ホワイトルーム出身の山内による綾小路清隆観察日記   作:チームメイト

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体育祭準備回

 新学期が始まった。

 最初のイベントは、学校イベントの定番といえる体育祭だ。

 

 この学校に入ってから、ホワイトルームの頃にはなかったイベント続きで、けっこう楽しみなんだよなぁ。親友の須藤がようやく活躍できそうってのも嬉しい。

 しばらくは体育祭に向けた準備が続くみたいだ。

 

 

 どうやら、綾小路と軽井沢のラインは確定っぽいな。

 

 体育祭のクラスの方針を決める最中に、軽井沢が綾小路の方を気にしていたから間違いなさそうだ。彼女のちょっと理不尽な提案は、綾小路の命令だろうな。

 にしても、命令の意図はなんだったんだ。いっちょん分からん。

 

 軽井沢の抵抗は特に意味もなく、クラスの方針は堀北の主張した実力主義というもっともらしいものに決まった。

 

 

 まずは、参加種目を決めるために個人の能力チェックからだ。

 

 おいおい、綾小路。なぜ脳筋の須藤に握力の平均を聞いた?

 それでやたら高い数字出してしまって戸惑うってアホか。

 もう半年が経とうとしてるんだから、いい加減クラスの連中の扱い方ぐらい把握しやがれ。

 須藤がそんな細かい数字を把握してるわけないだろ。

 サボった高円寺を抜いて、須藤に次ぐクラスで2位とか隠せてねえぞ、能力。

 

 いくらシャバに慣れないつっても、どのぐらいの握力を出せばいいのかとか何となく分からないもんかな。馴染む努力が足りねえんだよ、馴染む努力が。

 

 ん? 俺か。俺は当然、30ちょいっていう男子生徒としては情けないぐらいの数字で抑えたぜ。須藤にもっと気合入れろって蹴り入れられたのが余計だが、こんなもんだろ。

 デッドラインを確保することにかけて俺の右に出る奴はいないってわけよ。

 

 

 

 体育祭までは、練習したり偵察したりで過ごした。

 合間を縫うように綾小路を観察中だ。

 

 綾小路が携帯端末を触ってる回数が増えているのは何かあるのか。

 たぶんメールだと思うが、あいつにメル友? 軽井沢への指示とかか?

 

 表立って軽井沢と接触するのは避けてるっぽいし、可能性は高いか。

 そもそも軽井沢は平田の彼女だし、堂々とはできんわな。

 

 いや、じゃあ、なんでプールでじゃれあってたんだって話なんだけどさ。

 脇が甘いんだよ、脇が。 

 

 

 とある休日は、櫛田ちゃん、堀北の3人で他クラスの偵察に出ていた。

 やっぱコイツの女との行動率の高さは異常だな。

 堀北とは一緒に二人三脚の練習までしてたみたいだし、仲良すぎだろ。

 

 ちなみに俺も男女別の二人三脚に立候補したんだけどさ、女子のペア候補が現れなかったから却下されたぜ。

 山内くんと組むのは恥ずかしいってそんな照れるなよ。

 ったくDクラスの女子は照れ屋さんなんだからしかたねーな。

 

 一緒に組んでるところを見られるのが恥ずかしいって意味じゃねえよな。

 そんなのは藤崎し〇りちゃんだけで十分だぜ

 アホの山内だからってそこまで嫌わないでくれ。

 

 ここで綾小路の周辺を一回まとめようか。

 

 ・三バカ。たまに遊ぶ男友達。綾小路から連絡することは、まずない。

 ・櫛田ちゃん、誰とでも仲いいけど綾小路に対してちょっと特別な気がする。秘密を知っているからか。

 ・堀北、誰とでも仲悪いけど綾小路だけ特別仲が良い。須藤ドンマイ。

 ・軽井沢、綾小路と裏でこそこそ繋がっているっぽい。平田ドンマイ。

 ・佐倉、綾小路にぞっこんラブ。佐倉頑張れ。

 

 まとめてみると分かる。何だこのハーレム。綾小路、許すまじ。

 

 そして、男からの距離を置かれっぷりよ。

 

 

「よくよく考えたら、俺も似たようなものじゃね?」

 

 ・三バカの他2人。よくつるんでる親友。

 ・綾小路。たまに遊ぶ相手。

 ・外村(博士)。たまに遊ぶ相手。

 ・宮本。たまにゲームする仲間。

 

 あれ? おかしいな。

 博士や宮本がいる分、マシだけど、女友達が全滅してる分、綾小路よりひどくねえか!?

 

 知りたくない事実を知ってしまった。

 目をそらし続けていたかったのに、何で気づいたよ、俺。

 

 

 体育祭のDクラスのリーダーには須藤が選ばれたので、いい結果を出して欲しいとマジで思う。入学当初の荒れっぷりからクラスでの評価は芳しくない須藤だが、ちょっと考えが足りないだけで、本当にいい奴なんだよな。

 ここで結果を出せればクラスからの信用も大幅に取り戻すだろうし、須藤にとっての正念場だ。

 演じている限り、山内にできることってほとんどないけどさ。須藤のためにはちょっとだけでも力になれるように何かしたいぐらいだ。

 

 

「……おいおい」

 

 綾小路を観察していると奴が何かに気づいた。

 視線の先を追うと、クラスの約束事として写真は禁止で、メモに取るだけという話だった各競技の出場表を櫛田ちゃんが写真に撮っていた。

 

 見たくはないものを見てしまったぜ。

 綾小路は何も言わないんだな。だったら俺も何も言えねえな。

 俺はただの観察者。過度な干渉は許されないんだから。

 

 

 本日の報告(表)

 体育祭も今まで通り能力を隠して過ごすようだ。隠しきれていない部分もあるが、周囲から疑われるまではいたっていない。

 

 本日の報告(裏)

 ほ、ほら。俺が友達居ないのは観察任務で忙しいせいであって、そんだけだから。

 綾小路以上のボッチとか笑えねえんだけどぉおおおお。

 

 いや、付き合いの深さで言えば、三バカの深さに勝るものねーし、実質俺の勝ちだな勝ち。

 

 櫛田ちゃん……

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