ホワイトルーム出身の山内による綾小路清隆観察日記 作:チームメイト
クラス内投票の結果、Dクラスの退学者は俺に決まった。
敗者の美学として騒いでみせたが、上手くピエロになりきれただろうか。
こうして俺は、高度育成高等学校を退学となり、ホワイトルームへと戻っていった。
「あれ? なんか目が……」
最後に校舎を見ていると、ふいに目が霞んだ。
ああ、俺はここでの生活を本当に楽しんでいたのかもしれない。
4月から今までの思い出が走馬灯のように脳裏に浮かぶ。
最初は、ポイントが自由に使えて、使いまくっていたらあとで苦労する羽目になったんだっけ。
池や須藤を勉強させるのに苦労したよな。綾小路の過去問とポイント買収が無かったら須藤とはそれっきりだったとか考えたくないな。
無人島で池が大活躍していたのが嬉しかった。
下着泥棒は余計だったけど、実感できる親友がいるっていいな。
船上試験……綾小路が変わってしまったのは、振り返ってみればココだったように思う。どうしてこうなっちまったんだろうな。
夏休みは、佐倉に振られたり、葛城の誕生日を祝ったり、プールで遊んだり、これほど充実した夏休みは一生の思い出だ。来年もこんなバカやって過ごしたかった。
体育祭。池と並ぶもう1人の親友、須藤にもっと活躍して欲しかった。来年こそはクラスに貢献してクラスの連中を見返して欲しい。
シャッフルテスト。綾小路がグループ入りしたのに驚いた。出来るだけ長くグループが続くといいな。つーか、続けろよ。
運命の三学期。こっからのことはいいか。楽しい思い出は二学期までだ。
俺が間違えた時に教えてくれたり、最後まで庇ってくれた三バカの仲間には感謝しかない。
寛治、俺が抜けた後で危ないのはお前だから気をつけろよ。篠原と付き合えたらいいな。顔面偏差値的には似合ってるんじゃないか。
健、勉強も結果が出てきたら楽しいだろ? このまま頑張れよ。ただ、堀北は無理だから諦めろよ。
ダメだ。悪態をつきたくないのに、ついてしまう。
悪態をつかなければ、恥ずかしすぎるからな。
ホワイトルームへと向かうタクシーの中で、クラスメイトのことが頭に浮かんできた。
佐倉。本当にちょっと好きだったぜ。普通のクラスメイトとして出会いたかった。健気な女の子って良いよな。運動神経がおっぱいに吸い取られてるみたいだが、負けるなよ。
櫛田ちゃんは櫛田ちゃんだな。裏切ることさえ無ければ、クラスに貢献できる生徒なのに、なんかもったいないぜ。何が櫛田ちゃんをそうさせるのかは、知らないけどいつかクラスのために動けるようになるといいな。
堀北。最初は嫌いだったけど、三バカがずっとバカをやれたのは、堀北がクラスをまとめていたからだ。ありがとな。健のことを最後まで見捨てないでやってくれよ。
長谷部。おっぱい揉ませろ。
平田。最後まで守ってくれてありがとな。俺が退学になるのはお前の責任じゃないからって言えなくて悪い。落ち込む必要なんか無いから元気出せよ。これからもクラスを頼んだぞ。
篠原。池は顔は良くないけど良い奴だ。逃した魚は大きかったみたいなことになるなよ。
幸村。初期の荒ぶってたお前はどこいった? 頭いいのにガキっぽいのが結構好きだったぜ。
外村。特徴無くなったな、お前。残す言葉ねえよ。今だから言うけどプールの更衣室盗撮に一番積極的だったよな。犯罪者だけにはなるなよ。
宮本。また一緒にゲームしたいぜ。野良であったらよろしくな。
佐藤。綾小路が足だけじゃなくて手も早ければよかったな。
小野寺。須藤に聞いたけど、毎日遅くまで部活を頑張ってるらしいじゃん。たまに部活帰りに居残り練習してるの見るって言ってたぞ。運動面は健の孤軍奮闘だったから、成長して健を助けてやってくれよ。そうすりゃ運動ならDクラスはトップ狙えそうだしな。
三宅。お前とは接点無かったな。化け物の正体に気づいても、できれば友達続けてやってくれよ。綾小路はコミュ力ねえから頼んだぞ。
長谷部。おっぱい揉ませろ。
本堂。モブっぽさは実はお前を参考にしてた。キングオブモブはお前だ。
みーちゃん。平田は軽井沢と別れてるはずだから、チャンス到来だぞ、頑張れ。
軽井沢。綾小路とやったのか? Tレックスには気をつけろよ。
高円寺。お前はどこまで気づいていたんだ? クラスの中で一番得体の知れないのはお前だったかもしれない。最後に上手くまとめてくれてありがとな。なんか、憎めないぜ。お前が本気になればあっさりAクラス行くんじゃないか。また気が向いたら協力してやってくれよ。
あとは森とか井の頭とかその他大勢とか、みんなありがとな。
最後に長谷部、おっぱい揉ませろ。
気づけばタクシーが、1年近くぶりにも関わらず、見慣れた施設の前へと到着した。
なんかここが実家みたいなもんだってことを実感させられて嫌だ。
施設の前で男女のペアが待っていた。
「先輩が頼りないせいで、あたしたちいい迷惑なんですけど」
「先輩、途中で負けて帰ってくるってダサすぎませんか?」
「……直接戦う機会を与えてやったんだ、感謝しろよ」
話しぶりから察するに、来年度から刺客として送り込まれるのはこの2人らしい。
追放ギリギリだった俺なんかと違って、よほど優秀っぽいが綾小路と比べたら……まあ、せいぜい頑張ってくださいや。
こいつらのやられる様子が見られないのは残念だが、俺の出番はこれで終わりだ。
最後の報告をして締めようか。
本日の報告(表)
綾小路を退学に目論むべく動いたものの、返り討ちにあってしまった。ホワイトルーム関係者と気づかれないように成績を低迷させたことが裏目に出てしまったようだ。力不足を恥じたい。
本日の報告(裏)
綾小路。せっかく掴んだ自由なんだから。ホワイトルームなんかに負けんなよ。
お前とは二度と会いたくないから、絶対にホワイトルームには帰ってくるなよ。
クラスメイトを裏切るんじゃねえぞ。仲間を泣かせたら、許さないからな。
本編完結。