沈んだら 帰って来れた 我が故郷   作:∩(´∀`∩) ワッショーイ

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脳内でのイメージを上手く形に出来なくて文才が欲しいと思う今日この頃━━━やっぱり書くのって難しい( ˘•ω•˘ )


三話

「━━━━。っていうことがあって、帰って来たんだけど。信じれる……訳ないよね……」

 

冬馬も信じてくれたからもしかしたら……という一抹の希望を抱いていたが、険しそうな表情に加え眉間に皺を寄せるお父さんを見て、やっぱりそんな訳ないと項垂れた。

 

「ごめんなさい……さっきのは忘れて、もう出て行くから……冬馬、お茶ありがとう。話を聞いてくれて嬉しかった」

 

でも考えてみたら当たり前かもしれない。何年も前に死んだ息子の名を名乗る見ず知らずの女に、いきなりそんな滑稽無糖な話を信じて欲しいとか言われても信じられる筈がない。

そう頭では理解している筈なのに、実の父親に信じて貰えないだけで心が痛い……轟沈した時(あの時)と同じくらい痛いからか涙まで出て来た……もう泣きたい。でもお父さん達に泣き顔なんて見られたくないし、さっさと出よ……

 

「待て」

「………え」

 

父━━━━智瑞義春の呼び止める言葉に、今まさにリビングから出ようとしていた足を止めると、お父さんはおもむろに立ち上がり私の後ろに立った。

 

「秋一」

「っ!………ゥンッ……!」

 

久しぶりに呼ばれたその名前に、堪えきれずに目から数滴の雫が零れ落ちる。

そしてお父さんは私の肩に手を乗せて言った。

 

おかえり(・・・・)。よく帰ってきた。親不孝者の馬鹿息子めが」

 

その言葉を聞き勢い良く振り向くと、そこには穏やかな笑顔を浮かべる父と、ハンカチで目元を吹きながら私を見つめる母━━━━智瑞夏海の姿があった。

 

「本当、何年待たせる気だったのよ……でも、おかえりなさい。よく帰ってきたわね」

 

歩み寄って、私の涙を拭き取りながら抱きしめてくれたお母さんの言葉に

 

「あ……あぁぁぁ"、ぅ"う、"う"う"……!」

 

私は堪えきれなくなり母の胸元で泣いた。堰き止めていたダムが決壊したかのように流れ続ける涙と、絶えず溢れる嗚咽は私の意思に全く従わない。

でも不思議と、それをよしとする私もいた。

 

「確かに、急にあんなことを言われて信じれるかと言えばそうじゃないさ━━━だが、親は子を信じ、守るものだろ?だから信じてやるさ」

 

そう言いながら私の頭を乱暴に撫でる父、止めどなく流れ続ける涙でパジャマが濡れるのを気にせず微笑んでくれる母、そして少し離れてよかったなと言う弟に確かな愛を感じ取り、私はさらに泣いた。

 

「ふん、泣くな男だろ!って普通なら言いたいところだが、今のお前は女だからな、好きなだけ泣けばいい」

「親父……その考えちょっとどうかと思うんだが……」

「冬馬の言う通りよ、アンタのそういう考え方って格好の餌だからさっさと捨てちゃいな。今時色々怖いんだからね」

「けっ、これが俺なんだからよ。構うなほっとけ」

 

泣きながら聞いた中に家族達のそんな会話があった━━ような気がする?疑問形なのは途中で泣き疲れて寝ちゃったからで、どこからが夢なのかよく分かってないところがあるから……

 

「……でも、帰って来れたことは夢じゃないんだよね」

 

あの日から何も変わっていない、まさに記憶にある通りの私の部屋で一人呟く。

……本当のことを言うと、もしかしたら帰って来たことも、そもそも轟沈したこと自体も夢で朝起きたら鎮守府の何時もの部屋で目覚めるんじゃないか、結局は全部妄想なんじゃないかとも思っていた。

勿論、第二の家族と呼んでもいい皆のことは嫌いではないし、むしろ好きだと思っている。

でも向こうにいる時に再確認させられた本当に大好きな家族達は、何者にも変えがたくてずっと一緒に居たいと思っていたから……

 

「翔鶴姉、先輩方に皆、そして提督さん。私これからはこっちで家族と過ごすから、どうか幸せになってね」

 

そして私は布団から体を起こし、こっちの世界は平和だしもう要らないだろうと思いながら、薬指にはめられていた白銀の指輪を外した。

 

「……あー、そういえばこの指輪渡して来た時の提督さん精一杯って感じにカッコつけてたけどガッチガチだったっけ」

 

それを指摘した時の反応があからさま過ぎて面白くてつい悪ノリしちゃって、何度も何度もからかって、たまにやり返されて、その度に二人して笑ったんだよね。ホント、あの時は楽しかった。

 

「………」

 

……やっぱり、思い出すと割り切った筈なのにしんみりとした気持ちになっちゃうな……でもしょうがないか。仮にも彼や彼女達は共に戦った戦友(とも)であり、大切な人達だったのだから。

 

「じゃあね、さようなら……」

 

もう皆には会えないだろうことはわかる。そもそも私がこっちに戻って来れたこと自体が普通なら有り得ないことだし、他の皆がこの世界に来ることはないだろう。

故に私は一度目を瞑り、隣に置いた指輪に向けて敬礼しながらさよならを告げた。今までありがとうという意味も込めて。

 

「兄貴ー起きてr……」

「あ」

 

まさかのタイミングで冬馬が入って来た。いやノックくらいしよ?マナー守ろう?とか思ったが、冬馬の視線が私の敬礼する先の指輪に向いているのに気づいた。

 

「その指輪って……」

「……やっぱり気になる?」

 

私がそう問うと、冬馬は静かに頷いた。

 

「そうね、大切な人が出来たんだよね。向こうでも」

 

まぁもう会えないけどという言葉は胸の内に秘めながら言うと、冬馬は私がもう提督さん達とは会えないことに気づいているかのようにそうか……と言葉を漏らした。

 

「でも今は冬馬も、お父さんとお母さんもいるから大丈夫よ」

 

これは紛れもない本心だ。でも今は大切な家族がいる。

確かに皆とはもう会えないけど、それで終わりじゃない。皆は私の心に何時までもいる。それを忘れないようにこれからを生きようと思う。

 

「……兄貴、朝飯出来たから降りて来いってお袋が言ってたし早く降りて来てくれよ」

「わかった、すぐ降りるって伝えといて」

「おう」

 

……冬馬も察してくれたみたいで嬉しい。

それにしてもお母さんの朝ご飯か、最後に食べたのはいつだったっけ?もう何年も前で覚えてないや。

 

「……本当に今までありがとう、皆」

 

こんな歪な私でも受け入れてくれたあの人達のことを、絶対に忘れない。

そう誓い指輪を机の引き出しの奥に仕舞った。




異世界転生に転移等の作品はたくさんありますが、例え死んだからと言ってそう簡単に元の世界を諦めたり割り切れるものなのか?とは思います。
しかし、だからこそ帰れた時の喜びは計り知れないものなのかとも思いますね。

元の世界にも、転生・転移後の世界にも、どちらにも大切な人がいるならば……皆さんはどう思いますか?

*オロトン様誤字報告ありがとうございました!
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