仮面ライダーイグニスに変身した自分の義兄を奏は放心しながら見つめていた……
奏真「………」
奏真は何も語らず、ノイズの集団に向かっていき獄炎剣で斬っていった。
獄炎剣で斬られたノイズは黒い炎に包まれ灰さえ残らず消えていった。
翼「奏!大丈夫!?…ッ!?……あれは…何…?」
奏「……兄貴だよ…翼、あれは兄貴だ」
翼「え…?奏真…さん?」
奏にそう言われた翼は、ノイズを倒していく剣士を驚愕と恐怖がこもった視線で見つめていた。
信じられなかったのだ。
誰よりも優しく、いつも笑顔だった奏真が無感情で、淡々と作業をするようにノイズを倒していく姿が考えられなかった。
だがある意味、いつも通りなのかもしれない。
いつも奏のことを第一に考え、奏が笑っていられるなら自分がどうなろうとも構わないという自己犠牲を含めた愛を奏に向けていた奏真ならば……
奏真「……ッ!?」
奏「ッ?!兄貴!?」
そうやって考えていると、奏真が飛行型ノイズに攻撃を受けていた。
だが、奏真は冷静に背中に黒い炎の翼を展開し、飛行型ノイズを斬り捨てていった。
最後に残っていた大型ノイズの前に立ち、鞘のようなものに剣を収め、獄炎剣のトリガーを押し言葉を発し斬り捨てた。
奏真「二人の夢に貴様らは邪魔だ……!地獄の炎に焼かれて消えろ……!!」
《煉獄居合!習得一閃!!》
ものの数分もしないうちに、会場にいたノイズは殲滅された。
奏真「………」
奏「兄貴!?ちょっと待て!待ってくれよ!」
そして奏真は何も言わずに黒い翼を広げ、飛び去っていった……
奏はニ課での説明を終え、奏真と暮らしていた家に帰ってきていた。
絶唱を使おうとしたことで弦十郎に拳骨落とされたりもしたが、奏はそんなことどうでもよかった。
奏「……兄貴〜、ただいま〜……いないのか〜…?」
奏は家中を回った。
そこまで広くはない家で、探し損ねたところもないのに何度も回った。
一人になりたくない。兄貴に…家族にそばにいてほしいと思い、泣きながら探した。
そうしていると、居間の本棚から黒い炎が上がっているのが見え、奏は慌てた。……居間の本棚。そこには二人で撮った写真などが入ったアルバムや奏真からの奏への誕生日の贈り物などが置いてあるからだ。
奏「なんで燃えてんだよ……!消えろ!消えろよ…!」
奏は水をかけ、炎を消そうとした……だが消えなかった。
この炎はロストフェニックスの副作用による炎。
ロストフェニックスの力は使用者に絶大な力をもたらす。
だが、力と引き換えに他者から使用者に関する記憶が失われる。
思い出の品…戸籍…写真…全てが灰も残さず消えてしまう。
そして使用者は、その記憶を失った他者のことを忘れることができなくなるのだ。
この炎は全知全能の書から分たれた神に近しい力。どんな力であっても無効化などできはしない。……『神殺しの力でもない限りは』……
そうして奏は泣きながらも必死に水をかけていたが、既に諦めかけていた……
奏「あたしは……また一人になるの…?いやだ…やだよぉ……忘れたくない…お兄ちゃんを忘れたくないよ……だれか…たすけて…」
奏がそう溢したとき、唐突にガングニールのギアペンダントが光り輝き、その輝きがロストフェニックスの黒い炎を消滅させた。
奏「え…?なんで…?」
奏は困惑していた。だがそれ以上に喜んでいた。
自分は家族を忘れていない。自分は一人じゃないと思えたから…
そして奏は決意した。
奏「…待っててくれ、兄貴。あたしは兄貴を一人にしない……どこに行ったって探し出して一緒にいてやるからな……」
奏はギアペンダントを握りしめ、そう誓った。
そして物語は2年後に移る……
少しばかり雑ですがお許しを……!