HELL TAXI   作:RPM

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01:ミスファイア

 

 

「ありがとうございました~、またご利用下さい。」

 

客を降ろして一息つくタクシードライバーの男。

 

その名は武六賢人(むろけんと)、しかしこれは偽名である。

 

彼は中東のある国で産まれ幼少の頃からパリ・ダカールラリーを間近に見て育ち、自らもレーシングドライバーに憧れを抱くが国の情勢が不安定でありテロ行為に加担し手を染めていた。

 

そんな中戦場で出会った日本人の傭兵の伝手で日本へと渡り、仕事でもハンドルを握っていたいという思いとターマック(舗装路)の練習を兼ねて個人タクシーをやっている。

 

日本車のラリーでの活躍は賢人の国でも有名であり、いつか来日したいと思っていた。まさに渡りに船といった所である。

 

日本語に関しても独学で勉強はしていた。難しい漢字の読み書き等は出来ないが、日常会話には困らない程度には喋れる。

 

 

と、そこへ無線が入った。

 

『ハロー、賢ちゃん。今暇?』

 

無線の相手は彼を日本に連れて来た傭兵の男。

日本に来てからは私立探偵をやっている。

 

『ちょうど一人運んだ所だ、何かあった?』

 

『んじゃ仕事締めて事務所に来てくれ、新しい以来だ。』

 

『了解。』

 

フロントウインドウの表示を「回送」にし、

今日の売り上げなどをまとめて締める。

 

個人タクシーに改造されたスポーツワゴン、

トヨタカルディナGT-FOUR。

 

見た目は普通のカルディナだがWRCで活躍したセリカと同じエンジンと4WDを持つ限定グレードである。

 

傭兵の男の知り合いの店でチューニングされパワーは約400馬力。元々4速ATだったミッションをセリカと同じ物に載せ換え、さらにアンチラグシステムも作動出来るようになっている。

 

タクシーであるため快適装備が多く重量はやや重いが、緊急時に街をかっ飛ばすには充分なスペックだろう。

 

(急ぎとは言われてないけど一応な)

 

タクシーの仕事の際はパワーリミッターをONにしてマフラーの音を抑えて快適性を重視している。

 

抑えていたパワー解放しアンチラグシステムもONにする。

 

パァン! パンパン!

 

(作動確認OK、行くぞ)

 

見た目とは似つかわしくない重低音とアンチラグ特有の銃声のようなバックファイヤーを轟かせながら探偵事務所に向かう。

 

____

 

 

倉池探偵事務所。

 

「よう。良い音させて、飛ばして来たな。」

 

事務所に到着すると、

元傭兵の探偵倉池瀬南(くらちせな)とツナギの男が居た。

 

「あれ?もしかして依頼主って?」

 

「そう、俺だ。」

 

カルディナの手配、及びチューニングをしてくれた、

ツナギの男稀井豪(まれいごう)からの依頼だった。

 

豪はチューナーでもあるが車の解体工場を営んでいる。

 

廃車から生きている部分同士を組み合わせることで、

安価に高性能なマシンを作る狙いがある。

 

しかし最近、近所で怪しい外国人集団がうろついているとの事だった。

 

「まぁまだ実害は出てないけど、もし窃盗団だったらと思ってな。」

 

「アンタには世話になっているからな、とりあえず周辺の見回りでもしておくか?」

 

「そうだな、それで頼む。」

 

「外国人窃盗団は密輸した武器を持ってるって噂もあるし、俺達が適任だろう。」

 

武器は瀬南が傭兵時代の伝手で手配し、

賢人はタクシーの仕事の合間に見回りに来る。

 

という話にまとまった。

 

 





名前の元ネタ、
武六賢人→ケン・ブロック
倉池瀬南→クラッチ、アイルトン・セナ
稀井豪→ゴードン・マーレイ
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