半年近く振りの本編の更新となります…
お待ちいただいた方は本当に申し訳ございません。
何故ここまで日程が空いてしまったかと言いますと、10話以上連続で下書きを書いていたのですが、10話を全て消して、一度全て書き直してしまったのが原因となります…
ある程度方針は固まったので、これからは更新頻度を上げられるよう頑張ります!
それではどうぞ。
いろはに以前僕が拘束されていたアジトの前まで案内をされた。
そしてアジトの前の扉にいろはがノックをした。
「ラプ殿?いるでござるか?」
『おー風真?どした?』
「…皇ライ先輩とすいせい先輩をお連れしに来たでござる。」
いろはが僕たちを連れてきたことを伝えた瞬間、扉の前から足音がドタドタと鳴り響き、勢いよく扉が開かれた。
扉から現れたのはholoXの総帥ことラプラス・ダークネスだ。
「皇…ライ…」
「や、やあ、久しぶり…?」
予想していた反応と違ったことに僕は少し驚いてしまった。
ラプラスは僕の顔を確認すると、顔を俯けたままゆっくりと僕に近づいてきた。
僕はその様子を見たまま立ち止まってしまった。
「ちょ、ちょっと!ライ君に何する気!?」
するとすいせいが僕とラプラスの間に割り込んできた。
すいせいは腕を大きく広げて、僕を庇うような体勢をとった。
あと一歩踏み出すとぶつかりそうな距離になり、そこでラプラスは歩みを止めた。
しばらく誰も言葉を発さず、時間が過ぎた。
するとラプラスの口から言葉が発せられた。
「……かった…」
「え?」
以前のような自信満々の声とは裏腹にかなりか細い声だった。
あまりにも小さな声であったため僕はつい聞き返してしまった。
今度はラプラスは俯かせた顔を上げながら僕の顔を直接見ながら、もう一度言葉を発した。
「…この前はすまなかった…」
聞こえてきた言葉は謝罪のものであった。
先程の反応といい、この言葉も予想していなかったものであったため、思わずすいせいと顔を見合わせてしまった。
以前のような横暴さは感じられず、まるで親に叱られて謝罪をしに来た子供のように見えた。
その様子を見た僕はすいせいの肩に手を置き、位置を入れ替えた。
「あの時の吾輩はトワ様がお前に盗られたと勘違いしてしまっていたんだ…でも、痛めつけたり、記憶を覗いたりしたのはやりすぎてしまったと思う…」
そう言った後、ラプラスは僕の目を真っ直ぐと見つめてきた。
「これからはholoXの総帥として、この学園、世界を征服していくために、部下に見られて恥ずかしくない姿を見せていきたいと思う。だからっ…すまなかった…」
言い終わるとラプラスは頭を僕に下げた。
正直、今は驚きの方が大きい。野望は大きいが、あのラプラスがトワに注意されたからとはいえ、ここまで変わるとは思っていなかった。
「ラプラス、僕は気にして「ライ君待って」?」
もとより、謝罪をされるなら僕は受け入れるつもりでいたため、そう回答しようとしたがすいせいに止められた。
するとすいせいは僕に小声で耳打ちをしてきた。
(ライ君このまま許しちゃうの?)
(ああ、そのつもりだったんだけど…)
(あれだけのことされたんだから、もっと謝罪させたり、何かさせてもいいんじゃない?)
