ドレアム様の暇潰し!!異世界に我は征く!   作:プロトタイプ・ゼロ

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大変遅くなりましたが、投稿です!仕事や他の二次小説などが忙しかったのもあり、中々手を付けれなかったので本当にすみません!念の為言っておくと逃げたわけじゃないです


獣人族としての理性を失った獣に魔王が挑むぞ

 

 

「あ、皆さん!見えてきました…………けど」

 

 黒ウサギがいつものように元気な声で言うが、ゲームエリアを見た途端その勢いが途中で弱まっていく。

 

 それもそうだ、ここが居住区だと言い張れる奴がいるならそいつの頭の中はイカれているだろうな。

 

 ツタが門に絡まり、木々は鬱蒼と生い茂り、しかも、どの木々を見ても動脈のようなものが脈を打っているここを居住区だと言えるなら……

 

「これは…………ジャングル?」

 

「むしろ、密林と呼ぶべきだな」

 

「虎の住むコミュニティだからな。むしろおかしくはないだろ」

 

「いや、おかしいです。″フォレス・ガロ″のコミュニティの本拠は普通の居住区だったはず………………それにこの木々はまさか……!!」

 

 ジンは木に手を当てるとどこか納得したような表情になる。

 

「……やっぱり、鬼化してる? いや、まさか……」

 

 その現象に心当たりでもあるらしいジンが呟いている近くで飛鳥が門柱に張ってある″契約書類″を見つけた。

 

「ジン君。ここに″契約書類″が貼ってあるわよ」

 

 

 

 

『ギフトゲーム名

 

 

 ″ハンティング″

 

 

・プレイヤー一覧

 

■久遠 飛鳥 

 

■春日部 耀 

 

■ドレアム

 

■ジン=ラッセル

 

 

・クリア条件

 

 

 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐

 

・クリア方法

 

 ホスト側の指定した特定の武具でのみ討伐可能。

 

 指定武具以外は″契約″によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能

 

・敗北条件

 

 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

・指定武具

 

 ゲーテテリトリーにて配置。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、″ノーネーム″はギフトゲームに参加します。

 

″フォレス・ガロ″印』

 

 

 

 ″契約書類″を見たジンと黒ウサギは驚愕した

 

「ガルドの身をクリア条件に……………指定武具で打倒!?」

 

「こ、これはは不味いです!」

 

 飛鳥は心配そうに二人に問う。

 

「このゲームはそんなに危険なの?」

 

「見た感じ、そんなに難しそうではないように見えるけど……」

 

 どうやら、飛鳥も耀もこのゲームの危険性を理解しきれていないようだな。

 

「いや、ゲームそのものは単純であり簡単なものだ。だが、問題はこのルールにあるということだ。このギフトゲームのルールが真実であれば、飛鳥のギフトでヤツを命令することも、耀や我のギフトで傷つける事もできぬ。いやはや、まさかこのような策を用いてこようとは……」

 

 おそらく飛鳥の知りたいことであろう事を、険しい顔をしている黒うさぎの代わりに我が答える。

 

「………どういう事?」

 

「″恩恵″ではなく″契約″によってその身を守っているのです。これでは神格でも手が出せません! 彼は自分の命をクリア条件に組み込むことで、御三人の力を克服したのです!」

 

「すいません、僕の落ち度でした。初めに″契約書類″をつくった時にルールもその場で決めて置けば良かったのに……………!」

 

 十六夜が楽しそうな声色で言う。

 

「敵は命がけで五分に持ち込んだって訳だ。観客としちゃ、面白くて良いけどな」

 

「気軽に言ってくれるわね……………条件はかなり厳しいわよ。指定武具が何かも書かれていないし、このまま戦えば厳しいかもしれない」

 

 険しい表情をする飛鳥の手を耀と黒ウサギが包み込む。

 

「だ、大丈夫ですよ! ″契約書類″には『指定』武具としっかり書いてあります! つまり、最低でも何らかのヒントがなければなりません。もしヒントが提示されなければ、ルール違反で″フォレス・ガロ″の敗北は決定! この黒ウサギがいる限り、反則はさせませんとも!」

 

「大丈夫。黒ウサギもこう言ってるし、私も頑張る」

 

「…………ええ、そうね。むしろあの外道のプライドを粉砕するためには、これぐらいのハンディが必要かもしれないわ」

 

 その近くで十六夜はジンに何かを言っているが対して気にしなくてもよいだろう。 

 

「ふむ……ハンデか。これをハンデと呼んでいいものか」

 

「どういう事ですか、ドレアムさん」

 

 黒ウサギが驚いた表情で尋ねる。

 

