問題児たちとチートが異世界で会うそうですよ? 作:しろい凛キチ
投稿が遅くなり申し訳ありませんでした。
楽しみにしていただいていた方は、どれだけ期待にそえるか分かりませんが、面白いと感じていただけたら幸いです。
感想、ご意見等お待ちしております♪
『う……』
目を開けると、そこはどこかの川辺だった。隣には蓮太郎も倒れている。
『そうか、俺達は影胤に撃たれて……』
俺の傷はさほど深くなく少しすれば回復しそうだったが、蓮太郎の方は傷がひどく、直ぐにでも病院へ連れていかないとやばい状態だった。
そんな時、
『この音は…ヘリか?』
近くにヘリのプロペラ音が聞こえてきた。
『里美くん、神凪くん!』
そして中から現れたのは、木更さんと延珠ちゃんだった。
『良か……た』
『神凪…ん、し……て』
そこで俺の意識は再び途絶えた。
* * *
『ハッ!』
目が覚めたとき、俺はどこかの病院の病室に寝かされていた。
『気が付いたみたいね、神凪くん』
『木更さん、俺は一体どの位寝ていたんです?』
『そうね、時間にして丸二日と五時間と言ったところね』
『そうでしたか……蓮太郎の方は?』
木更さんに蓮太郎の話を振ると、どこかさみしげな表情をしていた。
『里美くんなら昨日出たわ。もう一度影胤と戦うためにね。それはそうとして、病み上がりで悪いんだけど貴方には里美くんのところに行って欲しいの。そして、里美くんと一緒に影胤を倒してきて頂戴』
『………………それは社長としての命令?それとも友達としてのお願い?』
『その両方よ』
『分かった。なら俺は俺の全力を持って影胤を倒し、蓮太郎と帰ってくるよ』
そう言って俺は必要最低限の着替え等を済ませ、足早に病院を後にした。
* * *
現場付近、廃墟。
『なんとかここまで来たけどここからじゃどこにいるかわからないな……』
『あ、あの。ん?どうしたの翠ちゃん』
『あの、私、に追いついてる物があればどこにいるかわかると思います』
『そうか。翠ちゃんはモデルキャットのイニシエーター。つまり鼻が効くってことだね』
俺は提案してくれたことに対し、労うために頭を撫でてやった。すると翠ちゃんは気持ちよさそうに目を細め、うっとりしていた。
『よし、じゃあ行こう』
『はい』
俺達は翠ちゃんの鼻を頼りに、蓮太郎の元へと急いだ。
もし蓮太郎が既に影胤と戦闘していたら――そしてもし影胤にやられてしまっていたら――俺はそんな焦燥にかられながらさらに走るスピードを上げる。
少しすると、延珠ちゃんらしき声が聞こえてきた。
『――死なないでよぉ、蓮太郎ぉッ。まだ、何も始まってない。なのに――妾を一人にしないで』
遅かった。そう思って呆然としていると、突然蓮太郎は目を見開き注射器のようなものを四本、自分の腹部に突き立てた。
その瞬間、蓮太郎の体は驚異的な回復力を見せ、そして
『ッヅ、――あああああああああああああああああああああああッッッ!!!』
絶叫にも、悲鳴にも似た叫びをあげた。
蓮太郎はしばらくの間フラフラしていたかと思うと、ひとつの構えをした。
『あれは確か、以前見せてもらった"水天一碧の構え"だった気がする』
――水天一碧の構え。
これは防御を顧みない攻撃特化の型。
そして先頭は数秒のうちに激化していき、やがて影胤を空中に飛ばし、
『天童式戦闘術二の型十一番――"
オーバーヘッドキックの要領で振るわれた天地を逆さにしての断罪の蹴り。超バラニウムのつま先は、影胤のフィールドを突き破り吹き飛ばした。
影胤の体は水切り石のように凄まじい速度で海面をバウンドし、湾に停泊していた小舟二つを貫通、百メートル以上先まで吹き飛び、あたりに津波のような水柱を生みながら沈んだ。
『蓮太郎!』
俺はそこでやっと我に返り、技の威力を相殺しきれずに空中で空回りしながら落下する蓮太郎を受け止める。
『やったのか……?』
『分かんねぇ。ただ、今はもう襲ってこないだろう』
