今日は散々だった。この平和な非都に珍しく大きな事件が発生して作り立てのチームで現場に乗り込めばものの見事に個性豊かなチームはバラバラ。何とか事件を解決までは導いたものの上にはお叱りを貰い、そんな惨事の後だから空気も随分とギスギスしていて、誰も彼もが本当にこれからこんな奴らとやっていけるのかという顔をしている。
正直僕だってそうだけど、合いませんでしたはい解散とはいかないわけだから文句を言っているわにもいかない。現場に出向くため実力主義で作られた比較的年齢層の若いチームだから、自由人の集まりみたいなものでそんな人々と何とか親睦を深めるように勧めるのも苦労したものだ。
というわけで、辺りは既に僕が溶け込んで見えなくなる程の真っ暗闇。当然のように電車は走っていないから、自慢の翼を動かして岐路につく。まったく、僕だって彼が待っているから早く帰りたいのに。もう彼は眠っているだろう。そう思って家への曲がり角を曲がった僕を出迎えたのは閉め切られたカーテンの隙間から零れる予想外の明かりだった。
まさか起きているのだろうか。あの過去の不良とは名ばかりの早寝早起きの天才のような彼が。もしかしたら電気を付けっぱなしにして眠ってしまっているかもしれない。そう思って、音を立てないようにそっと扉を開ける。
ぼふっ
軽い音と共に胸板に飛び込んで来た予想外の塊に、ほんの少しふら付いた。
「遅い!遅いっす!!何してたんですかアニキ!!」
きゅう、と僕の服をしわくちゃに握りしめて、きゃんきゃんと親が帰ってきた子犬のように喚くのはボクの最愛の人『小風』だった。まさか本当に起きていると思わなかったから驚いた。
「起きてたんだ…」
「起きてましたよ!?だってアニキが連絡寄越さないんですもん!」
「…あ、…」
そういえばそうだった。携帯の電池が切れてしまって連絡ができなかったことすら忘れていて、何となくバツが悪くて目を反らす。
「その、…ごめん」
これはもうお冠だろうな。一発貰う覚悟をして目を閉じると、唇に柔らかいものが触れて目を見開く。
「……。もう!無事に帰ってきてくれたから今回は許します!次はないっすからね!」
そういう彼は耳まで真っ赤で。きゅぅ、としわくちゃにされた胸は既に手を離されているのに、締め付けられる思いだった。尻尾をぶんぶんと振り回しながら背を向けた彼を、後ろから抱きしめた。
「アニキ!」
「ただいま」
「……。へへ、おかえりなさい」
笑う彼が、酷く愛しかった。