ドレアム様の暇潰し!!異世界に我は征く!   作:プロトタイプ・ゼロ

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エセ紳士トラごときが我に勝てると思ったのか?

 

 

 我らが改めて席に着いた頃、ガルドは椅子をミシミシ鳴らしながら話し始める。

 

 それからガルドが得意げに喋ったコミュニティの現状は散々と言っていいものだった。聞いていて気分が悪くなる。

 

「なるほどね。コミュニティの象徴でもある名も旗もないと。さらに魔王の存在ね」

 

 魔王……我のいた世界では力ある闇の世界のものを指すが、どうやらこの世界では魔王と呼ばれる名の理由が違うらしい。魔王の名というのは魔物の王を示すものなのだからそう安くないのだがな。

 

「そうです。だからこそコミュニティは名無しになることを恥とし、避けるのです。一方で、コミュニティを大きくするのなら、旗印を掲げるコミュニティに両者合意で『ギフトゲーム』を仕掛ければいいのです。私のコミュニティも実際にそうやって大きくなりましたから」

 

「両者合意……なるほどな」

 

 言葉から色々察した我は意味深な目をガルドに向けるが、自信に溢れたガルドはそれに気づかず言葉を続ける。

 

「そもそも考えてもみてくださいよ。名乗ることを禁じられたコミュニティに、いったいどんな活動ができます? 商売ですか? 主催者ですかしかし名もなき組織など信用されません。ではギフトゲームの参加者ですか?ええ、それならば可能でしょう。では、ゲームに勝ち抜ける優秀なギフトを持つ人材が、名誉も誇りも失墜させたコミュニティに集まるでしょうか」

 

「普通に考えれば集まる理由がないな。当たり前のことだが」

 

 いわば成り立ての魔王や勇者のもとには誰も近寄って来ぬだろう。それと同じことだ。

 

「そう、だからこそ彼はできもしない夢を掲げて過去の栄華の縋る恥知らずな亡霊でしかないのですよ」

 

「なるほどな……しかし、ならば黒ウサギは何なんだ?あやつは『箱庭の貴族』という貴種、と聞いているが、それがなぜその『ノーネーム』に居る?」

 

 たとえできもしないことだとしても、その厳しい世界に一歩だけでも足を踏み入れるのは中々勇気がいるものだ。それに諦めていないからこそ、ジンは今リーダーとなっているのだから。まぁ、他にリーダーを名乗れる者がいなかった、だけとも思われるがな。

 

「さあ、そこまでは。ただ私は黒ウサギの彼女が不憫でなりません。“箱庭の貴族”と呼ばれる彼女が、毎日毎日糞ガキ共の為に身を粉にして走り回り、僅かな路銀で弱小コミュニティを遣り繰りしている」

 

「……そう、事情はわかったわ。それでガルドさんは、どうして私たちにそんな話を丁寧に話してくれるのかしら?」

 

 飛鳥は含みのある声で問う。

 

 その含みを察してガルドは笑いを浮かべていった。

 

「単刀直入に言います。もしよろしければ、黒ウサギ共々、私のコミュニティに入りませんか?」

 

「な、なにを言い出すんですガルド=ガスパー!?」

 

「黙れや、ジン=ラッセル」

 

 怒りのあまりテーブルを叩いたジンを、ガルドは獰猛な瞳で睨み返す。

 

「そもそもテメェが名と旗印を新しく改めていれば最低限の人材は残っていたはずだろうが。それを貴様の我が儘で追い込んでおきながら、どの顔で異世界から人材を呼び出した」

 

「そ……それは」

 

「何も知らない相手なら騙しとおせるとでも思ったのか? その結果黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら……こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねえ仁義があるぜ」

 

 ジンが僅かに怯んだ。

 

 その様子にガルドは鼻を鳴らすと、

 

「……で、どうですか。返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴方達には箱庭で三十日の自由が約束されています。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達“フォレス・ガロ”のコミュニティを視察し、十分に検討してから―――」

 

 我ら三人を勧誘し始めた。こいつはどうやら頭が悪いようだな。少し前に飛鳥から手紙の内容を聞かせてもらったが、

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」

 

 ここに彼女らがいる時点でどう言葉を返すのか分かり切っている。

 

「「は?」」

 

 断られたガルド、俯いていたジンは思わず声を上げてしまった。

 

