問題児たちとチートが異世界で会うそうですよ?   作:しろい凛キチ

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皆さんお久しぶりです♪
投稿が結構空いてしまい申し訳ないのです…( ´・ω・`)

いろいろと問題に突き当たっていました。
まぁ、そのことは置いといて、今回の話も楽しんで読んでいただけたら幸いです。

感想・ご意見お待ちしてます♪


呪われた子供たち

翌日、俺と蓮太郎が教室で過ごしていると、一本の電話がかかってきた。

ちなみに俺は蓮太郎と同じ高校に編入という形にしてある。

 

『それ───本当かよッ?』

 

蓮太郎は携帯を握り締め、電話の相手と会話を打ち切った。

 

『どうしたの?』

 

『延珠の担任から連絡があった。俺はこれから小学校に行ってくる』

 

『そっか、なら俺も行くよ』

 

蓮太郎はすまない、と声をかけると俺と一緒に2軒隣にある勾田小学校に走った。

昇降口でスリッパに履き変え職員室に向かうと、ちょうど延珠ちゃんの担任の男性教諭が出て来るところだった。顔は青白く痩せていて、目の下に大きな隈がある。身長は大体百六○程度、大して暑くないのにハンカチを額に当て、神経質そうな大きな眼球がせり出していた。

 

『ああ、あなたが保護者の………隣のあなたは?』

 

『延珠ちゃんの知り合いです』

 

『それよりどういうことだよアンタッ。延珠は本当に───ッ』

 

『蓮太郎、少し落ち着いて』

 

蓮太郎は掴みかからんばかりの剣幕で詰め寄る。延珠ちゃんの担任に当り散らすことがいかに的外れか、それは蓮太郎自身も分かってるだろう。しかし、蓮太郎は自分の感情を制御することが出来ていなかった。

 

『ええ、藍原さんが"呪われた子供たち"だという噂がどこからともなく立ちまして。給食の頃には、藍原さんに対する………その……嫌がらせのようなものが始まりまして』

 

『延珠ちゃんは否定しなかったんですか?』

 

すると教師は下を向きながらしきりに額にハンカチを当て始めた。それが何よりの答えだった。

 

『里見さん、あなたはいままで"呪われた子供たち"だということを、私たちに黙って藍原さんを通学させていましたね』

 

『事前に言えば、アンタらは理由をつけて延珠の入学を断ったんじゃねぇのかよッ?』

 

『と、とにかく、藍原さんはショックを受けていたようなので早退させました。こんなことを言えた義理ではないのですが、一緒にいてあげてくれませんか、里見さん?それに神凪さん』

 

その後、半ば放心気味だった連太郎を家に送り、俺は能力で延珠ちゃんの居場所を探る。

どうやら延珠ちゃんは外周区にいるらしい。

 

『さて、と……延珠ちゃんの所に行ってみるかな』

 

俺は一人で延珠ちゃんの所に向かうことにした。

 

始めてきた外周区はなんだか寂しい感じがした。

辺りの気配を探ると、マンホールの中に人の気配を感じた。俺は早速近づいて話しかけてみることにした。

マンホールの上蓋を二、三回ノックすると、しばらくして蓋が重い音をあげて持ち上がり、中から年端もいかない少女が出てきた。

 

『ちょっといいかな、人を探してるんだけど』

 

『けーさつの方ですか?わたしたちに、立ち退く意思はありませんですので。のでので』

 

『いや、俺は警察じゃないよ。俺はこういう者だよ』

 

俺は少女に民警のライセンスを見せた。

 

『ところで、なにかごよーでしょうか?』

 

『この子を探してるんだけど、会わなかったかい?』

 

少女は写真をしばらく見たあと、『知りません』と言った。

 

『そっか中には大人の人とかいないかな?いるなら会って話してみたいんだけど』

 

『じゃあ長老になりますので、呼んできますので、中でお待ちくださいですので』

 

中に入りしばらくすると、奥から一人の男性がやってきた。背は低く、頭は白髪だが背は曲がっていない。眼鏡をかけていて、知的な印象すら受ける。底部にクッションラバーがついた撞木杖をついているが、長老というにはまだまだ若い。

 

『神凪紅覇です』

 

俺が民警の名刺を渡すと、彼はしげしげと眺めたあと、ははぁと頷いた。

 

『貴方がさっきの子が言っていた長老ですか?』

 

『ああ、長老は愛称ですよ。はは、松崎といいます。ここで子供たちの面倒を見てる者です』

 

俺はそれを聞くと端的に用件だけを伝えた。

 

『実は、ここに藍原延珠という子が来てますよね?会わせてもらえませんか』

 

しばらくの間松崎さんは俺を見つめ、やがて観念したように言ってきた。

 

『どうやら貴方には隠しきれないようですね。えぇ、彼女はここにいますよ』

 

『会わせてもらえませんか?』

 

松崎さんは少し考える素振りをして、やがて首を横に振った。

 

『彼女はまだ精神が不安定です。一先ず今回はお帰り願いたいのですが』

 