すいせいにそう言われてから少し考えて、ラプラスを見る。いつものような天上天下唯我独尊な彼女は身を潜め、おっかなびっくりに身を少しすくめるその姿はただの女の子のように見えた。
その姿を見てから僕はラプラスと目線が同じになるようにしゃがんだ。
「…じゃあラプラス、1つ僕のお願いを聞いてくれないか?」
「願い?な、なんでも聞くぞ!」
「僕と…友達になってくれないか?」
「…えっ?」
その回答にラプラスは心底意外そうな顔をして、すいせいといろはは小さく笑みを浮かべて黙って話を聞いている。
「そ、そんなことでいいのか?…でも吾輩どうすれば…」
「そうだな…じゃあ僕のことを名前で呼んでほしいな。お前、とかじゃなくて名前で。」
「…皇…ライ?」
「うん。」
「ライ…ライ…」
「はい。」
「ライ…すまなかった…」
「もう謝る必要はないよ。十分トワから注意を受けていただろうし、トワからも反省の色は見られるって報告ももらっていたから。謝罪も罰も受けたしこれでおしまい。だから…」
僕はその場で立ち上がり、ラプラスに右手を差し伸べた。
「これからは友達として、宜しく頼むよ。」
「…ああっ!」
ようやくラプラスは笑顔を見せてくれた。長い袖を捲り上げ、同じく右手を僕に差し出し、そのまま握手をした。
「吾輩たちは友達…いや、盟友だ!その盟友の証としてライ!お前に吾輩の力を与えよう!」
「えっ?」
ラプラスの言葉に疑問を感じた瞬間、以前のようにラプラスの黄金の瞳が輝きだし、辺りを照らした。
あまりの眩しさに思わず目を閉じたが、一瞬のことだったようですぐに光は収まっていた。
「…ラプラス?今のは?」
「ライに吾輩の力を流し込んだんだ!まぁやばくなったら助けてくれる御守りみたいなものだと思ってくれ!」
ラプラスはふふん、と胸を張って応えた。
ラプラスの力が僕に…
今のところ何も変わった様子はない。驚きはしたが、ラプラスの気持ちとして受け取っておこうと思う。
「ラプラスありがとう、とても心強いよ。」
「うむ!盟友として当然のことをしただけだ!」
最初はラプラスに目の敵にされてはいたが、ようやくそれも解消できたようでよかった。
そのことを嬉しく思っていると、いつの間にかすいせいがラプラスの後ろに立っており、両手の拳を握りしめラプラスのこめかみ辺りを拳でぐりぐりと押さえつけた。
「すいせいさん!?ちょ、痛い痛い痛い痛い!!」
「またライ君に変なことして!この前みたいに倒れたらどうすんの!」
「してない!してないっす!」
…なんだか母親が子供を叱っているような光景にしか見えなかった。
すいせいがラプラスのこめかみから手を放し、ラプラスを解放した。するとすいせいは僕の方に振り返り大股で近づき、僕の正面に立った。
「ライ君。」
「す、すいせい?」
すいせいからじーっと見つめられてしまいたじろいでしまったが、すぐさますいせいは両手で僕の頬を包んできた。
いきなりのことと、すいせいの手が少しひんやりとしていたこともあり驚いたが、すいせいに見つめられたままその場から動けなくなった。
するとすいせいは笑顔を浮かべ、僕の頬を思いっ切り引っ張った。
「ひゅ、ひゅいへい、いひゃい…」
「ライ君はなーんで警戒心がそんなにないのかなぁ?この前のこと忘れちゃったの??」
すいせいはどうやら僕が無警戒でいることに腹を立てているようだ。
確かに以前はすいせいとトワに心配をかけてしまった。そのことを考えると僕はもう少し慎重になるべきだったかもしれない…
「ご、ごめんなひゃい…」
「んー?何て言ってるかわかんないなぁ?」
すいせいは僕の頬を一瞬少し強く抓ってから解放してくれた。
すいせいも力はずっと入れてはいなかったので、凄く痛いわけではないが、頬をずっと伸ばしている状態になっていたため、ちょっとだけヒリヒリしている。
「すいせい…ごめん…」
「全くだよ?ライ君は女の子に対する警戒心が足りないと思う。女の子って意外と怖いんだよ?」
「反省してます…」
「…これ以上ライバルを増やしたくないんだから…」
「えっ?」
すいせいは大きく息を吸ってため息をつき、仕方がない、というような笑みを浮かべた。
「まぁ皆に好かれるっていうのがライ君の魅力なんだろうね。よっ、と…」
そのまますいせいは背伸びをし、僕の頭を撫でた。優しくというよりは、大型犬を撫でるようなわしゃわしゃと撫でていたので、僕の髪が若干乱れた。
すいせいは細腕ではあるが、しっかりと力が入っており、手のひらからは温かさを感じられて、どこか心地よかった。
「めちゃくちゃ人のアジトの前でイチャついてんなぁ…」
「ああ、すいせい先輩に頭を撫でてもらえるなんて羨ましいでござるぅ…」
ラプラスといろはの声が聞こえてきて僕は我に返った。他の人からこの様子を見られていたと思うと顔が熱くなってきた。
「んー?ライ君…もしかして照れてる?」
「言わないでくれ…」
「ふむふむ、そっかそっか!」
すいせいに指摘されて余計に恥ずかしく感じてきた。正直学園祭を開始の際の猫の鳴き真似をした時より恥ずかしい気がする…
そんな僕とは裏腹に、すいせいは満足気な顔を浮かべていた。
「じゃあライ君も恥ずかしい思いをして罰も終わったから許してあげる。ラプラスももうあんなことしちゃだめだよ?もしまたやった場合は…」
「も、もうしないです!YMD!」
「よろしい、じゃあ劇楽しみにしてるから頑張ってね!いろはも客引き頑張れ!」
「は、はいでござる!」
「うんうん、ほら、ライ君行くよ?」
ラプラスといろはに激昂の言葉を投げ、返答にも満足したすいせいは鼻歌を歌いながらそのまま僕の手を引き、holoXのアジトを後にした。
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