水無月空は夢から醒めない   作:ゲーミング

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 予約投稿の時間何時にしようか迷ったけど、22時に固定します。
 後週一投稿になると思う。モチベあったら全然書くだろうけど。


第2話【子供の頃良く迷子になってたけど質問ある?】

 

 拝啓お母さんへ。暦がズレてるんじゃないかってレベルでここ最近暑いですね、夜寝る時も寝苦しくてたまりません。

 夜更かししてるのは、寝苦しく寝れないからなんです。なのでお小遣いカットをそろそろ解除してくれると、俺はとても嬉しいです。多分許されないだろうけど。

 39℃とかの熱出した時に見る様な悪夢が正夢になってるけど、俺は元気です。眠いし気持ち悪いし凄く家に帰ってお布団の中に潜り込みたいけど、取り敢えず元気です。

 良し、現実逃避終わり。ここから現実直視のターンだ。

 

「東郷ここが何処だか分かる?」

 

「……えっと、電波通じてれば……?」

 

「どうかした東郷さん?」

 

「……友奈ちゃん、スマホ確認してくれない?ちょっと……変わってる」

 

 何が変わってんだ。説明してくれ。

 取り敢えず俺もスマホを確認する。東郷の言った変化が俺のスマホに出てるか分からないけど。

 

「……これ、風先輩が入れてって言ってたアプリ……」

 

「えぇ?そんなんあったの?俺初耳だったんですけど……」

 

「え……あっ。そっか、空くんは知らなかったんだっけ……」

 

 はぁ?何で俺だけハブられてんの!?報連相って知ってる?俺やってないけど、東郷はやった方がいいよ。主に俺の為に。

 

 スマホ確認しようと思ったけど確認する気が失せちまったよ。悪夢が正夢になるわ、夜更かしバレて怒られるわ、部活内で俺ハブられてるわで……散々だな。自業自得な所があったかも知れないけど、そこはそこだな。

 細かい事は気にしない。

 

「友奈!東郷!……良し空も居た!」

 

「おはようございます風先輩!俺の事ハブるつもりだったんですか?不自然な間がありましたよね!へー、へぇええ!泣いてやるからな!幼気な俺の事を弄んだ罪は重いんだ!」

 

「え!?ちが、話聞いて?」

 

 なんで友奈と東郷の事は普通に名前呼んでるのに、俺の名前呼ぶ時不自然な間を作った?わざとか?

 後今の俺話聞ける程冷静に見えるか?そんな訳ないんだよなぁ。誰か俺に鎮静剤をくれ、啓蒙高いからか発狂耐性低いんだ。

 

「お姉ちゃん……?」

 

「ち、ちちち違うわよ樹!」

 

「樹ちゃんおはよう!今朝もちっちゃくて可愛いね」

 

「あ、えっと、おはようございます空先輩」

 

 俺達の所属してる部活は【勇者部】と言うボランティア集団。ボランティア集団ってのも呼び方としては正しくないけど。

 現在讃州中学3年の犬吠埼風先輩が部長をしている。去年の今頃、友奈達とやりたい部活探しをしていた時に話し掛けられて入部した部活だ。

 勇者部って響カッコよくない?俺は思います。因みに樹ちゃんは風先輩の妹で今年ウチの中学に入学して来たピカピカの1年生。

 

 身長148cm、血液型O型、趣味は占いで好きな食べ物はうどん。体重は知らないけど多分羽毛の様に軽いと思う。可愛い。

 

「良く聞いて空。女の子だけのトークルームが必要だったのよ、仲間外れにしてた訳じゃないわ」

 

「……じゃあ俺勇者部居ていい?」

 

「モチロン!そもそも力仕事出来るのアンタしか居ないんだから居なくなられたら困るって」

 

「……身体目的って事ですか!?」

 

「ちっがうわよバカ!今日のアンタ情緒不安定過ぎるわよ!?どうしたの、話聞くけど!?」

 

 赤面する風先輩珍しい。後情緒不安定なのは単に今現状何がどうなってるのか一切分からないからです。なので話しても別段どうにもなりません。強いて言うなら家帰って寝るかゲームがやりたいです。

 

「あの、漫才より先に説明して欲しいんですけど……」

 

「……ごめん東郷。ちょっとアタシもテンパってた」

 

 コレ俺が悪かったのか?頭を抱える風先輩から視線を外し友奈へと向ける。あっ、目が合った。やっぱ綺麗な目してるわ友奈。苦笑いされちった。可愛いから好きです。

 

「あの、風先輩から入れて欲しいって言われたアプリがよく分かんない事になってて……」

 

「……色々説明するから、聞いてね」

 

 何時に無く真剣に、強ばった表情で話し始めた。要約すると、この色彩の狂った場所は神樹の作った結界らしい。

 そしてこの結界は神樹を、引いては人類を滅ぼす為にやって来る外敵と戦う為のフィールドであり、俺以外の奴等は勇者と呼ばれる神樹の守り手らしい。

 

 真剣な顔で話してるから聞けなかったけど、それ俺って変身出来るんすか?聞けば聞くほど俺此処に居るの場違いでしかないじゃん。

 

 後一個ビックリしたのは、どうやら俺達以外……と言うか友奈達以外にも勇者候補が居たらしく、友奈達が勇者部に集められたのは勇者適正値とやらが高かったからとの事だった。

 

