書きたいことを書ききったら失踪します。
あと、自己満足な作品ですので感想の返信はたぶんしません。
それでもよければ、見ていってください。
「あたしは、ベルベット・クラウ。業魔も、聖隷も、対魔士も喰らい尽す。最悪の、喰魔だっ!!」「アルトリウス!!」「誰よりもあんたを斬りたいのは、あたしだ!!」「忘れていいはずがない。あの子は死んだんだから。理由もわからず殺されたんだから!許せない…絶対に許せないっ!!」「あたしは…ラフィの…弟の…ため…に」「待ってよ…あたしは、ずっとあんたのためにって…なのに…こんなのって」「あたし…大好きだったの、ラフィも、セリカ姉さんも、アーサー義兄さんも、みんな」「あの時を奪われたことが…あたしを選んでくれなかったことが…悔しいっっ!!」「どんなに苦しくて悲しくてもあたしは、この復讐をやりとげる」「我が名は災禍!災禍の顕主ベルベットだ!!」「ありがとう、ライフィセット」「世界に希望を残したいって」「『なぜ鳥は空を飛ぶのか』答えがわかったわ、鳥はね、飛びたいから空を飛ぶの、理由なんてなくても、翼が折れて死ぬかもしれなくても。他人のためなんかじゃない。誰かに命令されたからでもない。鳥はただ、自分が飛びたいから空を飛ぶんだ!!」「ありがとう、あたしも…大好きよ、フィー…」
「っは!!ここは…」
高熱の後のけだるさをまといながら、自身の黒髪を腰まで伸ばし、麻布の服を着た10歳ほどの少女、ベルベットは自身のベッドから上体を起こし、部屋を見渡す。
穏やかな日差しは明かるく部屋を照らし、あまりごちゃごちゃとした家具は置いておらず、素朴な木でできたログハウスは、懐かしさを感じさせる。
そう、まるで村に住んでいた時の、大切だったあの時を思い出させる。
(ここはどこ?アバルの家?そんなはずは…あそこは滅んだはず。いえ、それよりもあたしは、たしか、ラフィを)
「目が覚めたか。気分は最悪だろう、ベルベット」
そんな言葉をベルベットに掛けながら、ゆっくりと部屋に入ってきた青年は記憶よりも年若いが、たしかにアルトリウスであった。
「アルトリウスっ!!」
激情にかられたベルベットは、ベッドから飛び出し、アルトリウスにとびかかろうとするが、鉛のような体は思うように動かず、ベッドから落ちてしまう。
「落ち着けベルベット、おまえは丸一日高熱にうなされていたんだ。無理はするな」
アルトリウスはそう言って近寄り、ベルベットを抱き上げ、ベッドにやさしくおろす。
ベルベットの脳内は混乱の極みであった。自身が殺したはずのアルトリウスは生きており、自分は村娘の恰好をして、仇にやさしくされている。意味が分からない。いや、ベルベットには心当たりが一つある。
「っ幻覚か!誰だ!術者は姿を現せ!ラフィをどこにやった!」
大声で叫ぶベルベットをいさめたのはアルトリウスではなく、新たに部屋に入ってきた女性だった。
「静かにしなさい、ベルベット。ラフィとフィーが起きちゃうでしょ」
「セリカ姉さん!!」
部屋に入ってきたのはベルベットの姉、セリカだった。さらに、セリカの腕の中には二人の赤ちゃんが抱かれていた。
「お前はまだ入ってくるなと言っただろうセリカ。記憶が戻るときが一番危ないんだ。お前や子供たちに何かあったらどうする」
「その時はあなたが守ってくれるのでしょう、アーサー」
全幅の信頼をのせたセリカの言葉にアルトリウスは何も言えなくなる。
アルトリウスはベルベットに顔を向け、優しく微笑む。
「混乱するのもわかる。あとで俺が必ず説明する。と言ってもすべてわかっているわけではないが。とにかく、いまは寝なさい」
アーサーが優しく頭を撫でる。そこに悪意はなくただ優しさだけがあった。ベルベットはけだるさからか、叫んだ疲れからか眠気を感じ、目を閉じ眠りにつくのだった。
ベルベットが目を覚ました時にはすでに日は落ち、部屋はろうそくの明かりで照らされていた。
部屋の外から香る美味しそうな、懐かしいにおいを感じ、体のだるさから解放されたベルベットはベッドからおり、リビングへ歩き出した。そこには椅子に座ったアルトリウスがいた。思わず、ベルベットは戦闘態勢をとる。
「起きましたか、ベルベット。もうすぐ夕食ができます。座って待っていてください」
「セリカの料理がおいしいのはよくわかっているだろう。今は座りなさい」
あまりの毒気の無さにベルベットは二人にうながされ、戦闘態勢を解き、しぶしぶアルトリウスの正面に座り、話しかける。
「どういうことなの、これも幻覚」
「これが幻覚でないことは、メルキオルの幻覚を破ったお前ならわかるだろう。それにお前の中にはこの村で育った10年の記憶もあるはずだ」
ベルベットの中には確かにこの村で生きた記憶があった。しかし、同時に、アルトリウスを恨み、旅をした記憶もあり、余計にベルベットを混乱させるのだった。
「難しい話はあとにしましょう。今は夕食ですよ」
料理が出来上がったのだろう。セリカが配膳をし、ベルベットの前にはホカホカのシチューが置かれる。
ベルベットは思わずといった表情で食事を開始する。暖かい確かな味は、大好きだった自身の幸福の味は、ベルベットに涙を流させる。
「うああああああん!!!」
号泣するベルベットをアルトリウスとセリカは優しく見守るのだった。
「悪かったわね、取り乱して」
食事を終え、セリカは台所で洗い物をし、アルトリウスとベルベットは話し合っている。
ベルベットは号泣した恥ずかしさから、頬を赤く染め、口をとがらせる。
「ははは、気にするな。俺もセリカにもう一度会えた時は泣いたものさ」
「あなた、泣きながらずっと謝るんですもの、感動の再会が台無しだわ。思わず頭を撫でてしまいました」
洗い物をしながらも、二人の話は聞いていたのだろう。セリカは、アルトリウスの恥ずかしい話を暴露する。
「おほん、まあ、その話は置いておいて。…さて、ベルベット、今からこの世界のことについて話をしよう。ただし俺もすべてを知っているわけではないということは理解してくれ」
「ええ、お願いするわ」
20話以内に終わる予定