他の軍艦とは異なり一部の軍艦は砲撃をむやみやたらに続けていた。その理由は敵が大きかったことだろう。
「打て打て打て」
複数の軍艦から集中砲火を受けているのは白銀の竜とその騎士であった。優雅に避ける様は美しくあった。その内心は別であったが。
「ちょ!フィー、落ちます。私が落ちてしまいます。安全運転をー」
「エレノア頑張って!もうちょって近づけるから」
フィーの竜形態は美しくはあったが捕まる場所などはほとんどない。かろうじてウロコの間に手足を入れることで捕まっているエレノアはすでに限界だった。
複数の軍艦からの砲撃でなかなか近づくことのできないフィーはいったん距離を取る。
「むう。なかなか近づけないな」
「はあ、はあ、死にます。私今日確実に死んでしまいます」
フィーの上で生き絶え絶えなエレノアにさすがに罪悪感が募るフィー。
「どうしよっか?エレノア」
「先に相談してほしかったです。…わざわざ避ける必要はないでしょう。フィーは突撃してください」
「えー」
あんまりな作戦にフィーが不満を漏らす。確かに竜の姿なら死ぬことはないが、わずらはしいのだ。目に入ればさすがに痛みは感じる。さっきの無茶の仕返しかと思っているフィー。
「別に砲撃にあたりに行けと言っているわけではありません。私に任せてください」
「うん。わかったよ」
連携などかなりの期間行っていない二人であったが、確かな信頼関係があった。
「敵が突っ込んできたぞ」
「なめるな!砲撃をくらわせてやれ」
軍艦から無数の砲弾が飛んでくる。フィーは恐れず一直線に軍艦に向かう。
フィーの上に乗って砲弾を見聞色で確認するエレノアは、槍を構える。
「先ほどのような変態軌道でなければ、私だって立つことはできます!さて、行きますか…狙いを定めてグングニル・ツイスター散!」
エレノアの槍から放たれた無数のレーザーが一つ残らず砲弾を貫く。空中で爆破した煙を突っ切ってフィーが一隻の軍艦の真上を取る。
「白銀の息吹!」
フィーの口から放たれた炎は軍艦を一撃で破壊した。
「すごい威力ですね」
「まあね。じゃあ、次に行こうか、エレノア」
「はい、フィー」
まだフィーが軍艦に手間取っていたころラフィーとテレサは軍艦の甲板に上がっていた。二人とも能力を使用しており、天使と悪魔のようであった。
「ふうん。強い人はいなさそうですね」
「油断は禁物ですよ」
甲板にいる二人を海兵たちは銃を構えて包囲している。
「抵抗は無意味だ!抵抗するなら打つぞ」
海兵の一人が声を上げるが、二人は意に介さない。投降する気がないことを確認した海兵は指示を出す。
「打て」
海兵たちは一斉に射撃を開始する。しかし、ラフィーの展開した透明な盾を貫通することはなかった。
「はあ、こんなところにオスカーは就職するつもりでしたか。なんてレベルの低い」
「オスカーさんなら自分で育てるんじゃないかな?」
海兵たちに打たれながらも会話を止めない二人。銃では埒が明かないと判断した海兵たちは近接戦を仕掛ける。
フィーは紙葉の短剣でテレサは槍で応戦する。技量の差も力の差もあり、次々と吹き飛ばされていく海兵たち。ただ人数が多く、ひっきりなしに迫ってきては体力の少ないラフィーは倒れる可能性があった。自覚もあったラフィーは作戦を変える。
「一網打尽にしますよ、テレサ」
「ええ、賛成です」
二人は空中に舞い上がる。海兵たちは見上げることしかできない。
「時間は掛けません。原書集いて万象果てよ…メテオスウォーム」
ラフィーは火球を生み出し軍艦に放つ。
空から落ちてきた巨大な火球に海兵たちは慌てて海水に飛び込んでいった。
軍艦は火球を受けて爆発を起こした。軍艦は見るも無残な形となる。
「フィーも軍艦をそろそろ落としそうですね。負けません!」
「ではあちらの軍艦に行きましょう」
次の目標を定めて二人は飛んでいく。