ドレアム様の暇潰し!!異世界に我は征く! 作:プロトタイプ・ゼロ
異世界より召喚された我らは、黒ウサギに連れられて箱庭と呼ばれる天幕巨大都市の前まで来た。最後まで妙に上機嫌な黒ウサギに違和感を抱きつつも、彼女が犯した『失敗』に気付かないことに呆れてしまう。
「ジン坊ちゃ〜ん! 新しい方を連れてきましたよー!」
階段で待っているまるで魔術師のようなローブを着た少年に黒ウサギが話しかけた。少年も笑顔を浮かべる。
「お帰り、黒ウサギ。そちらの御三方が?」
「はいなこちらの御四人様が―――」
黒ウサギがクルリ、と三人を振り返り、
「…………………………え、あれ?」
面白いほどにカチン、と固まった。うむ滑稽だな。
「もう一人いませんでしたっけ? ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺問題児”ってオーラを放っている殿方が」
流石にそれは言い過ぎではないか?
「ああ、十六夜君のこと? 彼なら“ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”と言って駆け出していったわ。あっちの方に」
意外にも飛鳥があっさりとバラし、指差すのは上空4000メートルから見えた断崖絶壁。
黒ウサギは飛鳥に詰め寄る。迫力はある。迫力は。
「な、なんで止めてくれなかったんですか!」
「“止めてくれるなよ”と言われたもの」
何故か満足げに飛鳥が答える。
すると今度は興味なさげな耀に詰め寄る。
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「“黒ウサギには言うなよ”と言われたから」
興味なさげな割にはこのノリに乗っかっている。無表情な顔している割には案外心の中は表情豊かなのかもしれんな。
「嘘です、絶対嘘です! 実は面倒くさかっただけでしょう皆さん!」
「「うん」」
そしてまるでお前らは勇者なのかと思いたくなるほどの息の合った二人に、ガクリとした黒ウサギが前のめりに倒れる。大変そうだな。
「た、大変です! “世界の果て”にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が居るんですよ!!」
「……幻獣?」
耀がキラキラとした眼を向ける。先程の猫に対する扱いから、耀は動物が好きなのだろう。
「幻獣と言えば、有名どころは麒麟だな。武器の銘としても存在するぐらいだからな。あとはリヴァイアサンやバハムートなどが居るか」
「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に“世界の果て”付近には強力なギフトを持ったものがいます……って、最後の二体のような災害級の幻獣がそうホイホイと居てたまるもんですか!! 居たら箱庭崩壊しますよ!?」
それは残念だ。適当に言ってみただけだがもし居るのなら、武人として一つ試合をしてみたかったのだがな。無理もないか。
「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?……斬新?」
「やはりこの世界は飽きることがないようだな」
「冗談を言っている場合じゃありません!」
ジンは必死に事の重大さを訴えるが、我らは叱られても肩を竦めるだけである。そもそも怒られる理由が全くわからんな。
黒ウサギはため息を吐きつつ立ち上がった。
「はあ……ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、皆様の御案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「わかった。黒ウサギはどうする?」
「問題児を捕まえに参ります。事のついでに―――“箱庭の貴族”と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」
悲しみから立ち直った黒ウサギは怒りのオーラを全身から噴出させ、つやのある黒い髪を淡い緋色に染めていく。
外門めがけて空中高く跳び上がった黒ウサギは外門の脇にあった彫像を次々と駆け上がり、柱に水平に張り付くと、
「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフをご堪能ございませ!」
黒ウサギは、淡い緋色の髪を戦慄かせ踏みしめた門柱に亀裂を入れる。全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去り、あっという間に我らの視界から消え去っていった。
巻き上がる風から髪の毛を庇う様に押さえていた飛鳥が呟く。
「……箱庭の兎は随分早く跳べるのね。素直に感心するわ」
「ウサギたちは箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが……」
飛鳥はそうと呟き、心配そうにしているジンに向き直った。
それはいいことを聞いた。今度機会があれば試合を申し込もう。よしそうしよう。
「黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」
「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。皆さんの名前は?」
ほう。まだ若い子供でありながらもう一つのコミュニティのリーダーを努めているのか。感心感心。我のいた世界ではそのような子供はいなかったな。わがままで生意気な子供が多かったな。実に懐かしい話だ。
「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱き抱えているのが」
「春日部耀。こっちが」
「ドレアムだ。好きに呼べ」
ジンが礼儀正しく自己紹介する。飛鳥、耀、ドレアムもそれに倣う
「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」
飛鳥がジンの手を引いて外門をくぐり、何故か不思議そうにこちらを見つめている耀と我はそれに着いていく。少し嫌な予感がするな。
誰も面倒事を持ち出してこないことを祈るしかないようだな。
魔王なのに、祈るのっておかしい気がするが気にするなよ読者共。
魔王軍に参加させるキャラ
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ベムラー(ULTRAMAN)
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ギルドナ(アナザーエデン)
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ゴクウブラック(ドラゴンボール超)
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魔勇者アンルシア(ドラゴンクエストX)
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ブラックマジシャンガール(遊戯王)
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魔人ブウ御飯吸収(ドラゴンボール)
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サイラス(アナザーエデン)
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ダークザギ(ウルトラマン)