ホワイトルーム出身の山内による綾小路清隆観察日記 作:チームメイト
綾小路パンツを持たされるの巻。
ある朝、軽井沢のパンツが盗まれていた。
そのパンツは池のカバンから証拠物品として出てきた。池はオレじゃないって必死になっていたが、櫛田へのストーカーのことを考えると怪しいもんだぜ。
残念過ぎるだろ、俺の親友。
「ねーわ、さっさと自首しろよ」
寛治は自首するのではなく綾小路に押し付けて難を逃れることに成功しやがった。
ホワイトルームの化け物×女もののパンツ。もう構図が面白過ぎるだろ。
慌ててるのも笑えるし、池はいい仕事をしたと褒めてやりたい。
さすが俺の親友。
ホワイトルームの怪物がパンツ泥棒の濡れ衣からどうやって逃げるのか。
って綾小路は咄嗟にパンツをポケットに隠して切り抜けやがった。
だったら追撃するしかねーな。
「そこまで疑うっつーなら、身体検査やってやるよ」
女子に反発する形で身体検査へと誘導する。
綾小路が「チョ、マテヨ」って言いたそうな顔してたのがたまんねえぜ。
吹き出しそうになるのを必死に抑える。
ダメだ、笑うのは女子に叩かれまくる綾小路の姿を見てからだ。
さあ、綾小路よ、パンツ泥棒の濡れ衣を被るがいい。
とか思っていたのがバレたんだろうか。まさかそうじゃねえよな。
結局、平田が綾小路を守ったようだ。パンツは見つからず綾小路が女子からつるし上げをくらうようなこともなく、その場は収まった。
それで終わりかと思いきや、綾小路からの反撃は意外な形でやってきた。
◇◇◇
「堀北の頭に泥を塗ってくれ」
ん? 今なんつった?
綾小路の口から幻聴が聞こえた気がする。
食料を調達するために数人で動いている時に聞く言葉ではなかったはずだ。
「堀北の頭に泥を塗ってくれ」
幻聴じゃねえのかよ。とんでもねえことを俺にさせようとするな。
俺は観察者であってプレイヤーじゃねえんだよ。
パンツ泥棒の濡れ衣の反撃で泥を塗ることを要求するって無駄に泥をかぶらせなくてもいいから。全然上手くねえし。
「頼む、お前にしか出来ないことだ」
俺にも出来ねえし。
綾小路の中で俺ってそんなキャラなのかよ。アホキャラ全面に出し過ぎたか。
しかも、佐倉の連絡先との交換って絶対嘘だろ。
知ってても、実は知らんかった、すまんって言うタイプだぞこいつは。
綾小路がここまで頼むって、この行動に何か意味があるのか。
堀北は隠してるつもりだろうけど、体調は悪そうだし、ここで泥なんかぶっかけて洗う羽目になったら、もっと酷いことになりそうなんだが。
もしかして、それが狙いなのか?
俺が知ってるだけでも、コンパスで刺されたり、脇腹を攻撃されたりと綾小路は堀北にはやられっぱなしだったはずだ。
日ごろ何かと堀北にされてきた綾小路が鬱憤を晴らすために泥を。
そんなことに俺を使うなよ、てめーがやれよ。
って言えたら楽なんだが、山内はアホキャラなのよね。
惚れまくってる佐倉の連絡先との交換なら仕方ない、堀北に泥を塗るしかないんだ。
しかしよー、泥を塗るとか下手したら死ねるだろ。
堀北にはアホキャラの一環として、何度かちょっかいをかけては撃退されたことがあるが、何らかの武道を嗜んでいることは間違いない。
締め技ならまだいい。
問題は投げられた時だ。泥を塗る暴漢を振り払うために、投げに入られたら怖い。
そこそこデカい石とかその辺にゴツゴツ転がっている川辺で投げ技は、やばすぎるって。
いや、受け身を取ればいいんだろうけど、いきなり山内が受け身を取ったら怪しすぎるだろ。
受け身は却下だ。
偶然だ。偶然を装って助からなければならない。
タイミングと入る角度が問題だ。
正面からは難しいから、狙うなら背後からだな。
綾小路には渋っているようにみせながら、周辺の地形を確認して、襲撃ポイントを選定する。
堀北との距離、タイミングを見計らって──今だ。
川の中から泥をつかみ取って堀北の黒髪へと塗りたくる。
「うははは……ドロドロじゃねえかドロ北。おもしれええ──ぐふぅ」
想像以上の勢いで視界が回った。
そのまま頭を下にして川の中へと投げ飛ばされた。
水中に沈みながら強く思う。
襲撃するタイミングを選んで助かった。
川以外に投げられてたら死んでただろ、これ……。
綾小路、覚えてろよ。貸しは大きいからな。
佐倉の連絡先はやっぱり嘘だったぜ。
知ってたからいいけどさ、覚えてろよ。
泥ぶっかけの結果、堀北のリタイアがあったものの、Dクラスは1位で無人島生活を切り抜けていた。なんじゃこれ。
何が起きたのか最初は分からなかったが、冷静になって考えるとカラクリは簡単だった。強制リタイアによるリーダー変更かよ。やることがえげつないな。
本日の報告(表)
対象は慣れない無人島でのサバイバル生活に戸惑っていたようだが、すぐに適応して、クラスを最上の結果に導くように暗躍していた。積極的にAクラスを目指すようだ。
本日の報告(裏)
綾小路のせいで死にかけた。絶対許さねえ。絶対許さねえ。絶対許さねえ。絶対許さねえ。
それはいいとして、前回までと微妙に行動指針が変わってね? 勝つためとはいえ堀北を追い込んでリタイアさせるって仲間を大事にする綾小路くんはどこいった。……気のせいか。