「いや、ここまで分かりやすく指定武具についての大ヒントを出してるのに、これをハンデと言うべきだろうかと思っただけだ」

 

「そ、そうなの?」

 

 今度は飛鳥が驚愕の表情である。なぜだろうか? これぐらい少し頭をひねればわかるだろうに。

 

「ああ。この木々が鬼化しているところから見るに……あのガルドとやらは何らかの方法で吸血鬼になっている可能性が高い。まぁ、この木々が鬼化しているのはガルドを鬼化させた奴がしたものであろうと推測できるがな。さて、ここで問題だ。吸血鬼が苦手なもの、もしくは討伐できるものは何だ?」

 

「ニンニク」

 

 これは予測通り、耀が即答した

 

「当たりだ。だが、今回はニンニクの線は薄いな。他に答えはあるか?」

 

「十字架……かしら?」

 

 今度は飛鳥が答える。

 

「当たりだな。あとは何かわかるか?」

 

「銀でしょうか?」

 

「そうだ」

 

 黒うさぎの回答に我は頷くが、

 

「トネリコの杭もあるぜ」

 

 十六夜の答えに我は首を傾げた。おそらく十六夜たちの世界にあるものなのだろう。

 

「十六夜よ、トネリコの杭というのを我は知らん」

 

 ふむ、少しだけドレアム先生の戦闘授業といこうか。

 

「順番に解説していくとしようか。まずニンニクだな。これは植物までもが鬼化してると推測した場合、ニンニクも鬼化してることが予測されるから可能性としては小さい。銀は破魔の力が強いから可能性は強いが、銀単体ならば可能性は低い。十字架は、武器としては出てこないだろうと予測されるから……まあ、可能性は半分といったところか。あと、場所についてだが」

 

 指定される武器については我のいた世界のことも相まってなんとなくだが、その姿を想像できる。だが今はそれを言わなくていい。

 

「場所にまで推測が出来ているのでございますか!?」

 

「それぐらい少し考えれば誰でも思いつくぞ。それで続けるが、可能性としては2つほどある」

 

 我は右手の指を2つ立て、一本の先の部分を折りたたむ。

 

「一つ目は単純に森の中。もしこれであるならば、我らではどうしょうもない。動物と多数の交流のある耀に犬の力を使ってもらうしかない」

 

 我は、残っている指を折る。

 

「もう一つは、ガルドのすぐ近くにあるということだ」

 

「何故すぐ近くなの?」

 

「何処か適当な場所に隠すよりは自分で取られないようにすれば安心出来るのではないか? つまりは、そういうことだ。まぁ、我がもしこのゲームの主としてやるのであれば、この森のどこかに指定武器を設置し、数々のギミックを使うがな」

 

 そう言って我は鬼化されたジャングルを見る。

 

「まぁ、この様子を見るに、その線は薄そうではあるが……」

 

「そうなの?」

 

 耀が不思議そうに首を傾げながら聞いてくる。

 

「うむ」

 

 なにを当たり前のことをと思ったが頷いておく。

 

「じゃあ、そろそろ行きましょうか」

 

「うむ」

 

「はい」

 

「うん」

 

 まずはジンと飛鳥が緊張した面持ちで門をくぐる。その後に我と耀が続くようにくぐる。

 

「大丈夫。近くには誰もいない。匂いで分かる」

 

 緊張をほぐすためなのか、耀から助言が入った。

 

「あら、犬にもお友達が?」

 

「うん。二十匹ぐらい」

 

「ほう、予想はしていたがやはり多いのだな」

 

「でも、大半が野良犬だから」

 

 ああ、そういうことかと頷き、納得した我は前に向く。

 

「ドレアムさん、耀さん。詳しい位置は分かりますか?」

 

「ここにある鬼化した植物の魔力が多すぎる。だがまぁ、ガルドの魔力だけを探すのは難しくはない。少し、時間はかかるが」

 

「分からない。でも風上にいるのに匂いがないのだから、何処かの家に潜んでいる可能性は高いと思う」

 

「では、まず外から探しましょう」

 

 森を散策するもあるのは鬼化した木々が飲み込んでいる家ばかりだった

 

「彼にしてみれば一世一代の大勝負だもの。温存していた隠し玉の一つや二つあってもおかしくないということかしら」

 

「ええ。彼の戦歴は事実上、不戦敗も同じ。明かさずにいた強力なギフトを持っていても不思議ではありませんよ。取り敢えず耀さんとドレアムさんはガルドを見つけても警戒は怠らないでください」

 

「わかっている」

 

 我はそう答えると軽く回りを見渡す。すると、すぐ近くにいたはずの耀がいなかった。

 

