そのため、読み飛ばしていただいても結構です。
また、コメディ風味の会話劇という体をとっておりますので、本編の雰囲気や流れを損なう恐れがあることをご了承ください。
シャーラ
「……えぇっと。じゃあ、機体解説を始めまーす。今回は、いよいよガンダム・ユリシスだって」
エインズ
「ちょっと、ちょっと! ようやくこの話の主人公機である型式番号XF―01、ガンダム・ユリシスを解説できるっていうのに、テンションが低いよ!」
シャーラ
「いや、アンタが高すぎるんだって。なんでパイロット本人よりも盛り上がってんのよ」
エインズ
「そりゃあ、
シャーラ
「は、はぁ……」
エインズ
「恐竜的進化を遂げつつあったモビルスーツの小型軽量化を訴え、後にはフォーミュラ計画を進めてあのF91を作り出したサナリィの試作モビルスーツ! 宇宙世紀の歴史におけるモビルスーツ開発史の転換点といっても過言じゃないんだ!」
シャーラ
「大袈裟な……」
エインズ
「大袈裟じゃないよ! 頭頂高と本体重量はジェガンD型と同じ19メートルと21トンだけど、ジェネレーター出力は3400kwでほぼ二倍! さらに、装甲材質はガンダリウム合金試作セラミック複合材で、これは従来の装甲と同等かそれ以上の強度を持ちながら────」
シャーラ
「あー……、はいはい。要は従来のものより硬くて軽い装甲ってことね。で、ジェガンD型のフレームを基礎にしつつ、駆動系や姿勢制御プログラム、装甲の形状なんかにもサナリィが手を加えていると。まぁたしかに、乗りやすかったのは認めるけど」
エインズ
「おまけにかっこいい! のちのF90に繋がる全体のデザインと、古き良きガンダム顔を踏襲しつつも新時代を意識した顔! いやぁ、新しいガンダムって感じがするなぁ」
シャーラ
「ガンダムはどれもガンダムでしょ……。武装は試作型のビームライフルとビームサーベル、頭部バルカンにシールド。ここら辺はお決まりのヤツ。あとは、腰部側面に二つあるビーム・カノンね」
エインズ
「シャーラさんが記念館での戦闘のときに撃っていたものだよね。出力の調整が可能で、ビームライフルの補助や咄嗟の火力が必要なときに使えるって感じかな」
シャーラ
「搭載された
エインズ
「
シャーラ
「乗っている側からすれば、感情の振れ幅次第で性能が変わるどころか勝手にすごい力を発揮し始める兵器なんて、おっかないったら。運転手の
エインズ
「そ、そりゃあそうかもしれないけどさ。そういう心の力で奇跡を起こす機体って、すごいと思うんだけどなぁ……」
シャーラ
「それは、兵器としてのすごさじゃないから。誰にも力を制御できない兵器なんて、兵器じゃない」
エインズ
「まぁ、サナリィの技術者たちもそう思ったから、サイコフレームだったり
シャーラ
「でも、ユリシスが地味になった一番の理由は多分違う。……連邦はこれ以上、ガンダムという機体が伝説になることを避けたかったんだと思う」
エインズ
「そうかな? だって、ガンダムの伝説が広まれば、連邦政府としても自分の武力を誇示できて得だと思うけど……」
シャーラ
「あんた、そういうところはやっぱりお坊ちゃんね。看板や旗印は、あくまで
シャーラ
「……ジオンって名前がそうだった。最初はみんな、それを単なるお題目としか思ってなかった。でも、気づいたときにはそれしか縋るものがなかった。誰も彼もがそれを唱えて連邦と戦い、死んでいったから。ジオンって名前は、時代を呪う特別な意味を持つようになったの」
シャーラ
「ガンダムだってそう。不可能を可能にして、理不尽を跳ね返す奇跡の機体。色んな伝説を通して、ガンダムって名前にはそういう意味が宿り始めている。単なる
エインズ
「その名前が、やがて一人歩きを始めるってこと?」
シャーラ
「そう。単なる旗印だったものに、多くの心が吸い込まれていく。まるでそれに縋るように、依存するようにね。……そういうの、たくさん見てきたから」
エインズ
「だからこそ、人間には誰かが必要なんだ。そういう熱のない名前や伝説じゃなくて、たしかに熱の籠った人間が隣にいるから、人間は立っていられるんだと思う。僕にとっての、シャーラさんみたいにね」
シャーラ
「……アンタ、
エインズ
「も、もちろんだよ! 忘れているかもしれないけど、僕は人見知りだからね!」
シャーラ
「ふーん、どうだか」
エインズ
「そ、それじゃあ、今回の機体解説はここまで。これで機体解説回は最後だよ。最後はやっぱりガンダムで締めないとね」
シャーラ
「でも、ユリシスの本当の力ってまだ作中でも明かされてないのに、なんでこのタイミングで最後の機体解説をやったの?」
エインズ
「……これ以降はシリアスな話が最後まで続くから」
シャーラ
「所謂、大人の事情ってワケね」
エインズ
「とにかく、これで機体解説回は最後です。ここから先はいよいよ最終決戦! ガンダム・ユリシスとシャーラさんは、宇宙世紀に百年もの間とり憑いてきた亡霊に勝てるのか!」
シャーラ
「乞うご期待、ってね」