テイルズ オブ ワンピース   作:チリラーメン

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ロクロウ&オスカー

 甲板上で無数の剣劇が飛び交っている。

 無数の剣を撃ち出すオスカーと一刀のもとに防ぐモモンガの戦闘は、硬直状態に陥っていた。周りの海兵たちはあまりの戦闘に手を出すことができない。

身体能力で勝っているモモンガは無数の剣が邪魔で懐に飛び込めず、隙を見つけて強襲したいオスカーも防御に専念されているため迂闊に攻撃できない。

 

「なぜですか!この無辜の民に対しての襲撃。そこにどんな正義が!理があるもですか!」

 

 オスカーは思いの丈をぶつける。オスカー自身は大儀のための犠牲を容認できる心を持っている。しかし、この作戦に人類の発展など認められない。無駄な犠牲は自身の正義に反する。

 

「これは大いなる正義に対する最低限の犠牲である。納得しろとは言わん。抗って見せよ」

「言われずとも」

 

 挑発に乗ったオスカーはモモンガの懐に飛び込もうとする。それを迎え撃とうとするモモンガ。

 ズバン!!!

 いきなり大きな音を上げて隣の軍艦が真っ二つになる。

 

「「な?!」」

 

 突然の事態に意識がそちらに向かう。

 すると切られた軍艦から一人の男がこちらの軍艦に飛び乗ってきた。着物を着崩した恰好をした男であった。その右目周辺と首の右側が黒く染まった異形の姿にモモンガは一瞬ひるむ。

 

「おーおーもう少しで海に落ちるところだったぜ」

「早いですねロクロウさん」

「おう!あっちに強い敵はいなかったからな。軍艦は切りごたえあったぜ。こっちは強そうじゃねえか」

「相変わらず見聞色は苦手ですか。もっと鍛えたらどうですか?」

「対面した奴らの力さえ解ればいいんだよ、俺は」

 

 ロクロウもオスカーもモモンガに意識を向ける。

 対してモモンガは冷や汗が止まらない。今まで拮抗した勝負ができた相手にさらに強者が付いてしまった。さらに、このクラスの敵が他の軍艦に攻めている可能性を考えると悠長に戦っている余裕も無くなってしまった。今まで積極的に攻めなかったのは、他の艦隊からの援護を前提としていたからだ。

 

「てめえ、剣士か」

「ええ。モモンガ中将です」

「中将殿か」

 

 ロクロウはそう言ってオスカーの首筋に当て身を行い、意識を奪う。突然の事態にオスカーは反応できない。

 

「な?!仲間割れか!」

 

 この行為にモモンガは驚く。よっぽど信頼していたのだろうオスカーは防御をすることができなかった。意識を失ったオスカーをロクロウは抱え安全そうな端に下ろした。

 

「仲間割れじゃねえよ。こいつは将来海兵になりたいんだ。これ以上の戦闘はその道を完全に閉ざしてしまう。今回覚悟を持って来ただろうが、できる事ならコイツの夢はかなえてやりたい。今ならあんたが黙っていればいいだろ。いいやつそうだしな」

 

 ニカと笑うロクロウにモモンガの肩の力が抜ける。

 

「できる事なら君たち全員を海軍に入隊させたいのだがな」

「そいつは無理だな。俺に正義は似合わん!それに今は中将殿を切りたいだけだしな!」

 

 そう言ったロクロウから剣気がほとばしる。物理的な気配すら感じる剣気にモモンガは思わず飛びのいた。

 

「そういう質か!」

「そう、これが俺!ロクロウ・ランゲツだ」

 

 ロクロウは自身の太刀を一本抜いて切りかかる。それを太刀で受け止めるモモンガ。

 

「もう一本は抜かんのかね」

「中将殿が強かったら考えるよ」

 

 足を止めてお互いに太刀をふるう。大太刀とは思えない速度で切り合う。

体はモモンガのほうが大きく、身体能力も現時点ではモモンガのほうが上だ。業魔化の力により身体能力が上がっているとは言えロクロウは、数値上の力では勝てていない。しかし、拮抗した戦いができるのはロクロウの業が原因だ。前世の長い研鑽は力を超える技術をもたらしている。

 一度剣をはじいてお互いに距離を離す。

 

「不思議だな。肉体に対して技が飛びぬけている。どういう仕組みだ?」

「いろいろあるんだよ。さて、そろそろ勝負を決めようか。焦りが見えてきたぜ中将殿」

 

 別の軍艦が煙を上げて爆発した。あまり時間はない。

 

「望むところではなるが。いいのか?時間はそちらの味方であるが」

「全力が見たいからな!なんでも海兵の覇気使いはめったに覇気を全力で使わないんだろ?」

「どこで知ったのだ。その通り、連戦になる可能性を意識して黒く染まるまで覇気は使わん。この海の上位の者たちはみな行っていることだ」

「しかし、今は時間がないからな。中将殿の全力、楽しみだぜ」

「覚悟することだ!」

 

 ロクロウは太刀を上段に構える。モモンガは太刀を横に構える。

 

「「武黄色硬化!」」

 

 互いの太刀が黒く染まる。

先に動き出したモモンガは自身の身体能力に任せ剃を連発し、残像を残しながらロクロウに切りかかる。技量で負けているなら、力や速度で翻弄する。幸いロクロウは見聞色は最低限しか納めていないようだった。

 

「覚悟!」

「こちらの一撃を躱しつつ一気に勝負を決めるいい技だな」

 

 ロクロウは感心しつつ自身の太刀を振り下ろす。

 

「けどよ。この技の前にはどこにいても同じだ!嵐月流・荒鷲」

 

 ロクロウの放った技は巨大な斬撃を飛ばしモモンガを巻き込み船室を切り裂いた。

 もうもうと立つ煙が晴れるとそこには大きな傷を残し倒れるモモンガの姿があった。

 

「強かったぜ、中将殿。今度は心の中の後悔をなくして戦おうぜ。その時は大太刀二刀で相手をしよう」

 

ロクロウは背を向けて歩き出した。

 

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