエントリーすることを伝えておきたくてね』
『エントリー?なんのことだ』
『"七星の遺産"は我らがいただくと言っているんだ』
俺は怪訝に思いながらもなおも問いかける。
『七星の遺産?なんだい、それは?』
『おやおや、君たちは本当に何も知らされずに依頼を受けさせられようとしていたんだね、可哀想に。君らが言うジュラルミンケースの中身だよ』
そう言うと影胤は両手を大きく広げて、卓の上で回転した。
『諸君ッ、ルールの確認を使用じゃないか!私と君たち、どちらが先に感染源ガストレアを見つけて七星の遺産を手に入れられるかの勝負といこう。七星の遺産はガストレアの体内に巻き込まれているだろうから、手に入れるには感染源ガストレアを殺せばいい。
『───黙って聞いてればごちゃごちゃと』
押し殺した声は、テーブルの反対側から聞こえてきた。
先程、俺達に突っかかってきたバスターソードにドクロのフェイススカーフ、
『ぐだぐだうるせぇんだよ。要約すると、テメェがここで死ねばいいんだろ?』
『ぶった斬れろや!』
『おおぅッ?』
逆巻く突風をまとって巨剣が竜巻の如く振り回される。角度タイミング共に最適、逃れようのない必殺の間合い。
だがバシィッという雷鳴音が弾け、次の瞬間将監の剣があさっての方向にはじき飛ばされる。
『下がれ将監!』
将監は社長の
耳をつんざく発砲音と三六○度あらゆる方向からの銃撃。再びの雷鳴音と共に、今度はよりはっきりと青白い燐光が見える。
それはドーム状のバリアだった。
銃弾がバリアに当たるとけたたましい音と共にあさっての方向に弾き返す。
しばらくすると硝煙のきついにおいが漂う奇妙な静けさの中、運悪く跳弾が当たった人間のうめき声があちこちで聞こえた。
『見るに、斥力フィールドってとこかな』
『ご名答。私は"イマジナリー・ギミック"と呼んでいるがね』
『………バリア、だと?お前、本当に人間なのか?』
『人間だとも、ただこれを発生させるために内臓のほとんどを摘出してバラニウムの機械に詰め替えているがね』
俺が疑問に思っていると、再び影胤が口を開く。
『改めて名乗ろう、私は元陸上自衛隊東部方面隊第七八七機械化特殊部隊"新人類創造計画"蛭子影胤だ』
その言葉に三ヶ島が驚きに目を見開く。
『………ガストレア戦争が生んだ対ガストレア用特殊部隊?実在するわけが………』
『信じる信じないら君の勝手だよ』
そして影胤は音もなく蓮太郎の前にやってくると、マジックショーさながらに白い布を自分の掌にかぶせ、三つ数えて取り去る。するとそこには赤いリボンがあしらわれた箱が現れた。それを卓の上に置くと、愕然としている蓮太郎の肩に手が置かれる。
『君にプレゼントだ。ではこの辺でおいとまさせてもらうよ。絶望したまえ民警の諸君。滅亡の日は近い。いくよ小比奈』
『はい、パパ』
二人は悠然と窓まで歩いていくと、先程の兆弾で割れた窓からごくごく自然な動作で飛び降りた。
* * *
影胤が去ってから暫くした後、聖天子から言葉があった。
『事態は尋常ならざる方向に向かっています。みなさん、私から新たにこの依頼に達成条件を付け加えさせていただきます。ケース奪取を企むあの男より先に、ケースを回収してください。でなければ大変な事が起こります』
その言葉で木更さんは聖天子を睨みあげた。
『中に入っているものがどういうものなのか、説明していただけますよね?』
聖天子は目をつぶり唇を小さく噛んだ。
『いいでしょう、ケースの中に入っているのは"七星の遺産"。邪悪な人間が悪用すればモノリスの結界を破壊し東京エリアに、