 誘いをばっさりと切り捨てられ、ガルドもジンも飛鳥の顔をうかがう。

 

 飛鳥は何事もなかったように紅茶を飲み干すと、耀に笑顔で話しかける。

 

「春日部さんは今の話をどう思う?」

 

「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りにきただけだもの」

 

「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補していいかしら? 私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

 

 飛鳥は自分の髪を触りながら耀に問う。口にしておきながら恥ずかしかったのだろう。確かに正反対だしな。

 

「うん。飛鳥は今までの人たちと違う気がする」

 

《よかったな、お嬢……お嬢に友達ができて、ワシも涙が出るほど嬉しいわ》

 

「我もその友達に立候補していいかな?」

 

「う~ん。ドレアムも違うし、別にいいかな?」

 

「疑問形なのが少し気になるが……飛鳥はどうだ?」

 

「えっ、私も? 別にいいけど」

 

「では改めてよろしく頼む」

 

 ガルドとジンを放って話を進める

 

「理由をお聞かせていただいても……?」

 

 ガルドが口を開く。

 

「なぜ私たちのコミュニティではなくノーネームに?」

 

 ふむ。こやつは何も分かっていないようだな。

 

「私、久遠飛鳥は―――裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ。それを小さな小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われて魅力的に感じるとでも思ったのかしら。」

 

「我も同じだな。元々は軍の長として活動していたが、組織という鎖で縛られるより自由気ままなノーネームの方が動きやすい。耀も似たようなもんだろ? それにジンに言ったはずだ。コミュニティに入ってほしいのであればどんなもの(・・・・・)でも構わんとな」

 

「私は友達を作りに来ただけだから。それにしても耀って……」

 

「我は友達というのは初めてだが、呼び名などどうでもよかろう? それとも名で呼ばれるのは不愉快だったかな?」

 

「……別にいい。」

 

 ん? 何故そこで頬を赤らめて俯く? 不愉快などないのであれば堂々としてればよかろう?

 

「まぁ、つまりはそういうことだ。誰も貴様の寄せ集めでしかないコミュニティになどに入らない」

 

「お……お言葉ですが、みなさま……」

 

「黙りなさい」

 

 言葉を続けようとしたガルドの口はガチン!と音を立て勢いよく閉じられた。汚い音だ。

 

 本人は混乱したように口を開閉させようともがいているが、まったく声が出ない。 

 

「貴方からはまだまだ聞き出さなければいけないことがあるのだもの。貴方はそこに座って私たちの質問に答え続けなさい」

 

 飛鳥の言葉に反応して、ガルドは椅子にヒビを入れる勢いで座る。

 

「ガルド=ガスパー・・・・・・?」

 

 ジンは突然のことに口を挟めずにいた。

 

 ガルドは完全にパニックに陥っていた。

 

 どういう手段かわからないが、手足の自由が完全に奪われていて抵抗さえできない。それが謎などでだろう。

 

「お、お客さん!当店で揉め事は控えて」

 

 ガルドの様子からただ事じゃない雰囲気を感じ取ったのだろう。驚いた猫耳の店員が急いで我らの元に駆け寄ってくる。

 

 それを見た飛鳥の瞳に輝きが見えた。

 

「ちょうどいいわ。猫耳の店員さんも第三者として話を聞いてくれないかしら。たぶん、面白い話が聞けると思うわ」

 

 店員は首を傾げる。

 

「ねぇジン君。コミュニティの旗印を賭けるギフトゲームなんてそんなに頻繁に行われるものなのかしら?」

 

「い、いえ。そんなことはありません。旗印を賭ける事はコミュニティの存続を賭ける事ですからかなりのレアケースです」

 

「そうよね。それを強制できるからこそ魔王は恐れられる。だったら、なぜあなたはそんな勝負を相手に強制できたのかしら?」

 

「ほ、方法は様々だ。一番簡単なのは、相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫すること。コレに動じない相手は後回しにして、徐々に他のコミュニティを取り込んだ後、ゲームに乗らざるを得ない状況に圧迫していった」

 

「なるほど。だが……そんな方法では、組織への忠誠なんて望めないはずだ。どうやって従順に働かせている?」

 

「各コミュニティから、数人ずつ子供を人質に取ってある」

 

 ピクリと飛鳥の片眉が動き、コミュニティに無関心な耀でさえ不快そうに目を細める。

 