強引に探し回ることも可能ではあるが、それでは松崎さんに迷惑をかけてしまう。

俺は『また来ます』と短く残してその場を去った。

 

次の日、俺と蓮太郎は朝から別行動していたが、蓮太郎から電話があり一足先に勾田小学校に来ていた。

小学校にに行くと昇降口付近はちょっとした人だかりになっていた。近づいていくと延珠ちゃんと誰かが言い争っていた。

言い争っている少年は五分刈りで活発な野球少年といった顔立ちだが、今は顔を赤黒く紅潮させ、甲高い声で延珠ちゃんに詰め寄っている。

 

『俺の父さんは、戦時中ガストレアに足を食われてからずっと酒浸りで母さんに暴力振るうようになったんだ!お前等が所構わず殺しまくったせいで俺の家は………ッ』

 

『違う、それは妾じゃない。妾は人間だ!』

 

『気持ち悪ぃんだよ人間のフリすんなよッ』

 

『妾は人間だ!』

 

『黙れ化け物!』

 

『妾は人間だッ!』

 

『しつけぇッ!』

 

たまらなくなり俺が輪の中に入ろうとすると、背後から蓮太郎に止められ、目だけで『俺が行く』と言われた。

 

『………延珠』

 

『れ、連太郎……』

 

こちらに気付いた延珠ちゃんは眼を見開き、一歩後ずさりした。

延珠ちゃんの関係者だと気付いて、周囲の人垣が割れ、嫌な沈黙が降りる。

蓮太郎は、校庭の砂を靴の裏で踏みしめ、ゆっくり中央に進んだ。

 

その後蓮太郎と延珠ちゃんは、幾度か言葉を交わし合い、そして決意する。

 

『さ、退場の時ぐらい胸張んぞ』

 

『でも、教室に鞄が』

 

『そんなもん、もうどうでもいいじゃねぇか』

 

『う、うむ!そうだなッ!』

 

延珠ちゃんは袖で目元を拭うと、快活そうに振舞った。

その時、蓮太郎の携帯が鳴り誰かと話した後、一機のヘリが校庭に着陸した。

機体中央には杖に巻き付いた一匹のヘビが描かれている。医の神アスクレピオスの徽章。ドクターヘリだ。

 

* * *

 

ヘリが飛び立ちしばらくすると雨足が急に強くなり、窓の外は豪雨になっていた。

今は木更さんから送られてきたGPSの光点を追っているが、外はこの雨。案の定衛星は使えず、十分まえの位置しかつかめていない。

そんな中、俺はいち早くガストレアを見つけた。

 

『操縦士さん、あれを追って!』

 

すると蓮太郎は合点がいった、というように納得した。

 

『君達にはあれがなんだかわかるのかッ?』

 

『ああ。あれが感染源ガストレアだよ。南米だかにクモの巣をパラシュート状に編んで、風に乗って数百キロも旅をする小グモがいるんだ。基本は風に乗るんでタンポポの綿毛とかそういうものを連想してもらえれば理解が早い。クモの糸ってつまるところポリマーの一種なんだけど、あのガストレアも糸を凧の要領で編み上げて………』

 

『違うよ蓮太郎。あれはパラシュートじゃなくてハングライダーだ。おそらく先端が鋭利なのは風を切り裂いて揚力を生むため。だから感染源ガストレアよ目撃情報がなかったんだ』

 

これで街中の監視カメラに映らない理由がわかった。外周区以外の監視カメラは上から人間を観察するために下を向いている。そして、その遥か上を滑空するガストレアの捕捉は完全に運用思想の外だろう。

 

『ど、どうすれば?』

 

『高度を下げながらスピードを合わせて、このまま上空から追跡してください』

 

そんなとき突然、鉄板をぶち抜いたような暴力的な音と共に機体が横に大きく振られる。

 

『延珠ちゃん、待っ…』

 

延珠ちゃんは俺の静止を振り切りヘリから飛び降りた。

蜘蛛糸で編まれたガストレアのハングライダーめがけて、流星のようなスピードで激突する。ガストレアにとっても死角となる真上からの強襲。もつれ合うようにガストレアもろとも川沿いに走る森の中めがけて墜落していく。

 

『蓮太郎、俺達も延珠ちゃんの後を追う。俺に捕まって!』

 

蓮太郎は一瞬の逡巡のあと、俺の手に掴まった。俺はしっかり掴まってることを確認すると、延珠ちゃんが開けた後部ドアから飛び降りた。

俺は飛び降りながら空翔術を使い空を滑空する。

 

『延珠ちゃん!どこにいるんだ!!』

 

俺は声を張り上げたが辺りからは雨の音と断続的な戦闘音しか聞こえてこなかった。

 