 疑問に思った我が上を見上げると、耀が近くにあった一番高い木に昇っていた。

 

「……………駄目ね、ヒントらしいヒントは見当たらないし、武器らしい武器も見つからないわ」

 

「そうか。そうなると、ガルドの近くにある線が有力のようだな………耀よ、そこからガルドがいるか見えないか?」

 

 我は少し駄目元で聞いてみると、以外な答えが返ってきた。

 

「もう見えてる」

 

 耀は木を飛び降りて答え続ける。

 

「本拠の中にいる。陰が見えただけだけど、目で確認した」

 

 耀は、鷹のような金色の瞳をした状態で言った。ギフトのように名付けるならホークアイといったところか。

 

「そういえば鷹の友達もいるのね。けど春日部さんが突然異世界に呼び出されて、友達はみんな悲しんでるんじゃない?」

 

「そ、それを言われると…………………少し辛い」

 

「飛鳥。それは言ってやるな」

 

 我は元気ずけるように優しく耀の左肩を叩く。ふむ、やはり慣れないことはするものではないな。

 

 その様子を見た飛鳥は苦笑している。

 

 そうこうしながら歩みを進めると、館らしきものが見えてきた。

 

 何故らしきものなのか……それはここにも至るところが木々に押し潰され、締め上げられていたからだ。

 

「ガルドは二階に居た。入っても大丈夫」

 

 我は耀の言葉を聞くと、身体強化魔法『ピオラ』を自身にかける。

 

 本来ならこんなことをしなくてもいいのかもしれない。だが、今回はいつもの殺し合いのような我単体ではなく、チームで来ている。少しの油断が仲間を傷つける要因になるからな。

 

「この奇妙な森の舞台は………本当に彼が作ったものなの?」

 

「………分かりません。″主催者″側の人間はガルドだけに縛られていますが、舞台を作るのは代理を頼めますから」

 

 飛鳥が質問した

 

「代理を頼むにしても、罠の一つもなかったわよ?」

 

「多分、こちらの精神力を削るためではなかろうか? いつガルドが奇襲してくるか分からないっていう状態にして、気疲れさせるって魂胆だろう……やつが今、理性のある状態であればの話だがな」

 

 耀がここで声を出す。

 

「でも、本拠を破壊する必要なんてない」

 

「そうかもしれぬな。だが、そんなもの我らが考えても仕方なかろう?」

 

 我は周りにある魔力を感じ取ってみたが、ガルド以外の魔力は感じ取ることができなかった。つまり、この屋敷にいるのはガルドだけということになる。

 

「二階に上がるけど、ジン君。貴方はここで待ってなさい」

 

「ど、どうしてですか? 僕だってギフトを持ってます。足手まといには」

 

 飛鳥はジンの言葉を遮る。

 

「そうじゃないわ。上で何が起こるか分からないからよ。だから二手に分かれて、私達はゲームクリアのヒントを探してくる。貴方にはこの退路を守ってほしいの」

 

 飛鳥にそう言われたジンは、しぶしぶといった感じで階下で待つことにしたようだ。だが、飛鳥の判断は悪くないだろう。

 

 飛鳥と耀は静かに階段を登っていった。しかし、ガルドのあの状態ならたとえ静かに歩いたとしても猫科の聴力で聞こえているはずだ。

 

 二人は扉の両側にいるが我は堂々と扉の前に仁王立ちする。

 

 二人は意を決したように互いに頷くと飛び込ーーーーー

 

 

「ぬおぉあああ!」

 

 めなかった。

 

 理由は実に簡単だ。二人が飛び込むよりも早く、我が扉を威圧で吹き飛ばしたからである。

 

 扉はガルドがいるでいるであろう方向に飛んでいくと、奥にいる虎の姿をした黒い影にぶつかり砕け散った。

 

「グッ。ギ……………GEEEEEYAAAAA!!」

 

 そこには人の言葉を失ったガルドが立っていた。

 

 もし何らかの力が影響してガルドの実力がこの程度まで低下したというのであれば、我にとってはそこまで警戒するまでもない。だが、今我は一人で戦っているわけではなく、共にこのゲームに参加した同志がいる。

 

 我にとってはそこまででも、小娘二人にとっては未知の実力者だ。人としての知能を持って戦うのと獣としての本能のみで戦うのでは戦闘の勝手が違うのを我はよく知っている。

 

 獣の本能というのは案外馬鹿にできるものではない。こちらの思ってもない行動に出ることもある。それが人としての知能を持つものならば倒すことなど簡単なのだがな。

 

 我はいつでも斬りかかれるように両切天秤刀を取り出して構えておく。さて、どうなることやら。

 

 

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