「私達の事は分かりました……初めから分かってたんですね。こうなるかも知れないって……でも風先輩、空くんが此処に居るのは何でですか?空くんは勇者アプリなんか持ってません」

 

 その通りである。友奈達がやってるSNSアプリ、通称【naruko】は樹海内部では勇者アプリと言う変身機能に変わる。

 でも俺はそんなモノ持ってない。単なる一般人でしか無いのに、どうして俺はここにいるんだ。

 

「……空は……空も変身は出来るわ。でも戦う為じゃないの」

 

「……なら、どうして」

 

「空のアプリは勇者アプリじゃない。空はシステムなの」

 

「えっと、なんて?」

 

「空、スマホ良く見て。設定画面開けば機械関係に強いアンタはすぐ分かる」

 

 言われるがままスマホ画面に電源を入れる。整理してあるスマホアイコンから、歯車のアイコンを見つけ触ると。

 

 確かにあった。システムが。

 

「……【精霊システム】って、響きはかっこいいなぁ……響きは」

 

 でもコレ妖精王とかそっち関係の匂いしますけど。清いまま30に到達した人類の放つピュアな匂いするよ。

 いや単に俺の勝手な思い込みだけど。

 

「お姉ちゃん……」

 

「ごめんね、樹。何も話せなくて……でも」

 

「ちが、違うよお姉ちゃん、あれ何?白くて、おっきいの……」

 

「……早かったわね。アレが神樹様を殺しに来た敵。名前はバーテックス」

 

 聞いていたものの話し合いに参加出来ていなかったが故に一番初めに敵の姿を確認したのは樹ちゃんだった。

 其の姿は正しく異形、けれど俺の頭の中に流れていたのは全く別だった。

 

「樹は友奈達と逃げて!アレは……私がやるから……!」

 

「でも、でも!」

 

 【美しい】

 

 どうしてそんな事を思っているのか、俺もよく分からない。だけど確かに思うんだ。

 

 【懐かしい】

 

 そんな事さえ。

 

「ふ、風先輩、何か飛んで来てます!」

 

「……!全員伏せて!」

 

 反応が遅れた。友奈は東郷を抱き締める様にして、風先輩は樹ちゃんを押し倒す様な体制を取っていた。

 俺は……何をしてるんだろうか。直立不動のぼったち。飛来して来た物体は見覚えがあった。爆発するじゃんアレ。

 そうか、夢で見た爆発ってのは俺に直撃するから気を付けろって言う感じだったのか。絶対違うけど。

 

「空!」

 

 風先輩の声を最後に、俺の思考は止まった。

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

『……また始めるのね』

 

 思考は止まってる。視界は暗くなった。身体の感覚すらもう無い。

 けれど、確かに声が聞こえた。

 

『私の声は、貴方に届いてる?私の姿を、貴方は覚えてる?』

 

 声だけが聞こえる。聞き覚えがあるような。だけど分からない声。

 微かな違和感と確かな既視感を感じている筈なのに、どうにも分からない。けど、声色は何処か悲しんでる様な気がした。

 

『分からないなら、そのままでも良い。私は貴方を知っているし、貴方も私を知っている。だから教えて上げる、何度でも』

 

 何かが頬を撫でる。撫でられた部分が冷たい。何が起きているのか、思考が纏まらない。そう言えばゲームセーブしたっけ。違う、樹海で……何してたっけ。

 

『貴方の居場所は、ここには無いって事を』

 

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 断絶していた思考回路が漸く纏まってきた気がする。まだ乙女座の爆弾は届いてない。

 俺は勇者を守るシステム。俺が樹海に居るのは友奈達を守る為。なら考える必要は無い、やる事は1つなんだから。

 

「……どうして、どうしてそんな事が言えるんだよッ!お前はッ!!」

 

 光が俺を包み込んだ。

 

 伊達眼鏡のレンズに映るのは飛んで来ている爆弾と、0/100と言う数字だった。

 出し惜しみはしない。上限が100なら全部くれてやるよ。

 

 風先輩の声が遠い。友奈や東郷の声すら遠い。だけど、任せて欲しいんだ。必ず、俺が守るから。

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

「空!空ぁ!」

 

 バーテックスの攻撃が着弾した。樹海に当たる前に、飛び出して行った1つの影。暗い煙の中に勇者部唯一の男子部員の名を叫ぶ。

 返答は無かった。けれど暗い煙が少しづつ晴れて行く。

 

「……そら、せんぱい……?」

 

 人影が見えた。見慣れた学生服に、大赦神官が羽織って居る羽織に良く似たモノ。

 

「そーくん……」

 

 精霊システム。それは誰かが願った力。

 無辜の人々を、我等が神を守護する勇者達を守る大いなる力。

 

 その一端が確かに今、讃州中学勇者部全員の目に焼き付けられた。

 

 暗い煙の中、半透明の防壁を作り仁王立ちする男が居たから。

 

 

「……俺が、俺達が勇者部だぁ!!!」

 




 「貴方の瞳には私は見えない。貴方には私の言葉は届かない!私を見て!」
 「おいおいおい死んだわアイツ」
 「取り敢えず上限あったら、上限分までやるのってFXで有り金全部溶かす人みたいだよね」

第3話【微かな違和感と確かな既視感って韻踏めてるの上手くない?】

 感想とか評価とか貰えるとモチベになります。
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