「ほう? 大した仁義の持ち主だ。流石は紳士の皮をかぶった虎なだけはあるな?」

 

 我が薄く笑いながら軽口を叩いていると飛鳥が続ける。既にガルドはキレそうになっているようだ。

 

「それで、その子供たちは何処に幽閉されているの?」

 

「もう殺した」

 

 場の空気が凍りつく。

 

「始めてガキ共を連れてきた日、泣き声が頭に来て思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、父が恋しい母が愛しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降、連れてきたガキは全部まとめてその日のうちに始末することにした。けど身内のコミュニティの仲間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が食……」

 

「黙れ」

 

 ガチン!と先ほど以上の勢いでガルドの口が汚らしい音をたてて閉じられた。

 

「素晴らしいわ。ここまで絵に描いたような外道とはそうそう出会えなくてよ。さすがは人外魔郷の箱庭の世界といったところかしら……ねえジン君?」

 

飛 鳥に冷ややかな視線と凄みを増した声を向けられ、ジンは慌てて否定する。

 

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

 

「そう?それは残念。それよりジン君。箱庭も法を犯せば裁くようだけど、この件は裁けるのかしら?」

 

「難しいです。吸収したコミュニティから人質を取ったり、身内の仲間を殺すのはもちろん違法ですが……裁かれるまでに彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」

 

「そう。なら仕方がないわ」

 

 パチンと指を鳴らす。それが合図だったのか、ガルドを縛り付けていた力は霧散し、自由が戻ったガルドはテーブルを砕き、

 

「こ……この小娘ガァァァァァ!!」

 

 雄叫びとともに虎の姿へ変わった。この程度の事ですぐにキレてしまうとは……紳士が聞いて呆れるぞ?

 

「テメェ、どういうつもりか知らねえが……俺の上に誰が居るかわかってんだろうなぁ!? 箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!! 俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ! その意味が……」

 

「黙りなさい。私の話はまだ終わってないわ」

 

 また勢いよく黙る。だが、それでは意味などない。ガルドは丸太のように太くなった腕を振り上げて飛鳥に襲い掛かった。

 

 ガルドの勢いの乗った拳が飛鳥の顔に迫ったのを見て、瞬間移動で拳を受け止める。

 

「うむ。随分と軽い拳だ。かつて我と激闘を繰り広げた武闘家がいたが、其奴のほうが強かったぞ? ところで……今貴様、我の友を殴ろうとしたな?」

 

 ガルドの拳は我がギリギリと力を込めて握っているから動かない。後ろで定員を含めた四人も驚いている。

 

「それに魔王がどうとか言ったな。それなら願ったり叶ったりだ」

 

 我の言葉に飛鳥が我に返り威圧を込めて言い張る。

 

「それはきっとジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した“打倒魔王”だもの」

 

 飛鳥の言葉にジンは大きく息を呑んだ。おそらく魔王の名が出たときは恐怖に負けそうになったが、目標を飛鳥に問われて我に返ったのだろう。

 

「……はい。僕達の最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。いまさらそんな脅しには屈しません」

 

「そういうこと。つまり貴方には破滅以外のどんな道も残されていないのよ」

 

「く、くそ……!」

 

 ガルドは悔しそうに拳を引く。それに合わせて手を引いてやる。

 

「だけどね。私は貴方のコミュニティが瓦解する程度の事では満足できないの。貴方のような外道はずたぼろになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきよ」

 

「その通りだな」

 

「そこで皆に提案なのだけれど」

 

 飛鳥の言葉に頷いていたジンや店員達は、顔を見合わせて首を傾げる。

 

 飛鳥はガルドに視線を向け、

 

「私たちと『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の“フォレス・ガロ”存続と“ノーネーム”の誇りと魂を賭けて、ね」

 

 堂々と宣戦を布告した。

 

 その気迫は正しく勇者の如き。

 

 

 

 

 

 

魔王軍に参加させるキャラ

  • ベムラー(ULTRAMAN)
  • ギルドナ(アナザーエデン)
  • ゴクウブラック(ドラゴンボール超)
  • 魔勇者アンルシア(ドラゴンクエストX)
  • ブラックマジシャンガール(遊戯王)
  • 魔人ブウ御飯吸収(ドラゴンボール)
  • サイラス(アナザーエデン)
  • ダークザギ(ウルトラマン)
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