武昭が川神院から帰ってから暫くして……
「うん……ここは……?」
「おっ、目を覚ました様じゃのうモモ」
百代が気がつくと布団に眠らせていて近くに鉄心とルーが座っていた。
「ジジィにルー師範……私は……っ!そうだ!あいつはどこだ!?」
百代が今の自分がこうなった状況を思い出すと布団を吹っ飛ばして外に出たが武昭の姿は見えなかった。
「あいつめ……今度会ったら私が勝ってやる……」
「モモ……最初から本気を出さないのはお前の悪い癖じゃ……何故最初から本気を出さんのじゃ?」
「それは、私が最初から本気を出せば直ぐに戦いが終わるからだ、それを言うならあいつも同じ事をしていただろ!!」
「儂もその理由を尋ねたのじゃ……そしたら彼はこう言っておった……」
百代が怒りながら言うと鉄心が武昭が何を話したかを言った。
「武昭君、君に聞きたい事があるんじゃが……」
「何故、決闘の最初から本気を出さなかったか……ですか?」
鉄心が何を聞きたいか武昭が先に答えを言うと鉄心はうなづいた。
「それは俺が力を手にした理由は自分の手が届く範囲の人達だけでも守りたいからです。
だからこそ、俺は最初から力を出す事をしなかったんです」
「自分の手が届く範囲の人達を守りたいから……か、だから本気を出さなかったと言うのじゃな……すまなかったのう、そんな事とは知らず、こんな事を頼んでしもうて」
「いえ、気にしないでください……けど彼女にも教えた方がいいですよ何の為に力を手にするのか……その道には終わりが無いって事を……そして力を手にしても自身よりも力を持つ者が居れば、今みたいになるって事を……って俺みたいな子供が言っても何を言ってるんですかって感じでしょうね、それじゃ俺はこれで失礼します……」
頭を下げた武昭がその場を離れたが鉄心は去っていく武昭の背中を見て何かを考えていた。
「そう言っておったのじゃ……」
「自分の手の届く範囲の人達だけでも守りたいか……確かに私は強い相手と戦う事を望んでいたが、それは終わりが無い道なのか……」
武昭の話を聞かされた百代は布団に腰を下ろすと両手をグッパしながら手をみつめていた。
それを見た鉄心は百代に気付かれない様に部屋を出た。
「うむ……どうやら武昭君と決闘した事で百代の考えにちょっとした変化が出た様じゃな……」
鉄心は廊下に出ると空を見ていた。
川神院から帰ってきた武昭は河原を歩いていた。
「ふぅ、あの位なら覇気を使わなくても六式を使うだけで良かったか……彼女は力を手にする意味を分かっちゃいないな……」
武昭は河原の草むらに横になった。
「ルフィは海賊王になる為、ゾロは世界一の剣豪になる為、麦わらの一味の皆はそれぞれ自分の夢を叶える為に力や知識……自分がやるべき事をやる為に強くなっていったんだ……さてと軽く買い物してから「キャッ」おっと、大丈夫か?」
武昭が立ち上がって、その場から離れようとした時に白い髪に赤い目をした少女とぶつかって少女が転びそうになったので転ぶ前に支えたが一瞬顔を顰めた。
「!う、うん、大丈夫だよ……ねぇ……僕と遊んでくれる?遊んでくれたら……コレをあげる……」
少女がポケットから何かを出して見せるとグシャグシャの袋に入ったマシュマロだった。
「そうか……けど、俺はいらないよ」
「え?……そっか……やっぱり僕と遊んで「違う、そうじゃないぞ」どういう事?……」
武昭が少女の頼み事を断ると少女が落ち込んで視線を落としたが武昭が何か言うと顔を上げた。
「そんな物を貰わなくても俺は遊んであげるよ、だからそれは君が食べて良いよ」
「本当?……本当に僕と遊んでくれるの?……」
「あぁ、俺は君の
武昭が笑顔で言うと少女は最初はキョトンとしていたが内容を理解すると武昭に抱き着くと同時に胸の中で大声で泣いた。
暫くして少女が泣き止むと2人で遊んでいたが時間が経って夕方になった。
「もうこんな時間か、じゃあ
「え?……明日ってまた……僕と遊んでくれるの?」
少女は武昭の言葉を聞くとキョトンとしていた。
「あぁ、俺達はもう友達だろ?」
「あ……うん!僕達は友達だよ!!」
「じゃあな……あっ、そうだ俺の名前は湧羽武昭って言うんだ、君の名前は?」
「うん、僕の名前は小雪……渡辺小雪だよ!」
「そうか、じゃあ俺の事は武昭で良いぞ」
「分かったよ!なら僕も小雪って呼んで!!」
「良いぞ小雪、じゃあな」
「バイバーイ!また明日ねー!武昭ー!!」
2人は自己紹介をすると、それぞれ帰路に着いた。
(それにしても……何か小雪の動きが変だった様な……)
武昭は帰りながら気になった事を考えていた。
小雪の名字はわからなかったので渡辺にしました。