ホワイトルーム出身の山内による綾小路清隆観察日記   作:チームメイト

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番外編:綾小路Tレックス

 合宿3日目の夜。

 

 合宿中は基本的にグループごとに別れて共同生活を送っているけど、他のグループと接する機会はゼロじゃなかった。

 1日1時間女子とかも含めた全体でメシを喰うし、風呂は大浴場をグループではなく学年ごとに区切って使っている。

 

 こうやって大勢で風呂に入るっつーのも、合宿の醍醐味ってもんじゃん。

 

 こうなってくると知りたいことが出てくる。

 あの怪物の怪物はどうなっているのかよ。

 

 何度かトイレを追いかける機会があったけど、奴は個室を使う派だったんだよなぁ。

 中学ぐらいまでなら個室の使用は、からかわれる対象らしいけど、高校にまでなってそんな幼稚な奴は居なかったので、使いたい放題だ。

 

 そのせいで奴の怪物はベールに包まれている。

 

 ってなると、なんとかこういう機会に引っ張り出すしかないじゃん。

 

 自然と盛り上がっていれば、実行できるんじゃねえの?

 

 つーか、男が大勢集まって風呂に入れば、誰が大きいのか比べねーとダメだよな?

 

「おーーー、でっけーーー」

 

 色々理屈をこねくり回したが、一言で言えば、サイズを見比べて盛り上がるっていうなんともアホなことをやっていた。

 風呂場の一角を見比べ会場のために占拠だ。

 

 ホワイトルームじゃ、考えられなかった娯楽だぜ。

 

 盛り上がるのかって?

 

 こういうのは三バカの特権だと思うじゃん。

 違うんだよなー、昼間座禅とか真面目なことやらされてるせいか、自分のアレに自信があるやつが、どんどん参加して大盛況よ。

 

 現在の暫定王者、龍園クラスの金田だ。

 標準サイズの俺は池に勝利したものの、次であっさりと敗退したので、2人で審判を担当している。

 アレを見比べて判定する日が来るとは、夢にも思わなかったぜ。

 

 Dクラスの奴に、何としても金田を破って欲しい。

 勝っても得られるのは男の名誉ってだけだが、他クラスに持っていかれるのは、なんかいやじゃん。普段、最下位のクラスだからこそ勝ちたいっつーかよ。

 キングオブ〇〇〇の称号は、なんとしても俺達のクラスからゲットしたいっしょ。

 

「来たか、健」

 

 俺達の大本命、三バカ最強の須藤が現れた。

 連れしょんとかのときに、目にする機会があったが須藤のサイズは中々のものだ。

 メガネの金田程度じゃ敵いようがねー。

 

「よっしゃーー」

 

 須藤が高らかにガッツポーズをとった。

 審判の出番すらないような大差だ。

 どうだ、見たか! 須藤のアレはこんなにすげえんだぞ!!

 

 これで須藤が王者になるかと思いきや、そう簡単なものじゃなかったんだから、この学校は怖えよ。

 

 まさかの伏兵、Aクラスのキング、葛城だ。

 

 勝負なんかしたくねーけど、火の粉が降りかかってくるなら仕方ねー、みたいなノリで近づいてきた葛城が伝家の宝刀を抜いた。

 

「こ、これは──!?」

 

 世の中、上には上がいるもんだ。

 平均して能力が高い葛城は、こんなところまで高性能スペックを誇っていた。

 

 

 

 

  ──中略──

 

 

 

 その後も、暫定王者を倒す猛者たちが現れて、現在のキングは高円寺がついている。

 山田アルベルトにも勝利したワールドチャンピオンだ。

 

 なんともアホなことをやってきたわけだけど、本命はこっからよ。

 澄ました顔して関係ありませんって距離を取っている綾小路清隆。

 怪物がベールを脱いだらどうなるのか。

 

 報告書には書けねーけどな。つーか、書かれても困るだろうし。

 

 問題はどうやって綾小路をこの場に引っ張り出すかだ。

 これだけ盛り上がっているのに、遠巻きに見るだけだ。

 このままじゃ、高円寺がキングで終わっちまう。

 

 綾小路ってよく見たら引き締まってるけど、ぱっと見だと大人しい生徒って感じだから、コイツデカいんじゃねえの、みたいな推薦はしにくいんだよなぁ。

 推薦して外れだったら場がしらけて終わるしよ、そうなったら審判失格じゃん。

 

 って悩んでいたら龍園さんが、高円寺に勝てそうな奴がいる、と綾小路に注目を集めてくれた。ありがとう龍園さん、感謝しかねーよ。

 

 このチャンスを逃すわけにはいかない、と綾小路を囲んでチェックを迫る。

 

「外せ! 外せ! 外せ!」

 

 龍園に乗せられて、怒涛の外せコールが風呂場全体に響き渡った。

 

 ここまで来れば、もはや打つ手なし。

 

「好きにしてくれ」

 

 しぶしぶといった感じだったけど、ついに綾小路が腰に巻いていたタオルを外した。

 

 スローモーションでタオルが宙に舞い、ヴェールに包まれていた怪物が姿を現した。

 

「…………」

「…………」

 

 一瞬、静寂が訪れた。

 信じられないものを見た時、人は言葉を無くすもんだ。

 

「……マジかよ」

 

 ようやく捻りだせたかのような言葉が全てを物語っている。

 

 そこには、チャンピオンの高円寺とほぼ互角であろうTレックスが鎮座していた。

 綾小路Tレックスだ。

 

 サイズは互角でもインパクトが違う。

 高円寺や山田アルベルトは、この身体にしてそれがありって感じで納得できるが、綾小路の身体つきでそのサイズは違和感が凄まじい。

 

 怪物の怪物は、やはり怪物だったか。

 

 綾小路清隆は、その内側に怪物を飼っている。

 1学年男子の中で共通認識が生まれた瞬間だった。

 

 

 

 しっかし、高円寺の感想によれば、未使用らしい。

 どんだけ宝の持ち腐れしてんだよ、使えよ。モテるんだからさ。

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