四宮天羽の喜劇観賞 作:緋色
お昼休み。情報を得ていたのでマキちゃんの所へ向かう。
「マキちゃーん。一緒に飯食おうぜー」
そう言いながら勝手に弁当を広げる。マキちゃんはこういう強引さがないと逃げられるので仕方ない。
「いきなり来て何勝手を言ってるのよ。私は四条家の――って無視して弁当を広げるな!というか無駄に豪華!?」
「無駄に豪華だしシェアしようかと思ってな。あ、柏木ちゃんもどう?」
「話聞け!」
「お邪魔じゃない?」
「俺ちゃんが一番邪魔扱いされてるから大丈夫」
「わかっててその態度なのね…」
諦めたのか大人しく弁当を広げるマキちゃんを横目に流石に男女間のバランス悪いなと、ちょうど視界の端に映った男も呼ぶ。
「お、田沼。お前も来い。シェアしようぜー」
「え?いいの?」
「拒否権はない。田沼も弁当シェアしろよ?」
「それはいいけど。どうしたのこの豪華なお弁当?」
「あーこれは――」
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「明日のお弁当は庶民にもわかるよう豪華にしてください」
「いきなりどうした?」
「山よりも高く谷よりも深い理由がありまして……」
「そういう時は下らん理由だって知ってるぞ?本音を言え本音を」
【かぐや説明中】
「なるほど。つまり庶民相手に経済格差見せつけて施しつつ庶民から巻き上げたいと。…普通に庶民会長に頼んだら?」
「私がそのようなはしたない物乞いのような真似できるわけないでしょ!」
「豪華な弁当頼むのと何が違うんだそれ?」
庶民会長の事はよく知らんが、そこまで食べたくなるような弁当なのだろうか?
聞いた感じ自炊らしいから料理の腕自体は悪くなさそうだが……。ん?
「そういや藤原の次女に会長が弁当作ってるって聞いたことあるな。餌付けか?」
「やはり脳が空の無駄なぜい肉で男を誑かす汚らわしい一族。窮地に陥っても助けてなんてあげません」
「なんでそんな流れるように貶められるの?仮にも友人だよね?」
話聞く限り、違うのかもしれないが。
「兎に角!会長の弁当を献上させるために豪華なお弁当が必要なんです!」
「結論に至るまでの思考回路が理解できないんだが…。庶民の弁当が食べたいならシェフに頼めばいいだろうに」
「私は会長のお弁当が食べたいの!……あ」
「あー、そういう。へー。ほー」
「ち、違います!私は食に窮する愚か者に――」
「テンパってるのはわかったし、面白そうだから許可してやろう」
兄として生暖かい目で見守ってやるべきだな……。
「明らかに玩具を見る目!」
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「…いろいろあってな」
「明らかに説明が面倒になっただけでしょ」
それもあるが話せないような内容なだけである。
「簡潔に言うとどんぐらい豪華にできるのか聞いたらめっちゃ豪華にされてドン引きしてる。シェフにはあとで感謝といつもの方が美味かったと伝えておかないとな」
「あ、これ自体は駄目なのね…」
「美味いは美味いが趣味ではない感じだな」
なるたけ豪華にした結果、日常生活ではあまりよくない金持ち自慢みたいになっているからな。
現に変な目で見られてるし。あ、そうだ。
「ん?どうしたそんなに見て?食べたいのか?ほれ、あーん」
「へ!?え、あ、あー」
「渚に何してるのよ!?渚も断っていいからね!こいつ調子に乗るから」
「えー?前にこれ見て一度やってみたかったんだが…」
「それは好きな人にやりなさい。そういうものだから」
そういうものだったらしい。
「じゃあマキちゃ「あたし以外で」――あーん」
「しないわよ!」
「ちぇー」
「……天羽君すごいね」
「俺ちゃんだからな」
「バカなだけよ」
天羽「で、あの弁当で庶民会長の弁当強奪できたのか?」
かぐや「お弁当は藤原さんといただきましたよ」
天羽「え?」