「鶴翼三連!」
「チッ、面倒な!」
二人の赤髪の男たちが戦っていた。
片方はよく知る衛宮士郎。
もう片方は白い服に身を包んだ長髪の男、トリスタンである。
士郎の背後には明らかにこちらから逃げているであろう一団がいた。
このような事態になったことを説明するには少し時をさかのぼる必要がある。
10分ほど前のこと。
回復したカルデアの通信を通じて、現状の確認とそれまでに何が起きたのかを報告していた立香達。
彼女らを乗せたバギーは順調に荒野を走っていたが、前方に人影を見つけたことで停車した。
つい数十分前に現地民に襲われたのだから、この警戒は当然のことであろう。
岩影に隠れ、人影を伺うとそれは複数人のものであった。
どうやら、集団をたった一人で追ってきた長髪の男に追い詰められているらしい。
それを見ていると集団のなかの一人が殺された。
長髪の男が弓の弦を弾いただけでだ。
人々を救うことを志し、それで英雄になった士郎は我慢出来なかった。
ダヴィンチの目測では士郎の能力では勝てないかもしれないと言ったが、彼の本領は格上との戦いにあった。
「クッ、我がフェイルノートの攻撃をことごとく邪魔するとは!」
長髪の男は苛立っていた。
本来彼の弓であるフェイルノートは弦を弾くだけで音の矢を飛ばして対象を攻撃する。
しかし、その矢はことごとく防がれていたのだ。
「あんたが諦めるまでは相手をしてもらうぞ!」
士郎はフェイルノートの攻撃を音の矢だと聞くや否やとある物を投影していた。
それこそマシュの盾である。
それを複数用意し、防壁を張ることで集団を守っていた。
結局、士郎の攻撃で致命傷を負った男は撤退していった。
「先程は我らをお助けいただき感謝します。私は煙酔のハサン、よろしければあなたの名をお教えして頂けないでしょうか」
「俺は衛宮士郎。セイバーのクラスで現界しているサーヴァントだ。あんたらは難民かなんかなのか?」
「ええ、我々は・・・」
ハサンの説明はこうだった。
山の方面で複数の村を守護していること。
他にもサーヴァントがいること。
そして、彼が連れている人々はその村に逃亡している難民の集団である。
士郎はその話を聞き、彼らであれば問題はないと判断をした。
岩影に隠れていたマスター達を呼び出して、自分達の目的と、聖都に行くことを伝えた。
「なるほど、わかりました。私はこれから彼らを安全地帯までつれていかなければなりませんので、我々のアジトにご案内することは出来ませんが、あなた方のことは仲間たちに伝えておきましょう。何かあれば煙酔のハサンの名を出していただければ」
「ありがとう。助かるよ。それと聖都について何か知っていることは?」
「そうですね、彼処を支配している者たちのことであれば多少はわかりますが」
「是非教えて貰いたいな」
「わかりました。彼らは、
円卓の騎士とアーサー王です。」
「・・・」
「・・・」
車内は静寂に包まれていた。
アーサー王とは、アルトリア・ペンドラゴンのことであり、カルデアにとってはとても頼りがいのあるサーヴァントであった。
故に、その事実は重くのしかかった。
煙酔のハサンの言葉が思い出される。
『彼らは強力な力を得ています。その力の源は獅子王アーサーであると言われていますが、真偽はわかりません。どうかくれぐれもお気をつけを。円卓の騎士は情けなどかけてはくれないでしょうから・・・』
一行は進む。聖都に待つのは一体なんなのだろうか。
「行くのかい?嬢ちゃん。」
「ええ。カルデアは必ず今回の聖抜に現れます。私もお助けしなくては」
「そうか。なら、村の守りは任せておけ!嬢ちゃんがカルデアの奴らを連れ帰るまで守り通してやるさ」
「ええ、お願いします。必ずや彼らを連れて帰りましょうとも!」
そして、彼と彼女の邂逅は刻々と迫っていた。
英雄王相手に勝てたんだから、そんなやつに負けるわけないよなあ!