そんなことを話していると、俺の携帯が震えた。
『もしもし?………って、聖天子様?!』
なんと、俺の携帯に掛かってきたのは聖天子様からの電話だった。俺は直ぐに通話をスピーカーに変え、蓮太郎にも聞こえるようにした。
『ご無事でなによりです。ですが、あなた方に悪い知らせがあります。…………実は、ステージⅤのガストレアが姿を現しました』
『な!?』
『え?』
俺と蓮太郎は少しの間、呆然として動けなかった。
『……全部、お終いなのか?もう東京エリアは助からねぇのかよ?』
少し経った後、蓮太郎はぎゅっと目をつぶり祈るようにして聖天子様の答えを待った。
『諦めるのは早いですよ里見さん。先ほど、天童社長に問われました。私の考えた作戦は物理的に可能なのか、と。そしてその作戦はおそらく可能です』
『一体どんなものなんです?』
『里見さん達の姿はこちらからモニター出来ています。そして答えは里見さんから見て南東方向にあります』
その方向にあったもの、それは……
一.五キロにもわたる平行に渡された二本のレールは、仰角七十度ほどで天を貫き、薄くかかった雲の中に伸びているもの。
『コレは?』
『そういや紅覇は記憶がなくなってから見るのは初めてだったよな。
あれはガストレア大戦期末期の遺物――完成はしたが、ついに一度の試運転もないまま陣地放棄を余儀なくされ、敗戦の日を見守ることとなった超巨大兵器、通称 "
またの名を線形超電磁投射装置――直径八百ミリ以下の金属飛翔体を亜光速まで加速して撃ち出すことのできるレールガンモジュールだ』
俺達は聖天子様の誘導を受け、中央電算室に来ていた。
ドーム状の中は広く取られ、各所にパソコンなどがセットされている。正面に角度のついた巨大なELパネルが展開されており、驚いたことに十年放置されていたらしいのに埃すら堆積していない。
俺達はすぐさま聖天子様の指示通り作業をし、発射出来る状態にした。しかし、問題はそこで起こった。
『まずいことになりました。落ち着いて聞いてください。実は……チャンバー部にバラニウム徹甲弾が装填されていません』
『つまりこのレールガンには打ち出す弾がなく、自分達で探す他ないと?』
『は…。た……とはお………すが、よろ……す』
通信がおかしくなったのかと思いパソコンを覗くと、先程まで絶えず無線でデータをやりとりしていたインジケーターバーが、ピタリと止まっていた。
『まずいな……。きっと、超電導装置の地場の影響だろうけど、通信が一切通じなくなってる』
『嫌だ。やめろやめてくれ!俺じゃ駄目なんだ』
蓮太郎は乱心しそうだったので手を強く握り、現実にもどす。
『蓮太郎、君なら大丈夫。君は今までどんな辛いことがあっても延珠ちゃんと二人でやってきたじゃないか。だから大丈夫、今回も成功する』
少しの間蓮太郎は黙っていたが、やがて覚悟を決めたのか表情を切り替えた。
そして、自分の腕を引き抜いた。
『蓮太郎、まさか…………』
『ああ、俺の腕を使う。超バラニウムなら問題ないはずだ』
「射撃管制装置依然応答なし。手動トリガーコントロールシステムを起こします。エネルギー充填率一○○%――撃てます」
機会から機会音声が流れ、コンパネからもう一本、操縦桿のようなものが起き上がる。スティックには拳銃の引き金のようなものがついているだけだった。
そして蓮太郎はトリガーに指を掛けたが、一向に指を引こうとしない。
緊張で指が固まってしまったのだろう。俺は蓮太郎の手に自分の手を重ね、励ます。
『蓮太郎、さっきも言ったけど、君なら大丈夫だよ』
すると、延珠ちゃんと翠ちゃんも手を伸ばし、意思表明してくれた。
「……ああ、ありがとう、手を貸してくれて。終わりにするぞ』
そして俺達はトリガーを引いた。
最後の方少しの間巻き気味でしたがいかがだったでしょう?
私の作品を読み、楽しんで頂けたら幸いです。
では