断続的な戦闘音を辿り視界を遮る小高い丘を登っていくと、眼下では戦闘が繰り広げられていた。

一方は毒腺のついた牙を開き威嚇しながら、レイピアのように鋭く細かい八本足を巧みに操って突きかかるモデル・スパイダーのガストレアだ。

ガストレアは足を巧みに操って攻撃を仕掛けるが、延珠ちゃんはそれを容易にくぐり抜け、神速でガストレアの胴部に潜り込むと、靴底にバラニウムの重り(ウェイト)を仕込んだ鉄槌の如き蹴りを直上に振り上げる。

蹴りはガストレアの胴部に命中したのみならず、肉を裂き顎を牙ごと粉砕しながら上空十メートルまで吹き飛ばし、一転、自重で地面に叩きつけられる。

ただでさえ針金のように細かった足は三本折れ、胴からはとめどもなく体液が流れ出していた。

 

『どうやら勝負あり、だね』

 

『蓮太郎、それに紅覇、倒したぞ!妾たちが一番乗りだ』

 

延珠ちゃんは俺達の姿を見つけると、両手をブンブンとこっちに振る。

 

『延珠ちゃん、大丈夫だった?怪我はない?』

 

俺は延珠ちゃんに近づいて怪我を確かめる。肩に手を置いた時、一瞬だけ顔を顰めたのを俺は見逃さなかった。

 

『どこか怪我してるね』

 

『い、痛くないぞ!ちょっと左足を捻っただけだ。一時間もすれば治る』

 

すると、隣にいた蓮太郎がいきなり延珠ちゃんの頭をぽかりと叩いた。

 

『ぬ、何をする!』

 

『この………アホッ。大丈夫なもんか、子供のくせにやせ我慢すんな』

 

『蓮太郎の言う通りだよ。怪我したところを少し触らせてもらうよ』

 

延珠ちゃんに断りを入れ足首に触れてみると、わずかに腫れていた。

 

『うん、これくらいなら…"完全治癒(アスクレピオス)"』

 

俺は治癒のギフトを使って延珠ちゃんの足首を治した。

 

『すごいな紅覇。もう痛くなくなったぞ!』

 

『それは良かった』

 

『お前、一体何者なんだ』

 

『それよりも先にケースを回収しよう』

 

くだんのジュラルミンケースは情報通り、ガストレアの体内に巻き込まれる形で胴体上部に癒着していた。画像で見たときはいまいちその尺度がわかりにくかったが、その大きさは一抱えほどあった。

蓮太郎がケースを引き抜いた時、不意にあの男の声がどこからともなく聞こえてきた。

 

『ヒヒ、ご苦労だったね里美くんに神凪くん』

 

『影胤?!』

 

俺はとっさにジャンプして距離を取るが、蓮太郎はモロに一撃をくらっていた。

 

『───紅覇、ミツケタッ』

 

こっちは刀を一本抜いて受け止める。

 

『くっ、やっぱり重い』

 

小比奈はバックジャンプで距離を取るとバラニウムブラックの刀身を持つ二本の小太刀を下げて両翼を広げるかのような構えをとった。

 

『いやぁ、君のところの社長さん、可愛いのにやること結構えげつないね。私の後援者についてなりふり構わず嗅ぎ回っていてね。彼らからお達しだ。早く片をつけろとね』

 

蓮太郎はジュラルミンケースを後ろ手に持ったままあとずさりする。

 

『他の民警の援護を待っているのかい?だったらやめた方が良い。近くにいるザコはあらかた殺しながら来た』

 

『よくもッ!神凪流抜刀術、二式 "(いかずち)"!!』

 

───雷。

俺が考えた抜刀術の一つで、抜刀と同時に相手に神速の突きを繰り出す技だ。

 

『無駄だ。イマジナリー・ギミック』

 

剣先はまるで不可視の壁に当たったかのように弾かれた。

俺の刀が弾かれた直後、俺の脇を蓮太郎がすり抜けていった。

 

『天童式戦闘術一の型八番───"焔火扇(ほむらかせん)"ッ』

 

しかしそれも影胤に届く前に頑強な青白いバリアに激突し、ベクトルを逸らされ空を切る。

そして影胤はことさらゆっくり腕を持ち上げ、俺達に向けた。

 

『君達に一つ、私の技を見せよう。"マキシマム・ペイン"!』

 

突如として影胤を取り囲んでいた斥力フィールドが大きく膨らみ、俺達目掛けて殺到する。

全身を突如襲う横殴りの衝撃。恐ろしい勢いで俺と蓮太郎は一枚岩に叩きつけられ頭部から血が噴き出す。体が岩に沈み込み、肉が潰れ、骨が圧壊寸前の凄まじい音を上げる。まるで全身がプレス機にかけられているようだ。

 

『くっ、影…胤……』

 

『ほう、まだ動けるか………小比奈、神凪くんに止めを』

 

『はい、パパ』

 

霞む視界の中、小比奈の姿は一瞬で俺の前に現れ、二本のブラックバラニウムの小太刀で切り裂かれた。

 

おやすみ(グッド・ナイト)、神凪くん』

 

そう言って俺は影胤のカスタムベレッタに撃たれ、そこで意識を失った。

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